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東京を目指す旅 ~この坂を越えて~(平成29年3月4~10日)

4日目(平成29.3.8) 2/4ページ「鬼怒川温泉」

鬼怒川温泉ゆったり入浴

東武鬼怒川線、小佐越駅に到着。さっそく鬼怒川温泉の日帰り入浴に向かいます。

小佐越駅から徒歩20分くらいのところに、仁王尊プラザさんというホテルがあります。仁王尊さんは、鬼怒川温泉では数少ない、午前中から日帰り入浴ができる宿です。

というわけで、駅から歩いて仁王尊プラザさんに向かいます。

仁王尊さんへは駅の西口から行く方が早いですが、西口にはICカード改札機がないので、東口から出て、途中で踏切を渡って線路の西側に向かいました。

温泉への道のりは、早春の陽気の中でした。もちろん上着は脱げませんが、これまで旅してきた東北よりもずっと暖かく、関東に来たということを実感します。道民としては「春を先取り」という感じです。

さらに進むと、景色が一気に彩りに包まれました。道中に、梅の花が咲いていたのです。濃いピンク色の花々たちは、冬の終わりを告げるように、楽しげに風に揺れていました。

梅の花に春を感じながら、澄んだ風を感じながらゆったり歩いていきます。この日は時間に余裕のある日程となっているので、慌ただしさもなく、ゆったり景色などを楽しみながら歩くことができます。急ぐ旅でも、こういう時間がやっぱり必要ですね。

この道路は線路沿いです。道路に並行する線路を、時折列車が走ります。先ほど乗った6050系のほか、特急型の100系も見られました。カメラを構えていない時に100系が来てしまい、100系の写真を撮れなかったのは痛かったですが、単線区間をゆったり走る100系を外から見ると、結構味がありました。

線路といえば、旅行の後に小佐越~鬼怒川温泉間に新駅「東武ワールドスクウェア駅」が開業したので、仁王尊プラザさんに行きやすくなりました。でも、こういうことは気にしてはなりません。

ともあれ、しばらく歩いて、仁王尊プラザさんに到着です。


入浴料700円を払って、さっそく関東の名湯・鬼怒川温泉に入浴です。

浴場は3か所あります。受付では館内図を見せてくださり、それぞれの場所を教えてくださいました。ただし1か所は清掃中のため入れませんでした。朝から押し掛けたわけで、ある程度は仕方ありません。

まずは内湯に入ります。館内を少々移動して、浴場に向かいました。

まずは体を洗うわけですが……一言だけいいですか。寒いんです。

ここの温泉は源泉温度が低めなようで、とにかく浴場の気温が低い。窓が開いていたのもありますが、気分的に閉めたくなかったので寒さに耐えるほかありません。これは予想外でした。

震える体を手早く(そしてもちろんきれいに)洗って、早く湯船に潜り込みます。早くお湯に入らないと凍えそうで……。

お湯に浸かっても、なかなか体が温まりません。長く浸からないと、ちゃんと体を休めることはできないでしょう。

しかし、これは逆に考えればのぼせる心配がないということです。じっくり浸かって、薬効をタップリ体に染み込ませることとしましょう。

鬼怒川温泉はアルカリ泉として知られていますが、その中でも源泉100%かけ流しなので加水をしていない仁王尊さんのお湯は、pH9.7とそれなりに強いアルカリ性です。ただ、泉質が単純泉なせいか、ビビッと薬効がくる感じではありません。あちこちの温泉に入っているボクですが、単純泉にはあまり入ったことがなかったので、結構新鮮でした。温泉という世界にも、まだ知らない部分があったんですなぁ……。


他の浴場にも行ってみます。一旦服を着ての移動となりますが、せっかくなので行ってみようジャマイカ。

次に入った浴場は、露天風呂でした。まあそのせいでさっき以上に水温が低いんですが、心地よい陽気と風とを体に浴びながら、ゆったり露天風呂、というのは実にワンダフルです。

時間はたっぷりあるので、すでに緑がかった山間の景色や、きれいな青空を眺めつつ、同時に体と心をしっかり休めつつ、露天風呂を楽しみました。

ゆっくり入浴したことで、とくに精神面はだいぶ楽になりました。高密度の旅程や命がけの山行などで張りつめっぱなしだった精神をかな~り和らげられたので、この先も戦っていけそうです。生き抜くためには、息抜きも肝心、と……。

ただ、体は相変わらずムチを打たないと動かないような有様。回復はしているのですが……。

鬼怒川温泉駅で、「同胞」の活躍を祈りつつ……

たっぷりと温泉を楽しんだ後は、また移動です。この後はいよいよ東京を目指すのですが、日程の都合上、一旦鬼怒川温泉駅に向かいます。

鬼怒川温泉駅までまた歩く予定でしたが、ちょうど宿泊客を小佐越駅に送る送迎車が出るところだったので、それに便乗させていただいて、小佐越駅から列車で行くことにしました。

小佐越まで行動を共にすることになった宿泊客は、中国からお越しの男女二人組。この後は日光東照宮に向かうようなので、小佐越駅に着いたらもうお別れとなります。

送迎車はさっきボクが20分かけて歩いた道のりを数分で駆け抜け、あっという間に小佐越駅に到着。疲れているときはやっぱり送迎があると非常に助かります。

小佐越駅のホームで、二人組とちょっとだけ英語で会話。ところが、出身地を訊かれて、"Sapporo"と答えても通じない。中国語で「札幌(Zha Huang)」と言わないと通じないのに、それをコロッと忘れていました。大学の第二外国語で中国語をかじっていたというのに、ボクはその後の3年間で何をやっていたんだ……。

スマホの力を借りて何とか「札幌」という単語を伝えたところで、1面2線のホームの両方に列車が来ました。片方は会津鉄道・野岩鉄道を走ってきた快速「AIZUマウントエクスプレス」で、二人組はそちらに乗車。この列車は東武日光まで直通するため、二人組はラッキーなことに下今市での乗り換えをせずに日光に向かえます。

もう片方の列車は新藤原方面行き。車両は、先ほどと同じ6050系です。ボクはこちらに乗車。

二人組に手を振って、隣駅の鬼怒川温泉駅へと向かいます。


鬼怒川温泉駅は、駅舎の中も、駅前も、街並みも、観光客で賑わいを見せていました。平日の午前中であってもそれだけ観光客がいるあたりが、東京から特急1本で行ける名湯という、観光地としての強さをこれでもかと示しています。

次に乗る列車までは時間があるので、とりあえず外に出ると……、向かって左側に妙な工事現場がありました。ふつう工事現場は四角いんですが、ここの現場は円形です。

そう、これは転車台の整備です。もちろん電車を回すのではありません。我らが北海道民・「カニ目」ことC11 207号蒸気機関車を回すための設備です。

北海道内のSL列車が大幅に削減されたことでニートレインと化したC11 207。ところが、東武鉄道が鬼怒川エリアの観光列車に使うために、この蒸機を借り受けたのです。

考えてみれば、長距離列車がメインのJR北海道では、長い距離を任せるのが難しいSLよりも、いまJR西日本が構想しているような電車や気動車の長距離観光列車を育てた方がいい気がします。観光地も分散しているので、なおさらです。一方、日光・鬼怒川と、一か所にまとまった一級観光地たちを結ぶのに専念できる東武鉄道なら、短距離しか走れないSLをうまく使いこなして、観光客を呼べるでしょう。まさに「適材適所」のためしかもしれませんね。

SLには全然興味のないボクですが、「同胞」と言える車両の今後の活躍には、期待を寄せたくなります。頑張れよ……!


せっかく来たので、ちょっとおみやげ屋で名物でも漁ってみることにします。

まず食べたのが、駅前のおみやげ屋「一楽」さんで売っていた温泉まんじゅう(価格失念)です。

店先で(包装にくるんだ状態で)蒸していたので、いつでも蒸したてを食べられます。もうもうと立ち上る湯気とともにおいしそうな匂いが漂っていて、思わず食べたくなってしまいました。

まだ肌寒い季節、ホカホカの状態で食べるまんじゅうは格別おいしく感じます。体も温まるので、その意味でもおいしい。いいものを食べました。

もう一つ、別のおみやげ屋「すみ屋」さんで買った、ゆずっぺという飲み物(250円)を飲みました。

栃木県産のゆずを使っているご当地ドリンクのようです。ゆずなのでもちろん酸っぱいですが、ボクはゆず味というのが好物でして、ほどよい甘酸っぱさとフレッシュな風味がとても好きなんです。

好きな味というのを措いておいても、酸っぱすぎず淡泊すぎず、という絶妙な味の効き方で、こちらもいいものでした。

A train named "SPACE"

飲み食いを楽しむうちに、時刻は11時を回りました。もうすぐ列車の時間です。

何度も申し上げてきた通り、次の目的地はいよいよ東京です。ここから列車1本で、東京・浅草を目指します。

東京行きの列車の中から選んだのは、特急きぬ。車両は、「スペーシア」の異名を持つ東武100系です。

今回乗車するスペーシアきぬ118号には、東武100系の中でも「雅」編成となっている102編成が入っていました。現在の100系は登場当初の塗装を脱ぎ捨て、4種類の塗色に身を染めています。「雅」編成は青が基調のカラーリングとなっており、登場当初とは印象がちょっと違います。

列車は全車指定席。きっぷですが、事前に札幌市内の某旅行代理店で出しておきました。

実はこのきっぷを出すまでに色々ありまして……。関東にいる人なら問題なく取れる東武の特急券ですが、札幌に住んでいると、近くに店がないため東武トップツアーズに買いに行くことができず、ネット予約をするにもきっぷの受け取りのためにトップツアーズに行くというのができない、という難しい状態となっていました。残された方法は、「満席覚悟で乗車1週間前まで待ってネット予約し、乗車直前に駅できっぷを受け取る方法」か、「手数料を払って東武系列以外の旅行代理店できっぷを出す方法」の二択でした。大事をとって、ボクは後者を選択。このため手数料1,080円が闇に消えていきました。

代理店で出したきっぷは自動改札を通れないので、有人改札からホームへ。


改札から一番近い1番線には、すでにきぬ118号が停まっていました。多くの乗客――そのほとんどが観光客です――が、改札を通っては列車に入っていきます。始発駅の時点で結構な割合の座席が埋まっている状態でした。

ボクは前から5両目にあたる2号車に乗車。早めにきっぷを買っておいた甲斐あってか、窓側の座席に座ることができました。旅行動画作ってる関係で窓側とれないのは致命的なもんでね……。

座席に座ってみると、厚みのあるクッションが体をしっかり受け止めてくれます。さすが首都圏の有料特急の代表格のひとつ、なかなか好印象。

濃い青のシートモケットもいい色合いで、車内が明るい雰囲気になります。リニューアルを受けて青のモケットに変更、という点は2日前の「いなほ」用E653系と同じですが、こちらはちょっと色の使い方が違います。そのため、印象も少し変わってきます。

広々としたシートピッチに、さらにフットレストまで。JRで言うと特急の普通車にあたる車両ながら、かなりレベルの高い設備となっています。

ただし、ボクが乗った車両は、テーブルが6050系のヤツと同じタイプでした。つまり、跳ね上げ式のせま~いテーブルです。これは4人グループでの利用を想定してのことだといい、車両が設計された時代にはまだグループ客が根強かったのを反映しているようです。通路側の人は座席から小さいテーブルを出せるとはいえ、いずれにせよ面積がかなり小さいわけで、現代の個人旅行者にしてみれば……。

そのほか、至るところに時代を感じるのですが、別に乗り心地や居心地に影響を与えるものではありませんでした。


11時15分、きぬ118号は鬼怒川温泉駅を発車。

ここで昼食とします。特急の車内で、駅で買った弁当を食すことにしました。

選んだのは、駅の売店で売られていた「日光名物 ゆばちらし寿司」(880円)です。タイトルの通り、日光のグルメの一つ、ゆばを手軽に味わえます。

メインはもちろんゆば。しっかり量が入っています。薄いのですがしっかり食感があるのが日光のゆばの特徴なんだそうで、ほのかな味わいと確かな食感がかなり気に入りました。

ちらし寿司としてもなかなか美味です。いろいろな具が入っていて、ゆば以外もしっかり楽しめる駅弁でした。

なお、この弁当は駅売りの弁当ということで「駅弁」っぽい感じではありますが、厳密には「駅弁」には含まれないと思われます。「一般社団法人 日本鉄道構内営業中央会」という団体には、JRの駅で弁当を売っている企業などしか加入していないからです。まあ、だからといってこのちらし寿司を「駅弁」と表現することが、直ちに間違いとは言えないかとは思いますが、ね。

おいしい弁当に舌鼓を打っている間にも、大都会・東京が近づいてきます。(とりあえずの)ゴールに向けて、気持ちを新たにします――。

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