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東京を目指す旅 ~この坂を越えて~(平成29年3月4~10日)

2日目(平成29.3.6) 2/7ページ「特急いなほで山形県へ」

新しい待合室ができた秋田駅

比立内を出て約2時間半、ようやく秋田駅に着きました。

秋田はポツポツと雨が降っていました。傘を差す必要のない程度の雨とはいえ、気分はよくありません。

駅前の風景は……4年前は夜だったし滞在時間も短かったので、覚えていません。なので「4年間で変わったなあ」とかそういうコメントは一切できません。

ここで乗り換え時間が1時間以上あるので、長い移動もひとまず一段落。この時間を使って、いろいろ準備とまいります。

まず準備したいのが、財布の中身。この時点で結構財布が薄くなっていました。というわけで、駅前のアーケード街から南にそれて駅前郵便局へ。

が、ATMはまだ営業時間前。秋田レベルの駅の駅前でも、朝夜にATMが開いていない郵便局があるとは……。

別にコンビニATMから北洋銀行の口座にアクセスしてもいいのですが、手数料がもったいないので、この後お金をおろすとします。

では駅舎に戻ります。次はきっぷの手配。この後必要なきっぷを合計2枚買いました。

そして、駅弁の購入。これは後程ご紹介します。

これでとりあえず準備はオーケー。ちょっと休憩とします。


駅舎内は、逆に結構覚えています。広い通路に、竿燈の飾り。以前と変わった様子はあまりありません。

一点だけ様変わりしたのが、駅の待合室。ずいぶんと綺麗でした。それもそのはず、つい近日に新しい待合室がオープンしたばかりだったそうです。

室内には待合スペースのほかに、お土産・特産品の売り場もありました。お土産は阿仁で買ったし、バター餅はないっぽかった(ちゃんと探してませんが)ので、冷やかしただけ。

朝通帯とあって待合室には結構人がおり、大荷物のボクは邪魔にしかなっていないという。

そのほか、改札内では男鹿線の開業100周年を記念した展示がありました。

かつて同線で使われていた蒸機の模型や、様々な時代の男鹿線を撮した写真、男鹿名物のなまはげなどが展示されていたほか、記念スタンプもありました。

ちなみに、さっききっぷを買った時に手に入れたきっぷ入れも、男鹿線100周年の記念デザインとなっていました。

蓄電池電車と対面! スーパー駅撮りタイム

まだ次の列車まで時間がありますが、早めに改札に入っちゃいます。

それで何をするかですが、ズバリ撮り鉄(あるいは録り鉄。ムービー的な意味で)です。

狙い目の列車はふたつ。まず、E751系で運行される青森行きの特急つがるです。

この列車は、前の年に485系の撤退に伴って予備車確保のために減便され、1日3往復の運行となりました。ただ、運行本数以外は平成22年の運行区間変更(改称と言った方が正しい?)からあまり変わっていません。

ただ、運行区間の利用客は減っています。とくに大館~弘前間。なので、安泰とは到底言えない列車と言えます。E751系が老朽化する2025年前後がターニングポイントとなるかと思います。

今回、この減便さえなければ、前日に乗れるはずだったE751系。どうにも巡り合わせが悪いですが、次に秋田・津軽を訪れた時こそは乗っておきたいところ。


真打ちは、その隣に停まっている、奥羽本線・男鹿線直通の男鹿行き普通です。

前々日のダイヤ改正で、男鹿線に蓄電池電車EV-E801系が2往復だけ投入されましたが、この列車こそがそのEV-E801系で運行される列車です。

今回の旅行では男鹿をスルーするので乗りませんが、実は計画時点では男鹿に行くプランもありました。

EV-E801系がこの年の春にデビューするのは知っていたので、旅行までにデビューするならそれに乗って男鹿に行くことを検討していました。でも具体的な投入時期がなかなか発表されなかったので、旅程締め切りが来てしまい、男鹿プランはボツとなりました。

そして結局車両は3月改正と同時に出るというね。

グチはおいといて車両を見物です。秋田~追分間は架線集電式の電車として走るので、当然パンタグラフは上がっています。

JR九州のBEC819系をベースにした車両で、対応周波数と耐寒設計、それに内外装を除くと仕様は一緒です。車体が見るからに日立重工のA-trainなのはもちろんのこと、近年のJR九州の電車ではおなじみの、大型の前面行先表示器も搭載しています。

外装は片方の車両が赤、もう片方が青を前面にまとっており、なかなかに派手。

内装は(窓から覗いただけですが)BEC819系とは違いミトーカ色が排除されており、やたら木目が目立つ座席や円形つり革柱はなく、他のJR東日本の車両とそう変わらないフツーな内装となっていました。

やっぱり話題の蓄電池電車、しかもデビュー3日目とあって、ホームには見物客がいました。その目は、物珍しそうな目、期待の目、さまざまでした。


狙いの列車を撮る傍ら、秋田駅に到着する普通列車も観察していました。

編成は2~4両と少々さみしい感じで、列車によってはそこまで混雑していないので、ラッシュとは呼べるものの、仙台や札幌などと比べるとちょいと静かなラッシュアワーです。別にそれを良いとも悪いとも言うつもりはありませんが……。

特急いなほで羽越本線を南へ

思う存分列車を撮ったところで、いよいよ移動再開です。

ここからは、羽越本線で山形県に入り、庄内は鶴岡を目指します。

秋田始発・新潟行きの特急「いなほ」8号。E653系の7両編成は、独特の黄色主体の塗装をまとっています。

デビュー当時は都会的で精悍な出で立ちだったE653系ですが、現「いなほ」用編成は新潟転属後に現在の塗装になり、だいぶ印象が変わりました。賛否両論あるようで、一部からは「フルーツ牛乳」と揶揄されていますね。ボクは好きでも嫌いでもないですが、実際見てみると写真で見た時よりかっこよく見えました。

塗装を措いても、転落防止幌などに錆が見られ、ややくたびれた感があります。かつて「フレッシュ」の名を冠した列車で活躍したE653系も、今や20年選手。時の流れってなぁ残酷なんだなあ。

一方で車内は、鮮やかな色合いの座席など、明るい印象。

シートモケットは、転用改造時に新潟県の「小千谷ちぢみ」という織物をイメージしたものに更新されているそうです。座席にはチケットホルダーも付いていました。

座席はちょっとだけクッションが薄いと感じました。リクライニングは背もたれと座面を独立に動かせる仕様ですが、固定しても座面がちょっと動いちゃうので落ち着かないのが玉に瑕。

全体的に洗練された内装ですが、ちょっと掃除が行き届いていないところがあり、せっかくのデザインや設備が台無し。なかなか手が回らないのかもしれませんが、CS向上の面からは反省した方がいいでしょう。

客室の出入口は小売店を思わせるガラスの自動ドア。車両形式のロゴがニクイぜ。


特急「いなほ」はグリーン車のシートピッチの広さが話題ですが、今回は乗車時間が長くないので普通車。しかも閑散区間で乗るので、自由席です。適当に5号車に乗車。

列車は秋田を出ると、ほどなく雄物川を渡り、本荘方面にひた走ります。

自動放送は東北・上越・北陸新幹線と同じ声。過去2回の東北旅行に加え、某電車でGO!実況動画のおかげで何度も聞いた声なので、なじんでしまっているという。

ここで、先ほど買っておいた駅弁を開けるとします。秋田駅の有名駅弁「あきたこまち弁当」、1000円。

0日目の「いしかり」と同じく幕の内弁当ですが、メニューは秋田らしいラインアップとなっています。

その名の通り、ごはんはあきたこまち。冷めていてもおいしいのは、モノが良い証拠です。おそらくは前日の食事も三食ぜんぶあきたこまちだったのでしょうが、北海道米に慣れているボクでもおいしいと思いました。北海道のお米がよもや内地に負けるなどとは思いませんが、あきたこまちも指折りの実力者。これからもライバルであり続けるのでしょう。

お米に負けじ劣らじ、とばかり、おかずもまた美味。地物が数多く使われているといい、素材も調理もいいのが舌でわかります。一品一品、丁寧丁寧丁寧に味わわせていただきました。

前日の食事が三食とも超ハイレベルだっただけにどうしても地味だと感じてしまうのですが、一級の駅弁だということは間違いありません。

さすがはグルメ大国・秋田。北海道のおいしいものを食べ慣れているボクを唸らせるんですから、秋田のグルメはやはりホンモノでしょう。


列車は羽越本線をゆっくり走ります。最高速度があまり高くないうえ、単線の区間があるので、交換駅では分岐器速度制限がかかり、さらにスピードが落ちます。

まあ、考えようでは「日本海の景色をじっくり堪能できる」とも言えます。せっかくですので、たっぷり海岸線の景観に見とれるとしましょう。

車内は秋田発車時点ではほとんど空席。秋田市~庄内、秋田市~新潟の流動は多くないでしょうし、上越新幹線に乗り継ぐ客もほぼいないでしょうから、こんなものでしょうね。

ボクの近くに座っていた人も、どうやら旅行者のようでした。彼らが楽しげに話しているので、空気輸送の割には車内の雰囲気が明るかったです。

もう一点、車内販売があるおかげで、車内がもっと明るく感じました。いなほの車内販売は一度なくなったものの、E653系投入と同時に復活したそうで、地域オリジナルのメニューもあり好印象。

ボクもコーヒーを注文し、特急の旅をコーディネート。一部のいなほではオリジナルのコーヒーがありますが、この列車ではふつうのコーヒーでした。

本当は甘いものがほしかったのですが、地元のお菓子類はお土産サイズの箱を除いて売っておらず、例のスジャータのアイスもなかったので、コーヒーを飲むことにしたんです。眠気覚ましになったので、よしとしましょう。

羽後本荘、仁賀保と、少しずつ乗客が増えていきます。徐々に新潟への流動や上越新幹線への乗り換えが多いエリアに入っていきます。

秋田県内最後の停車駅である象潟を出ると、いよいよ羽越本線屈指の絶景車窓区間に突入です。

特に上浜~小砂川~女鹿間は景色がよく、海岸線や、その先に見える日本海がきれいに見えます。

ちょっと高い位置にある線路を走る車内から、曲線を描く海岸線を見下ろします。晴れた日の夕方に見れば、さぞ素晴らしい景観となることでしょう。この時は曇り空の日中ですが、十分すぎる絶景です。

その景色のよい区間に、ちょうど秋田県と山形県の境目があります。景色に見とれるうち、いつの間にやらボクは山形県に突入していました。

今まで東北6県で唯一まったく入ったことのなかった山形県。東北では何度も景色やグルメなどに感動してきましたが、山形はどれだけボクの心を動かすのでしょうか……!

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