「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

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東京を目指す旅 ~この坂を越えて~(平成29年3月4~10日)

1日目(平成29.3.5) 2/8ページ「秋田内陸線」

大館にちょっと寄り道

秋田内陸線への乗換駅・鷹ノ巣には直接行かず、快速列車を大館で途中下車。目的は何かというと、メシです。

そう、やっぱりコレは外せない、大館駅の駅弁、花善さんの鶏めしです。前二回の旅行で食べたふつうの鶏めしではなく、今回はちょっと値が張る「比内地鶏の鶏めし」(1,180円)を購入。この弁当は、後で内陸線の車内で食べることにします。

時間が余ったので、朝の大館駅前を散策します(だったら弁当買う前にすりゃよかった)。

街には廃線となった小坂鉄道の遺構が残されていました。小坂鉄道には興味がありませんが、腕木式信号機にはそそられました。また、大きな通りが小坂鉄道とぶつかっていたところには、かつて踏切があったことがハッキリわかるような路面の盛り上がりがあり、付近には「前方鉄道廃止 一時停止不要」との看板が立っていました。

他に見たものもいかにも地方の小都市という感じで、数十年前にタイムスリップしたかのような錯覚さえ覚えました。

道路はそこまで雪が積もっておらず、まだ雪に閉ざされている札幌との差を感じました。ただ路面が凍結しており、防寒靴がなければ即死でしたが。

それにしても、また大館に来ちゃいました。ホント、「また東北か」「また秋田か」「また大館か」と言われそうですが、それだけボクがこの地に魅力を感じているとご理解ください。

乗り遅れたら大変なので散歩は早めに切り上げ、残り時間は駅の待合室で過ごします。あの大震災から6年が経とうとしているということで、待合室のテレビでは大震災関連の特集が流れていました。秋田県とて震災と無縁ではなかったでしょう。震度2の地震だけで済んだ札幌市民のボクに被災者の気持ちがわかるとは思えませんが、せめて震災から学ぶことで犠牲を無駄にしないことと、東北を旅行することで現地経済を回すことだけは今後もしていきたいです。


有人改札が開いたところで、再度ホームへ。列車を降りたのと同じ1番線で列車を待ちます。

お次のランナーは鷹ノ巣行きの普通列車。車両はキハ110系……がダイヤ改正前は充てられていたのですが、改正後から(=前日から)は701系に替わっています。

というのは、以前はこの時間帯に弘前始発・大館行きの普通(701系)と大館始発・鷹ノ巣行きの普通(キハ110系)があったのですが、改正でこの2列車がひとつにまとめられ、弘前始発・鷹ノ巣行きになり、車両も全区間701系になったのです。

このせいで「鷹ノ巣行きの車内で駅弁を食べる」という当初の目論見は潰えた(セミクロス701系が来るということもありえますが確率が低い)ので、内陸線の車内に駅弁を持ち込むことにしたのです。

なかなか全てがうまくいくことはないものだなあ、なんて思いつつも、替わってしまったものは仕方ないのでおとなしく列車を待ちます。

7時32分ころ、列車が入線。オールロングシートの2両編成で、この列車も車掌乗務です。本州来てからまだワンマン列車に乗ってませんね。

おそらくは折り返しの大館行きとして通学客などを運ぶための送り込みという意味合いが強い列車でしょうから、空気輸送だと思っていました。しかし完全なる空気輸送というほどではなく、まばらながら乗客がありました。

4年前にボクを魅了した大館の発車メロディ「ハチ公物語」も健在で、じっくり曲が聴けてボク満足。

そして列車は定刻どおり発車。元気に走る列車の車内に朝日が差し込むという情景が、なぜか強烈に印象に残りました。

鷹ノ巣までは4駅。糠沢以外ではけっこう乗降があり、退屈はしません。

乗っているうちに、ボクが701系に対して、特別な感情を抱いていることに気づきました。701系に乗らないと東北に来た気がしないどころか、701系に乗ると「帰って来たなあ」とさえ感じてしまっていたのです。

最初に乗った4年前はタップリ701系に乗ったあげくにドアチャイムが耳について離れなくなったという因縁の出会いとなりましたが、2年前の「東北リベンジ」では愛着を感じ、そして今回はさらに違う感情がありました。もはやボクは、701系を地元の721・731・733系などと同等の「馴染みの、そして愛すべき車両たち」にカテゴライズしていたようなんです。

ほどなく終点・鷹ノ巣に到着。ここから南に、ボクがこれから乗る秋田内陸線が伸びています。

登場! 秋田内陸線

鷹ノ巣からは、内陸線に乗って森吉山を目指します。目的は樹氷を見ること。樹氷というと山形は蔵王が有名ですが、内陸線沿線で他に行ってみたい所があったので、蔵王ではなく森吉を選びました。

JR鷹ノ巣駅の南西の一角に、秋田内陸線の「鷹巣駅」があります。JRのホームから直接向かうこともできますし、JRの駅舎の横にある内陸線の駅舎からも入れます。まずは駅舎に入ってきっぷなどを買い求めます。

樹氷の時期に合わせて発売されているきっぷが、「森吉山観光パス【冬季】」(4,800円)。内陸線の普通列車が一日乗り放題(急行列車は追加で急行料金が必要)で、森吉山へは阿仁合駅からの乗り合いタクシーとゴンドラが利用できます。今回はこれを活用して、乗り鉄しつつ観光を楽しみます。

他に鷹巣駅の入場券を買い、あとは駅舎で休憩です。内陸線の駅舎はこぢんまりとした感じですが、木造で温かみがあり、地元客がそれなりの数いたので、明るいイメージでした。駅員さんも観光パスの購入時に乗り合いタクシーの予約は済んでいるか確認をとってくれる優しい御仁で、なおのこと駅に明るいイメージが湧きます。

1面1線の内陸線のホームには、すでに単行の気動車が停まっていました。この車両はAN8800形。車両ごとに違うカラーリングとなっていまして、この列車は赤色のAN8806号が充当されていました。AN8800形は特定地方交通線の三セク化が進んでいた時代に登場したNDCで、同世代のNDCやLE-Carに廃車が出ている中で全車が現役です。

車内はローカル線でよくあるセミクロスシートで、クロスシート部はやっぱりよくある4人掛けのボックスシートです。

このエリアの地理はあまり詳しくないので、とりあえず進行方向左側に座りました。そこそこ空いており、ボックスを一人で使えました。

ちなみに、乗り降りは後乗り前降りで、JR東日本のワンマン列車と同じです。またドアは701系と同じく全駅ボタン式です。しかし、前乗り前降りのJR北海道の列車に慣れすぎているせいで、この先何度も前のドアから乗る失態を犯してしまいます。まあ前からでも乗せてくれましたが。

8時16分、列車が発車。一路秋田の山中を南へ進みます。


さて、それではお待ちかねの朝食です。さっき買った「比内地鶏の鶏めし」を実食でございます。

ふつうの鶏めしよりもサイズが大きく、おかずの割合も高くなっています。鶏めし自体以外も楽しめる駅弁です。

まずはいきなりメインの鶏めしをパクリ。ホッカホカのあきたこまちに煮込んだ鶏肉という構成はふつうの鶏めしと同じですが、そもそもそのふつうの鶏めしがとんでもなくおいしいので、こっちの鶏めしももちろん超級美味。鶏肉がやっぱり、素材も味付けも文句のつけどころがありません。

鶏肉と卵の親子丼的な構成となっているのもポイント。メイン部分だけで二度おいしいんです。

そして、一番グレード間の違いが大きいのがおかず。こちらも味付けがGreat. 昆布巻きが特においしい(昆布苦手なボクが「昆布がおいしい」という緊急事態)。「一流」というのはこういうのを言うのか、とさえ思えました。

もう本当においしかったです。大館の鶏めしは何度食べてもいいものです。


贅沢な朝食を終えたところで、残りの乗車時間は車窓を眺めて過ごします。

「秋田の山中」とは言っても、狭いながら平地があるエリアです。細々とですが人里があります。ただ景色の点からすると、白い平野と白い山という道内でも見慣れた光景が続きます。まあそれが美しいんですけどね。

乗車してから45分ほどで、列車は阿仁前田までやってきました。

不通区間は代行バスで

今乗っていた列車、本来は阿仁合行きなんですが、この時は阿仁前田で運転が打ち切られてしまいます。

ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、この時の秋田内陸線は線路肩崩落のおそれが発見されたため、阿仁前田~阿仁合間が不通・バス代行となっていました。

旅行当時は鷹巣口に車両が1両閉じ込められ、しかも阿仁合の車両基地から阿仁前田以北に車両を出せない状態となっていました。そのため全線で車両繰りが悪化し、一部列車で運休・部分運休が発生していました。

このせいで旅程に影響が出るのではないかと心配して、秋田内陸線の公式サイトで臨時ダイヤを確認したら、ラッキーなことに影響なし。なので内陸線に乗り込んだ次第です。

なおこの運休、雪深い地域のため復旧が遅れていましたが、3月下旬に阿仁合から鷹巣口に車両が陸送されたため4月から運休列車がなくなり、その後4月29日から不通区間の運行が再開されました。


というわけで、阿仁前田で阿仁合行きの代行バスに乗り換えです。係員に誘導され……というか「すぐの発車です」と急かされ、バスに乗り込みました。阿仁合でも列車(しかも急行)に接続するため、遅れは出したくないという心情が見てとれました。

車両は秋北観光バス所有の車両で、小ぶりな点を除けば至って普通の路線バスタイプ。全員の乗車を確認してすぐの発車となりました。

細道を縫うように走り、一路阿仁合へ。大型の車両ではなかなか大変な道で、運転手もさぞ大変だったでしょう。なのに、ボクだと軽自動車でチャレンジしてもノーブレーキで渡るのが無理そうなほど細い橋をスイスイ渡ったりと、さすがのドライビングを見せつけられました。

車窓を眺めるうち、阿仁合駅前に到着しました。バス代行ながら、途中2駅に立ち寄らなかった関係か阿仁合には定時での到着でした。

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