「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

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東京を目指す旅 ~この坂を越えて~(平成29年3月4~10日)

3日目(平成29.3.7) 5/6ページ「白河の関」

新白河から、バスに揺られて

あじゃどうも白河の皆さん、「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」でございまぁす。

というわけで、新幹線を乗り継いで福島県は新白河駅にやって来ました。乗車券と「仙台 → 新白河」の特急券を提示して、途中下車の形で改札の外に出ます。

白河でまずやることは、郵便局からゆうパックを自宅に送ることです。駅から徒歩15分程度の新白河駅前郵便局に向かいます。

ところで、このページの冒頭で「白河の皆さん」と言いましたが、実は新白河駅は白河市内ではありません。駅周辺は西郷村で、駅前の道を東にほんの少し移動すれば白河市に入ります。


さて駅舎を出て、郵便局へ。残念ながら雪が結構な勢いで降っていて、風も出ています。札幌市民なので慣れっこですが、疲れた体にはしんどいし、カメラの扱いにも困ってしまいます。

駅前のロータリーを抜けて東に数百メートル歩き、国道289号に出たら左折。1つ目の信号を対角に渡って(もちろん横断歩道に沿って)、また東に歩くと、郵便局に到着です。

道中、だんだん空が明るくなってきましたが、雪はまだ降っていました。ただ、この後天気が回復する見込みが立ったので、気分は先に晴れてくれました。

段ボールを買って、不要な荷物を突っ込んで、自宅に送ります。長期旅行だとホントにゆうパックが頼もしいですね。

ついでにATMでお金を下ろして、郵便局を後に、先ほどの国道まで戻ります。いつの間にか雪はほとんど止んでいて、さっきの風雪がウソのような晴れ模様に。


さてこの後ですが、白河の関に向かいます。

国道にある「高山」バス停から、福島交通が運行する関の森公園行きのバスに乗ります。白河の関まではだいたい40分。

時刻は4時30分ころ、学生たちの下校時間です。バスは白河の街中で数人の学生を拾って、南東に向かっていきました。

前日に訪れた鶴岡と同様、白河も城下町です。入り組んだ道をくねくねと走って乗客を拾います。

ところで、バス停に何度か停車した際に、ふと気づいたことがあります。バスが進行方向左側に傾いているように見えたんです。

札幌にはいないと思いますが、世の中には扉が開くとバスが左に傾き、歩道と乗降口の段差を小さくするという仕組みを持つバスがあるそうです。このバスが本当にそれなのかはわかりませんが、もしかして、と思ったので書き留めておきます。

仕組みとしては、エアサスに空気を送り込んで車体を傾けているそうです。鉄道でも、カーブの通過速度向上や乗り心地改善のために空気バネに空気を送り込む仕組みを持つ車両がいますが、バスの場合はバリアフリーを目的としたエアサス(空気バネ)の活用というのがあるのです。交通って面白い。

バスは市街を抜け、上り坂に突入。あたりは山林で、木々がきれいに雪化粧していて、とても神秘的な光景だったのが、かなり印象深かったです。木に積もった雪が夕日に煌めいて、さらに神秘さを増していました。

人口の少ないエリアでは、このバスは「フリー乗降制」を採っていました。フリー乗降区間でバスに乗るのはこれが初めてです。一応はバス停の名前がコールされますが、乗客たちは降車ボタンを押すと「どこそこの辺りで降ろしてください」と運転手に告げていました(ボクは乗車時に「白河の関に行く」と申告済み)。

ボクがボーっと車窓を眺めるうち、その乗客たちも一人また一人と降りて行って、気が付くと乗客はボク一人になっていました。またかい。

白河の関

終点のひとつ手前の「白河の関」バス停で、バスを降ります。

さて、今乗ってきたバスは終点に着くとすぐに折り返して白河市街に戻ります。なので、白河の関の滞在時間はわずか10分。ほぼ「来ただけ」という感じにはなってしまいますが、それでもできるだけ色々見学していきましょう。

白河の関の跡は、バス停の目の前にあります。

白河の関は、律令の時代に東北の蝦夷(えみし)の流入を防ぐなどの目的で設けられたとされる関門です。関所というと箱根が有名ですが、箱根とは違って1000年以上前にその使命を終えています。

そのため、残念ではありますが残っているのは「跡」でしかありません。箱根のように建物が立ち並んでいるものではないのです。

一方、関としての役目を終えた後も、白河の関は旅人の憧れの地であり続けました。数々の俳人たちが旅でこの地を訪れ、後世に残る句を残しています。彼らはまだ見ぬみちのくへの旅に思いを馳せ、期待を胸に東北の玄関口としての白河の関を目指したのです。

ボクも、旅人として白河の関に憧れを抱いていました。しかし、かつての俳人たちとは一つ大きく違います。それは、ボクが北海道民だということ。ボクにとって白河の関とは東北ではなく、「関東」の入り口です。

一人旅では初めての関東入りを前に、東北と関東を隔てる場所、その象徴と言える白河の関を訪れ、満を持して関東に乗り込みたい。そういう、ある種の儀式を行うという目的において、ボクは以前から「一人旅で関東に行く時は白河の関に寄る」と決めていたのです。

できれば、先人たちと同じ道を通って関東に行きたいので、白河の関から徒歩で栃木県入りをしたいとも思っていました。一方、「面白そうな列車があり、沿線も魅力的な会津鉄道を経由する」「東北と関東を効率よくめぐるために白河の関を諦めて深夜バスで一気に東京入りする」「超加速で吹っ飛ぶ」など、旅の充実度を高めるために、白河の関にこだわらない様々なルートを考えました。結果、やっぱり白河の関には行っておきたいが、さすがに歩いて県境を越える余裕は無いということで、白河の関を見た後で、素直に白河から列車に乗って黒磯駅を目指すこととしました。


関所は名残くらいしかないのですが、この地には白河神社が鎮座しています。

この神社は関所以上に長い歴史があり、源義経に関する伝承があるといいます。

今回は時間がないので、この神社に参拝するくらいしかできなさそうです。とにもかくにも、お賽銭を入れて手を合わせます。この先、関東地方での旅行安全を祈って、二礼二拍手一礼。

ただ、可能な限りは歩いてみます。地面はでこぼことしていますが、これは堀があった跡です。蝦夷対策に主眼を置いた関所ですから、江戸時代の関所とは違って、いわば「山城」としての役割があったのでしょう。

見るべきポイントも、見る時間もほとんどないという有り様で、これで早くも白河の関の観光は終わり。しかし、それでも大いに満足しているボクが、そこにはいました。

普段のボクは、どれだけ心を動かされたか、どれだけおいしいものを食べられたか、どれだけ勉強になったか、どれだけ将来に役立ちそうか、という尺度で、旅行の充実度を計っています。しかし今回の白河の関訪問は、見物時間たった10分で、神社以外建物もなく、何か新しい知識を得たわけでもなく、思索をめぐらせたわけでもない。それでも、満足だったんです。

おそらく、ボクを満たしたたった一つの要素は、「白河の関を踏んだ」というそれ自体にあります。普段は効率厨ぶっているボクですが、こういうところは、ボクもまだ純粋な旅人です。


バス停に走って戻り、白河市街方面に行くバスを待ちます。

南の方角を向くと、道路が向こうの方まで続いています。この道が栃木県に続いており、かつて多くの旅人が歩んだのです。本当はボクも歩いてみたかったのですが、まあ気分だけでも「白河の関を越えた」ということにしておきましょう。

さてバスに乗ります。当たり前ですがさっき乗ったのと同じ車が来ます。

旅行前の忙しさ、羽黒山などでの苦行に加え、今しがた大急ぎで白河の関の訪問をやったわけで、もう心身ともに落ち着いていられる状況ではありません。ふっと集中の糸が切れてしまったのでしょう、ここでボクはサブバッグの中身を車内にぶちまけてしまいました。カメラにも衝撃が入ります。何事もなく収まったものの、例えば乗り換えのための下車の直前とかだったらとんでもないことになっていました。また、カメラが故障したとかになれば、泣くに泣けません。もう関東に入るわけで、そろそろ気持ちを切り替えて、脳もシャキッとした状態にしたいものです……。

今度のバスは夕方の市街方面行きとあって、乗客は市街に入るまでゼロ。市街でも非常にまばらでした。

「本町四辻」というバス停で下車。白河の関バス停から約25分、白河市街に戻ってきました。

絶品! 白河ラーメン

白河市街にて夕食をとります。本町四辻バス停から歩いて数分のラーメン店「田中屋」さんに入店します。

白河はラーメンでとみに有名になっているようで、市街から離れたお店がたいへん人気なんだそうですが、そこに行く時間はありません。でも市街にもおいしいお店はたくさんあるそうで、大きな期待とともにお店の戸を開けました。

札幌・函館・旭川・釧路・室蘭の「北海道五大ラーメン」(ボクが勝手に命名)をぜんぶ食べたことのあるボクは、ラーメンの味がそれなりにわかると自負しています。果たして白河はどれほどのものか……。

メニューがいろいろあるお店ですが、シンプルに「ラーメン」(600円)を注文しました。

店内もまたシンプルな感じ。まだ5時台とあって、お客さんもそこまで入っていませんが、これが6時以降だと違うのでしょうか。

さあラーメンがやってまいりました。さっそく、まずは麺をすすってみます。

麺はちぢれ麺ですが、ジャージャー麺を彷彿させるような、薄く延ばしたような幅の広い麺です。そのため、札幌などのラーメンとは、食感が大きく違います。

この食感が、スープととてもよく合うんです。麺の味自体もレベルが高く、一口目から感動。

スープも飲んでみましょう。単に「ラーメン」というメニューですが、スープは醤油です。どちらかと言うとあっさり目(旭川基準)のスープは、素朴ですっきりとした味わい。麺との相乗効果で、うまみが引き出されています。北海道だと、旭川よりも釧路のラーメンに近いのかな。

肉厚のチャーシューも、柔らかくてジューシー。スープとの相性も抜群。

……とにかく、うまい。札幌で鍛えたボクの舌で味わってみても、白河のラーメンは本物でした。

代金を払ってお店を出ようとすると、お店の方がボクの大荷物を見て、「旅行ですか?」と尋ねてきました。少しばかりお話をして、今度こそ出ようとすると、「これで頑張って」と栄養ドリンクをくださいました。

あぁ、また優しい人のお世話になってしまいました。ここまで受けた恩をお返しするためにも、期待に応えるためにも、この旅を自分で納得できる素晴らしいものにしなきゃな……。


徒歩でJR白河駅に移動。駅前から線路の向こう側を向くと、白河小峰城が見えます。

小峰城は夜の闇の中に煌々と照らされ、遠くから見ても存在感を発揮していました。百名城に数えられるだけあって、佇まいに美しさを感じます。

駅舎は新白河に比べると小さいですが、市の中心駅らしい広さはあります。

飲食店が併設されていましたが、すでに営業時間外です。

さて、この日の夕食はラーメンだったわけで、たんぱく質がちょーっと少ないわけですね。でも、今からがっつり食事するわけにはいきません。カロリーがあまり高くなく、手っ取り早くたんぱく質を摂れる食べ物が欲しい……

となれば、やっぱコレですね。セブンイレブンの辛口あたりめ。国産スルメイカに、程よい辛味がよく合います。カロリーを低く抑えつつ、たんぱく質をきっちり補えます。

……え、何? いや、別に他意はないですよ。本当ですよ!?

まあともかく、列車を待ちます。みどりの窓口は閉まっていましたが、他にも何組か列車待ちの客がおり、駅はまだ完全に眠ってはいませんでした。

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