旅行記1日目 森吉の樹氷 / 東京を目指す旅~この坂を越えて~ - ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか
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東京を目指す旅 ~この坂を越えて~(平成29年3月4~10日)

1日目(平成29.3.5) 4/8ページ「森吉の樹氷」

氷に包まれる木々

見えた! 見えた――

森吉山の中腹へと登るゴンドラが終点に差し掛かると、中腹の駅の近くには白い氷に包まれた木が立っていました。

「森吉の樹氷を見る」という、この日最大のミッションは、無事コンプリートとなりました。

そしてゴンドラは終点に到着。ゴンドラを降りて歩きだせば、その先にはさらなる樹氷の数々が待っていることでしょう。


ゴンドラの終点では、樹氷の観光客のために長靴などの貸し出しを行っていました。

ボクは北国の人間なので、雪のある地方に行く場合は普段使いの防寒靴を標準装備しています。そのため、雪の中でも大丈夫だろうと思っていました。しかし、スタッフの方に長靴をすすめられたので、従って履き替えることとしました。

というか、防寒靴を見て「どこから来たんですか」とびっくりされましたよ。首都圏以西からの客が圧倒的に多いんでしょうね、やっぱり。

さらに歩行補助のためのスノーステッキも貸し出されていましたが、カメラを構えることを考えると両手を空けたかったし、札幌の人間なんだから雪の中でもまあなんとかなるだろう、と思ったのでステッキは使わないことにしました。

準備をすませたところで、順路を指し示す看板に従って、いざ樹氷観光ウォーク開始です。


森吉山はスキーの名所でもあり、多くのスキー客が訪れていました。また冬ですが登山客も大勢おり、樹氷を観光しつつ登って(というか樹氷を観光するために登る?)いました。

ボクは樹氷の順路に従い、彼らとは違うルートをたどります。登山未経験者がスキーなしで登れるよう、それなりに斜面を緩めたコースが整備されており、そこを歩いていきます。

天気も穏やかで、なかなかの樹氷見物日和でした。

ただ、やっぱりスキー場なのでしっかり雪が積もっており、道が整備されているとは言ってもそれなりに足が雪に埋まります。長靴だから平気ですが、防寒靴のままで乗りこんだらちょっときつかったかもしれません。ゴンドラ駅のスタッフに感謝です。

少々登っていくと、待ち受けていたのは白く覆われた木々。ゴンドラから見たものよりも大きく、それが列を成しているところは圧巻です。

形も様々で、見比べていると楽しいです。特徴的なものは何に似ているか考えるのもまた楽しい。

そして何より、とにかく美しいのです。どう美しいのかを言葉で表現するのが難しいですが、とにかく圧倒され、ぐうの音も出ないほどに魅了される、そんな力を樹氷は持っていました。まさに「自然の神秘」という言葉がピッタリなその威容に、思わず圧倒されてしまいます。

自然というのは、時に人を殺めたり、その生活をメチャクチャに破壊することもありますが、人間を感動させる力をも持っています。やっぱり、自然にはかなわないなあ、と樹氷が改めてそう感じさせてくれました。

樹氷が密集する「樹氷平」に向かうと、ずらりと並ぶ樹氷に思わず息をのんでしまいます。

その樹氷密集ゾーンをぐるっと取り囲むように道がついており、急勾配を上ったり、樹氷のトンネルをくぐったりと楽しめました。また様々な角度から樹氷を楽しめるのも魅力でした。

その先にも樹氷が連なっていますが、手前にはロープが張られており、その先に行くには入山届が必要です。樹氷平の最高地点が1,200m、これが今回の、そしてここまでのボクの人生での最高標高となります。

さて、ここまで山を歩いてきたわけですが、先述の通り天候にも恵まれ、たっぷりと樹氷を楽しむことができました。気温もマイナス3℃、体を動かし続けてさえいれば全然寒くありません。

ただ、とにかく斜面が急なんです。長靴を逆ハの字にして登るようなところが何か所もあり、徐々に息が弾んできました。さらに、それこそどこぞの峠のごとく「落ちたら死ぬ」箇所もあり、万一雪で足を滑らせでもしたら山を真っ逆さまに転げ落ちる危険のある場所もありました。

息が弾んだ理由はもう一つあります。空気が薄いんです。人生で初めて標高4ケタの地点に足を踏み入れたわけで、こんな空気の薄いところ慣れてません。そんな中で動き回っているとだんだん辛くなってきます。

そして、雪をかきわけながら歩くので、一歩一歩に結構なエネルギーを使います。

一級の観光地なのに、前の年に訪れた春の小幌駅よりもキツイんじゃないか、とさえ思えました。自然というのは、簡単にはその美しい姿を見せてはくれないようです。


ここで、ちょいと本筋からそれますが、面白い形の樹氷がいくつかありましたので、ちょっと紹介してみたいと思います。


作品名:これがホントの「白虎」


作品名:荒ぶる天神乱漫のポーズ

中腹の休憩室にて

順路を一通りたどった後、ゴンドラの駅舎へと戻ります。

駅舎には休憩室があり、景色を眺めつつ暖をとったり体を休めたりできます。11時30分から始まる樹氷ツアーに参加する客が待機していましたが、ボクは時間の関係で参加できません。

部屋には樹氷ができる仕組みを解説したパンフレットがありました。それを読むと、北海道に樹氷がない理由、そして前ページで触れた植生の変化と樹氷の関係などを理解できました。樹氷ができるには条件があるようです。それが揃うのが、森吉であり、蔵王である、と。

ほかに部屋にあった樹氷の写真集を眺めていると、スタッフの方が来て、いろいろ教えてくれました。

話によれば、この日の樹氷はまだ小さい方だというのです。今回見た樹氷だってボクを十二分に魅了する威容を見せつけてくれたというのに、これで小さいというんです、すごいものです。一番いい時期に来たら、それはもう凄いものが見られるんでしょうね。

事実、写真で見る樹氷はかなりの大サイズで、写真の時点でゾクゾクきます。こいつぁ生で見たかったねぇ。

……やっぱり、自然ってスゴイ。またしても思い知らされました。


休憩所からは森吉山の麓だけではなく、遠く秋田平野も見渡すことができました。(写真は樹氷観光順路上、つまり休憩所の外で撮影)

休憩室には「どの方向に何が見えるか」の表が置いてあり、それをもとにどこまでが見えるかをチェックしてみました。

とは言っても、本州の地理に詳しくないボクにわかるのは日本海と秋田平野くらい。

しばらく見ていると、またスタッフの方が来て、「あれが八郎潟ですよ」と教えてくださいました。

天気がいいのでだいぶいろいろ見えましたが、残念ながら鳥海山までは見えませんでした。

樹氷だけに留まらず、眺望も実に素敵な森吉山。その光景を見ながら、「森吉のみならず、日本、そして世界各地で自然が人類に与えてくれる感動を、人間がその手で汚すようなことのないようにして、少しでも多くの感動を守っていきたい」と強く思いました。

余韻とともに下山

さて、森吉の観光は一通り終わりました。時間はまだ余っており、早く降りるのは名残惜しいという気持ちがありましたが、寒いところでじっとしていると氷漬けになりますので、再びゴンドラに乗って下山することとします。

長靴を返して、山を下るゴンドラに乗り込みます。ゴンドラの窓は濡れていましたが、その水滴をスタッフの方がワイパーで拭いてくださいました。細やかな心遣いのおかげで、下りでも景色が楽しめます。

上りの時は進行方向、つまり山の上の方を主に見ており、進む先に何があるのか、あるいは木の様子はどうか、というのを見ていました。今度はゴンドラの進行方向には、阿仁の峡谷や秋田平野などを見下ろす大パノラマが広がっています。先ほど休憩所から見た景色と同様ですが、ゴンドラで山を下りながら、樹氷の感動の余韻と共に見るそれは、むしろ先ほどよりも強く思い出に残りました。

20分の間、景色をゆったりと見つつ、余韻に浸りつつ、そして動いて疲れた体を休めつつ、と言った感じでまったりとゴンドラ内で過ごしていました。

そして山麓に帰還。景色や余韻を楽しんでいたためか、はたまた疲れていたせいか、上りよりもそこまで時間がかかった気がしませんでした。


阿仁合駅に戻るタクシーは12時10分に来るということになっていましたので、それまでは山麓の駅舎で休憩とします。

というわけでスマホでもいじっていようと思って取り出しましたらば、画面には「圏外」の二文字が。ちょっと待ってよ、中腹では繋がったのに。

このせいで天気予報も確認できず、列車の運行情報も確認できず(天気がいいので心配要らないかもしれませんが)、電話すら取れません。「お前なんかが電話取る機会なんてあんのかい」とか言われそうですが、そらぁ事務的な電話の一本二本はありますよ。そうなんです、思いっくそ留守電入ってたんですよね、この後阿仁合駅で携帯出したら。大した用事ではなかったので安心でしたが……。

携帯が圏外になるというのは、こういう地域を旅している時には結構あるもので、道内でももちろんあるんでございますが、この「スキー場のある中腹が繋がって、山麓では繋がらない」というパターンは初遭遇で、驚きました。

スマホを封じられたボクは、他に何かをする気力がなかったので、椅子に座ってボーっとしていました。


5分前くらいに建物を出て駐車場に行ったら、とっくにタクシーが来ていました。というか、さっき来てからずっと駐車場で待機していたのでしょうかね。

タクシーはボクを乗せるとすぐに発車。どうやら帰りはボク一人のようです。これじゃあ、乗り合いタクシーですらなく、単なる「タクシー」のような感じになっちゃいます。

タクシーは坂を下り、町に戻っていきます。ボクはというと、フェリーでの寝不足に、空気が薄い所かつ急坂を歩いた疲れが重なって、うたた寝していました。普段の旅行では宿以外で寝ないのがボクのやり方なのですが、今回ばかりは旅が始まる前の忙しさやフェリーでの寝不足が祟ったか、この先も眠気との戦いが自宅に帰るまで続くのでした。

こうして阿仁合駅に戻るわけですが、これで内陸線の旅が終わったわけではありません。この後も、阿仁の文物に触れ、グルメといで湯に癒される楽しい旅が続きます。

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