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東京を目指す旅 ~この坂を越えて~(平成29年3月4~10日)

5日目(平成29.3.9) 2/5ページ「京急快特」

赤い電車……ではなく、青い電車

午前11時過ぎ、品川駅に到着。ここから神奈川県に向かい、観光をしていきます。

では、ここでその内容についてお話ししましょう。

今から向かうのは、鎌倉です。ただし、東京駅の横須賀線ホームに行かなかった時点でわかるとは思いますが、直接鎌倉には向かいません。

では何をするか。まず、品川から京浜急行で三崎口に行きます。そこからバスとJRで、三浦半島の景色を見つつ、逗子を経て鎌倉に向かいます。

この京急の乗車そのものが、寄り道の目的です。そして、そもそもこの日に神奈川県観光をメインに据えた理由でもあります。もちろん、三浦の景色や鎌倉の建造物も楽しみですが……。

それでは、JRの駅舎を出て、京急の改札口に向かいます。

そして、Kitacaで改札にタッチ……せずに、紙のきっぷを買います。今回使うのは、三浦半島1DAYきっぷ。発駅から金沢文庫までの往復に加え、以南の京急線と、三浦半島の京急バスが乗り放題。さらに数々の特典付きと、使いやすいレジャーきっぷです。

お値段は、品川発着で1,920円。金額的にも使いやすく、本当に優秀です。

それでは、さっそく改札に入り、1番線へ。


高校生くらいまでの頃は、JRと札幌市交通局の列車にしか興味がなかったボク。そんなボクが初めて興味を持った大手私鉄は、京急でした。

その理由は、一つに羽田空港に直通する鉄道というのがあります。羽田は今後嫌でも使う空港でしょうから、ボクにとって一番身近な首都圏私鉄は京急になるであろう、ということです。

もう一つは、京急が鉄道ファンの目線から見て非常に面白い鉄道会社であるという点です。首都圏でありながらJRとの激闘を繰り広げ、その一方で頻繁かつハイスピードの分割併合を行い、非常時にはきわめて柔軟に列車を走らせ、さらには無料種別に2ドア・クロスシートの車両がある、といった具合に、京急のパッションには心惹かれるものがあります。

動画サイトなどで、京急の快特がJRの列車、それも東海道本線や横須賀線の列車、下手したら特急列車をブチ抜くシーンなどを見て、ボクはその豪快な走りに惹かれ、一度は快特を乗り通してみたいと考えるようになりました。

最近はまたJRの列車にはまって、京急の動画ばかり見ているわけではなくなりましたが、それでも京急への興味は変わっていません。

東京旅行をする時は、京急を組み込もう。ボクがそう考えるのは、あまりにも自然でした。


京急の品川駅の1番線にて、この後に乗る泉岳寺始発の三崎口行き快特、いわゆる「A快特」を待ちます。

一番空いていそうな先頭車に乗ることとして、8両停目の近くで列車を待ちます。本線快特・空港行き列車・普通車と整列する場所が違うので、整列乗車しやすいのが、いいアイデアです。

空港行きの快特と、浦賀行きの普通を見送ると、その次に入ってくるのはいよいよA快特です。

列車入線時に鳴る駅メロディの「赤い電車」が響き、右手から8両の電車が入線してきます。

車両は、京急のエース格といえる2100形……ですが、単なる2100ではありません。やって来たのは、この路線では異色であるブルーの車体。京急ブルースカイトレインの特別塗装をまとった、2133編成です。

特別塗装車両の運行計画は、前日の午後から京急の公式Webサイトで確認できます。それで前日に見てみたところ、ちょうどいい時間にブルスカが来ることがわかったので、それを念頭に予定を組んでみました。

実はこの日の行程、全部この日の朝に決めてます。この日は体力などなどを考えて、その時の状況に合わせて臨機応変に動く予定でいたので、最初から何も決めていませんでした。交通が発展している東京だからこそできる芸当です。まあ忙しかったせいで東京入りした後の日程に手が回らなかったとか、その辺の事情もあるんですがね。

それで、ブルスカを組み込みつつ鎌倉をきっちり観光するプランを、柔軟に組むことができた、というわけです。

さて、列車が目の前に停車し、ドアが開きます。泉岳寺からの一駅乗車の人もいるようで、列車からは降りる人もいました。降車客を待って、いよいよ車内へ。

進行方向右側の窓側座席を確保し、三浦半島への出発準備が整いました。さあ、念願の京急2100形快特の旅が始まります。

快走! 京急快特

11時37分、京急本線・久里浜線の三崎口行き快特、品川発車。

JR線をまたぐ八ツ山橋を越えると、列車は一気に速度を上げていきます。鮫洲の制限60で再び減速しますが、その後はあまり失速せずに軽やかな走りを始めます。さあ、ここから京急快特の走りを存分に楽しみましょう。

ほどなく、列車は高架を上り、京急蒲田駅に入ります。「蒲田要塞」と呼ばれることもある二層構造の駅は、車内から見ていても面白いです。実際使うとなると面倒そうですが……。

その後多摩川を渡り、神奈川県突入。用事で川崎に行ったことはあるので、神奈川県は二回目の訪問となります。

川崎から横浜からは、JRと京急が激しくぶつかりあう区間です。特に、鶴見からはお互いの線路が見える並走区間となり、京急にとっては最大の見せ場となります。ここの車窓を楽しむために、進行方向右側の席を選んだのです。

鶴見あたりから、列車はさらにスピードを上げ、激走を始めます。車窓を見ると、停車駅が多く速度も低い京浜東北線はもちろん、横須賀線のE217系もブチ抜いていきます。JR特急を抜くシーンが見られれば良かったのですが、ちょうど特急が来ない時間でした。

といっても、京急快特よりも品川~横浜間の停車駅が多く、ダイヤ上でも京急快特より遅い列車を2本抜いたにすぎません。抜いて当然という感じはします。ちょっと物足りない並走シーンでした。まあ、動画で見たようなごぼう抜きはそうそう見られるものではないでしょうね。

この区間では、こちらはほぼ常に最高速度を維持するような走りをしていました。頻繁に再加速をしていて、常にモーターが高回転で回っている音がするので、電車の音が大好きなボクは思わずゾクゾクしてしまいます。

豪快な走りの後、スムーズなブレーキングで横浜に停車。乗客が結構な割合で入れ替わった後、列車は三浦半島に向けて発車。横浜からは路線の性格が変わるので、そこにも注目です。


品川から横浜まではJRとの電車バトルが行われる高速コース、かつ羽田空港輸送が大きなウェイトを占める区間でした。一方、横浜から先はJRとの競争だけでなくJRのフィーダー輸送の役割もあります。さらに急峻な三浦半島の地形を縫うように走るワインディングコースとなります。「京急は横浜を境に豹変する」と某電車バトルのアレで聞きましたが、実際乗ってみて、ホントにそうだなあ、と。

厳しい速度制限やタイトなコーナー、山岳トンネルと、横浜以東とは全く違う走りや風景がとても印象的です。

それでもなお、鋭い走りが時折見られます。京急快特は本当に魅せてくれる列車で、1時間以上乗っていても飽きが来ません。

景色の面でも、地形こそ急峻ですが、相変わらず首都圏らしい風景が続きます。横浜中心部までとは異なり高層建築はあまり見られなくなり、ベッドタウン、あるいは地方というような雰囲気に変わっていきました。急な地形の中に街が形成されているという景色は、平野の景色とは違う味がありました。

左を見ると、たまにチラッと海が見えます。三浦半島は海岸のイメージがあるので車窓からもっと見えるかと思っていましたが、案外見えないものです。後でバスの車窓からタップリ見るとしますかね。

横須賀中央を過ぎるとだんだん空席が目立ってきます。車内でゆったりできる雰囲気になってきたところで、ここらで座席にも触れてみましょう。

首都圏にありながら無料種別の2扉オールクロスシートという、都市間輸送・観光輸送特化型のアコモデーションを持つ京急2100形。ネットでは評判が高いようだったのでどんなものだろうかと思っていましたが、これがかなり良い。

モケットは青地に赤のアクセント。都会的かつ派手すぎないちょうどいい見た目で、好印象。詰め物はJR北海道の721系8次車ほどではありませんが、無料種別としてはふかふかで、1時間以上座っていても疲れません。シートピッチはJR東日本の719系並みに狭いですが、座り心地とトータルで見ると問題にはなりません。また色合いのせいか、719系ほど狭く感じません。

乗り心地も優秀で、全体的な完成度はさすが京急のエース格という感じです。なるほど、人気になるわけだ……。


さて、車内でのひと時は昼食タイムを兼ねています。この日のお昼は、万かつサンド(700円)。高級牛肉料理店である肉の万世さんが出している商品の一つです。先ほど品川駅のNEWDAYSで購入しました。

この万かつサンド、ニコニコ動画の鉄道旅行記での登場頻度が高く、同じくニコニコで旅行記を出している身としてはこれは食べなアカンやろなあ、というような動機で食べることにしました(苦笑)。

乗客がある程度減ってきたタイミングで、箱を開けて中身のサンドとご対面。装いは普通のカツサンドですが、カツはかなり肉厚かつ色が良く、これは期待できます。

カツサンドは食べやすいサイズで6つ入っていて、さっそく一つ手に取って食べてみます。

一口噛むと、口に広がるはカツの旨みとソースの絶妙な味付け。もちろんパンも美味。ド直球のおいしさで、万世の肉の良さと調理の実力の両方を見せつけられました。

こういうシンプルなカツサンドは何度か食べたことがありますが、シンプルゆえに調製元の実力と素材の味がそのまま出ます。この万かつサンドは今まで食べた中で一番おいしいカツサンドでした。さすがは万世といったところですね。

三崎口から、岬めぐりのバスに乗車

品川から乗った京急快特は、堀ノ内から久里浜線に入ります。

久里浜線内は各駅に停まりますが、かえってキビキビとした加減速がたっぷり味わえたので、むしろスピード感を感じました。

相変わらず住宅とトンネルの多いエリアですが、時折見晴らしのよい区間があり、陽の光に輝く海が少し遠くに見えたりして、徐々にリゾート色が出てきました。

京急久里浜を過ぎると乗客もだいぶ減り、車内の雰囲気も変わりました。都市間輸送メインの区間から、観光の比重の比較的高い区間へと、移り変わっていきます。

気持ち良い晴天の中、列車は終点に向け最後の区間をスイスイと走ります。

品川から1時間少々、列車は久里浜線の現・終着である三崎口駅に入線しました。


三崎口駅は2面2線という中間駅じみた設備の駅ですが、これは久里浜線の延伸計画があったためです。本来は中間駅になるはずが、延伸計画が現実化する見込みが低い状態が続いており、ずっと終着駅のままとなっています。

駅のホームから油壺方面を見ると、ホームの少し向こうに車止めがあり、その先にも少しだけ鉄道用地が続いていました。頭端式ホームでなく、ホームの先に引き上げ線があるわけでもないのに、車止めがちょっと向こうの方にあるというのが、ちょっと悲しい運命を背負った三崎口駅の姿です。

1時間以上疾走を続けた2100形は、ここで休憩タイム。こういう、終着駅で折り返しの発車を待つ列車という情景を見るのが、なんか好きなんですよね。北海道でも、小樽や苫小牧、岩見沢なんかにいると、ついつい列車をボーっと眺めたくなることがあります。

ただ、今は時間が全然ないので、少し眺めただけですぐ改札に向かいます。

さて、ここからはバスに乗り換えです。三浦半島1DAYきっぷのバス乗り放題を生かして、寄り道しつつ逗子を目指し、逗子からはJR(別に運賃を払って乗ります)で鎌倉に向かうというわけです。


三崎口駅は鉄道とバスの一大結節点で、三浦半島南西部各地に向かうバスが発着しています。京急久里浜線が乗り入れることができていない油壺や三浦市中心部へのフィーダー輸送は、バスが一手に担っています。

駅前のターミナルには、複数のバスが停まっており、列車から降りてきた乗客を待っていました。

駅前のコンビニで飲み物を買い足した後で、バスに乗車します。まず乗るのは荒崎行きの三22系統。歌謡曲にも唄われた「岬めぐりのバス」です。何、このバスは荒崎にしか行かないから、岬「めぐり」ではないじゃないか、と? このエリアのバスを総称して「岬めぐりのバス」なんですよ、きっと。

12時52分、バスは定時で三崎口駅を発車。ここから25分程度の行程で、まずは三浦半島西部でも屈指の景勝地である荒崎を目指します。

この系統は典型的なフィーダー路線なので、少しずつ乗客が減っていき、ゆったりとした雰囲気になっていきます。

バスはしばらくは国道を北に走っていましたが、途中で左に折れ、岬へと向かっていきました。

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