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東京を目指す旅 ~この坂を越えて~(平成29年3月4~10日)

3日目(平成29.3.7) 6/6ページ「関東突入、宇都宮へ」

黒磯駅を越えて

3日目もいよいよ大詰め。現在地の白河から県境を越えて、今日の宿泊地である、栃木県の県庁所在地・宇都宮を目指します。ついに関東入りの時が来ました。

今度は新幹線を使わず、普通列車を乗り継いで行きます。まずは6時59分発の黒磯行き普通列車に乗ります。

今市まで行けるきっぷは、さっき新白河までの区間を行使したので、白河~新白河間は別にきっぷが要ります。自動改札で140円の近距離きっぷを継ぎ足して、改札に向かいます。

白河駅は自動改札がなく、この時間は駅員もいません。列車の7分くらい前に、無人の改札を通ってホームへ。

ホームは1面2線。駅の北では、小峰城がホームを見下ろしていました。

しばらく待っていると、上り列車が入ってきました。車両はこの日3回目のE721系1000番台です。需要の多い仙台付近で集中的に運用されているという勝手なイメージを持っていましたが、実際は黒磯まで足を伸ばすようです。

車内は窓側の席が8割以上埋まっていました。矢吹以南は空いているという、これまた勝手なイメージを持っていましたが、白河近辺も案外乗車があるようですね。

新白河でどっと降りるかと思ったのですが、その先に行く乗客の方がかなり多く、車内はにぎやかさを保っていました。県境越える人が結構いるんですなぁ。

外はすでに真っ暗なので、車内の様子を眺めつつのんびり過ごします。

そうするうち、列車は黒磯に到着。これで東北の交流電車たちとはお別れです。この先には、関東の直流電車たちが待っています。


黒磯駅ではすぐ接続している宇都宮行きに乗らず、その次の列車に乗ります。理由は後ほど。このため、ここで30分弱の時間があります。

駅舎の中には、かつての東北本線の写真や、かつて使用されていたサボ(上野 - 黒磯 など)が展示されていました。

ご存知の通り、黒磯駅は交直流を地上側で切り替えられる日本唯一の駅です。そのため、同じ駅に205系とE721系が同時に停まっている、というのは日常光景です。

電化方式が変わり、車両も大きく変わる境界の駅ということで、ここから先は別の鉄道会社のような感じさえしますが、ここからも同じJR東日本の路線です。

ただ、黒磯駅は近い将来、直流専用の駅に変わることとなっています。デッドセクションが新たに高久駅方に設けられ、交直切り替えを地上側で行う方式はなくなることとなります。

そのため、「黒磯駅に停車する仙センの電車」という光景は、もうすぐ過去帳入りです。特に、デビューしたばかりのE721系1000番台が黒磯乗り入れを行う時期はかなり短くなるので、貴重なシーンといえます。


移動再開です。7時51分の宇都宮行きで、さらに南下します。車両は宮ヤマの205系600番台の4両編成で、カラーリングは湘南色でした。先頭部がメルヘン顔だったので、千葉出身とわかります。幼児のころに用事で東京に行って、その時に山手線で205系に乗った記憶がかすかにありますが、関東で205系に乗るのはそれ以来ということになります。

東北の車両と同様に半自動ドアが追設されていますが、ドアチャイムの音はE231系などと同じヤツです。ついに首都圏に来たんだなあ……。

乗客は夜の上りとあってまばら。ロングシート一区画に1人か2人が座っている程度です。車内が静かなまま、列車は時刻通りに黒磯を発車。

発車直後、車内の明かりが一時的に消え、非常灯だけが灯る薄暗い状態になります。これは黒磯駅の構造の関係でおこる現象で、直流電車がデッドセクションを通過するために、電気が消えることがあるとのこと。

首都圏ということで、各駅では発車メロディが流れます。ただ、曲目が東京都内での採用が少ない「シンコペーション」ばっかりなので、まだ首都圏と言っても外れの方、と感じました。……と旅行当時は思っていましたが、後で上野駅でも採用されていると知りました。「シンコペーション = 宇都宮線の北の方」と決めつけるのはやめた方がいいんでしょうね。

各駅ではまばらながら乗降があります。先ほどの黒磯行きは新白河を出ると途中での乗降が全然なかったのと対照的です。

40分で宝積寺に到着。ここでちょっと途中下車します。

烏山線・蓄電池電車体験(?)乗車

宝積寺で途中下車という時点でネタが割れているような気がしますが、ここで烏山線に寄り道です。

そしてその目的は、これもとうにお分かりでしょうが、蓄電池電車・EV-E301系の乗車です。

烏山線は4日のダイヤ改正で全列車がEV-E301系となり、「非電化なのに気動車もディーゼル機関車牽引客レもない」という稀有な路線となりました。他には若松線が同日から全列車BEC819系の運行となったほか、男鹿線もいずれ同様の形態となるでしょう。

ただ、乗車区間は仁井田まで。たった2駅です。これは、烏山まで行ってしまうと、宇都宮到着時間が遅くなり過ぎて体力面で死ぬので、交換駅の大金までしか行けず、大金まで行ってしまうと対向の列車に乗り換える時間が少なくリスキー、その手前の鴻野山は駅舎がないので滞在したくない、という事情によるものです。

ほとんど体験乗車のような感じになっちゃいますが、乗りたい車両に乗れればボクはそれで満足するんです。

列車までは時間があるので、駅舎で待機。さっき黒磯で列車1本見送ったのは、どうせここで待たされるから、乗り継ぎを急ぐ気にならなかったためです。

宝積寺の駅舎はかなりオシャレなデザイン。築10年のけっこう新しい駅舎です。

で、今は烏山線のきっぷを持っていないので、仁井田までの往復乗車券を指定席券売機で買いました。


8時50分ころ、宇都宮から来た烏山行き普通列車が入線。(写真はこの後仁井田駅で撮影した別の車両のものです。)

烏山線内では蓄電池走行をするので、列車は宝積寺でパンタグラフを下げます。暗くて見えないけど。

車内は乗客もまばらで静か。電車なので特に静かです。本当に静かなので、これから非電化区間に行くというような気はまったくしません。

8時53分、宝積寺発車。ワンマン列車なので駅の発車メロディは鳴りませんが、車両の車外スピーカーから別の発車メロディ(Water Crown)が流れます。

列車走行中は車内の様子をいろいろ見ていました。車内には電車がどのようなモードで走行しているかを図示するモニターがあり、「蓄電池の電力で走行しています」と表示され、電気がどこからどこに流れているかの略図が表示されていました。

それ以外は、ふつうの電車となんら変わりがありません。これからの時代は、こういうやり方も「電化」の一種と言っていいのかもしれませんね。

予定通り、ふたつ先の仁井田で下車。運賃箱にきっぷを入れて、ホームに降ります。

宇都宮へ

JR烏山線、仁井田駅。1面1線、無人、ICカード使用可。今回の旅で使う駅の中でも、比立内や阿仁マタギと同等かやや大きい、というくらい規模の小さな駅です。

駅舎は道路側・ホーム側ともに壁・扉なしという、寒冷地ではほとんどない(大狩部など、ごく小さな駅を除く)仕様です。このせいで外気がどんどん入ってきます。関東とはいえ3月の夜、けっこう冷え込んできています。

しかし、ベンチはあるので、座って休むことはできます。またテーブルには意外にも駅スタンプがありました。もちろん、2日前に阿仁合で買った自由帳に、スタンプを押しました。

疲れている上に外は真っ暗。駅前散歩をする理由はありません。そうなると、列車が来るまでは駅舎で座っているほかありません。それでも、買ったものの値段をメモしておくなど、有意義に時間を使います。


20分以上にも及ぶ列車待ちを終えて、ようやくこの日最後の列車である宇都宮行き普通列車がやってきました。終点の宇都宮まで行けば、あとは宿で寝るだけです。

同じ形式の車両で、来た道を、しかも暗い中を、宝積寺まで戻ります。もちろん車内もほぼ空気輸送で、ただ寂しい車内でのんびりしているだけ……。

宝積寺では数分間の停車。この間にパンタグラフを上げます。

直後、宇都宮線の上り列車が来て、こちらより先に発車。普通列車と普通列車が緩急接続のような感じでつながるというのは妙ですね。乗り換える気力もないし、「蓄電池電車で非電化区間と電化区間を直通する」という目論見があったので、乗り換えはせずにEV-E301系で宇都宮を目指します。

宝積寺の次の次の駅が、宇都宮です。時刻はもう10時前、2日連続での「乗り鉄目的の深夜移動」となり、体がそろそろ悲鳴を上げつつあります。


宿に入るべく、宇都宮の街を歩きます。流石は関東の中核都市のひとつ、遅い時間でも活気のある街で、人通りも多く、明かりの点いたお店も多いです。

この日の宿は、パークプラザ宇都宮さん。普通の個室もありますが、男性専用のカプセルタイプの部屋もあり、安く利用できます。ボクはもちろんカプセルに入ります。

カプセルには目覚ましやTVなど、一般的なカプセルホテルにあるものはだいたいあります。

心身の疲れがいずれも限界近くまできており、荷物整理など翌日の支度をする気力もほとんどない状態ですが、なんとかこんとか体を動かして、準備をして、就寝。翌日はいよいよ東京へ――

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