旅行記付録① 秋田の愛称付き快速 / 東京を目指す旅~この坂を越えて~ - ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか
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東京を目指す旅 ~この坂を越えて~(平成29年3月4~10日)

付録① 秋田の愛称付き快速

余談コーナーでは、旅行記本編に載せる話ではないものの、内容と関係がある話をいろいろします。

このページでは、旅行2日目に乗車した奥羽本線の快速列車(3427M)に愛称が付いていた頃のエピソードを掲載します。

一応は旅行記の一コンテンツという扱いにしますが、ぶっちゃけ「北の特急(+α)図鑑」のノリです。

快速「おものがわ」の誕生

国鉄時代の東北地方の幹線は、仙台近郊を含めて、普通列車と言えば客車が主体で、本数も少ない、いわゆる「汽車型ダイヤ」となっていました。

速達化・パターンダイヤ化されていく特急列車とは対照的に、普通列車はおよそ都市圏の列車と呼べるものではありませんでした。

そんなみちのくの普通列車網に手が入ったのが昭和60年。この年の3月のダイヤ改正で、仙台近郊の普通列車がようやく都市型ダイヤへの道を本格的に歩み出しました。

その中心にあったのが、「グリーンライナー」こと715系でした。これに455系や417系を合わせて、仙台エリアでの普通列車増発が行われたのです。

この施策は、昭和57年に始まり、大成功を収めた、広島地区の「シティ電車」を仙台に応用したものです。シティ電車とは、フリークエンシーを大幅に向上させる「国電型ダイヤ」化により、データイムの利用を大きく伸ばすことができた、というものです。

仙台のほか、札幌・新潟・中京圏・岡山・福岡などで実施された国電型ダイヤ化は大きな成果をあげました。そこで国鉄は、それをさらに推し進める形で、全国の主要都市で普通列車の高頻度化をすすめることにしました。


昭和61年11月、「国鉄最後の全国ダイヤ改正」があり、JRへの移行を前提として輸送体系が大きく改められました。その一環として、都市圏の普通列車が大きく増発されました。

秋田も列車の増発があった都市の一つです。その目玉が、奥羽本線の快速「おものがわ」(横手~秋田)と、羽越本線の快速「こよし」(羽後本荘~秋田)です。「おものがわ」は朝の秋田行きと夕方の秋田始発の2本、「こよし」は下り(秋田行き)が朝晩の2本、上りが夕方に1本の計3本が設定されました。

当時の秋田にはまだ近郊型電車の配置がなく、相変わらず普通列車は客車・気動車ばかりでした。快速も例外でなく、「おものがわ」は客車、「こよし」は気動車でした。近代化とは言えない状態ですが、まずはダイヤの面で大きな改善が施されました。

「おものがわ」の停車駅
横手、飯詰、大曲、神宮寺、刈和野、羽後境、和田、秋田
「こよし」の停車駅
羽後本荘、羽後岩谷、羽後亀田、新屋、秋田

JR東日本発足後の昭和63年3月の改正では、さらに夜の秋田発・東能代行きの快速「ゆうぞら」が設定されました。客車列車で、停車駅は秋田・土崎・追分・大久保・八郎潟・鹿渡・森岳・東能代です。

平成3年には、日中に秋田~八郎潟間に1往復の気動車快速が設定されました。停車駅はゆうぞら同様で、こちらは愛称なし。この1往復は短期間のみの設定で、定着しませんでした。

翌年の平成4年3月の改正では、快速「おものがわ」が日中に1往復増発。増発された列車は気動車での運行です。

同年7月には、山形新幹線福島~山形間が開業したことを受けて、それに接続する形で山形~秋田間に特急「こまくさ」が設定されますが、このうち1往復が大曲~秋田間で快速列車になるダイヤとなりました。停車駅は「おものがわ」と同じ。車両は485系のグリーン車連結編成ですので、グリーン自由席の設定もありました。特急の化けという形ながら、JR化後の秋田エリアに初の電車快速ができたのです。

701系の登場と「かまくら」の設定

平成5年、あの車両が秋田にやってきました。

そう、後に東北全土に展開し、物議を醸すこととなる、701系電車です。

クロスシートの客車と気動車しかいなかった秋田に、突如として現れたオールロングシートの電車。3ドアなので首都圏の車両ほど座席が少ないわけではありませんが、完全なる通勤型車両であることに違いはありません。

ロングシートの導入の背景としては、コストを抑えつつ秋田への通勤・通学輸送に本格的に対応するというのが大きいでしょう。しかし、秋田~大館など、1時間半を超える長時間乗車もじゅうぶんにあり得るにもかかわらず、普通電車をすべてロングシートにしてしまったことには、大きな批判がありました。

さらに悪いことに、JR東日本は問題含みのオールロングシート車両の導入を、秋田地区の通学利用者の乗車マナーの悪さをあげつらえて正当化してしまいました。こうした会社サイドの横柄な態度もまた、701系が非難の的となった理由の一つではないでしょうか。

ただ、当然ながらラッシュ時の対応力は高く、秋田をはじめ、その後701系が投入された仙台や盛岡でも通勤輸送に役立っています。また、座席の幅は209系よりも広くとっているため、長時間乗っていても一応は楽になっています。少なくともボクは「乗っていて疲れる車両」だとは微塵も思っていません。駅弁は食えないけど。


ともかく、701系の投入によって、秋田地区の普通列車が大きく近代化されました。

701系の数が揃った同年12月のダイヤ改正で、秋田エリアは本格的に701系がメインのダイヤに移行し、普通列車が一気にスピードアップしました。

その改正で、従来からあった快速列車を電車化・パワーアップする形で、3系統の快速が設定されました。

奥羽本線には、「かまくら」が湯沢~秋田間に4往復、「しらかみ」が秋田~大館間に3往復設定されました。それぞれ「おものがわ」「ゆうぞら」を改称・整備した列車で、特に「かまくら」はおものがわ時代と異なり湯沢まで快速運転するようになり、都市間輸送の機能が強化されました。

羽越本線では「こよし」が増発。こちらは下り4本・上り2本という変則的な設定です。

これらの列車は停車駅をかなり絞り込んでおり、都市間連絡が強く意識されています。とりわけ「しらかみ」は、同じ区間を走る特急「かもしか」や急行「よねしろ」より停車駅が少ないという、おかしなことをやっていました。

なお、改正前にあった特急「こまくさ」の化け快速は消滅したので、701系以外で運行される快速はありません。

「かまくら」の停車駅
湯沢、十文字、横手、大曲、刈和野、秋田
「しらかみ」の停車駅
秋田、八郎潟、森岳、東能代、二ツ井、鷹ノ巣、大館
「こよし」の停車駅
羽後本荘、羽後岩谷、羽後亀田、秋田

それから2年後の平成7年12月の改正で、「かまくら」の運行形態が変わります。

利用が振るわなかったのか、1往復が減便されるとともに、残る6本のうち下り2本・上り1本の3列車の停車駅に神宮寺・羽後境・和田・四ツ小屋が追加。このうちかまくら3号は峰吉川も停車となり、大曲~秋田間の通過駅が大張野だけになりました。

停車駅を増やして途中駅の利用を促進するのが狙いと思われますが、停車駅パターンが3つもあるため、利用者からしてみれば不案内だったかもしれません。

秋田新幹線開業以降の動き

平成9年3月22日、秋田新幹線が開業。これに伴って、秋田エリアで大きなダイヤ改正がありました。

秋田の快速三兄弟も変化がありました。まず時刻が変更され、大半の列車が秋田または大曲で新幹線「こまち」と接続するダイヤとなりました。

次いで名称の変更。新たに観光列車「リゾートしらかみ」がデビューすることから、「しらかみ」は「しらゆき」に名前を変えました。

「しらゆき」という名称は、昭和38年から57年まで奥羽本線を経由して金沢と青森を結んでいた急行列車の名前として使われていました。後述するように平成14年に快速「しらゆき」は無名化・大減便となりましたが、その13年後の平成27年に北陸新幹線と新潟を結ぶ特急の愛称として復活したことは、驚きをもって伝えられました。なかなか波乱万丈の列車名です。

運行本数も変更となり、「かまくら」は1往復が横手~秋田間のみ快速運転となったほか、「しらゆき」は夕方の秋田発・東能代行き1本が追加されました。「こよし」は変わらず下り4本・上り2本です。

最大のポイントが、一時は増やされていた停車駅が平成5年当時と同じに戻った点です。新幹線開業を期に、改めてスピードを上げることで、新幹線との相乗効果で都市間輸送を強化するのが目的かと思います。


平成11年3月の改正では、山形新幹線新庄延伸の工事が始まり、延伸を前提として山形~秋田間の特急「こまくさ」が快速格下げとなりました。

これによって奥羽本線に新たに701系で運行される快速「こまくさ」が仲間入りし、横手~秋田間の快速はかまくら・こまくさの2本体制となり本数は合計5往復となりました。

また、「こよし」は利用好調だったのか、上り列車が1本増え、3本になりました。

同時に、停車駅がまたしても変更となり、、朝通帯の秋田行きであるかまくら1号・しらゆき2号・こよし1号以外は停車駅が増えました。

わずか6年の間に4回もの停車駅変更、しかも「減って、増えて、減って、増えて」とは、いくらなんでも節操がありません。利用者の混乱を招くばかりではないでしょうか。701系の内装の正当化もそうですが、こうなると経営センスそのものを疑う必要があります。

「かまくら」(除く1号)の停車駅
湯沢、十文字、横手、大曲、刈和野、和田、四ツ小屋、秋田
「こまくさ」の停車駅
新庄、真室川、横堀、湯沢、十文字、横手、大曲、刈和野、和田、四ツ小屋、秋田(※真室川は一部列車通過)
「しらゆき」(除く2号)の停車駅
秋田、土崎、追分、大久保、八郎潟、森岳、東能代、二ツ井、鷹ノ巣、大館
「こよし」(除く1号)の停車駅
羽後本荘、羽後岩谷、羽後亀田、新屋、羽後牛島、秋田

同年12月にはまた改正があり、快速列車は全体的に減量となりました。

奥羽本線では旧かまくら4号が廃止(格下げ)となりました。旧こまくさ12号と時間が似通っていたためでしょうか。

同じく奥羽本線のしらゆきも、1往復が廃止となりました。

一方、こよしは好調なのか、上り1本が増発とされて、下り4本・上り3本の7本体制となりました。

さらに平成13年にはしらゆき4号が東能代以降各駅に停車するようになり、都市間輸送の役割としては秋田~能代間に特化するようになりました。また、この頃しらゆきの停車駅に井川さくらが追加されました。


平成14年12月1日、東北新幹線が八戸まで伸びたのを機に、北東北で大きなダイヤ改正がありました。

ところが、当時の時刻表を隅から隅まで読んでも、「かまくら」「こまくさ」「しらゆき」「こよし」の名が見当たりません。

それどころか、秋田の快速は、朝の通勤時間帯の旧かまくら1号・旧しらゆき2号・旧こよし1号と、急行「よねしろ」が格下げされて新たにできた秋田~鹿角花輪間の快速1往復を除き、一切無くなっていました。

奔放な変更を繰り返した挙句、突然そのほとんどを廃止。しかも、3年前に増便したばかりの「こよし」を含めて。積極的な意図があるとは到底思えず、「その場の思い付きでいじくったが利用者が付かず、やる気がなくなってやめた」という"萎え落ち"としか映りません。

利用者が少ないから廃止、というだけなら何の問題もありませんが、二転三転しておいての減便ですから、利用者目線に立った施策とは言えません。

JR初期の時代を、お上に翻弄されながら駆け抜けた悲哀の快速軍団。この時廃止されずに残った3列車は停車駅こそ違えど現在も走っており、積極策が男鹿線以外に無く利用者減少も止まらない秋田地区で、通勤・通学客の足として気を吐いています。

データ・過去の列車時刻(紙面の都合上、秋田以南の奥羽本線のみとします)

平成5年12月1日(701系本格投入)

奥羽本線(湯沢~秋田) 下り時刻
駅名かまくら1号かまくら3号かまくら5号かまくら7号
(始発)------------院内
1628
湯沢発648101512271652
十文字発656102412351700
横手発706103412471712
大曲発723105113061727
刈和野発735110113181738
秋田着806113013461807
奥羽本線(湯沢~秋田) 上り時刻
駅名かまくら2号かまくら4号かまくら6号かまくら8号
秋田発1049125118021917
刈和野発1118131918311946
大曲発1129133218421958
横手発1147135318592016
十文字発1156140319092025
湯沢発1214143319172033
(終着)新庄
1327
山形
1722
----院内
2051

※湯沢以南は各駅停車です。

平成9年3月22日(秋田新幹線接続列車として再出発)

奥羽本線(湯沢~秋田) 下り時刻
駅名かまくら1号かまくら3号普通かまくら5号
(始発)--------新庄
1509
----
湯沢発64312361636----
十文字発65112441644----
横手発70312551700
大曲発7211311----1716
刈和野発7311321----1726
秋田着8011350----1754
(備考)乗り換え
こまち2号
大曲800
東京1123
乗り換え
こまち4号
大曲1315
東京1631
乗り換え
こまち6号
大曲1724
東京2044
奥羽本線(湯沢~秋田) 上り時刻
駅名かまくら2号かまくら4号かまくら6号
秋田発105713591755
刈和野発112514291823
大曲発113614401833
横手発115614561849
十文字発1206----1858
湯沢発1217----1906
(終着)山形
1448
--------
(備考)乗り換え
こまち1号
東京800
大曲1124
乗り換え
こまち19号
東京1052
大曲1436
乗り換え
こまち49号
東京1356
大曲1755

※湯沢以南は各駅停車です。

※こまちの大曲の時刻は「発車時刻」です。到着時刻をメモるの忘れてしまいましたorz

平成11年3月13日(快速こまくさ登場)

奥羽本線(湯沢~秋田) 下り時刻
駅名かまくら1号こまくさ1号かまくら3号普通かまくら5号こまくさ7号
(始発)----新庄
821
----新庄
1553
----新庄
1927
湯沢発64891412431701----2028
十文字発65692412521709----2037
横手発708935130517462050
大曲発7259501323----18022109
刈和野発73510001334----18122122
和田発10191355----18372141
四ツ小屋発10261402----18442147
秋田着80610321408----18512154
奥羽本線(湯沢~秋田) 上り時刻
駅名こまくさ4号かまくら2号こまくさ8号かまくら4号こまくさ10号
秋田発8151058135517181803
四ツ小屋発8221105140217251809
和田発8281111140817311816
刈和野発8471130142817511835
大曲発8581141144018021847
横手発9151158145918191904
十文字発9241207150818291913
湯沢発9311217151518381920
(終着)新庄
1023
新庄
1319
新庄
1607
----新庄
2012

※新庄~横手間のみを運行する「こまくさ」は省略しています。

※快速「こまくさ」以外の列車は、湯沢以南は各駅停車です。

参考文献

  • 日本交通公社『国鉄監修 交通公社の時刻表』各号
  • JTBパブリッシング『JTB時刻表』各号
  • 東日本旅客鉄道(株) 運輸車両部車両課 加藤純「701系通勤形交流電車」、『鉄道ファン』1993年6月号、交友社
  • 高田圭「ロングシート論」、『鉄道ジャーナル』2007年5月号、鉄道ジャーナル社

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