「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

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「令和一番列車」で行く北東北・函館観桜紀行(令和元年5月1~2日)

2日目(令和元.5.2) 3/4ページ「臨時列車リレー」

木古内、ふたつの「駅」

道南いさりび鉄道の列車に揺られること約1時間、木古内駅に到着。

ここから新幹線などで札幌方面に向かうのですが、乗る予定の列車までは時間があるので、散歩でもすることにします。南口から駅舎の外へ。

木古内もやはり雨。バッグから傘を出して、湿っぽい空気を肌と鼻に感じつつお散歩開始。

とりあえずまっすぐ歩き、広い通りに出てみます。木古内も決して大きな町ではなく、あたりは中心部といっても高い建物や商店はあまり見られません。

役場のところまで歩いてみましたが、特にめぼしいものは無し。

戻りはちょっと違うルートで。道中、あるお宅の庭にステキな紫の芝桜が咲き誇っているのを見つけ、期せずしてお花見Ⅴ。紫ってのもあるんですね。(ボクの見間違いで実は違う花だったりしないよね?)

艶やかな紫色は、じとじとと降る雨、どんよりとした灰色の空と合わさって、しっとりとした奥ゆかしい味わい。これもまた風情ですね。

隣接して植えられていたチューリップも綺麗。ガーデニングにはほとんど興味がありませんが、たまにこうしてきれいな庭を観るのも良き。


時間を見て駅前に戻ります。といってもまだ駅には入りません。

……いや、駅には入ります。といっても、目の前にある「鉄道の駅」ではなく、すぐ近くにある「道の駅 みそぎの郷 きこない」に入ります。

この道の駅、比較的新しい施設ながら、某雑誌の「満足度ランキング」で道内1位を連続で獲ったというのです。その実力はどんなものなのかと、ちょっと気になっていたのです。

綺麗でこじゃれた建物に入ると、道南を中心にさまざまなお土産が並ぶ物販コーナーが広がっていました。木材を多く使ったモダンかつ優しい雰囲気のある内装はなかなかいいな、と思いました。

たくさんの人が買い物などを楽しんでいて、レジも行列。やっぱり人気なんだな、と。

特に買いたいものはなかったので、しばらく様子を眺めていました。ですが、特に「おぉ!」と思うようなことが起こるわけではなく、客が入ってきては買い物を楽しんで、レジに並んで、お金払って、出ていく……という何の変哲もない光景が繰り広げられます。

こことトイレしか見ていないのでわからないだけかもしれませんが、今回はこの施設が「満足度1位」たる所以を知ることはできませんでした。強いて言えば、レジの接客態度が結構良いかな、という程度。

……思えば、道内の道の駅で満足いく接客・サービスを受けたことがほとんど無い気が。接客が良いというだけで、十分なアピールポイントと言えるのかも。

鉄旅をしていると、さまざまなお店や人と出会って、接客や人情にほだされて、という経験をしていきます。「車の中」と「車の周囲」だけで完結するマイカー旅と違って、360°から刺激があるのです。もしかしたら、それである種「舌が肥えて」しまってて、ちょっとやそっとでは「良い」と思えなくなっているのかも。贅沢ってのも考え物ですね。

食事処などもあり、気になるメニューもありましたが、さっき昼食は済ませたばかりなので今回はパス。


今度こそ、「鉄道の駅」に入ります。

さっき出てきた南口から入り、連絡通路を通って新幹線のコンコースを目指します。

通路はけっこう長く、ちょっと歩かされます。これまた木材の味わいを活かした内装で、こういう通路にありがちな殺風景さをあまり感じさせません。

木材は道南杉を使っている、とのこと。地域性を活かすのが一つのテーマになってるわけですね。

そんな通路をしばらく歩き、新幹線コンコースに到着。利用者がだいぶ少なくなるのは開業前からわかりきっているので、コンコースはこぢんまり。

改札付近には、臨時列車などの情報のほか、列車を見物・撮影する家族連れなどのために、通過列車の時刻の掲示もありました。

時間には余裕があるので、ゆっくりとホームへ向かいます。

延長運転、はやぶさ7号

さてここからは、はやぶさと特急北斗を乗り継いで移動していきます。

で、これから乗る新幹線の指定席は、9号車を押さえています。そう、グリーン車です。車内を実際に見たかった(撮りたかった)ので、短区間で体験乗車というわけです。

さらに新函館からの北斗の特急券は、新幹線との乗り継ぎ割引を適用済。

前頁で、木古内経由にしたのは「いさりび鉄道に乗る」以外に理由がもう二つあると書きました。そのうちの一つが「新幹線グリーン車への乗車」、もう一つが「乗り継ぎ割引を効かせたかったから」です。

そして、これから乗るのは、新幹線は「はやぶさ7号」、新函館からは「特急北斗91号」です。はやぶさ7号は通常だと東京~新青森間の運行ですが、多客期は新函館まで延長運転されます(=新青森以北は臨時列車)。北斗91号もまた、はやぶさ7号との接続も兼ね、多客期に設定される臨時列車です。今回はこの「臨時列車リレー」で北を目指すというわけです。

※新幹線の号数は旅行当時のものです。令和3年(2021年)3月現在のダイヤでは、同時刻に設定されているのは「はやぶさ9号」です。

そのはやぶさ7号に乗るべく、ホームで待機。あまり人がおらず、静かな空間に時折放送が流れるという、ちょいと寂しい感じですが、まあそれもいいでしょう。

こうして北海道新幹線の駅ホームで列車を待つのは初めてなので、駅放送時のチャイムも聴くのは今回が初。特に変わったものではありませんが、突飛な音ではなく好印象。

……んで、それを聴きつつ待ってるんですが、発車予定時刻になってもはやぶさ7号さんのお姿は見えてきません。

どうも、東北の一部で強風が吹いているようで、徐行運転のため数分遅れているとのこと。ここに来て春の風が牙を剥いてきました……。

お天道様のご機嫌ばかりはどうしようもないので、待つしかないわけですが、こうなると心配なのが新函館での乗り換え時間(またですよ……)。この年から青函トンネル内での新幹線の160km/h運転が始まったので、前よりかは新函館での乗り換えに余裕ができたのですが、それが帳消しになってしまい、結局余裕のない乗り換えになりそう。今から心構えしておくか……。


北海道新幹線はやぶさ7号(木古内12:40 → 新函館北斗12:52) 車両:E515-18(10両編成・9号車)

はやぶさ7号は、結局およそ5分の遅れで到着。もうすっかり見慣れたE5系。自分が待っている場所に、ぴたりと9号車が停まります。

さっそく乗車し、グリーン車のちょっとリッチな席に腰掛けます。

乗車時間は12分ほど。あまり時間もないので手早く観察します。

車内は豪華絢爛……という感じでもなく、ちょっと暗めな照明の下に、2列×2列で並ぶモケットの大型座席、そしてコンセント・読書灯・背面とインアームのダブルテーブルという機能的な設備。おもてなし空間というよりは、むしろ「ビジネス空間」という趣です。

でも、作業とかはすごく集中できそうな感じ。あるいは、フットレストも動くので、楽な体勢になってゆっくりうたた寝、なんてのも良さそう。自分の性にも合いそうな感じで、かなり印象が良いです。そんな静かな空間を「取材」名目で少し騒がしくしてしまったのは申し訳ないあたり。

実際、ここまでの旅路で疲れた体を預けてみると、「あぁ~このまましばらくゆっくりしたいなぁ~」という気分になります。これは、短区間利用はかえってもったいなかったかなぁ。

もちろん、休んでいるような時間はありません。もう新函館に着きます。乗り換えがあるので、しっかり集中せねば。

アクティブモードに精神を切り替え、乗り換え放送を聞きます。北斗91号には接続すると案内されたので、そこはまず安心。

列車は徐々に速度を落とし、新函館の12番線に入線。5分遅れはそのまま変わらず、乗り換え時間は本来16分のところ、およそ10分しかありません。今日一番の頑張りどころになりそう。


新函館のホームに降り立ったら、すぐにエスカレーターを上がって乗り換え改札のある階へ。

乗り換えに余裕がないと言っても、ただ乗り換えるだけなら問題はありません。何をそんなに心配しているのかって話ですが、売店に寄りたかったのです。この先も長い距離を乗るので補充をね。

どうしてもアイスクリームが食べたかったので、乗り換え改札付近のキヨスクに入ります……が。

「無……い……!?」

緊急事態。前日に入ったホーム階のお店にはあったはずなので、上の階の店にもあるものと踏んでいましたが、これは大誤算。

諦めるのも手ですが、何とかなると信じてもう一軒のお店へ向かうことに。11番線に急いで降りて、素早く買い物。

そして、誰もいないホーム階の乗り換え改札へ。はやぶさ7号のきっぷは臨時列車乗車記念に持って帰りたいので有人改札を通ります。これでさらにタイムロス。

きっぷを提示すると、特急券の内容を見た駅員さんが、こう言います。

「北斗91号……って、もう入ってきてますよ。」

え゛。

在来線ホームの方を見ると、汽笛一声、青い車体が既に入ってきているではありませんか!

もう、ただ、走るしかない。改札を抜けたら、また階段を上がり、3番線へ。ここでしくじったら全てが終わる。死ぬ気で行くしか――!

……結局、行き合い列車(スーパー北斗8号)が遅れていたせいで、北斗91号はそれを待っての発車となったため、余裕で乗れました。なんだよもう、走り損じゃないか……。

FURICO283、圧巻の走り ――北斗91号

特急北斗91号(新函館北斗13:08 → 登別15:39) 車両:キハ282-2006(4両編成・3号車)

というわけで、無事に北斗91号に乗車しました。令和最初のGWの北斗91号には、"FURICO283"ことキハ283系が充当されていました。グリーン車無しの4両編成です。

停車していた数分の間にも、続々と人が乗っていきます。ボクは指定席に乗りましたが、1両しかない自由席はどうやら満席のようで、指定席車両のデッキにも人が何人も立っている状態になりました。

一方、指定席はそこまでの混雑でもありません。この時間帯の定期列車はすべて満席とのことでしたが、臨時北斗は知名度が低いのもあってか意外なほど快適な環境。

乗車してしばらくすると、隣の2番線に遅れていたスーパー北斗8号が到着し、ようやく発車可能に。3分ほどの遅れで新函館を出ます。

しばらくは先ほどのドタバタの直後だったのでぼんやりと過ごしていました。ほどなく大沼公園に到着。

先ほどデッキにまであふれた自由席の乗客は、大沼公園で大量に下車。さっきは「こんなに混雑するなら自由席1両はまずいんじゃないか?」と思うほどでしたが、自由席は函館・新函館~大沼公園の短距離移動が大半で、混雑したのは1区間だけでした。それなら、まあいいのかな。

デッキ仕切り戸が開くたびに喋り声が聞こえていたのが、すっかり静かになりました。ここからはのんびり鉄旅です。


大沼公園発車時点で、列車は3分の遅れ。先ほどの遅れをそのまま引きずっています。

ですが、ボクは全く意に介していませんでした。なぜなら、「降りるまでには絶対に定時に回復する」という確信があったからです。

今乗っている車両は、"FURICO283"。そして、北斗91号はキハ183系で走れるダイヤになっています。キハ283系の性能を活かせば、3分程度の遅れは問題にはならないはずです。

というか、「頑張れば次の森までに定刻に戻せるのでは?」とさえ思えました。ここから森までは急曲線が続くので、振り子の性能を活かして一気に遅れを回復できる可能性があるからです。

キハ283系の実力を以ってすれば、曲線半径300mのきついコーナーでも、理論上キハ183系より20km/h速く回れるはず。これだけの性能があればあるいは……と。

――こう思っていたボクは、その約15分後、度肝を抜かれることとなります。

次々と現れる低速コーナー。列車はそれを、軽やかな走りで次々攻略していきます。

やはりというか、突っ込みが速い。さっき車窓に映ったものがしばらくして反対側の車窓に映るほどのワインディングセクションなのに、ずんずん進んでいきます。

しかも、その走りからは、余裕すら感じられます。エンジンはじめ車両の挙動からして、さして急いでいるふうには思われないのです。さも当然のことのように、涼しげな表情で列車は駆けてゆきます。

そして、森には見事定時で到着。

……ボクはキハ283系の走行性能を高く評価していたつもりだったんですが、ひょっとするとなめていたのかもしれません。

「頑張れば森までに定時回復」どころではなく、まるで息をするように遅れをまいてみせ、あまりにも呆気なく回復。気が付いたら圧倒されている自分が、そこにいました。

あの脱線炎上事故以来、おおぞらの最高速度20km/h低下、北斗・とかちからの撤退と、転落人生を歩んだキハ283系でしたが、こうしてまた函館界隈に戻ってきて、そしてその真髄を垣間見せてくれました。

キハ283系だけが持つ、「感性に訴える走り」をまた体感したくて北斗91号を選んだわけですが、これほどのものを見せてもらえるとは思いもしませんでした。今回の乗り鉄は、これが一番印象に残った場面となりました。


そんな走りを楽しみつつ、先ほどキヨスクで買っていたバニラアイス(¥270)をオープン。函館酪農公社の製造で、紙コップと同サイズの入れ物……というか紙コップに入っています。

先ほどのバタバタのせいで味覚と脳みそのリンクがうまくいかなくなり、堪能できるほどの余裕がなくなってしまっていました(本末転倒……)が、火照った体を冷ますにはちょうどいい按配です。

アイスを食べ終えて、ふと気付くと、列車は海の近くを走行中。少し先には山。ってことは、今いるのは静狩のあたり。

……

あーー! また森~長万部間を寝て過ごしてしまった!!

なんでかわからないんですが、下りの北斗に乗ると決まって森~長万部間で寝てしまうんです。今回こそは起きて景色眺めようと思ってたのに、そのために冷たいもので頭叩き起こそうと思ってアイス買ったのに、結局寝てしまった……!

まあ仕方ないので、その先を楽しむとしましょう。

天気は相変わらず下り坂で、灰色の景色と濡れたレールが車窓を流れていきます。

臨時列車ではありますが、このあたりの区間は定期スーパー北斗とそう変わらない所要時間となっていて、それなりに飛ばして走っています。時折車体を左右に傾けつつ、颯爽と駆ける列車はしかし、自己操舵台車があるのと、定期列車よりかはゆっくりした速度なので、乗り心地は割と快適です。

気持ちのいい走りですが、伊達紋別を出てほどなく、北舟岡駅で一旦ストップ。スーパー北斗14号と行き合いです。札幌~函館の区間にわずかに残る単線区間が、こういう形で絶妙にネックになってしまっています。

海のすぐ隣にある駅なので、天気が良ければこの停車時間も楽しめそうですが、まあ……まあ。

だいぶ待ったな……と思った頃に、行き合い列車が本線を通過。キハ281系とキハ283系の行き合い。外から見てみたいシーンです。

車内は先ほど同様わりと空いていますが、"回転率"はけっこう高め。洞爺では温泉宿へのチェックインにちょうどいい時間ということでまとまった数の人が降り、東室蘭からは逆にそれなりの数が乗車しました。

さてボクはというと、東室蘭の次、登別で降ります。次の目的地は白老で、当時の北斗91号は白老通過なので、登別で普通列車に乗り換えるためです。東室蘭乗り換えでも同じなんですが、せっかくだから長めに臨時北斗に乗りたいので登別乗り換えで。

登別には定時に到着。洞爺と同じように、観光客などがけっこう下車しました。改札に向かう彼らには付いていかず、ホームで乗り換え列車を待ちます。

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