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「令和一番列車」で行く北東北・函館観桜紀行(令和元年5月1~2日)

2日目(令和元.5.2) 2/4ページ「桜の穴場&いさ鉄紀行」

函館の桜に「穴場」はありや

函館市電 2系統(五稜郭公園前8:56頃 → 青柳町9:21頃) 車両:2002

函館・五稜郭公園での観桜を切り上げて、函館市電の五稜郭公園前電停にやって来ました。

五稜郭観光を朝早い時間に切り上げたのは、混む前に他の花見の名所に移動するためです。

函館の桜といえば五稜郭が有名ですが、他にも良い花見スポットがあるのです。五稜郭はこれから混雑するでしょうから、他に穴場があるならそっちで見る方が混まずに楽ってものです。

そこを目指し、市電の谷地頭行き(2系統)に乗ります。

車両は赤い全面広告に身を包んだ2000形。日本の路面電車では貴重な存在であるVVVFインバータ制御。更新工事を受け、IGBT-VVVFになっています。

界隈は函館の中心的地区の一つで、観光客も多い場所とあって、乗車口には列。順番に乗車します。

賑やかな車内でしばらく過ごします。観光客は予想通り、函館駅前で大量に乗降、その後十字街で大量降車。一方で、函館駅前の一つ手前、松風町では地元客がけっこう降りました。観光と地元とで違う流動があるのはままあること。

十字街を過ぎて、左折。さっきまでの賑わいはどこへやら、終点も近いこの区間は乗客も少なくのんびりムード。

とはいえ、そんなにのんびりしてはいられません。終点の一つ手前、「青柳町」で降ります。


ここから歩いて目指す場所は、函館公園。市外の人にとっては五稜郭ほどポピュラーではありませんが、市民に長く愛される花見の名所だといいます。

五稜郭よりは絶対空いているだろう、という算段で来てみましたが、果たしてどうでしょう。やっぱり函館ですし、なにせこの超大型連休ですのでね。

まあ、先ほどの市電の車内を見る限りそれはなさそうです。一安心。

そんなわけで、電停から西の方に向かい、坂を上って公園へ。

函館公園にて

ちょっときつめの坂を少し上ると、すぐに函館公園に到着。電停から一番近い入口のところは大きな広場になっていて、噴水のある中央部分を取り巻くように桜が立ち並びます。

狙い通り、観光客の姿は少なく、自分のペースで桜を見られそうです。地元の方が憩っていたり、桜を見ながら歩いていたりと、旅人よりも日常の中にいる人の方が目立ちます。

さて、公園内を散歩しつつ、弘前・五稜郭に続くお花見Ⅲです。

足元にはタンポポが咲き乱れ、緑と黄色に色づいています。また園内はマツがたくさん並び、シックな緑色が大人な情感を醸します。そして、そこにもう一つ色を重ねるは桜の花々。

道はところどころ桜のトンネルのようになっていて、淡い色に包まれながらの散歩がとても気持ちいいです。

有名スポットのように一面に咲き乱れるという感じではありませんが、これはこれで良いものです。

観光地の喧騒はなく、地元の方がのんびり語らいながら桜を眺めています。それを見ているのもまた、風情という気がします。

しばらく歩くと、屋台が並んでいるのを見つけました。おでんややきとり、たいやきなど、お祭りの定番が並びます。せっかくですし、この素敵な桜の中、お祭り気分で何か一つ……

……と思ったのですが、時間がおしているのと、この後昼食・夕食の時間が早く、今食べると後に響きそうなので、泣く泣くパス。


さて、園内にはいろいろな施設があります。一つが、函館博物館。

旧博物館の建物が現存していて、いかにも函館らしい明治の雰囲気を漂わせる佇まいで今日も公園に訪れる人々を見守っています。

その旧博物館のまわりに、桜が舞います。洋風建築のロマンと、日本の花・桜の粋が交差する光景。なるほど、こういうのもあるのか……。

なお、時間がないので博物館見学は無し。またいずれ。

そこから少し移動したところにあるのは、遊園地の「こどものくに」。設備が古いな、というのがありあり見える、(良く言えば)歴史ある遊園地です。

開園は10時(土日祝)。公園に着いたのが9時半すぎだったので、着いた時点ではまだ開園準備中。スタッフが準備に走り回っていました。

そして10時のちょっと前に開園。花見ついでであろう家族連れがさっそく入っていきました。そして、楽しげな音楽が流れ、それに交じって時折子どもたちの楽しそうな声も響いてきました。

もちろんボクは入りません。時間ないとか以前にもうそんなトシじゃねぇ。


……で。ボク気付いちゃったんですよ。今日、まだ歯を磨いてないことに。

当初予定ではフェリー内で歯磨きしておくつもりが、すっかり忘れていました。

そいで、ボクもう一個気付いたんです。ここ公園だべ、と。水道、あるっしょ、と。

とゆーわけで、園内で水道を探し、おもむろに歯磨き開始。

人目に付くのでアレですが、歯を放置するぐらいなら、と強行。

そうしていると、遊園地の方からNHK・Eテレの番組「おかあさんといっしょ」の番組内楽曲「ドコノコノキノコ」が流れてきました。

なぜか某動画サイトの踊ってみた動画で一時期流行ったりもした曲で、懐かしいなあと思いながら聞き流していましたが……。

なんかこうなると、そのうち「はみがきじょうずかな」が流れてきそうな気がしてきて、思わず苦笑。幼少期の記憶がフラッシュバックしてきて、なんかますます変な気分に。

まあ何はともあれ用は済ませ、再び旅モードに切り替え。

ここいらでいい時間になったので、公園を出て電停に戻ります。戻りは下り坂なのでらくちんですが、このへんは市電の本数が少ないので、時間には注意が必要。

函館市電 2系統(青柳町10:00頃 → 函館駅前10:12頃) 車両:8009

電停で待っていると、ほどなく電車が到着。車体更新車の8000形。令和だというのに相変わらずの吊り掛け駆動のモーター音を聞きながら、少しの間車内でまったり。

そんでもって、10時15分くらいに函館駅に到着です。

いさりび鉄道、令和を駆ける

早いですが、そろそろ函館を離れ、北海道の"奥の方"へと帰っていきます。

といっても、すぐに札幌に帰るのではありません。道南いさりび鉄道に乗り、いったん木古内に出て、そこから列車を乗り継いでいきます。

理由の一つは、表紙ページに書いた通り、単純に「いさ鉄に全区間乗車したい」から。実はこの時点でいさりび鉄道線を除く北海道内のすべての鉄道路線(鋼索除く)の全区間乗車を果たしているので、残るいさ鉄にも早く乗車したいというのがありました。

(なお、いさりび鉄道線にはJR時代に乗車していますが、運営会社が変わったのでノーカウントとしていました。)

こんなサイトやってる身ですし、いつまでも「道内路線すら完乗してない」というのはなあ、と思いまして、今回旅程に組み込むこととした次第です。

他に二つ理由がありますが、それは後ほど。

木古内行きの列車は10時40分発。それまでの時間に函館駅で買い物です。この後列車内で食べる駅弁のほか、四季彩館(キヨスク)でお土産に、函館にあるコロッケとニョッキが有名だというPATATEさんの「北海道ポテトのショートブレッドクッキー」(¥864)を購入。ネットにこの商品の情報がまるでない……。限定商品だった?(すでに買った時の記憶がない)

ここは少し時間に余裕があるので、ゆっくり支度。その間に駅に手動で放送がかかり、曰く「この日の札幌行きスーパー北斗は、日中の便はすべて満席」と。かなり増結をしているのに、すごいものです。超大型連休、恐るべし……。

準備ができたら、券売機でいさ鉄との乗り継ぎきっぷを買い(函館~五稜郭間はJR線。このため乗り継ぎ割引があります)、改札を通ってホームへ。

2番線に向かうと、木古内行きが既に停車中。列車は「長い」2両編成。いさ鉄のキハ40形はさまざまな塗装があり、この列車は先頭が通常のいさ鉄カラー、2両目が昨日も見たのでなんの有難みもない首都圏色。

辺りを見渡すと、3番線にJRの「道南 海の恵み」が停車しているのを発見。せっかくなのでカメラに収めておきます。

などとやっているうちに発車時刻。進路、木古内。出発現示ヨシ!


道南いさりび鉄道線普通122D 木古内行き(函館10:40 → 木古内11:46) 車両:キハ40 1812(2両編成・1両目)

列車は五稜郭からいさりび鉄道線に入り、ところどころに桜が咲く市街地を走っていきます。

……しかし、天気は下り坂。さっきとは違ってどんよりとした雲が垂れ込め、時折雨がパラつきます。元々わかってはいたので、むしろ「函館にいる時に降らなくて良かった」と考えるようにします。

灰色の空の下を走り、しばらくすると上磯の市街へ。市役所に近い清川口駅は、ながまれ号と同様の外装になっていて印象的。

その清川口と上磯の間で大野川を渡ります。この大野川沿いに桜が並び、車窓からも楽しめます。……雨でなかったら、の話ですが。

上磯を過ぎ、太平洋セメントの工場を横目に見ます。それからしばらく進むと、この線区でも海の景色のよい区間に入ってきます。

時計を見ると、11時10分。ここで、先ほど調達した駅弁を開けることにします。これ以上遅いと木古内に着くまで食べきれない可能性があり、逆に早いと時間的に腹がキツイ。ギリギリの計算ではじき出した、駅弁を開ける最適なタイミング、それが今です。

今回食べるのは、四季海鮮 旬花さんの「桜ます押し寿司」(¥880)。観桜旅行なのでサクラマスはまさに旅のコンセプトにピッタリ、ということで選んだ次第。

おいしい北海道産のお米の上に、薄切りながらも脂のしっかり乗った旬のサクラマス。噛み締めるとぶわっと広がる甘さと気高い旨味がナイス。とても食べやすく、どんどん箸が進みます。

この味を、煌めく津軽海峡を見ながら食べられたらもっと良かったんですが……、この天気なので、外は灰色の世界。まあ、一番楽しみにしていた花見の間は二日とも天気がもってくれたんだから、贅沢を言ってはいけませんね。

食後にもう一つ。さっき函館駅の四季彩館で買っていた、駒ヶ岳牛乳の「北海道ピカタの森 のむヨーグルト」(¥180)をグイっと。北海道の生乳が原料なので絶対おいしいやつ。凝縮されたコクをしっかり味わいます。


さて、列車は相変わらずどんよりな海岸沿いを走っていきます。

ぼんやりと海を眺めていると、不意に横から声をかけられました。

「この辺りが景色のよいところですよ」と。

何かと思って横を向くと、声の主はいさ鉄の職員の女性でした。

そうでした、この列車はアテンダントが乗務する列車でした。特に車内放送などはしていなかったので、車窓を見たり食事したりしている間にすっかり頭から抜けていました。

最初から万年赤字が約束されている、といっても過言ではない細道であるいさ鉄は、観光で少しでも稼ぐべくいろいろな取り組みをしています。有名どころは「ながまれ号」ですが、他にアテンダント乗務など地道な取り組みもやっています。

アテンダントさんは、乗客と会話しながら車窓のポイントを案内するなど、いろいろ動き回っていました。

東北を旅してきたボクは、三陸鉄道や秋田内陸線のアテンダントも見てきたので、そうした「アテンダントの先輩格」からすると、発足して日が浅いいさ鉄のそれは少し覚束ないな、と感じてしまいます。さっき不意に声をかけられたのもそうですが、案内などの話の持っていき方もまだ発展途上という感じ。今後に期待です。

最後の途中駅・札苅を発車すると、アテンダントさんが「この先車窓に芝桜が広がる」と案内します。

この芝桜はボクも知っています。個人の方が自宅敷地で造った芝桜園で、いさ鉄に毎春贈られるエールともいえる存在です。

まだちょっと時期が早いだろうなと思っていましたが、思った以上に咲いており、カラフルに彩られた綺麗な芝桜を楽しむことができました。付近には撮り鉄のほか、こちらに手を振ってくる方もおり、この「いさ鉄とともにあるスポット」が地元に愛されつつあるのかな、と感じられました。

それから数分、列車は終着・木古内に到着。北海道内全鉄道路線を完乗した瞬間……ですが、JR時代に乗ったことのある路線なので特に思うところは無し。狭いホームで車両を撮影してから、駅舎に入ります。

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