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「令和一番列車」で行く北東北・函館観桜紀行(令和元年5月1~2日)

1日目(令和元.5.1) 4/5ページ「弘前の桜、濠に塗れ」

御濠を染める、花筏 ――弘前城

さあ、いよいよやって来ました弘前城(弘前公園)

今回は観桜旅行。全国に名だたる弘前は、もちろんこの旅における最重要攻略目標です。

公園の周囲には、弘前さくらまつりのぼんぼりが立ち並びます。「弘前市130周年」と書かれていました。改元と合わせてダブルめでたい年なんですね。

さあ、さっそく公園内へ。今回は表玄関である南の追手門ではなく、バス停から近い東門から入場。

さっそく桜並木がお出迎え。入口近くで目に付いたのは色の濃い品種。ヨコハマヒザクラというそうです。たぶん北海道では見られない品種。北海道でもエゾヤマザクラが木によってはけっこう濃い色になるので、濃い色の桜は見慣れていますが、やっぱりソメイヨシノのイメージを持って入ったのでプチビックリ。

しばらく歩き、東内門をくぐります。すぐ先には、ひときわ太い桜が一本。これは「日本最古のソメイヨシノ」。年輪を重ねた太い幹と、逆に樹齢を感じさせないほどエネルギッシュに咲き誇る花。盛岡の石割桜を思わせる存在感を放っています。

振り返ると、開けた視界の中、まさにイメージ通りに、濠に沿ってソメイヨシノが立ち並んでいました。

淡い色合いの花が視界を埋める様は壮観。札幌でこれだけ綺麗に揃って咲き誇るポイントは多分ないんじゃないかな。ほんものの「桜の名所」を、この日初めて見ました。

シダレザクラも絢爛。ヒザクラ・ソメイヨシノとはまた違う色合いと、木を埋めるように咲き誇る数多の花弁、そして"シダレ"の名のごとくの曲線美。これぞ、日本の煌めき。

……といっても、もう5月なので見頃は若干過ぎてしまっています。シダレザクラは良い感じですが、ソメイヨシノは葉桜になっていて、明らかに花が散っています。ピンクと緑のコントラストもまた鮮やかで(ピンクと緑ってのはどうしてこう見事に合うんだろう)、花弁が舞うさまも趣深いのですが、一番いい時期を逃しているのは確か。


実は、一番楽しみだったのは桜そのものではありません。

桜の散り始めは、弘前城では「宴の終わり」ではなく、"第二章"の始まりを告げるものです。

弘前城の桜、第二幕。それ即ち、「花筏(はないかだ)」。散っていった花弁が城の濠を埋める、いわば「桜の絨毯」。

外堀北側が有名ですが、本丸付近でもそれなりに楽しめます。本丸への入り口・下乗橋から濠を覗くと、濠の角のあたりに桜の花びらが溜まり、淡い色に染まっています。違う品種の花びらが混ざっているのか、色合いの異なる二つの色が混ざり、カフェラテのような模様になっています。

また帰り際に、本丸と追手門の中間あたりの杉の大橋からも、桜色に染まる濠を楽しめました。こちらの方が見通しがきいていい感じ。花弁で埋め尽くされるというほどではないにせよ、けっこうな割合が桜色。

濠に沿って桜が並び、濠もまた花に染まる。視界の半分以上がほのかな桜色に埋め尽くされる様には、ただただ平伏せざるを得ません。

旅程などなどの都合で一番の見どころを外してはいるものの、それでも感動の連続。これが、本場……。


話が前後しますが、桜舞う中にそびえ立つ城ってのも見ていきたいので、本丸にも向かいます。

弘前城は石垣の大規模改修工事のただ中で、そのために「曳屋」という方法で場所を一時的にずらしてあります。なので本来は下乗橋の上からでも見えるのですが、この時は見えません。もっと近づいていきましょう。

下乗橋を渡り、本丸に入っていきます。本丸は冬以外入場料がかかります……が、この日は新元号を祝って無料開放。観光客がたくさん来る時期だというのに、なんという事でしょうか。入場料を払う前提で用意していた財布をしまって、中へ。

進んでいくと、いよいよ本丸が顔を出します。……とその手前には、「令和」の新元号を大きく記した書道作品が展示。弘前高校の書道部の作品のようです。「初春令月~」という原典も併記。魂のこもった作品に思わず声が出ます。

他の地点でも「ありがとう平成 慶祝令和」という掲示があったりと、やっぱりここも祝賀ムードたっぷりです。

そして、いよいよ本丸と対面。以前見た時はまだ本来の場所にあったので、その時と印象が大きく違います。これはこれで貴重な姿。

すぐ近くにはシダレザクラが咲き誇ります。サクラと城のツーショットをうまく狙います。

今回は天守の見学もできる季節ですが、天守はすごい行列。実は時間カツカツなので、断腸の思いであきらめました。

さて、そろそろ引き揚げます。追手門に続く道も見事な並木で、それをひとしきり眺めてから、門をくぐり公園から退出。

付近の外濠も桜が散って色づいていましたが、葉っぱごと落ちちゃって緑色が入っちゃってます。「花筏」って感じではありませんでした。

本当はもっと有名な桜スポットが園内にいっぱいありますが、今回は行けずじまいということに。残念ですが、またの機会ということで。

弘前でお買い物タイム ~同胞との謎の出会い?~

駅に戻る道すがら、いろいろお買い物です。

まずはお濠に沿って東へ。城と反対の方を見ると、旧第五十九銀行本店本館など洋風の歴史的建造物が並びます。こちらもじっくり見物したいですが泣く泣くスルー。まあ絶対また訪れるでしょうからその時に。

ちょっと小路に入り、一か所目のお買い物ポイント「パティスリー山崎」さんに入店。

ここでは、映画で有名になった「奇跡のリンゴ」を使ったお菓子「奇跡のりんごかりんとう」(¥1,080)をゲット。常識破りの自然栽培により実現した、優しく愛情あふれる味わいに、後日我が家は大絶賛の嵐となりました。

他にどんな商品があるのかな、と店内の棚を見回していると……、非常になじみのある地名が、不意に目に入りました。

「江別」。

札幌のすぐ東にある街で、ボクにとっては住んだことのある街でもあります。

棚の一角にあったのは、「江別小麦パン」(¥250)。思わず購入。

江別の小麦はおいしいんです。それはボクもよ~く知っているところですが、海の向こうの地で、こんな形で「同胞」と出会うとは。

レジで、店員さんに「実は昔江別にいたもんでして……」とついつい声をかけてしまうボク。すると店員さん答えて曰く、「やっぱりこの小麦はモノがいいんですよ」と。北海道、そして江別の小麦は、道内のみならず道外にも、その品質を認められつつあるようです。同胞としてこんなに嬉しいこともありません。

な~んていう出来事がありまして、「思いがけずいい買い物したなあ」なんぞと思いつつ次のお店へ。


もう時間がギリギリ。急ぎ足で移動します。途中、以前の旅で宿泊した「カプセルイン弘前」の前を通過します。思い出に浸るのは後、後。

弘前公園だけでなく、街もまた、さくらまつりモードです。途中横切った「かくみ小路」という通りでは、桜を模した飾りと、提灯で飾り付けられていました。急いでいるので、ちらっとしか見ることができませんが。

さて、次に入るのは、地元資本の百貨店「中三」さん。ここでもお土産を探します。

食品は地下、と相場が決まっています。エスカレーターで地下1階に移動。名産品を集めたお店があったので、そこへ。

ある商品を探すも見当たらず。ここで買い物は全部済ますつもりでしたが、こうなっては仕方ないので後で別で買います。

それ以外で弘前らしいお土産がもう一つほしいので、りんごジャム(¥540)を購入。ボクは週3~5回、他の家族は毎日朝食にトーストを食べます。なので、ジャムは我が家のお土産に適しています。後日味わってみましたが期待に違わぬお味で、ちょっとリッチ気分で朝を過ごせました。


急ぎ弘前駅へ。まだ買い物があるので、小走りで時間を稼ぎます。

信号に嫌われつつも、何とか必要最小限の時間を残して駅に到着。

駅ビル「アプリーズ」で、さっき買えなかった「らぷる」(¥690)を買います。「しかないせんべい」という煎餅屋の商品でありながらおやきのようなフワフワ食感で、そこに品質に定評のある津軽りんごのコンポートが、フレッシュな甘さとシャリシャリ食感をプラス。弘前のお菓子の中でも特に個性的です。

これで買いたいものが揃いました。歩いてホームに行けば列車に余裕で間に合う時間。胸を撫で下ろします。というか買ったものりんご系ばっかだなあ……。

鮫駅から旅を共にしているきっぷを再び取り出し、改札内へ。自分の前に改札を通った人がきっぷを取り忘れたので慌てて届けたりしつつ、ホームに降ります。

大館へ

駆け足でしたが、弘前観光は終わりです(というか今回の旅は乗り鉄的動機が発端ということもあり全体的に駆け足)。

この後ですが、宿を取らない(取れない)代わりに、前に2回乗った函館~青森間の夜行フェリーをまた使います。よって、この日の最終地点は必然的に青森となります。

というわけで青森に……戻りませ~ん。

逆に南下し、秋田県・大館を目指します。何やかんやで食べ損ねている「アレ」を食べに行くのです。この過密スケジュールでさらに秋田まで行く気かい、とツッコまれそうですが、知らんがなそんなんボクの勝手でござい。

奥羽本線普通1672M 秋田行き(弘前17:29 → 大館18:12) 車両:クハ700-33(2両編成・1両目)

秋田行きの普通列車に乗車。701系2両編成で、車掌が乗務していました。夕方になってようやくこの旅初の701系です。毎度言ってますが、やっぱりこの701系が一番「東北に来た」と実感させてくれる車両です。

花見の帰りという人も多いのでしょう、車内は座席が完全に埋まっており、立ち客もちらほら。ボクも荷物を荷棚にのっけて、立ち席で移動です。

ホームに発車メロディ「津軽じょんがら節」が鳴り響き、列車は秋田に向け走り出しました。


外がだんだん薄暗くなってきました。相変わらず垂れ込める雲のせいで暗さが倍加してます。

一方で照明の灯る車内。花見を終えて満足げな行楽・観光客や、元気なお子さんを連れた乗客によって、実際のルクス以上に明るく照らされていました。

ボクはというと、さっきまでのドタバタで頭が疲れている上、立ち席なので、じっくり車窓を見る気になれずにいました。

その代わり運転に着目。今まで意識していませんでしたが、そういえば東北の運転手ってどんなブレーキングするんだろうと。今回の運転手は、3段制動階段緩め(といっても結構込め直しはしてましたが)で駅に停めていました。運転台を覗き込んだわけではないですが、体感からしてブレーキは6ステップくらいまで使っていました。同じ雪国でも、3ステップ以上を使わなくても余裕で停まれるJR北海道の電車とは、そもそものセッティングがずいぶん違うんですね。

あと、戸窓をよーく見ると、国鉄秋田局のキャラクター「アッキー」がいました。国鉄末期に登場したものの、JR時代になると徐々に忘れられた存在だと言いますが、701系にはまだいるんですね。

というか、この後降りた時によく見たら、外面に貼ってあるドアボタンのステッカーにもいました。何回も乗ってるのに今まで意識したこともなかった……。


夕闇の田園地帯を、701系らしい鋭い走りで駆け抜けること40分あまり。外もすっかり暗くなり、いよいよ日暮れ時が近いかな、という頃、「まもなく大館」との車内放送がかかりました。

そして、列車は大館駅1番線に到着。ボク以外にもそれなりに降車がありました。大館の人は買い物する時は弘前に出る人が多いそう。弘前に花見に行く人もやはり大勢いるのでしょう。

同時に盛岡から来た花輪線の列車も入ってきました。なので駅は思いのほか賑やか。

1番線のホームにある「ハチ公神社」にお賽銭を入れ……ようとしましたが、よく見ると賽銭箱が「故障中」という名目で塞がれていました。仕方ないので手だけ合わせます。

現在使われている発車メロディで一番好きな「ハチ公物語」を聴いて、列車を見送ってから、改札を通り

「あ!」

自動改札になってる!!

2年前に来た時は、まだ有人改札でした。いつの間に。衝撃。

……だからって別に何か特別なことがあるわけでもなく、普通に改札を抜けます。

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