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「令和一番列車」で行く北東北・函館観桜紀行(令和元年5月1~2日)

2日目(令和元.5.2) 1/4ページ「函館の星はさくら色」

賑わう夜行フェリー

津軽海峡フェリー 青森フェリーターミナルで迎えた、旅行2日目。函館に向かう夜行便の出航まで、待合室でしばしの休息中。

オフシーズンは静かなターミナルも、連休、それも改元記念の超大型連休と来れば、かなり多くの人がフェリーを待っています。

適当な時間に、船酔い対策を済ませておきます。まずは空腹にならないよう補食。初日に弘前で買った江別小麦パンに、ここで登壇いただくこととします。

少し時間が経ってしまっていますが、それでも柔らかでモチモチとした食感が生きていて、味も繊細で上品。さすがは江別の小麦、とあらためて地元の名産に誇りを感じました。なんで旅先で地元の物を誇ってんだぼかぁ。

こうして腹を少し膨れさせておいて、船に乗る数十分前あたりに酔い止め薬を飲むわけです。

もっとも、出航の2時40分まではまだまだ時間があるので、少しウトウトしていることにします。搭乗が始まったら放送がかかるはずなので、寝過ごす心配はせずに目を閉じます。

待合室のTVは深夜バラエティ番組の音声を耳にどんどんシュートしてきます。聞いているこちらが恥ずかしくなるほど面白味のないトークは子守唄にもなりません。とはいえ疲れて眠いので、自然と脳みその動きが鈍ります。


津軽海峡フェリー 3便(青森フェリーターミナル2:40 → 函館フェリーターミナル6:20) 船舶:ブルーマーメイド

頃合いを見て目を覚まし、船の乗り場を目指します。函館から乗る場合と違って、飛行機の搭乗口みたいなボーディングブリッジではなく、外から直接乗り込む形となります。

今回乗る船はターミナルから離れていたので、バスで乗り口まで送ってくれるとのこと。急いで乗り込むこともないのでゆっくり建物の外へ。そうしたらバスの第1便はちょうど行ってしまったところだったので、戻ってくるのを待って乗車。

バスは普通の路線バスと同じ車両、ただし小型タイプ。ターミナル敷地内を走り、あっという間に船の乗り口へ。

続々と船内に入っていくトラックの合間を縫って、他の乗客といっしょにゾロゾロと乗船。

今回乗る船は「ブルーマーメイド」。初めて乗る船です。以前乗った2代目「ブルードルフィン」よりも先輩にあたります。

2等船室はブルードルフィン同様、ドアのないカーペット敷の小部屋が並びます。続々と人が入っていくので、寝るための最小限のスペースを確保するのがやっと。これまで多客期に乗ったことがなかったボクには、ブルードルフィンと同じサイズであるはずの部屋が、半分くらいの広さしかないように見えました。

とはいえ、船内では寝るだけなので没問題。

持ってきた空気枕を備え付けの枕と重ねると、自分にとってちょうどいい高さになります。あとは念のため貴重品を抱え、上着を毛布がわりにして、睡魔に身を任せます。


目が覚めると、函館に着く時間が近づいていました。

とりあえず体を起こして、しかしぼんやりと過ごします。これだけ多くの人が乗っていれば下船までに時間がかかるだろう、と見込んで待機する構え。

ところが、思ったより早く徒歩乗船組の案内がありました。函館ではボーディングブリッジを通って快適に下船。

そうして、定刻の6時20分より早く、函館ターミナルに到着。朝日が差し込むターミナル内は、まだ食堂が営業しておらず、人の数のわりに静か。

時間が余ったので、少しここで過ごします。海に面したテラスがあったので、そこで乗ってきた船を眺めます。すっきりとした春の朝の空気、気持ちいい朝日、磯の香り、穏やかな風。一日の始まりに相応しい、爽やかなひととき。船着き場の朝ってのもいいもんですな。

あとはターミナル内の売店を少し物色。

ほどよく時間もつぶれたところで、そろそろ繰り出すとします。旅行2日目、本日は道南紀行でございます。

やきとり弁当 in 五稜郭

まずは函館の街を目指して……

と思いましたが、やっぱりストップ。もう少しターミナルに留まることにします。

というのは、急遽ここで予定変更が入り、時間に余裕ができたからです。

当初は、いつものように道南いさりび鉄道の七重浜駅まで歩いて、列車で函館駅に行き、そこから市電で五稜郭方面に出るつもりでいました。ですが、ターミナル前のバス停をなんとなく見てみると、五稜郭方面行きのバスが7時ころに来ることがわかりました。

駅まで30分近く歩く必要がなくなりますし、バスなら五稜郭界隈に直行でき、しかも早く着くということで、今回はバスを使うことにしました。いさりび鉄道には後でたっぷり乗るので、今ここで無理に乗らなくても構いませんし。

なので、バスが来るまではターミナルで待機することにして、またテラスに行って朝の陽気と潮風を浴びてました。

函館バス 16系統(津軽海峡フェリー7:05 → 五稜郭7:28)

のんびり休んだところでバス停へ。既に来ていた函館バスの五稜郭方面行きバスに乗車します。

住宅街を細かく回って数人の乗客を拾い、それからJRをまたいで五稜郭の方面へ。函館には何度も来ていますが、バスにはあまり乗ったことがないのと、初めて通る地域なので、新鮮な気分。

7時半ころ、五稜郭バス停で下車。函館バス(と函館市電)は全国共通ICカードが使えるので、Kitacaでピピッ。こんな風に外から観光で来た人も便利なので、JRのはこだてライナーでもICが使えるといいのですが……。

※追記(令和4.9.15):令和6年(2024年)春から、函館~新函館間のJR線が新たにKitacaエリアに加わることが決まりました!


五稜郭公園近辺は、バス停のほか市電の停留所もあり、周囲は繁華街、道路もひっきりなしに車が行き交う、函館で最も活気がある場所の一つです。函館駅を経由しないでここに来たのは初めてなので、なんかミョーな違和感。

さて、春の五稜郭と言えばもちろん桜……ですが、その前にまず朝食です。お目当てのお店を目指し、五稜郭公園方面へと歩きます。

途中に停まっていた北海道新幹線カラーのトラックに目をやりつつ、歩くこと数分。地場コンビニ「ハセガワストア」に、弁当を求めて入ります。

ハセストの弁当と言えば、「やきとり弁当」。知ってはいたもののまだ食べたことがなかったので、けっこう楽しみにしていました。

そして、ただ食べるものではありません。せっかく桜シーズンの函館にいるんですから、一番楽しい食べ方を、ね。

そう。これを五稜郭に持って行って、桜舞う中を食べるのです! うぇっへっへ~。


……と、意気揚々と店に入ったはいいんですが。

朝だというのに、すごい人の数。そして、次々に串が網に置かれ、店内に漂うは焼き鳥の香ばしい匂い。

連休と桜で人出が増えているからなのか、やきとり弁当は朝から大人気のようです。道内外から支持を集める人気商品と知ってはいましたが、こんな朝からここまで繁盛しているとは思いもしませんでした。

……まいったなあ。

とりあえず注文票を書いてレジ係に渡すと、案の定「15分待ち」を宣告されました。やきとりは注文があってから店内で焼くので、どのみち多少は待つことになりますが、注文が多数入れば待ち時間は当然二ケタになっちゃいます。

後の予定が詰まっているので、悠長に待っていたくはありません。そこで、一旦五稜郭に行って少しだけ桜を見て来ることに。余計に歩くことにはなりますが、「時は金なり」です。

というわけで5分くらい歩き、五稜郭へ。函館は桜真っ盛りで、公園に入るとすぐに満開の桜がお出迎え。淡いピンクの花に彩られた木々の間を通って中に入っていきます。

園内は散歩やランニングをする地元の方のほか、少ないながらも観光客がいました。朝早いので、桜シーズンの五稜郭にしては人が少なく、花の彩りと爽やかな朝の風をゆっくり味わえる環境。これはいい時間に来たなあ。

しばし桜を鑑賞し、時間を見て引き返します。来た道を戻って、再びハセストへ。

店に戻るとちょうど弁当ができていました。今回注文したのは「やきとり弁当(小)」、お値段490円。朝なので小さめの弁当で十分です。というか小が一番人気みたいです。

通常は同じ味の串が3本入っているのですが、期間限定で3本それぞれ違う味(タレ、塩、うま辛)になっている「トリプル」があったので、小食なくせに欲張りなボクは迷わずそれを注文しました(苦笑)。

弁当を受け取り、再び五稜郭へ。さあ今度こそショータイム。


先ほどと同じように桜のトンネルをくぐって、五稜郭公園の内部へ。近くにベンチがあったので、そこに腰かけて弁当をオープン。

中から登場するは、3本の「豚串」。北海道にお住まいの方ならご存知の方も多かろうと思いますが、函館(と室蘭)は豚串が一番ポピュラーな「やきとり」なんです。やき「とり」なのに。そういうもんなんです。

あぁ、香りがボクを誘っている。

どの味からいこうかな。やっぱり、王道が先だな。ってわけで、まずはタレ串を手に取ります。

甘辛いタレと香ばしい肉汁のシンクロナイズドスイミング(「アーティスティックスイミング」に改称されたようですね。最近知りました)。コンビニと侮っているとガツンとやられる精緻な味わい。なるほど、だから人気なんだな、と。

このタレがかかってる部分の白飯もうまい。おいしいタレは肉だけじゃなく、お米にもよく合うってものです。

お次は塩串。塩がいちばん肉の味をダイレクトに味わえます。そして、これがとてもうまい。肉自体も値段以上にモノがよく、かついい具合に焼き上げられているのがわかります。

3本目はうま辛。一口食べるとほんのり来る辛みは、噛むほどにクレッシェンド。あまり辛いのは好きじゃないんですが、これは好き。ふつうのタレとはまた違うアプローチで肉の旨さを引き出すスパイシーな名助演。

それぞれ半分くらいずつ食べたら、例のやつやります。串の持ち手部分をフタで挟んで、串を抜き取って、やきとり弁当を「豚のっけめし」にβ-壊変。肉とタレとメシががっちりトリオを組んで、味の表情がまた少し変わります。これを一気に頬張って、シメとします。

とまあこんな風に楽しい食事を、しかも桜が咲き乱れる中で楽しめたわけです。しかも、まだ混雑していない朝に、鮮やかな青空と、心地よい風を感じながら。これは~、たまりませんねぇ。

そして、食後にもう一つお楽しみ。さっきお店に戻る途中で、ラッキーピエロの店の裏の自販機で見つけた、ラッキーピエロのオリジナルミルクコーヒー(¥120?)。甘めの味で疲れた頭と体にとても沁みます。眠気もある程度飛ぶのでありがたい限り。かなり気に入りました……が、夏に再訪した際は自販機のラインアップから消えていました。季節限定?

朝に楽しむ、さくら色の五稜郭

腹も膨れたところで、改めてまわりの景色を見渡します。

濠に沿って続く道と、視界を埋め尽くさんばかりのさくら色。そして、桜並木を吹き抜ける春の風。人が少ない時間帯だからこそたっぷり味わえる、この贅沢さ。

そんな五稜郭の桜をたっぷり楽しむべく、ベンチを立ち上がり散策開始。寒くはなく過ごしやすい気温で、散策にうってつけ。

迷うような場所じゃないので、特にマップなどは確認せず適当に。

とりあえず中心に向かうことにして、濠にかかる橋を渡ります。濠を囲うように立ち並ぶ美しい桜並木が素敵。

雲がかなり出てはいますが、気象学上はギリギリ晴れという感じの空。前日の弘前の時とは違い、ある程度空が明るく、濠の水面も少し明るい表情を浮かべています。

淡く視界を彩る桜と、日の光を受けて静かに煌めく濠と、そして濠に浮かぶ貸しボート。この風景が印象に残っています。

橋を渡った先も、美しい桜が並びます。眺めつつ先へ。

ここで、「桜と五稜郭タワーを一緒に入れた写真が撮りたいな」と思い、高いところに上ります。適当に上ってはみるものの、初見なのできれいに撮れるところはすぐには見つかりません。横に移動して撮影ポイントを探ります。

少し息があがってきたあたりで、どうにか綺麗に撮れるポイントを発見。もう少し天気が良ければ最高でしたが、まあゼータク言っても始まりません。今目の前にあるものをパシャパシャと撮っていきます。

な~んてやっていると、だんだん花見客が増えてきました。時計を見ると、そろそろ次の目的地に向かう時間。

このまま五稜郭を満喫するのもアリっちゃアリなんですが、混んでいると自分のペースで花見ができなくなるので、ここらで退散して別の花見の名所を目指します。

そんなわけで、五稜郭を後にして、函館市電の停留所に向かって移動。停留所への道も桜が咲き乱れ、目を楽しませてくれます。

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