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東北リベンジ~旅は、何かを変える~(平成27年2月11~16日)
3日目(平成27.2.13) 3/5ページ「山田線に挑む」
快速リアス

それでは、山田線の列車に乗ります。11時7分発、快速リアス、宮古行き。
快速リアスも、先ほどのはまゆりと同様、急行陸中がルーツの列車です。ただ、上米内まで各駅停車というあたり、速達よりもむしろ乗客が少ない駅を飛ばすための快速運転と言えます。
車内には、思ったより乗客がいました。といっても、前日とほぼ変わらない程度ですが。106急行と同じく1時間に1本走っていて、しかも同じくらい乗っていたなら、何とかなるかもしれませんが……。
11時7分、いよいよ発車。山田線決死行のはじまりです。
最初の停車駅である上盛岡を過ぎると、早くも上り勾配に。山を越えていく、という感じがぷんぷん漂います。
前日降りた上米内には定刻通りに到着。しかし、一向に発車する気配がありません。対向列車が強風により減速運転を行ったため20分ほど遅れており、その到着を待っていたのです。またしても遅延、しかも今度は結構大幅な遅れです。
車掌が逐次遅れの状況をアナウンスしていましたが、遅れは増す一方でした。結局、上米内を発車したのは22分遅れでした。

上米内以降は、絶好の車窓風景が続きます。雪山と川のコントラストが素晴らしく、今まで見た車窓の中でもトップクラスに入る絶景だと思いました。
日差しが降り注ぎ、雪や川がきらめく風景は、えもいわれぬものです。この旅行記で山田線を「ローカル線 東の横綱」と勝手に呼んできましたが、景色の点からもそう呼ぶにふさわしいな、と思いました。ちなみに「西の横綱」は飯田線です。ちょっと西かどうか微妙ですが。
しかしながら、地吹雪が発生したり、列車が雪を舞い上げたりして、窓の外がかなり見えづらい状況に。写真や動画を撮るのにも支障してしまいました。
トンネルに入るたび、窓の方から「ピシーッ」という音が。窓の外側が凍った音でしょう。凍てつく風を切って、列車は走っていきます。
さて、車内で昼食にします。盛岡駅で買った駅弁「南部わっぱめし」です。
山の幸、海の幸などをとりまぜたいろいろな具が入っていますが、いずれもおいしかったです。ただ、あまり印象には残っていません。
列車は冬季閉鎖(当時。現在は廃止されています)の大志田・浅岸を通過し、区界を発車し、さらに走り続けます。……しかしですね、景色がいいとはいえ、ずーっと同じような景色ばかりな上に、列車のスピードも全っ然上がらないので、少々飽きがきちゃいまして……。
最大の決断
快速リアスの車内で、ボクは大きな決断を迫られていました。
予定では、この後陸中川井駅で途中下車し、観光をすることになっています。しかし、天候や山田線の状況などを考慮し、これは取りやめとし、ストレートに宮古へ向かうという選択肢もあります。
一度は直で宮古に行くという決断をしました。やはり、山田線が運休する可能性を考えると、大きなリスクを背負うのは避けたいと考えたからです。
しかし、決断の後もボクは悩みに悩みました。川井に行きたいという気持ちを抑えることはできていなかったのです。
それ以上にボクを悩ませたのが、天気です。先ほど「日差しが降り注ぎ」とサラッと書きましたが、そうなんです、天気自体は晴れだったんです。だから、このまま天気が崩れなければ、運休の可能性は限りなく低くなるわけです。
しかしながら、そうはいっても風は依然強いので、何か問題が発生するおそれがあります。加えて、東北全体に警報・注意報が出ているという状況下にあっては、いつ天気が急変するとも限りません。
いや待て。仮に山田線に運休の可能性があるといっても、それは旅程を変更する理由にはなるまい。なぜなら、106急行がある。万一の場合にも、そちらを利用すればいい。いやしかし、そっちも運休だったら……。
とにかく、悩みました。自分の中で天使と悪魔が闘っているような感じでした。どちらが天使なのか、全くわかりません。
悩んでいるうちに、陸中川井駅が近づいてきます。決断をしなければなりません。
困り果てたボクは、何を思ったか、とんでもないことをしでかします。
スマートフォンを取り出し、「サイコロの旅 フリップ」というアプリを起動。そう、ボクはこの決断をどれだけ冷静になって考えるべきかを知っていながら、サイコロに全てを委ねてしまったんです。
サイコロの旅フリップは、水曜どうでしょうの企画「サイコロの旅」で使われたフリップと同様に、サイコロの1~6の目にそれぞれ行き先を入力し、サイコロを振ってどこに行くか決定できるアプリです。ちなみに公式アプリではありません。以前に冗談でインストールしたのですが、まさか実際に旅行中に使う機会があるとは思いませんでした。
1~3の目が出たら、陸中川井で下車。4~6が出たら、下車せず宮古へ直行。……とフリップに入力する時間もありません。「サイコロを振る」をタップし、下される運命を待ちます。
神が下した目は、「1」。下車することになりました。