「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

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東北リベンジ~旅は、何かを変える~(平成27年2月11~16日)

2日目(平成27.2.12) 1/5ページ「朝の松島」

本日の行程

移動手段乗車(移動開始)出発時刻下車(到着地点)到着時刻車両
仙石線普通531Sあおば通5:12松島海岸5:52クハ205-3116(4両編成・1両目)
仙石線普通731S松島海岸7:49高城町7:52クハ205-3118(4両編成・1両目)
徒歩高城町7:56頃松島8:09頃-
東北本線普通2530M松島8:17岩切8:33クハ700-1504(4両編成・3両目)
東北本線普通1427M岩切8:37利府8:43クハ718-19(6両編成・6両目)
東北本線普通4430M利府8:53仙台9:11クハ718-19(6両編成・1両目)
仙台市営バス609・S719系統仙台駅前9:20仙台城跡南9:45頃-
仙台市営バスS719系統仙台城跡南11:22頃晩翠草堂前11:36頃-
徒歩晩翠草堂前11:36頃仙台不明-
東北本線普通2547M仙台14:20小牛田15:05クモハ719-36(4両編成・1両目)
東北本線普通539M小牛田15:35一ノ関16:23クモハ701-1506(2両編成・1両目)
東北本線普通1545M一ノ関16:33盛岡18:07クモハ701-1015(4両編成・1両目)
山田線普通6658D盛岡18:21上米内18:35キハ110-132(2両編成・1両目)
山田線普通6653D上米内18:40盛岡18:54キハ110-132(2両編成・2両目)

早朝の仙石線

2月12日、朝5時前。静かに身支度を済ませ、ドミトリー内の誰よりも早く宿を出ました。

もちろん、まだアーケード街なんかは寝静まっている時間。空もまだまだ暗く、月が夜空を照らしていました。

早起きしてでも、見たいものがあるので、仙石線の始発列車、高城町行きに乗ります。

宿から徒歩で、あおば通駅へ。乗りつぶし目的で、仙台ではなくあおば通から列車に乗ります。

あおば通駅は人もまばら。ホームに出てしばらくすると、仙台駅方面から列車が入ってきました。車両は首都圏から左遷された205系。覚えていないくらい小さい頃に乗って以来なので、実質的には初めての乗車です。

地下のホームに発車メロディが鳴りわたり、発車。

地下区間では、気分は前日地下鉄に乗っていたのと変わらない感じ。苦竹あたりで地上に出ても(暗いからよくわからんかったけど)、駅間が短いせいかおよそ東北のJRに乗っているような気分はせず、首都圏の路線、もしくは私鉄に乗っている感覚でした。

それもそのはず、仙石線は元々私鉄として誕生した路線です。電化方式が直流なのもこのためで、他の東北のJR線と車両を共通運用できず、その代わり首都圏から送り付けられた205系を使っているのです。車両もまた、東北のJRらしからぬ感じを醸しています。

車内は、早朝の高城町行きなのでガラガラ。一方、途中すれ違ったあおば通行きは席が埋まっていました。

外の景色は暗くて見えないので、のんびりと走行音を聴いていました。とくに地下区間では、響く音が気持ちいいと感じていました。

走行音といえば、運転席のすぐ後ろに乗っていたので、運転席の音も聴いていました。時折聞こえてくるのは、「チン」という音。東塩釜までは保安装置がATACSという新しいものなので、ATCと同様に車上信号が変わる時の音が聞こえるのです。

東塩釜からはATSになるので、発車した少し後に「ジリリリ、キンコン」という聴き慣れた音が聞こえました。

さて、列車に揺られること40分、ボク終点のひとつ手前・松島海岸で下車。

なお、終点の高城町より先はまだ休止中でした。代行バスは高城町ではなく、ここ松島海岸から出ているようで、車掌の放送や駅の掲示でもそのように案内されていました。

松島の朝陽

松島海岸に来たのは、もちろん松島の景色が目的です。

松島には中学の修学旅行で一度来ており、その時見た景色はずっと見ていても飽きないと思ったほどに美しかったのを鮮明に覚えています。その時は日中(午前中)でした。またいつか、今度は違う時間帯に来よう、と胸に誓って、松島を後にしたのでした。

ボクにとって、2度目の松島。空はボクを待っていたかのように晴れており、変わらぬ美しさの景色はこの後約1時間強にわたってボクを魅了し続けるのでした――


列車を降りる直前に、ボクはすでに魅入られていました。明け方の幻想的な空と、うっすら見える景色が胸を打ったんです。

駅を降りたら、海岸沿いに歩いていきます。その間に、空はいつの間にか明るさを取り戻し、景色がはっきり見えるようになっていました。

海岸から見える、「日本三景」の夜明けは――

未だこうこうと光る月、紫雲たなびく空、そしてそれらに照らされた海と数々の島が織り成す情景。このように景色をありのまま言葉にできても、この景色を見た感動は言葉にはできませんでした。

なるほど、芭蕉が松島で句を読まなかった心情が理解できたように思います。「松島や ああ松島や 松島や」というのは後世に付け加えられた作り話だそうですが、いやむしろ余計な言葉すら野暮だ。「松島や」これで充分だ。

「某アイドル育成ゲームに登場する、My詩集を作ることを趣味にしているアイドル候補生」に対抗して歌のひとつも詠もうかと思っていたのですが、この時点で歌なんぞ詠む気失せてます。もう言葉はいらない。というか、ボクごときには言い尽くせない。そんな情景です。

ふと海と反対の方に目をやると、地元の方は目もくれずにランニングや犬の散歩をしていました。普段から見ているからなんでしょうが、なんて幸せな方々でしょう。いや、むしろこの景色で感動できないのなら、不幸なのか? ボクには知る由もありません。

……感想すら出てこないので、景色を見ながら考えていたことをそのまま文字に起こしてみましたが、「なにいってだこいつ」な内容ですね。とにかくそれだけ感動を覚えたんです。これが、本当の意味で「あはれなり」というヤツなのでしょうか。

もう本当に食い入るように見ていまして、すぐ近くを走る国道45号線に絶えない車の音(しかも渋滞!)も全く聞こえていませんでした。結構エンジンの音がひどかったのに。あ、ちなみに仙台方面よりも石巻方面が渋滞してました。


……さて、空は少しずつ明るくなっていきます。でも、それは夜明け前の松島の、幻想的な情景が移ろうことを意味します。「朝日よ、もう少し昇るのを待ってくれ」……つい、こんなことを考えてしまいました。

が、少し時間が経つと「いや、やっぱ待たなくていい」と翻意。なぜなら、明るくなるにつれて少しずつ移り変わる松島の表情が、素晴らしかったから。

6時35分ころ。朝日がついに顔を出し始めます。福浦島の向こうから朝日を拝みます。少しずつ顔を出す朝日と、赤色の日差しにきらめく海が、まさに「あはれなる」情景を生み出していました。

もはや、「見ていて飽きない」を通り越し、「自分のようなだらしねぇ人間が見ていていいのか」と心が痛むほどでした。

――松島や。


朝日が島の上まで昇るのを見届けた後、五大堂くらい見ていこう、ということで移動。修学旅行でも来ているので、懐かしさも感じました。五大堂がある島から見る景色も良く、ここで朝日が昇るのを見てもよかったかな、と思いました。

まだ開いているわけもない五大堂を外から眺めたら、先ほど朝日を眺めていた場所に戻りました。

さて、ここでこの景色を眺めながら朝食としゃれこみましょう。……ファミマで買った朝食をね。

ええ。何の変哲もない、おにぎりと、ファミチキと、野菜ジュースです。でも、景色があまりにもいいので、コンビニ飯らしからぬおいしさでしたよ。

というか、ファミチキは普通においしかったです。普段はファミマに行かないのでファミチキは初めてだったりします。思っていたよりおいしかったのでびっくり。

しかし、晴れてよかった。天気予報では(確か)曇り時々雨だったので、期待せずに来てみたんですが、見事に晴天でした。松島の朝陽をたっぷりと楽しめたことに、感謝しなければなりませんね。

さて、次の観光地に行くべく、仙台駅に戻ります。

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