「見えないもの」を、見に行こう 文化の秋・道内日帰り3連チャン(平成28年10月8~10日)
1日目(平成28.10.8) part3/4「二風谷②」
レンタサイクルでびらとり温泉へ

沙流川歴史館で無料で借りた自転車で向かうは、びらとり温泉。
アイヌ文化博物館からは1km強離れています。荷物があるので徒歩だと少々骨ですし、バスを使うと出費がかさみます。自転車を無料で使えるとなると、体力・懐の両面でラクになります。まさに「渡りに舟」。
……と思ってたんですが、自転車を押して施設の外に出たら、まるでそれを待っていたかのように小雨が降りだしました。はいはい、そんな予感はしてましたよっと……。
しかし雨はすぐ収まったので、そのまま強行。国道に出て、振内・右左府方面に何分か。すると看板が見えてくるので右折。ちょっと坂を上って、バス停が見えたらそっちに行くと到着。
ただ、この行程の大半が上り勾配という問題点が……。変速機のない自転車なので、あっという間に息があがっちゃいます。

ともあれ、何事もなく、目的の「びらとり温泉 ゆから」に到着でございます。
レストラン付きの入浴施設で、宿泊もできるようです。今回は、食事とお風呂が目的。
先ほど買った共通入館券を呈示して入場。お昼なので、先に食事をとることにして、レストランに向かいました。
食券を買って、店員に渡してテーブル席に座ります。メニューは事前に目を付けていた、「ニシパの恋人ランチ 平取産黒豚のやわらか角煮」にしました。平取名産のトマトと豚肉が味わえるということで、かなり期待して注文しました。
料理が来るまでは店内を見回していました。落ち着いた内装(施設全体に言えますが)で、ところどころにあるアイヌの紋様が彩りを加えます。


しばらくすると料理が運ばれています。食券を渡してから席に着いたのに、店員はきちんとボクの席に注文通りのものを届けてくれました(当たり前のようで実はそうじゃない)。
このランチメニュー、大当たりでした。豚肉は最も食べやすいであろう柔らかさに煮てあり、そこに上質の甘酢がピッタリ合います。野菜や舞茸(これも地元産かも? 鮮度がよかったような……)もまた甘酢でいただくと絶品。トマトジュースはいかにも農園のジュースという感じの、トマトが持つ自然味が生きていてスッキリおいしい一杯。これで980円、かなりの太っ腹。札幌ならこのレベルの飯は1200~1300円でしょう。
本当においしくて、ちょっぴり感動すら覚えました。がっついてはいませんが、箸を休めることなく食べていました。
レストランには、地元の方(たぶん)も結構来ていました。平取本町から車で来て、風呂入って食事とる、という利用が多いのでしょう。レストランの食事のおいしさを考えれば、車を走らせてでも向かう価値がある、というものです。
食後は休憩スペースで30分ほど休憩。食べてすぐ風呂に入るのは体にダメージになりますからね。
休憩スペースにはテレビが置いてあったのでそれを見つつ「やっぱ久本さんトークうめえよなあ」とか考えたり、あるいはこの旅行記を書いたりしていました。

休憩後、温泉に入るべく浴場に移動しました。
浴場は過ごしやすく、ゆっくり日常の疲れを飛ばすことができました。お湯はこれといってビビッとくるものはありませんが、悪くもありません。
で、浴場内では(というか館内全体で)BGMが流れていて、曲目がエ〇クト〇カルパ〇ードだったんですよね。いずれ例のネズミに消されるんじゃ……要らん冗談はよそう。
露天風呂があり、外は色づき始めた木々がきれいでした。しかし、降雨……。風流っちゃ風流ですけど、今ボク自転車使ってんのになあ……。
風呂からあがったら、またしばらく休憩。あがってすぐ自転車乗るのはキツイんでね。
萱野茂二風谷アイヌ資料館
風呂上がりの休憩が済んだら、再び自転車にまたがり、先ほどの沙流川歴史館に戻り、自転車を返却します。本当はその付近のスポットを自転車で巡ったあとで返そうか、と思っていましたが、雨なのでやめます。
徒歩に切り替えて、今度は萱野茂二風谷アイヌ資料館に向かいます。国道を渡って東に歩きます。

雨が降ったり止んだりする典型的な「秋の空」と格闘しつつ、資料館に到着。
萱野茂は、アイヌ文化研究の大家のひとり。亡くなるまで、奥さんと二人三脚でアイヌ文化の資料を集めたすごい人です。そのコレクションの一部が、午前中に見学したアイヌ文化博物館に寄贈されています。
こちらの資料館は先ほどとは違い、きっちり資料の体系化がなされているとはいえません。ですが、展示品ごとに詳しい説明があるので、博物館を見た後でその補足として見ると、理解が深まります。
そのほか、萱野氏が出版したアイヌの民話集のCDを聞けるコーナーがありました。セルフサービスでオーディオの電源を入れて、再生。あらすじは置いてあったファイルに書いてあったのですが、アイヌ語でお話を唄われてもサッパリ。ただ、初めて聴くという新鮮さから、パリッと背筋伸ばして聴いていました。
二風谷を出て、北へ
資料館を出て、国道まで戻ってきました。この後は富川方面に戻るのではなく、さらに北に向かい、日高町(右左府)に行きます。
バスの時間まで40分ほど余しました。この時間は、先ほど駆け足で見た沙流川歴史館をもう少しだけじっくり見る時間に充てました。
それでも20分ほど時間が余りまして、他にすることもないのでバス停で待つことに。
周辺は、団体客などがいた午前中とはうって変わり、観光客が全然見当たらない寂しい状態に。空もどんよりで、秋ですからすでに暗くなり始めています。寂寥感に襲われます。

午後4時15分すぎ、これから乗る道南バスの「特急ひだか号」・日高ターミナル行きが到着。定刻より5分以上遅れており、一瞬ヒッチハイクが頭に浮かびましたが、バスがちゃんと来たのでひと安心。
乗ろうとすると、運転手の方が乗るバスを間違えていないか確認の声をかけてくれました。日高ターミナルに行くので間違ってはいませんが、心やさしい運転手さんの精神にあっぱれ。
実は今回の旅行(というか散歩)の前日に、道南バスに電話してバスの運賃を調べたのですが(ネットで探し回ってもわからんかった)、すぐに調べてやさしく教えてくださいました。細かい気配りには頭が上がりません。
車両は高速バスタイプで、4列シート。苫小牧と平取・日高町を結ぶ長距離路線なので、長距離客のために高速バスタイプを充当しているんですね。
車内は他に乗客が2人。一応愛称付きの都市間路線なわけで、もうちょい人がいるかと思っていたら、ひどい有り様でした。平日だとまた違うのでしょうか。

さて、バスは沙流川のほとりをさらに上流に進んでいきます。上流になるにつれて、穏やかだった流れが急になります。
二風谷までの道中も結構な過疎地帯を走っていましたが、ここからは振内の市街地を除くと先ほど以上に人口密度が低い地域が続きます。
4時半にもなるとだいぶ外が暗くなってきます。窓の外が見えなくなってきました。ここは休息をとることにして、後ろに誰も乗っていないので遠慮なく座席をリクライニングさせて、のんびりと車内で過ごします。
途中からは雨も降りだし、手が届きそうな高さにも雲が出ていました。
バスは途中のバス停をどんどん通過し、一路日高ターミナルへ向かいます。特急バスということで、停留所の数を絞っているようですが、いずれにせよ人が乗り降りしないので変わりません。
5時すぎ、長い山道が終わって、日高町(右左府)が近づきます。
5時5分ころ、終着の日高ターミナルに到着。二風谷発車時点での遅れは解消し、日高ターミナルはむしろ若干の早着。バスカード(と不足分の現金)で運賃1,470円を払って下車しました。