「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

……北海道の旅行・鉄道の魅力をアグレッシブに発信する"闘う情報サイト"です。

  1. トップページ >
  2. 北の大地のHEATな旅路 >
  3. 潮風とともに 小春日和は、小樽日和 >
  4. 余談 札幌~小樽で乗車した列車について

余談 札幌~小樽で乗車した列車について / 潮風とともに 小春日和は、小樽日和 / 北の大地のHEATな旅路・番外編

※完全に余談です。

今回「小樽潮風高校Project 小樽まちめぐりスタンプラリー」に参加するために、札幌~小樽(または南小樽)間をJR北海道 函館本線の列車で移動しました。

このうち、往路で利用した便は、いずれも「令和2年(2020年)3月のダイヤ見直しで改善された列車」でした。

このページでは、それらの便の利用状況と、それを見て考えたことをまとめていきます。

本題の「小樽潮風高校Project」およびスタンプラリーの話が全く出て来ない、ひたすら鉄道の話をするだけのページですので、ご興味のない方は読まなくても差し支えございません。

早朝に増発! 普通列車122M(札幌6:28 → 小樽7:16)

まずは初日、11月16日に乗車した、札幌6:28発の小樽行き普通列車から。

コストを増やさず利便性アップ! 見事なダイヤ改善

従来、朝6時台に札幌駅から手稲・小樽方面に向かう列車は、6時過ぎの始発然別行きと、7時前の小樽行き(岩見沢始発)の2本しかありませんでした。

本数が少ないので、小樽に朝早く行きたい場合にとても不便でしたし、始発然別行きは短い2両編成、かつ後続列車との間隔が広いため通勤・通学客などで混雑していました。また、特に札幌~手稲間は人口の集中具合に比べて本数が少なすぎる状況で、何とかならないものかと思っていました。

令和2年見直し(「改正」とは死んでも言いたくない)で、札幌6:28発の小樽行きが増発され、列車の間隔が大きく縮まり便利になりました。

千歳からの始発列車とも接続する時刻設定(しかも対面乗り換え)となっているので、白石区・厚別区や北広島・恵庭・千歳各市からでも利用可能なのも嬉しいところ。

これによって、通勤・通学などが一気に便利になりました。7時台前半までに小樽に行きたい場合の選択肢が増えたことで、始発列車の混雑も緩和されたことだと思います。


さらに、同じダイヤ見直しで小樽から札幌方面に向かう便にも改善がありました。

札幌駅に8時過ぎに着く、ほしみ始発の普通列車が延長され、小樽始発(7:16)になりました。これで、従来ダイヤだと小樽7:12発と7:26発の間が14分空いていたのが、間隔が10分以内に収まりました。

朝は手稲・小樽方面から来る列車がかなり混雑しています。特に小樽始発の列車に混雑が集中しているものと思います。小樽始発の便が増えることで、混雑が平準化されて利用しやすくなっていると推察します。

当然ながら、もともと朝ラッシュの時間帯は車両をいっぱいいっぱいまで使って、札幌圏の通勤・通学需要に応えています。そこに2本も改善を加えたわけですから、そのための車両はどこから来ているのか、という話になりますが……。

どうやら、従来のダイヤでは朝の時間帯に、札幌運転所(手稲区)から小樽まで早朝に回送列車が1本あったほか、手稲を7時前に発車する札幌方面行き列車に使う車両は小樽から手稲まで回送していたようです。

先ほど説明した輸送改善は、この2本の回送を営業運転列車に振り替える形で行われているのです。

若干列車の走行距離が延びていますが、必要な車両・運転手・車掌の数は変わっていません。最低限のコストで改善を実現したわけです。実に見事な一手でした。

(余談の余談)なぜそのような、一見無駄に見える回送列車があったかですが……、ちょうどこれらの列車に関する資料があり(脱線事故の調査報告書ですが……)、それによるとこれらの回送は銭函駅の中線を経由していたとのこと。営業運転に使っていない小樽方の分岐器の錆取りを兼ねていたようです(線路は最低1日1回は列車を走らせないと、錆びて使えなくなります)。

ダイヤ見直し後は、他の回送列車で銭函駅中線の錆取りを行う形で対応したものと推測します。(余談の余談おわり)

早朝でも需要は十分! ~乗車インプレッション~

実際に乗車した際の利用状況をまとめます。

乗車日は令和3年(2021年)11月16日 火曜日。普通の平日で、COVID-19による行動制限は出ていない状況です。

車両は721系4000番台の6両編成で、ウォッチしたのは前から3・4両目。札幌駅発車時点ではいずれも窓側の座席が全て埋まり、立ち客も少しいる状況でした。(COVIDの影響で相席を嫌う人が多く、通路側はほぼ常に空いていました。)

手稲までの各駅で細かく乗降があり、市内の短距離移動の需要がしっかりあることが窺えます。

手稲で大量に降りるものかと思いましたが、実際はそうでもなく、また手稲からの乗車もあったため、以降もほとんど全ての窓側座席が埋まっていました。自転車をuシートの荷物置場に置きたかったから、uシートに座りたかったんだけどなあ……。

その後星置でも様相は変わらず。札幌から小樽へと、市をまたぐ利用が多いようです。星置発車時点で結局uシート着席をあきらめ隣の車両に移りました。

銭函・朝里・小樽築港と、小樽市内の各駅でも人がちょこちょこ乗ってきます。小樽市内の通勤・通学にも使われていることがわかります。

結局1区間たりともガラガラになることなく、小樽に到着。列車は折り返し、新千歳空港行き列車(札幌から快速エアポート84号)になりました。

短距離・長距離とも十分な需要あり! ぜひ継続運行を

以上に見てきた通り、この便は「札幌市内相互」「小樽市内相互」「札幌市→小樽市」のいずれも、しっかり利用が付いていることがわかりました。

乗客の数としては、6両すべてが同様の乗車率だと仮定すると、140~150名くらい。区間によりばらつきはありますが、どの区間でも100~180名くらい乗っていたと想像されます。

おそらく、大半は従来前後列車に乗っていた人だと思います。でも、選択できる時間の幅が一気にグンと広がっているので、1人あたりの便益は大きく、人数で掛け算したらけっこうな数字になるはずです。

特に短距離の利用客にとっては、乗車時間よりも「列車待ち時間」や「いい時間に目的地に着くかどうか」が重要なわけで、そこが大きく改善されていますので、便益はさらに大きいはずです。

また、2両編成で混み合う始発列車の混雑緩和にもなっているはずなので、ダイヤ見直し後も引き続き始発列車を使う人にとっても改善です。(公共交通ってのは詰め込めばいいってものじゃありません。混雑緩和もコストに見合ってさえいればれっきとした「改善」です。国交省のマニュアルにも記載があります。)

また、一気に利便性が上がっているので、少数かとは思いますが新規客の掘り起こしもあると推察します。小樽駅にけっこういい時間に着くので、小樽駅方面に向かう人で「いい時間に会社や学校に着ける便がない」ために車やバスを選択していた層を取り込めている可能性が高いと思います。

既存客の利便性アップに加えて、最低限のコストで新規客ゲットと来れば(仮定の話ですが)、営業的にも大成功です。

この列車は非常に大きな価値があると思います。是非、今後も継続して運行してほしいと考えます。


ついでにもう一つ。

札幌市内の短い距離を移動する需要というのが、早朝の時間帯でもいろいろな区間、かつ両方向に存在し、一本一本は細くても足すとけっこう太い線になる、ということが今回あらためて確認できました。この区間は地下鉄と同様に、各駅列車の果たす役割が大きいわけです。

令和2年ダイヤ見直しでは快速列車の大減便と引き換えに札幌~手稲間で普通列車が増便されましたが、快速減便の是非を措いて普通列車増便についてのみ評するなら、まさに「大正解」だった、と確信を持って言う事ができます。

9時台に初の快速エアポート! 快速エアポート85号(札幌9:12 → 小樽9:44)

次いで2日目、11月23日に乗車した、快速エアポート85号について。

旺盛な観光需要に応えた、小樽行きエアポートの追加設定

札幌を朝9時台に発車する小樽方面行き列車は、以前のダイヤだと区間快速いしかりライナーが1本ある以外、すべて普通列車でした。速達性が高く、指定席が設定される快速エアポートがこの時間帯に運行されたことは、エアポートが運行を開始した平成4年(1992年)以来ありませんでした。

令和2年に、朝に運行される空港発・小樽行きの快速エアポートで、札幌~小樽間を普通列車として運行していた2本が、全区間快速運転に変更され、これにより史上初の「札幌朝9時台発の小樽行きエアポート」ができました。(札幌9:12発のエアポート85号と、9:47発のエアポート91号。)

同時に、小樽を夜7時半ころに出る空港行き(札幌から快速エアポート)も全区間快速運転に変更となり、遅くまで小樽に滞在しても札幌に戻りやすくなりました。

(ただし、区間快速は普通列車格下げのため、朝9時台の小樽行き快速の合計本数は差し引き1本増、7時台の札幌方面行きはプラマイゼロ。)

札幌~小樽間は旅行者の需要が太い区間。その需要に応えて、観光利用が多い時間帯に速達列車を設けたことで、利便性が大きく上がっています。また、札幌市内の短距離利用との「遠近分離」により、車内混雑の緩和も見込まれます。

JRの立場から見ても、朝の2本は従来のダイヤだと小樽到着後の折り返し時間が短く、ダイヤ乱れのリスクが高かったのが、快速化によって小樽で余裕を持って折り返せるようになっています。

また、単なる快速・区間快速ではなく、指定席が設定される「快速エアポート」なので、着席需要に応えられるのもポイント。

快速エアポートであっても、札幌以西を普通列車として運行する便は、札幌以西で全車自由席となります。そのため、このダイヤ見直しで全区間快速運転化された3便は、従来は札幌~小樽間は全車自由席だったわけです。全区間快速化によって札幌以西でも指定席が設定されることとなり、料金さえ払えば確実に座れるようになりました。大荷物だと非常に嬉しいところです。

こうした旅行需要をきちんと認識しているにもかかわらず、なぜ区間快速を全便廃止したのかについては不可解きわまりないところですが、少なくとも札幌朝9時台と小樽夜7時台については大きく改善されました。前々からやってほしいと思っていた改善なので、とてもありがたく思っています。

指定席利用しっかり ~乗車インプレッション~

こちらも、実際の状況を書いていきます。

乗車日は令和3年(2021年)11月23日、勤労感謝の日。外国人観光客こそほぼいない状況ですが、COVID-19による行動制限は出ておらず、かつ祝日なので行楽客が多い日でした。

乗車したのは指定席。なので自由席の状況はわかりません。悪しからず。(少なくとも「大混雑」はしていなかったはず。)

札幌から筆者以外にも数組が乗り込み、利用は筆者が乗った側の半室だけでも10人を超えていました。自由席でも着席自体はできたと思われるのに、それでもこの利用状況。やはり観光・行楽だと指定席の選択性向が高いです。

当然ながら、全員が小樽市内に直通。車内では各々思い思いに食べ物や飲み物を広げたりして過ごしていました。ロングシートだとこれが難しいので、確実に車内で自由に過ごせる指定席は単に「座れる」以上の価値があるといえます。

指定席なので途中駅での動きは特に無し。筆者は南小樽で下車しましたが、大半が小樽駅まで乗り通すようでした。

こちらも施策として上々! 継続実施を

もう十分書いたような気がしますが、一応あらためてまとめ。

札幌~小樽を乗り通す需要の多い時間帯、かつ指定席需要の大きいところにエアポートを設定ということで、需要にマッチした正しい施策であります。

今回乗ったのと同じ便に、令和2年ダイヤ見直しよりも前、つまり札幌~小樽間が普通列車だった頃に乗ったことがありますが、その時は途中駅利用も多く結構混んでいました(外国人需要があったというのもありますが)。近距離客が分離されたことで混雑が緩和され、観光・行楽客にとって乗りやすくなっているのも大きなポイントです。

ちなみに帰りの列車でもuシートに乗りましたが、こちらも自由席に(小樽発車時点で)空席があったのに、指定席が埋まっていました(!!)。平成28年(2016年)の値上げにもかかわらず、観光・行楽ではこれだけ指定席が選ばれているわけです。

参考までもう一つ、前年に小樽に行った際にエアポート91号に乗った時も、ビジネス客の指定席利用があったのを確認しています。観光・行楽以外でも、エアポート増発による指定席需要の掘り起こしができているわけですね。

観光・行楽客の移動時間短縮、着席需要への対応とそれによる増収、近距離客との遠近分離と、文句の付け所がありません。こちらも、是非今後も継続して実施してほしいものです。

また、外国人観光客が戻った後でいいので、旺盛な需要にもっと積極的に対応してほしいところ。快速が毎時2本だけでは、さすがに足りなくなるはずです。

まとめ

……いや何をまとめることがあるんだ。

えっと、両方ともいい改善ですので、皆さんも是非有効にこれらの列車を活用してください。小樽はいいぞ!!

……いやヤケクソすぎやしないかこのまとめ。

参考文献
JR北海道 令和元年12月13日ニュースリリース「2020年3月ダイヤ改正について」(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20191213_KO_kaisei.pdf)
鉄道事故調査報告書 北海道旅客鉄道株式会社 函館線 銭函駅構内 列車脱線事故(http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2019-1-1.pdf)、国土交通省 ※令和4年1月1日閲覧

表紙

  1. 表紙・もくじ

Act.1 自転車で祝津&地獄坂めぐり(11月16日)

  1. 前編
  2. 後編

Act.2 白雪の市街地さんぽ(11月23日)

  1. 前編
  2. 後編

余談 札幌~小樽で乗車した列車について

  1. 余談

「北の大地のHEATな旅路」のトップに戻る

当サイトトップページに戻る