潮風とともに 小春日和は、小樽日和 Act.2 前編 / 北の大地のHEATな旅路・番外編
小樽潮風高校Project 小樽まちめぐりスタンプラリー。小樽市内12ヶ所のチェックポイントを巡る企画です。
参加2日目は、残り8ヶ所のスタンプを集めながら、小樽中心街の観光・街歩きを楽しみます。
初日のあらすじ
サイトのネタを求めて「小樽まちめぐりスタンプラリー」に参戦し、自転車を駆り4ヶ所のスタンプを得た筆者。
その日のうちに別の用事をこなす必要があったため、残りは後日に積み残すこととし、急いで札幌に戻る。
何とか時間までに用事を終わらせほっとしたのも束の間、帰路の途上で疲れからか不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡が言い渡した示談の条件とは……
賑わう堺町通り
初日から1週間後、11月23日、勤労感謝の日。再びの、旅立ち。
この日は自転車は持って行かず、普通に徒歩で巡ります。しばらく輪行旅ばっかりしていたので、かえって違和感が(苦笑)
快速エアポート85号に乗り込んで、一路小樽へ。天気は……。
……あの、視界が白いんですが。
銭函を過ぎたあたりから、明らかに風雪。予報通りなので気持ちの準備はしていますが、できれば外れてほしかった……。
小樽市街が近づくと風は収まりましたが、でも雪は雪。「小春日和」とはいったい……。
ええい怖気付くな。「気温がプラスなら小春日和」。いいね?
覚悟を決め、南小樽駅のホームに降り立ちます。今日は初日の逆で、南小樽駅スタート・小樽駅ゴールで行きます。
さて、手袋を履いて行動開始。
というか寒い。空気はひんやり、そして空からは大粒の雪。他にも観光・行楽っぽい人が何組か降りましたが、それぞれ寒そうに歩いていきました。
そんな寒空の中、まず向かうはメルヘン交差点。
筆者は久々に来ましたが、レトロな建物はやっぱりオシャレでいいですね。白雪との組み合わせもグッと来ます。
寒くなる前にどんどん行きます。堺町通りに入り、最初のチェックポイント「堺町通り観光案内所」へ。ここに、堺町通り商店街のスタンプがあります。
お次のポイントは……っと、隣にありました。雑貨・お土産を扱う「小樽 福廊(ふくろう)」さんです。
開店直後だったので、店員さんはまだ床掃除中でした。邪魔にならないようにしつつ、スタンプを捺し、商品を物色。
北海道の土産屋の定番グッズはだいたい揃ってます。あとキャラクターのぬいぐるみとかとか。
小樽潮風高校PJのグッズも置いていました。クリアファイル(¥550)を購入。
また、店名の通りフクロウのグッズ(ガラスの置物や木彫りなど)がたくさんあり、見ていたら欲しくなりました。
北海道の先住民族・アイヌ民族は、シマフクロウのことを村を見守る「コタンコロカムイ」と呼んで慕っています。日本語でも「フク」ロウですから縁起が良い。こうしてこの店に来たのも何かの縁ですし、一つ家に飾ろう、と。
木彫りのフクロウは既に持っているので、ここは小樽らしいところで、小樽製ガラスの楊枝入れ(¥2,530)を購入。
さて、これで残り6ヶ所。
この日は祝日で、COVIDに伴う行動制限も解けているので、堺町通りはけっこう多くの人が歩いていました。
商店街はやはりというか、大きな打撃を受けているようです。ある店の前には、「お客様来ないからもう笑うしかない」「助けてください」という、悲痛な訴えのポスターがあり、その痛みがこちらまで伝わるようでした。
そもそも感染拡大は筆者はじめ我々一人ひとりの努力不足の帰結。きちんと手を洗わなかったから、マスクを不用意に外したから、考え無しに人の集まるところに行ったから……。それで辛い思いをさせてしまっているわけですから、ここはいろいろ食べ歩いたりして、少しでもお金を……
……と思いましたが、直近の北海道内のCOVID新規感染者数が11月16日に35人、17日に40人、21日に25人と、月初に比べると急増しており、また直近数日の札幌市街のマスク着用率もかなり低下しているように見受けられ、さらなる感染拡大が懸念される状況でした。今回は慎重に行動せざるを得ないので、食べ歩きは自重。すまない……。
替わりではありませんが、家で食べる用のお菓子をルタオ本店で買っていくことに。「本店限定」という売り文句に惹かれ「プチショコラ アマンドホワイト」(¥864)を購入。食べ慣れたストロベリーのやつとは一味違って、これもまた見事。後日家族でおいしくいただきました。
レトロなまちを歩こう
次の目的地はちょっと離れていますが、雪がおさまってきたので、歩いていきます。
まずは堺町通りをこのまま西へ。レトロな木造・石造りの建物がいくつも見られ、歩いているだけで楽しいです。この「歩くだけで楽しい」ってのが小樽の魅力だと思っています。
堺橋の手前で左折し、寿司屋通りから旧手宮線遊歩道へ。やや遠回りですが、せっかくなので手宮線経由で。
旧国鉄手宮線の廃線跡を活用した遊歩道。何度も歩いていますが、雰囲気が良くて飽きない道です。
草むした大地の上に、赤錆びたレールと、木の枕木。それらがまっすぐ先まで続く。これだけでフォトジェニック。(まあ木の枕木は現役路線でも高速走行を想定しない線路……最高速度95km/h以下の路線とか副本線・側線とかならまだ見られますが。)
やっぱり、小樽の街歩きは楽しい。一度、暖かい晴れの日にタップリ時間をとって歩いてみたいものです。
小樽の文学界を知る
この日3つ目のスタンプを求めやって来たのは、小樽文学館。
スタンプだけなら入館料はいらないとのことでしたが、せっかくなので見学。入館料は300円。
併設の美術館とのセット券をおすすめされましたが、今回は時間の都合で、文学館のみ入ります。
あまり文化・芸術系の施設に入ることがないので、新鮮です。
館内では小樽にゆかりのある文芸者に関する展示が並びます。
まず企画展として、生誕120年を迎えたという「沙良峰夫」という詩人の展示が出ていました。
筆者はこの人物は知らず(というか文学はさっぱりで)、ネットで調べても全然情報が出ません。展示されている詩も、感受性がゼロを通り越してマイナスな筆者にはピンと来ず、ど~にもコメントできないのが歯がゆいところ。
常設展も見ていきます。時間の都合で全部は見られませんでしたが……。
力が入っている展示としては、まず有名な小林多喜二。プロレタリア文学といえばこの人ですね。壮絶な人生を物語る展示が印象的。
それから、伊藤整。あの「チャタレイ事件」で有名な『チャタレイ夫人の恋人』を翻訳した人で、詩・小説・評論などで活躍したといいます。展示室内には作業部屋が再現されていました(本などが山積み)。
また、高校時代に伊藤が塩谷~小樽間で「汽車通」していたということで、当時の客車のボックスシートを再現したブースがあり、しかも窓枠部分には画面が付いていて同区間の車窓の動画が流れていました。なんという鉄道ファンホイホイ。映像はさすがに伊藤が使っていた時代のものではありませんが、今や過去のものとなったキハ40・150形時代の映像で、当時の車内放送も入っていて懐かしい。
他にはアイヌの悲哀を詠った詩人の違星北斗の展示も。さらには石原慎太郎の展示もあって、なんか妙な気分に(存命ですしね ※追記:令和4年2月1日に逝去されました)。
文学以外に、90年代以前のアーケードゲームに関する展示も。ストリートファイターやドルアーガの塔など、筆者にしてみたら伝説みたいなゲームのパンフレットとかが張ってあって、目を引きます。
なお、文学館ではオリジナルグッズ(文学の偉人のデフォルメ絵のクリアファイルとか)や、文芸やデザインなどに関するさまざまな書籍・冊子が売られていました。ちょっと気になりましたが、急ぐのでまたの機会に。
こうしていろいろ見てみると、今まで全然小説とか詩集に興味なかったのに、気になってくるから驚きです。筆者はどちらかというと右寄りの思想なので小林多喜二の著作は避けてましたが、毛嫌いも良くないかなと。違星北斗も、アイヌのことを知るために読んでみるべきでしょうか。大量の積み本があるので、なかなか手が出せませんが……。
大正解! 喫茶コロンビアでランチ
さて、ここらで腹ごしらえ。
この日もお昼は花銀商店街。初日に続いて、この日も「銀ブラ」ってわけです。モボでしょぉ~?
この商店街、館ブランシェや花園だんごの新倉屋、寿司屋などなど気に入ったお店や気になるお店が多くて何度も来てますが、そのうちに結構気に入っちゃってます。
さて今日のお昼のテーマは、「小春がランチに行きそうなお店」。
あいつが小樽市内、かつチェーン以外でランチするとしたら、おそらくサンモールの「ニュー三幸」さんか――
ここ、花銀の「コロンビア」さんでしょう。
昭和な雰囲気漂う喫茶店で、長年にわたって市民に愛されているといいます。内装に華があって、入った瞬間お気に入りリスト追加。
あまり密にならないようお昼前に入りたかった(さっきから急いでいたのはそのため)ところですが、結局正午を回ってしまいました。ただ、座席の間隔が広く、両隣も黙食してくれていたので、結果オーライ。
こういうお店で頼むものといったら、ハンバーグとエビフライ、と相場が決まっています(そんなことはない)。ハンバーグ&エビフライセット(¥1,150)を注文。
はい、どーん!
うんうん、こういうのでいいんだよこういうので。別に特別豪華じゃないし、地産地消を売りにもしていない、何の変哲もないハンバーグとエビフライ。でも、だからこその良さがあります。
ボリューム感もたまりません。無心で頬張ると、素朴な幸福感に包まれます。やはりハンバーグとエビフライは、喫茶ランチの"ゴールデンペア"です。
合間にライスや野菜、スープを。スープはコンソメ。シンプルなのがかえって「らしさ」があってよろし。
そして、またハンバーグとエビフライを口に運ぶ。なんでこんな良いんだろな、こーゆーとこでこーゆーランチ食うと。
んで、食べてる間にどうにも気になってしまったのが、「パイセット」(¥850)。最近甘いものを控えていた反動?
……ただなあ、もう結構食べたし、どーゆーわけか値も張るしなあ。
……なぜ、ベストを尽くさないのか?
まだ腹は八分目。それに、今日は食べ歩きを控えているわけで、飲食業支援したいならここしかない。なぜ、ベストを尽くさないのか?
ぬおおおおおおおおお ベストだあああああああああああああ
というわけで追加注文。少しでも野菜を摂りたいのでパイはアップルパイを選択。飲み物はコーヒーで。しばらく待って登場したのは――
……なんか、随分でかくないか。
850円はずいぶん高いなと思っていましたが、なるほどサイズの分と。
いやーしかし参ったな。もっと小さいサイズを想像していたので、腹に収まるか不安。
とりあえず食べ始めます。こちらも特別感はないものの、優しい味わいがリンゴの甘味と合わさってイイ感じ。豪華じゃなくても、こういうある種「ふつうの」ものを、誰はばかることなく頬張る幸せってのも、また格別なもんです。
そして、コーヒーをすする。コーヒーもそこまで好きではありませんが、甘味を引き立てるにはコレです。
最後は腹がきつくなりましたが(小食なもので……)、おいしくいただきました。
始めて入ったお店でしたが、おいしいし居心地もいいし、これは来て正解でした。(心の中で)両手を振り上げガッツポーズ。