「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

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道東横断~グルメ時代を旅する~(平成27年8月23~27日)

4日目(平成27.8.26) 5/6ページ「えりも岬①」

かつての面影漂う旧広尾駅

広尾のバスターミナルにて、バス待ちです。

このターミナルは、かつての国鉄広尾線の終着駅である旧広尾駅の駅舎をそのまま活用しています。

建物内には、当時の時刻表やラッチなどが当時のまま残っています。また改札(だったところ)から外に出ると、やはりほぼそのまま残っているホームに出ることができます。きっとかつては観光客でにぎわったのでしょう。

改札口付近にはスタンプが置いてありましたが、すり減っていてようわからなくなっていました。

駅舎の一部(改札に向かって左)は、広尾線の展示室となっています。在りし日の広尾線を想起させるような、駅名標や当時の時刻表、タブレット閉塞機などが展示されていました。ちょっとタブレット使ってみたいです。

いつまでも過去にすがってばかり、というのもどうかという感じですが、こういう展示を見て昔に浸るというのも、結構いいものです。なんか最近、このサイトで「古き良き国鉄時代」みたいなことを言う鉄道ファンを敵に回すようなことばかり言ってきたようにも思いますが、ボクにそういう趣味がまったくないわけではないんです。

そんな30分すっと見ているほどのものでもないので、ある程度見たり写真撮ったりしたら、あとは座ってバスを待ちます。旅行全体にわたって高いパフォーマンスを保つには、こういう時にボーっと休憩するのもコツです。

で、このとき待合室でバスを待っていたのはボクを除いてたった1人。このあと乗客数がどういうことになるかは最初からわかってはいましたが、やっぱり寂しい旅路になるようです。

さて、もうすぐバスの時間。暇なので早めに外に出てバスを待ちます。近くで駐車していたバスが、時間が近づくとのっそりと乗り場に入ってきます。ここからはジェイ・アール北海道バスです。札幌でも走っている、というか通学でこれでもかと乗った、青を基調とした塗装をまとった普通の路線バスタイプの車両です。

すぐに乗車し、運転士から3000円のバスカードを購入。プレミアが10%(300円)付くので、少し節約になります。以前は札幌でも使われていましたが、SAPICAに置き換わって廃止。このエリアではSAPICAが使えないので、生き残っています。

車内は案の定がらんどう。結局ボクのほかに学生が3人くらいしか乗りませんでした。夕方なうえに曇りなのでだいぶ空も暗く、すごい勢いで寂寥感がボクを包みます。

午後5時ちょうど、バスはえりも岬方面に向けて発車。旅もいよいよ佳境に入ります。

潮騒の黄金道路

バスは数分も走ると広尾の町を抜け、海岸地帯を走ります。

ところどころ港と集落があり、無人地帯ではありません。しかし、暗い空と海に、岩礁に打ち寄せる波が、どうしても「斜陽の港町」とか「誰もいない寒い海辺」というような沿線のイメージを想起させます。

海鳥(じゃなくてカラスかも)が飛び、時折トンネルをくぐる。このような風景が数十分続きます。

バスが走る国道236号は、黄金道路とも呼ばれる道です。海に面して崖になっている地形を縫って走るため、トンネルなどが多く、建設や改修などに多額のお金が必要だったためのネーミングだとか。海岸のごくわずかな平地を縫い、いくつものトンネルを通ります。トンネルは近年新しく作られたものも多く、車窓から国道としての役割を終えた古いトンネルが見えることもしばしば。

車はそれなりに走っていますが、道を歩く人もなく(それは札幌でも変わらんか)、さみしい限り。

そんな中目立つのが、バイクや自転車で旅行している旅行者たち。バスには誰一人旅行者が乗っていないのに、バスはたびたび自転車を追い抜きます。またバイクとすれ違うことも多かったです。これだけ素晴らしい海の景色が続くというのに、しかも未成線ながら国鉄沿線なのに、鉄道ファンは何をやっているのでしょうか。

いつしか学生たちもバスを降り、庶野を過ぎると残る乗客はボクひとり。人家もほとんど見かけなくなり、いよいよ「果て」に来た、と思わされました。

さてボクは、えりも岬の強風に備えて車内でウインドブレーカーを着て、帽子をバッグにしまいました。目的地が近づいています。

広尾から1時間弱。自動放送が「次は、えりも岬」とアナウンス。ボタンを押して、バスを停めます。

バスはほぼ定時にえりも岬バス停に到着。前々から訪れたかったえりも岬は目の前です。運転士さんはボクが帽子を脱いでいるのを見て、帽子は持ってるかと聞いてくださる優しい方でした。そんな運転士さんが運転するバスは、乗客0人というまさに「空気輸送」な状態でえりも岬を出て行きました。

ひとり、岬に残されました(実は他に人いた上に売店とかの人もいるんですがね)。

バス停から少し歩いて、岬の展望台を目指します。

夕闇のえりも岬

岬は、意外と風が強くありませんでした。風速10m以上の日が年間300日近くあるというえりも岬ですが、この時は風速10mもなかったように思います。

夕闇の中を突端に向け……の前に、ちょっとバス停近くの売店でお土産あさり。クリアファイルなどを購入。

お店を出て、上り坂を少しあがっていきます。

岬からの景色は……

見渡す限りの海。

暗い海にはさざ波が立ち、岬やそれに続く岩礁に当たって、低くうなる。岬の草花も、ならって風に波打つ。

晴れていれば、きれいな夕焼けが見れたのでしょうか。きっとその光景は、感動的という言葉では表現しつくすことはできないでしょう。

天気こそ悪いですが、それが「最果て」という印象となって、そこにいる人を飲み込んでいきます。頭も、心も、まさにオールクリアの状態で、しばし岬に包まれていました。

たぶん、今回見た景色の中で、最も印象的だったのが、このえりも岬の夕景。やっぱり、北海道の風景はハイレベルなものが揃っています。ボクは今、すごい所を旅行しているんです。

風景を目と心に焼き付けた後、この日最後の移動に臨みます。

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