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【平成30年9・10月】北!鉄!ニュースライナー 第3回

記事公開:平成30年11月16日

ゲニっとな(/A皿A)/

北海道の鉄道に関するニュースを取り上げる新企画「北!鉄!ニュースライナー」も、はや第3回。今回は大きな話題のない時期……のはずだったんですが、ご存知の通り大変なことが起きちゃったので、当初計画より分量多めになりまーっしゅ。

で、記事の順番ですが、いろいろ考えた結果、時系列順ではなく、第1回同様に札幌エリアは札幌エリア、特急は特急で、という風にまとめる形に戻すことにしました。ただし、ニュースの日付を付記することで、少しでもニュースを探しやすくします。

あと、最近ネット各所でいろいろと不確定情報が流れているようですが、この企画ではあくまで確定情報と断定できるニュースだけを取り上げます(ただし、そのニュースについてのコメントにはボクの予想なども入っています。不確定情報は明示します)。第1回の冒頭でも言いましたが、念のためもう一度……。

では今回も明るく楽しく時々マジメにやってきますよ。レッツビギン!

もくじ

【全道 9/6】北海道胆振東部地震で道内全鉄道路線が一時不通に

最初はやっぱりこの話題。9月6日に発生した北海道胆振東部地震(以下、「胆振地震」)で、北海道電力管内でほとんど全ての家庭・事業所への電力供給が停止する「ブラックアウト」が発生。その影響で北海道内のすべての鉄道・軌道が運行できなくなりました。

ブラックアウトに直接関係する話題は別の機会に触れるとして、鉄道関連の経過をまとめてまいります。


まず地震当日。地震から十数分後に発生した停電は朝になっても解消せず、道内の鉄道・軌道は始発から運行見合わせ。

JR北海道に至ってはWebサイトの管理すらままならない状況となり、一時的にサイトにアクセスできなくなったほか、回復後も最小限の情報を書いただけという、駅の貼り紙レベルの悲惨なサイトになってしまっていました。

この日は北電の必死の復旧作業にもかかわらず、鉄道の運行ができるほどの電力が回復するには至らず、そればかりか電力が全然復旧しない地域もたくさんありました。結果、鉄道はすべて終日運休となりました。

翌日(7日)になると電力の復旧が進み、一つまた一つと路線が復旧していきました。

運行再開第1号は、午前中に復旧した札幌市電。地下鉄ではなく市電というのは意外だと思いました。その後、北海道新幹線(12:37)、函館本線・千歳線札幌エリア(快速エアポートの札幌~新千歳空港間のみ、13時台~)、札幌地下鉄東西線(14:20)、同南北線(14:50)、同東豊線(同)、函館本線函館エリア(はこだてライナーのみ、17時台~)、宗谷本線旭川~名寄間(普通・快速のみ、19時台~)と続きました。

当然ながら電力供給が需要に追い付いていない状況で、エアポートは30分おき、地下鉄も十数分おきの運行となりました。なぜか東豊線が地下鉄で一番運行間隔が短かったのですが、編成が短いからでしょうかね。

また、快速エアポートは夜の時間帯の一部で各駅停車となったようです。快速通過駅の便宜を図る目的でしょう。

被災3日目(8日)は、始発から函館市電が復旧、札幌エリアでも函館本線小樽~札幌間・札幌~岩見沢間が順次復旧、千歳線の札幌~千歳間でも普通列車の運行が再開、その他のエリアでも一部路線の普通列車が再開しました。

しかし、これ以降JR線の動きが鈍化します。特急列車が走る区間を含め、復旧がなかなか進みません。

結局、特急列車(定期)の不通解消は地震から8日後の9月14日までずれ込み、その後も軌道変位・節電のためフル稼働ができない状態が長く続きました。また、定期特急が走らない区間の復旧はさらに遅く、被害の激しい日高本線は長期不通、線路被害のない路線でさえほぼ9月いっぱいかかってしまいました。


復旧に時間がかかったため、一部ではJRをずいぶんと悪く書く人たちがいました。曰く、「特急は早く復旧させるのに。不採算路線は運行する気がないんじゃないか」など。

悪口以外にも、運転見合わせを全部線路被害によるものだと決めつけて、「北海道全体でこんなに被害が出てるんだ」とか書いてしまう人もありました。

人の話聞かなすぎやろ。

どうしてニュースリリースくらい読めないんでしょう、評論家気取りの人たちは。

賢明な当サイトの読者の皆様はご存知のことと思いますが、軌道変位の影響があったのは千歳線(沼ノ端~南千歳)・室蘭本線(遠浅~三川)・石勝線(南千歳~追分)・日高本線の4路線4区間だけで、あとは停電によるものです。

「北海道はでっかいどう」という格言(?)をお忘れですか? 今回の地震はあくまで「胆振地震」であり、決して「北海道地震」ではありません。同じ北海道でも、揺れが小さく(停電以外は)地震の被害を全く受けていない地域もあります。過去記事でも述べましたが、函館も札幌も稚内も根室も十把一絡げにするのはやめてください。北海道のスケールをあやまたせるようないびつなモノサシは捨ててください。

「元気です北海道」キャンペーンを報じておきながら「北海道地震」を連呼してネガキャンを打ったNHKは絶対に許さない。

次に、これも言わずもがなですが、停電から鉄道路線を復旧するためには、ただ車両がスタンバイ状態になればいいだけではありません。線路やその下の路盤、信号やATSなどの運行設備と、様々なインフラを復旧する必要があります。

特に問題になったのが、踏切です。電力が戻った後、踏切がきちんと復旧しているかどうか、一つ一つ確かめる必要があるのです。それには人手も時間もかかります。確認作業にあたったJR北海道の社員は、大変な苦労をされたことでしょう。

踏切の確認が全部終わっても、まだ終わりではありません。地震発生以後1本も列車が走っていないわけで、その間に線路は錆びついています(JR北海道だからではなく、どこの鉄道会社でも1日列車を走らせないと線路は錆びます)。線路を研磨して、列車が走れる状態にしなければなりません。

最初にエアポートのみを動かすだけでも、相当な苦労があったようです。札幌~新千歳空港間と、車両基地からの送り込みのため必要な区間である札幌運転所~手稲~札幌間を復旧させるため、4つの変電所と全停車駅、そして運転所の電力が確保されるまで待たなければならず、その他に踏切や線路の確認も必要となるなど、さまざまな障害を乗り越える必要があったのです。

地震被害のない地域であってもローカル線の復旧が遅れたのは、踏切確認などのための労働力を特急が走る路線に集中して振り向けたため、その他の路線の復旧作業になかなか着手できなかったからです。人的資源が限られている中で大量・高速輸送が可能な路線・列車の復旧を優先するのはあまりにも当然です。一部の心無い人々のJR非難には、まったくもって理由がありません。

というか、復旧作業の途中で復旧予定日が一部繰り上がったじゃないですか。よく頭ごなしに非難できたものです。

なお、宗谷本線旭川~名寄間の復旧がやたらと早かったのは、まず旭川方面は水力発電の電力が使えたため電力の復旧が比較的早かったことと、台風21号による倒木の処理のために岩見沢~旭川間の復旧が遅れていて、本来なら「ライラック」「カムイ」が走る岩見沢~旭川間を優先したいところやむなく順序を入れ替えたから、と推測します。推測ですからね?

そう、地震と停電のインパクトがでかくて忘れているかもですが、台風も来てるんですよアレの前日に。そっちの被害の復旧も必要だったことも、忘れてはなりません。本当に大変な中、しっかり路線を復旧してくれたのですから、JR北海道は感謝されても非難される筋合いはありません。批判するとしたら、お客いないとわかっていて北斗91号を動かして軽油をドブに捨てた点と、そのクセしてよっぽど軽油を使いたくなかったのかキハ201系を節電時に活用しようとしなかった点くらいでしょうかね。

ちなみに、この辺のお話はJR北海道の特急の車内誌「The JR Hokkaido」の11月号にも載っています。今度特急に乗ったら読んでみてください。乗る機会がない? 乗れ。(あるいは札幌駅近くの紀伊国屋とかでも売ってるので買ってみて下さいね。)


やべぇ、「鉄道関連の経過をまとめる」って書いておいて、ロープウェイやケーブルカーに触れるの忘れてました。まあいいや。興味のある方はご自分でお調べください。

【札幌エリア 10/27】札幌市電に新型車両「シリウス」(1100形)が登場

全道的な話題はおしまい。札幌近郊の話にまいります。

この2か月で一番大きな動きがあったのは札幌市電。10月27日、数年ぶりの新車がデビューし、久々の明るい話題となりました。

ところが、入ったのは「ポラリス」(A1200形)ではなく、同じアルナ車両製「リトルダンサー」シリーズながら単車タイプの車両。ポラリスを量産するものと思っていたのですが、単車タイプにしてコストダウンを狙ってきました。

車内はポラリス以外の市電車両と同じくオールロングシート。通路幅が広く取れるうえ、単車なので連接部がないので、パッセンジャーフローの面で有利です。

そして、そこまで輸送力を必要としない札幌市電にとって、3連節車体という過大すぎる設備から脱却したのも、コスト削減を考えると大きいです。(一応、連節車を入れた場合でもその分減便でコストを減らすという強引なやり方もありますが。)

ただ、このせいでポラリスが少数派の車両となってしまうのが問題点。今回の新車はポラリスと同じリトルダンサーシリーズですし、デザインも共通なので、設計や部品をだいぶ共通化できてはいると思いますが、ポラリスにしかない連節構造などはメンテナンスの足かせとなるでしょう。

このような不幸を二度と招かないためにも、今回の新型車両こそはしっかり数を揃えることが大事です。札幌市電では車体更新車200系列がまだ幅を利かせており、形式ごとに仕様の違いがあるため整備が大変でしょうし、一部は戦前製の部品を流用しているとあって尚更整備士泣かせです。当然ながら吊り掛け駆動×抵抗制御で、モーター音がうるさく、乗り心地も良くありません。こういう職員にも乗客にも優しくない車両群をさっさと置き換えて、ちゃんと近代的な車両をまとまった数入れてやらないと、この先生きのこれないばかりか、市が標榜する「環境首都さっぽろ」など夢のまた夢となってしまいます。札幌市交通局の良識が問われます。


さてこの新型車両、名を1100形と言います。で、ポラリスと同様の愛称が、9月1日のイベント時の一般投票で付けられました。その名も、「シリウス」。ポラリスの弟分にちょうどいい名称で、呼びやすい名前なのがステキです。

投票で提示された他の二案も、ややネタめいたものでありながら、仮に選ばれてもしっかり定着しそうな名前だったのは良かったと思います。JR北海道の「DECMO」とかいうひんそーな愛称(もしかして蔑称……?)とは月とスッポン。

ボクが思うに、鉄道が21世紀も選ばれる交通機関であり続けるには、市民に愛着をもってもらうのが大雪 大切で、そのためには名前ってのがひとつ大事だと思うんです。「○○系」のような無機質な名称だけではなく、非鉄の人でも呼びやすい、しかもキャッチーあるいは可愛らしい名前を、それこそ"Red Wing"とか"DENCHA"とかそういうやつを。だって、自動車は「ヴィッツ」とか「マーチ」とか、かっこいいorかわいい名称、かつ定着している名称があって、愛されているじゃないですか。そんな風に鉄道も愛されるようにならなきゃいけないと思うんですよ。

……とか言ってたら「ヴィッツ」という名称が消えるとかいう噂がちらほら。なんでも海外での販売名である「ヤリス」に統一するんだとか。加藤○三かよ。

ってまた話それてるし。もうクセになってますね、この企画で話がヘンな方向に行くの。

【札幌エリア 10/29】快速エアポートの一部列車でWi-Fiサービスを開始

続いても札幌近郊、今度はJRです。10月末から、北のスーパーエース・快速エアポートでフリーWi-Fiサービスが開始されました。

スマホの普及により、Wi-Fiの環境整備が急がれます。特に海外の観光地では整備が進んでおり、外国人旅行客はWi-Fiサービスを当たり前だと思っている人が多いと考えられるので、世界との観光客争奪戦に負けないよう、しっかり環境を整える必要があるでしょう。

もちろん、日本にお住まいの皆さんもジャンジャン使って大丈夫です。外国籍の人しか使っちゃいけないなんてことはありません。これJR北海道のニュースリリースの表現が悪すぎて、「外国人のためだけに付けたんだ、一応日本人も使えるけど、舶来の『お客様』のために日本人は慎め」とさえ読めてしまうんですよね。JR北海道のニュースリリースの口下手っぷりは昔っからですが、いい加減添削という技術を開発しなさいよ……。

このWi-Fiはまだ一部の編成にしか設置されていませんので、今はまだ一部列車でしかWi-Fiが使えず、そもそもWi-Fiの付いた車両が登板しない日もあります。早く設置が進んでほしいですね。

あと補足ですが、ご存知のようにエアポート用編成は普通列車やいしかりライナーにも入ります。Wi-Fiが付いた車両が普通・区間快速に充てられた場合でも、もちろんWi-Fiが使えます。


で、申し訳ないことにボクは今現在(11月16日)Wi-Fiのある編成をまだ確認していません(普通といしかりライナーばっかり乗ってるから……)。なので他サイト様をちょいと見てみましたらば、最初にWi-Fiが付いたのは721系3000番台という信じがたい話が舞い込んでまいりました。

旧式の721系、しかもよりによって最もサービスの質の悪い3000番台とはねぇ……。トイレが2か所とも和式で、定員数少ないわ全車デッキ付きだわ、uシートは座席が劣るわデッキ仕切り戸は手動だわで、ロクなことがありません。なるたけエアポートに入れてほしくないんですがねえ……。


721系3000番台の話を出したついでにお話を一つ。実はボク、菅官房長官の「エアポート輸送力1.3倍」発言を「増発+721系の置き換えによって輸送力を増やす」という意味だと解釈して、それを前提に過去2回の「ニュースライナー」を書いてたんですが、これ間違いでした。

増発のために733系が増備されたら、単純に本数が1時間に4から5に増えて輸送力1.25倍……じゃないんです。それだけでなく、定員数の多い733系がエアポートに充当される割合が増えるので、1.25倍以上に輸送力が増えるんです。

実際にご覧いただきましょう。まず、エアポート編成各車の定員は以下の通り。

  • 733系3000代:142+156+149+72+156+146=821名
  • 721系5000代:92+131+132+73+131+91=650名
  • 721系4000代:92+92+132+73+92+91=572名
  • 721系3000代:92+92+93+73+92+85=527名

で、平成28年ダイヤ改正時はエアポート15分間隔、車両数は733系7本・721系5000番台3本・同4000番台4本・同3000番台4本なので、片道1時間あたりの平均定員は単純計算ではありますが(821×7+650×3+572×4+527×4)/18×4=2,687.333……名となります。

今年エアポートの増発を見据えて733系3000番台が4本増備されたので、増発後は平均(821×11+650×3+572×4+527×4)/22×5=3,494.77273名です。

増発後の1時間平均輸送力を計算すると、対平成28年度比で約1.3005倍。そう、これ以上733系を増備して721系の置き換えをしなくても、輸送力1.3倍は実現できるんです。

で、どうやら以前のボクはこの計算をミスっていたらしく、「721系を置き換えないと輸送力1.3倍が実現できない」と思い込んでいたんです。だから、サービスの悪い721系3000番台や、機器更新が遅れている4000番台が、エアポートから早めに外されるのでは、と推測していたんです。

今この時、予想を訂正します。ボクは、「721系エアポート用6両固定編成は、寿命までずっとエアポート用として使われる」と予想します

ただ……、そうなると和式トイレの、和式トイレの和式トイレの721系3000番台がいつまでも「エース」を名乗ることになります。お願いだから3000番台だけは、3000番台だけは……。

ちなみに、もし721系3000番台をエアポートから外して、残りの18編成でエアポート運用を回す場合、輸送力は対平成28年度比で約1.37倍となります。733系をさらに増備してエアポートを全車733系にすれば、輸送力は同約1.53倍にもなります。輸送力1.3倍でも近年の外国人客増加を考えるとちょっと不安がありますけれど、721系の割合を減らせば輸送力はまだ増やせるので、盆・正月の対応アンド将来の利用増も考えると少し安心という感じでしょうか。

【特急 10/1】「カムイ」にえきねっとトクだ値設定

こんどは特急の話題。10月から「えきねっとトクだ値」が特急「カムイ」にも設定されました。

利用が伸び悩む札幌~旭川間の電車特急ですが、てこ入れが図られる形となりました。少しでも増収・増益に繋がればよいのですが……。

また、「ライラック」ではトクだ値があるのに、ライラックと二つで一つの存在である「カムイ」で設定がない、という状況を解消できるので、利用者はほぼ全ての時間帯でトクだ値を使えるようになります。列車の時刻ではなく自分の都合に合わせて列車を選択できるので、ライラック・カムイの「数自慢・かっきり発車」という武器を活かしやすくなるでしょう。

ただ、uシートの安売りとなってしまうのがちょいと気になります。カムイとライラックでは普通車指定席のグレードに大幅な差があり、それゆえライラックにしかトクだ値がないというのが許容されていたと思うんです。安売りかつカムイとライラックで同額というのはあずましくない気がいたします。まあ、利用者減少の打開策としてはコレしかないですよね。


また、同日には期間限定だった「スーパーとかち」のお先にトクだ値スペシャルの期間が2か月延長となり、11月末までの設定となりました。

ニュースリリースでは「好評のため期間延長」とありますが……、絶対利用落ち込んでるからだろ。

要はこうでもしないと道東方面の利用客を取り戻せる見込みがないということ。かつて栄華を誇った道東特急もどんどん追い込まれていて、心が締め付けられる思いです。

【ローカル 9/1】釧網本線 下り快速しれとこ摩周号で試験的に指定席設定

特急の話は1つだけ。話を空席スカスカ族に移します。

スカスカ族の中では輸送密度400台と、まだ息のある部類に入る釧網本線。観光路線として期待されていますが、なかなか観光需要を利益に繋げられていないという弱点も抱えています。

過去記事に追記にてご紹介しました通り、この釧網本線を組み入れたウィラーのセット商品「Eastern Hokkaido Nature Pass~北海道縦断絶景レイル&バス~」が9月1日に試験発売を始め、これに合わせて期間限定で下り快速しれとこ摩周号に指定席が設定されました。

この報に触れた瞬間、ボクの中の何かがビビッと反応して、「これはイケる!!」と直感しました。実際、レストランバスなどはかなり興味を惹かれます。JRとしてもそれなりの増収にもなるかもしれません。

これは期待できるか……とか考えていた矢先に、あの地震が襲ってきて、風評被害もあり北海道は観光客が全然入らない不満モリモリ森鴎外な状況に陥ってしまいました。

そんな状況なので、実験の成果なんてものは得られていません。商品の売り上げは悲惨で、指定席も空気を運んだことでしょう。

現在、ウィラーは第2弾となる商品の発売を予定しています。今度こそは成果を、と本気で祈っています。というかボクも実際に使おうかなとか考えているので、早めに詳細クレメンス……。

【ローカル 10/29】宗谷本線×佐川急便! JR北海道でも「貨客混載」実施へ

続いてもルーラルな話題。特急が走っていながら危篤状態となっている宗谷本線で、新たな動きが。

JR北海道が佐川急便と連携して宗谷本線で「貨客混載」の取り組みを始めることが、10月29日のプレスリリースで発表されました。

具体的には、宗谷北線の普通列車を活用して、佐川の稚内営業所から幌延まで、荷物を列車に載せて運ぶのです。

こうした貨客混載の取り組みは、運送会社のドライバー不足を背景に、新潟県の北越急行ほくほく線で初めて実施されたのを皮切りに、全国あちこちで取り入れられるようになってきています。特に人口密度の低い北海道では絶対に必要な施策だと思っていたんですが、とうとう始まるようです。

ちなみに、バスでも同様の取り組みが始まっており、全道・全国に広まりを見せています。


こうした取り組みは、鉄道やバスは乗客の少ない列車・区間を有効活用できますし、運送会社にとってもトラックなどの走行距離をかなり抑えられるためドライバーの人件費削減・労働力不足対策というメリットがあります。

また、車が道路を走る距離が減ることは、北海道では特に冬季に大きな力となるでしょう。特にトラックだと、雪のせいでどうしても速度を落とさざるを得ないことがありますし、事故の危険も増えます。でも鉄道なら夏冬同じ速度で走れ、安全性には圧倒的な差があります。

忘れてはならないのは、あくまで「需要が少ない列車・バスの活用」である点です。生活路線維持の使命のあるバスはともかく、大量輸送機関であるために閑散区間の存続に理由を見出しにくい鉄道の場合は、列車の廃止、あるいは路線自体の消滅により、計画がご破算になってしまうリスクがあります。まあ、鉄道路線が廃止になれば乗務員・駅員だけでなく保守のための人員も削れるので、地域全体で見れば人員は減らせるとは思いますがね。

また、もともと短編成かつ利用が少ない列車に、さほど多くない量の荷物を積むに過ぎないため、鉄道がその持ち味をしっかり発揮しているとは到底言えない、ということも注意です。貨客混載をしているからといって、鉄道路線を維持する理由にはならないのです。

【番外編 10/23・24】「uシート」の仲間(?)が相次いで誕生

今回は番外編と称して、2個だけ道外の話題を紹介します。2個まとめて1段落で行きますよ。

まず10月23日に、首都圏私鉄の東急が大井町線・田園都市線直通急行で指定席「Q SEAT」を12月に導入することを発表しました。

その翌日に、今度はJR西日本が京阪神新快速で来年から特別車「Aシート」を設定すると発表しました。

いずれも有料の着席サービスで、しかも我らがJR北海道の「uシート」に名前が似ていることから、道内でもちょっとした話題を呼んでいます。たぶん。


まず「Q SEAT」から概観していきます。

大井町駅発・長津田行きの夕方の急行の一部が対象で、7両編成の3号車が「Q SEAT」となります。

システムはJRの「指定席」とは結構違います。また、全区間指定席ではありません。大井町・旗の台・大岡山・自由が丘では座席指定を受けている人なら乗降ともできますが、田園都市線区間の停車駅である二子玉川・溝の口・鷺沼では乗車はできず、降りることしかできません。その先は自由席となり、たまプラーザ・あざみ野・青葉台では指定券なしで自由に乗降できます。

この特徴は、首都圏の他の私鉄のライナー列車(京急ウィング号、東武東上線の下りTJライナー)に似ています。

また、3号車の車両は、「Q SEAT」として運用されない時はロングシートになります。そのため、11月に投入される新車6020系の3号車は、クロスシートとロングシートとを切り替えられる座席を採用するようです。これもTJライナーに似ています。

「Q SEAT」設定列車は、他の急行と区別をするために号数が振られるようですが、その振り方が快速エアポートと全く同じです。たとえば、19時台の下り列車の、「Q SEAT」設定列車1本目だから、「191号」、とか。ここから、将来的に「Q SEAT」を拡大することを想定していることが読み取れます。

uシートに名前が似てはいますが、どちらかというと首都圏私鉄のライナーの流れを汲むサービスであって、そこにuシートの要素を足してアレンジしたみたいな感じですね。


お次は「Aシート」にズームイン。

「チート快速」とまで称されることのあるJR西日本の新快速の、12両編成の9号車に設定。最初は1日に4往復だけですが、将来的に拡張される可能性が高いでしょう。

プレスリリースには「JR神戸線・JR京都線・琵琶湖線の一部新快速に」導入と書いてあります。つまり、「Aシート」は「琵琶湖線」に含まれない長浜~敦賀間には設定されないと思われ、設定区間の東端は野洲か長浜となるでしょう。

「Aシート」は223系1000番台4両編成の網干方先頭車を改造する形で設定されるとのことです。となると、「Aシート」設定車が網干より西に乗り入れることは考えづらいので、西の端は網干か姫路でしょう。

短い編成の先頭車が有料車両を付けるのは、なんか721系F-1009編成みたいですが、その経緯は全く違います。西日本の新快速は、途中での増解結があるから、2つの編成を組み合わせています。一方のF-1009は、増解結を想定して3両編成になっているのではなく、F-5001とともにエアポートに入ったり普通・区間快速を受け持ったりと遊撃の役割を持つための車両だったワケですからね。

uシートとの決定的な違いは、座席指定がないことです。その点でJR東日本の首都圏中電のグリーン車に少し似ていますが、それとは異なり事前購入が全くできず、料金は必ず車内で乗務員に支払う形となるようです。

uシートと似ているのは、荷物置場が設置される点と、(プレスリリースの画像を見る限りですが)簡易ながらデッキ仕切りが設置される点。でも、指定席という形態ではないなど、名前が似ている割に共通点は多いとは言えません。むしろ、首都圏中電グリーンと「ホームライナー」を足して2で割ったような感じ、と言った方がまだ近いでしょうね。

※追記(平成30.11.18)……上記のAシート運用区間の予想ですが、前提となる新快速の車両運用の流れを知識不足により誤解しており、読者の方からの指摘を受けて調べ直し一部修正しました。ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。

※追記(平成31.1.17)……先日、ダイヤ改正のプレスリリースにてAシートの運行区間が判明しました。最初は、野洲~姫路・網干間の設定となるようです。将来は拡大の可能性があるかとは思います。


といった具合でざっくり見てまいりましたが、どっちも言うほどuシートに似てないなあと。

ともあれ、同じ着席サービスであるのは違いないですし、せっかくできた親戚みたいな存在なので、末永く発展してくれたら嬉しいです。

おかしいなあ、今回は3回の中で一番短くなる予定だったのに、書き終わってみたら一番長くなってやんの。

まあいいや。これこそスロージャーナリズムってもんよ。SNSや新聞とは違って、じっくり読む人向けの長い記事こそ、本当に現代に必要な記事ってなモンです。

一番話題少ない時期でこのボリュームだったら、一体次回は何文字になってしまうんでしょう。お楽しみに(?)。

読み応えたっぷりの「北!鉄!ニュースライナー」、次回もチェキらないかんですよ!!(今回から結びのフレーズ変えてみますた)

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