どうなる? 北の特急列車網③ 789系基本番台の改造を読め! - ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか
「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

……ゲニウス(北)がお送りする、北海道を中心とした旅行・鉄道情報サイトです。

  1. トップページ >
  2. 素人流・鉄道観察 >
  3. どうなる? 北の特急列車網③ 789系基本番台の改造を読め!

どうなる? 北の特急列車網③ 789系基本番台の改造を読め!(平成28年5月8日)

ドーモ、ドクシャ=サン、ゲニウスです。

大ピンチを背負ったJR北海道の特急列車たち。一体今後どのような変化が待っているでしょうか。それをボクなりに考えるのがこの連載のような何かでございます。

今回は、特急スーパーカムイの話題を中心にお話しいたします。前回の内容とも関わってくるので、流さないでくださいね。

※予想が変わったので、8月5日に大幅改稿、さらに9月26日に一部を改稿しました。

乗車券往復割引きっぷの意図は?

さていきなりスーパーカムイと関係ない話になっちゃいますが、まず今年新設されたおトクなきっぷである、乗車券往復割引きっぷについて検討していきます。

これは、平成28年3月改正で、Sきっぷ・Rきっぷに代わって函館・釧路方面に設定されたきっぷです。今までは「乗車券+特急券」をセットにした往復割引を出していたのを、乗車券だけの割引きっぷを出して、そこに自分で特急券を組み合わせて使うという方式に変えたワケです。まぁ乗車券だけ使って普通列車で移動してもいいっちゃいいんですが。

このきっぷについて、JR北海道は「使いやすく、わかりやすく」を目指したと説明しています。しかし、本当にわかりやすくなっているのでしょうか。今一度、冷静に分析してみましょう。

そもそもこのきっぷがなぜ導入されたのか。それは、「利用者が指定席・自由席を自由に選択できることでわかりやすく」というより、列車ごと・設備ごとの需要を再配分するためと考えられます。

どういうことか。まず、この乗車券往復割引きっぷには、オプション券をくっつけて利用することができます。具体的には、特急すずらんの自由席を安く使える「すずらんオプション特急券」、ネット限定でスーパーとかちの自由席を安く使える「北海道ネットきっぷ(特急券のみ)」、そして伊達洞爺長万部出発の場合に限られるため札幌民には関係ありませんが、(スーパー)北斗の自由席を安く使える「北斗オプション特急券」の3種類です。

この存在が何を意味するか。ポイントなのが、これらのオプション券が大変安いということ。今までは、Sきっぷを利用する場合、指定席を確保するために必要な追加費用は、区間に関係なく520円(通常期)。それが、オプション券が設定された区間・列車では、オプション券がかなり安いので、指定席確保のための追加費用が一気に大きくなります。

そのため、オプション券が設定された区間・列車については、指定席利用のインセンティブが低くなります。

これによって、途中利用の乗客が北斗の自由席やすずらん・とかちに転移するため、北斗・おおぞらの指定席に余裕ができます。さらに繁忙期設定の廃止により、繁忙期の指定席確保コストが200円減少。全区間通しの利用者にとっては、指定席確保はしやすくなります。

さらに、「北海道ネットきっぷ」が導入された以上は、JR東日本と同様に、在来線でもネット限定で特急指定席往復のきっぷを割安で発売することも、すでに予定されていることでしょう。これを区間限定で出せば、都合よく指定席を売りさばけます。

「北海道新幹線の開業効果の最大化」という目的のためには、新幹線と北斗系統を乗り継ぐ客が(スーパー)北斗の指定席を確保しやすい状態であることが不可欠です。ゆえ、このような方法がとられたのでしょう。

まとめると、「乗り通すなら指定席、途中までなら自由席」という風に利用距離に応じて需要を再配分することを目指しているワケです。

こういうフレキシブルな料金設定をSきっぷ・Rきっぷのままでやろうとすると、かなりわかりづらい体系になってしまうはずです。これが、「わかりやすく」の最大の意味だと思われます。

スーパーカムイ周辺の「伏線」を丹念に分析する

※以下、「予想記事」です。実際のダイヤはJR北海道のWebサイトを、それに関する雑記は本コーナー内「JR北海道の平成29年3月ダイヤ改正斜め読み」をご覧ください。

さて、ここからやっとスーパーカムイの話になります。

いろいろな憶測が飛び交うスーパーカムイの車両置き換え。現在わかっているのは、スーパー白鳥で使っていた789系基本番台で785系を置き換える、という大まかな話だけ。

ここで先に申し上げておくことがございます。以前別の記事で789系基本番台は1000番台と仕様を合わせるだけの改造がされると予想しましたが、撤回します

それは、スーパーカムイの体系が変わると予想できるだけの材料が揃ったからです。その材料は以下の通り。

  • 前回説明した通り、JRは特急サロベツと特急オホーツクを旭川始終点に変えることを考えていますが、そのためにはそれに接続するスーパーカムイの指定席を増やす必要があります。
  • スーパーカムイとエアポートの直通運転が廃止されたことから、789系は721・733系エアポート編成と指定席両数を合わせる必要がなくなりました。
  • 785系は789系基本番台の札幌転用による「引退」が明言されています。しかしその一方で、平成29年度末までに置き換えられるのは37両中27両とも発表されています。残る10両はどこに行くのでしょうか。「引退」ということは、他列車転用ではありません。

この3つの伏線が指し示すもの。それは――

スーパーカムイの変貌

確信をもって申し上げます。今回の車両置き換えに伴って、(少なくとも一部の)スーパーカムイの指定席両数が増えますグリーン車が設定される可能性すら多分にあります

前回指摘したように、スーパーカムイの問題点として、「スーパー宗谷・オホーツクと接続するにしては指定席が足りない」一方、「札幌~旭川間では自由席需要が大きい」という問題があります。

そこで、ボクは「スーパーカムイは指定席が2両の列車と、指定席が1両の列車が併存するようになる」と予測します。なお、同じく電車で運行される特急すずらんは、現行どおり指定席1両での運行となると読みます。


789系基本番台は、HE-100ユニット(3両)が6本、HE-200ユニット(3両)が6本、HE-300ユニット(2両)が2本の計40両が在籍しています。ボクは、これらを2段階で札幌エリアに転属させて785系を置き換える、という予想をしています。(函館の785系2両はもう使わないでしょう)

まず、このうちのHE-100とHE-200を5本ずつ使って、指定席2両・自由席4両の6両編成を5本作り、785系5本を置き換えると予想します。

この編成には、大きな改造は施されないと読みます。

789系基本番台の中間車は片側1ドアですが、ドアの増設は行われないと思われます。というのは、789系1000番台が2ドアなのは、快速エアポートで運用されることを念頭に入れていたからで(JR北海道の運輸部のヒトが言ってるから間違いない)、エアポートに入る可能性がない車両(しかもステンレス製だから改造が難しい)をわざわざ2ドアに改造することは考えづらいのです。

変更されるとしたら塗装とアコモくらいです。塗装は、1000番台と統一される可能性があります(そのままという線もある)。座席は、指定席のアコモデーションで1000番台と格差を作らないため、クロハ789-100の普通車と、モハ788-100の座席を、それぞれuシートに交換すると予想します。1000番台と指定席の位置が異なりますが、旭川でスーパー宗谷・オホーツクに対面乗換させることを考えると、旭川方面に指定席があるのが望ましいです。

この編成は、平成29年3月の改正でスーパーカムイの運用に入ると予想します。3M3Tなので、1000番台よりもパワーが大きいですが、1000番台による代走の可能性もあるため、所要時間は変わらないと読みます。

次に、HE-100とHE-300を1本ずつと、HE-200とHE-300を1本ずつ、それぞれ組み合わせて、指定席1両・自由席4両の5両編成を2本作ると予測。1000番台と合わせるために、クロハ789-100を全車普通車に改造し、4号車をuシート化。また、MT比を2M3Tに統一するため、足回りにそれなりの改造が入ると読みます。

ドアの改造については、こちらは先の5編成とは違い、789系1000番台と合わせるために2ドア化が考えられます。もっとも、コストを考えれば、そのまま放置されるか、逆に1000番台の方のドアを埋めるか、でしょうけどね。

改造が終わったら、この2本もスーパーカムイ・すずらんに投入し、残っている785系2本を置き換えます。これで、785系が引退となります。


こうすることで、現状の需要と新たに発生する課題の双方に対応することができます。指定席2両の列車を作りつつ、全編成を自由席4両とできるからです。

しかも、789系基本番台全車両を、最小限の改造で有効に活用することができます。

さらに、785系が10両だけ残存する理由にも、明快な説明がつきます。5両編成2本の改造が結構大がかりになるからです。

なお、この改造によって一部車両の座席配置と窓配置が合わないという問題が発生します。ですが、721系のuシートを見るに、JR北海道はそんなの気にしていません。


※追記(平成28年12月18日)……

12月16日、ダイヤ骨子と車両概要が公式発表。789系基本番台HE-100+HE-200編成は、6本全部を6両のまま転用、というのが正解でした。

前回提示した予想ダイヤでも、今回発表された実際のダイヤでも、789系基本番台は4運用となっており、上記の予想だと予備車が1本になるけど大丈夫かな、と思っていましたが、予備車は2本となるようで平気そうです。

また、789系基本番台の普通車はそのままのようで、uシートが設置されない代わりに、状況に応じて指定席の車両数を増減させるようです。「スーパー白鳥」や「スーパー宗谷」の運行形態をそのまんま旭川系統に持ってきた感じですね。で、10年前に同様の体系変更を予想していた人がいる(外部リンク)ってんですから凄いです。当時は「旭川での乗り換えを考慮する必要がある」という事情がなかったわけですから、凄まじい慧眼だなあ、と感服するばかりです。

さて、こうなるとわからないのが785系残り10両の置き換えの方法です。「カムイ」と「すずらん」で合わせて6運用なので、5両編成の電車は予備車を入れて8本必要なので、これで785系が5両2本だけ残る理由が説明できますが、この残っちゃった785系はどうやって置き換えるのでしょう。

まだHE-300ユニット2両×2本の使い道が公表されていませんが、3両×2本(Tc - Mu - T)を新製してHE-300と連結して5両×2にして、1000番台に編入、というのが一番コストのかからない置き換え方法となると思います。

もしHE-300が定期列車の増結や「旭山動物園号」あたりに使われるとしたら、1000番台をフツーに増備するのでしょうか。今後どういう動きになるか楽しみです。

指定席を増やして大丈夫か?

※以下、「予想記事」です。実際のダイヤはJR北海道のWebサイトを、それに関する雑記は本コーナー内「JR北海道の平成29年3月ダイヤ改正斜め読み」をご覧ください。

しかし、です。この予想には大きな問題があります。それは、(ボクの予想だと)スーパーカムイの6割以上が6両編成での運行となり、特に指定席が空気輸送となる列車が大量に出現しかねないという点です。

ここで、先ほどの「乗車券往復割引きっぷ」と話がつながります。

何か。おそらく、JRは早ければ来年の春に乗車券往復割引きっぷを旭川方面にも導入し、スーパーカムイの設備需要を再配分するものと思われます。

しかし、途中利用の客を自由席に誘導する目的だった北斗・おおぞら系統の時とは違い、今回は「指定席に」乗客を誘導するための方策。となると、北斗・すずらん・とかちとは逆に、指定席を使えるオプション券を札幌~旭川乗り通し限定で出す、といった感じでしょうか。あるいは、「北海道ネットきっぷ」をカムイ系統にも拡充して、6両編成の列車限定で札幌~旭川の特急指定席往復を安く売るのもアリかも。

うまくやれば、観光需要の大きいスーパーカムイ5号を6両で運行して指定席をうまく売りさばくなど、自由席の混雑を緩和させることができるかも。

というわけで、指定席を増やしても、指定席・自由席の需要をしっかり配分すれば、「大丈夫だ、問題ない」とボクは判断しました。観光需要にも合致するので、なお良いと思います。


※追記(平成28年12月18日)……

新しいきっぷ出なかった……(´・ω・`)

でも、新しい列車体系においては「ライラック」の指定席を状況に応じて増減させるようなので、観光需要に関してはライラック5号(札幌8:30発)を休日・多客期に指定席3~4両にするのも想定できます。さあどう来るJR。

今回のまとめ

まとめると、旭川での特急乗り換え・観光客の利便性向上のために、スーパーカムイの一部列車の指定席車両が増えることが予想されます。あぁ、これだけ書いたのに1行ですんなりまとまってしまった……。

さて次回は、平成28年春の時点で発表されている情報と、前回・今回で予測したことを踏まえて、今後どんな風に新車が入ったり、車両が転属したりするのかを見てみようと思い……ましたが、その前にちょっと他の話をします。

札幌を中心とした特急列車のネットワークは、今激動の時代を迎えています。

お金はない。車両も古くなっている。需要も少ない。そんな中で、地域にとって必要なサービスを維持することができるでしょうか。

この連載では、苦悩のJR北海道がどんな方法をとることができるのか、考えていきます。

参考文献……

「素人流・鉄道観察」のトップに戻る

当サイトトップページに戻る