どうなる? 北の特急列車網④ 秘境駅より大切なもの - ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか
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どうなる? 北の特急列車網④ 秘境駅より大切なもの(平成28年11月24日)

ゲニっとな(?)

乗客減が止まらず、最近は故障が相次いでいるJR北海道の特急列車を、ボクらはどうやって守ったらいいのか、そして彼らはどう変わっていくのか――。連載と言うにも期間が空いてしまいましたが(まただよ……。忙しかったんだよこう見えても)、まだ書くべきことはあるな、と思って続けてみます。

実は、もともとは今回で最終回として、これまでのまとめ的な感じで連載を締めよう、と思っていたんです。ですが、ちょっと最近の動向で頭に来るものがあったので、1回増発します(またこのパータンかよ)。

今回は、前3回とは異なり、「駅」にスポットを当ててみたいと思います。

なお、今回の記事は割とガチで怒って書いています。見方によっては、特定の人物・団体等を誹謗する内容と受け取られかねない可能性があります。しかし、本記事は同様の批判が当てはまるすべての人物・団体等を平等に貶める意図があることに留意してください。

「秘境駅」バカ

じゃあ本題入るぞ。ほら座れ

……ゴホン。さて、皆さんは「秘境駅」という言葉を耳にしたことが一度はあるかと存じます。

以前、旅行記「初めてのノースレインボー&小幌再訪・春の陣」に記載したことですが、そもそも「秘境駅」という表現自体が本質を一切捉えていないワケですが、まあとりあえずここはわかりやすさ優先で、「利用が極端に少ない駅 = 秘境駅」という風に秘境駅という単語を定義します。

最近では、あちこちのメディアが秘境駅をプッシュしているせいもあってか、やたらと秘境駅を巡る人がずいぶん出てきたようにも思います。牛山隆信様(うっしー様)から始まったと思われるムーブメントは、今まさに「アツい」ホビーのひとつと言えるかもしれません。

別にこの趣味活動自体に文句を付ける気はなく、ルールとマナーを守っているなら何の問題もないワケです。ボクだってあちこち秘境駅行きました。単に乗り鉄として興味が湧いたからです。

問題なのは、何の考えもなく単に自分の興味・趣味だけで「この駅を残せ」だの「駅を守らないのは地方の切り捨て」だの、適当なことを言っている人が目立つことです。

ちゃんと考えがあっておっしゃっているならまだしも(それに対してもボクは反論したいですがまた別の機会に)、本当に単なる一時的な感情だけでそうした妄言を垂れる人の方が圧倒的に多い、というのがボクの確かな実感です。

もっと悪いことに、そんな一部のクレーマーの意見に乗っかるかのように、「秘境駅を絶対に守る」などと息巻く地方自治体が登場するようになったのです。

そのような流れはちょっと前から存在しましたが、この期に及んでも寝言が聞こえてくるので、ちょっとここで「喝」を入れたいと思うのです。

当事者意識の極端な欠如

はいこっから大事よ。耳かっぽじって聞いとけ

Oops. ……この時期にこんな記事出した時点で、北海道新聞を定期購読している方ならわかるでしょうが、今回のターゲットは幌延町です。

幌延町は町内の駅をほとんど廃止される公算となっており、さすがに慌てたか駅の存続を必死に訴えています。「誰だって近くの駅をバッサリ廃止されそうになったら文句言いますよ、猿渡さん」って話ではあるんですが、それにしてもその理由付けがあまりにヒドい、と申しているのです。

他の事例として、美深町が南美深駅を「まちづくりに使うから残せ」と言っているそうで(これもバカだと思いますが今日はスルーします)、まあ都市形成に使うという論理なら三千歩譲ってまぁある程度の理解はできなくはありません。

一方の幌延町はあろうことか、「秘境駅に鉄道ファンを呼ぶために駅を存続させたい」などと主張しているようです。

小幌の場合、「岩屋観音への地上ルートの維持」という意図が透けて見えるので納得できなくはないのですが(真偽のほどは不明ですがこう信じることにして精神的安寧を得ています)、幌延の場合そのような意図は全く見えません。ボクの怒りが有頂天になりました。


もう現状では一部路線を維持することもままならない、って言ってるんです。

ある程度削っていかないと、札幌エリアでさえ車両・線路の修繕費が出せなくて運行できなくなる、って言ってるんです。

そんな駅にお金出している場合なのか、と。

あなたのところの路線がなくなるかもしれない、という状況なんですよ。

報道によれば、秘境駅の存続のために幌延町は159万円を毎年出資するつもりだそうです。そもそも今の北海道に資金に余裕のある自治体があるわけがないのに、よくまあ159万も出せるものです。

線路や車両にはお金が出せなくても(おそらく高額になるので出すとは言わないでしょう)、秘境駅には出せるというのでしょうか。

言葉を変えましょう。線路と車両と幌延駅はなくてもいいから、秘境駅だけ残すというのでしょうか。

いざとなれば、道が、あるいは国が、線路や車両のぶんのお金を出してくれるだろう。そうした「甘ったれ」(「甘え」とは違う概念)が深層にあるからこそ、そのような下らない決断ができるのでしょう。

当事者意識の欠如も、ここまで来ると呆れどころではなく、ただただ怒りしか湧いてきません。

自分の怠慢は棚上げか

そもそも、その駅の利用者がいない原因(の全部または一部)は、その駅がある自治体にあるのではないか。こんな立論もできると思うんです。

まちづくりというのは、もちろん住民によるところもありますが、基本は行政、つまり自治体の仕事です。

ということは、駅を生かすということは、自治体が責任を持ってやること、と言えるんじゃないでしょうか。

駅をまちづくりに活かそうと思うなら、例えば駅の周辺の開発を行うとか、駅を中心とした市町村営のバス・デマンドバス・タクシーなどを用意して駅を交通の「ハブ」として機能させるとか。そこまでの資金がないにしても、マイレール運動程度はして然りです。

駅を観光に活かそうと思うなら、観光名所への入り口として使えるように、付近の名所への道案内をするとか、飲み物の販売や荷物の預かりサービスをするとか、できることは色々あります。

それをしないと言うなら、それはその駅に価値がないと自分で認めてしまっているようなものです。

それでもなお「駅は必要だ」と言うなら、それはもはや行政の怠慢でしかありません。活かせる(と思っている)のに活かそうとしていないのですから。

ただただ「駅を残せ」とだけ主張する自治体は、自らの怠慢を棚上げしてJRに当たり散らしているに過ぎません。

その駅が必要なコンキョは?

何より重要なのは、「その駅はなんであなたがたにとって必要なんですか?」ということ。

たとえば幌延町の場合、「秘境駅に鉄道ファンを呼ぶために必要」という理由づけとなっています。

お言葉ですが……、それ、理由になってません

秘境駅に鉄道ファンを呼んで、あなたの町になんの利益があるのですか?

鉄道ファンの大半は、その秘境駅自体にしか興味がありません。しかも、駅付近にはたいがい商店ひとつありません。したがって彼らは町になんの経済的利益ももたらさないばかりか、ゴミを捨てていくわ、ひどい人は駅寝はするわ列車の定時運行を阻害するわ、ロクなことがありません。鉄道ファンのボクが言うんだから間違いありません。

彼らが駅を訪れたところで、彼らは「観光」をしませんし、他の人にその町の魅力を伝えることもしません。だから、観光客の増加にも全くもってつながりません。鉄道ファンのボクが言うんだから間違いありません。

秘境駅の大半は、経済合理性からも、公共的観点からも、その必要性を説明できません。鉄道ファンだけの利用では、JRも町も潤いません。町の人や観光の人はその駅を使っていません。もし、本当に駅の存在意義を「鉄道ファンが来るから」だけで説明できていると思うとしたら、「お花畑」にもほどがあります。

駄々っ子の行きつく先は

ここまで散々罵声のような説教をしてきたのに、まだボクの言っていることがわからない方がいらっしゃる。おそらくはそうでしょう。

くだらない理由で、誰も使わないような駅を残せ残せと騒ぎ、あまつさえ線路や車両には一銭も出さない。そんな自治体がひしめく地域の鉄道の行く末は、決まったも同然です。

路線自体の廃止。これが、あなたがたの町を走っている鉄道路線の未来です。

ここまで煽ってもピンと来ない方がいるということくらい、もうわかっています。ボクだってバカじゃありません。ですから次回は、実際にこのまま自治体が駄々をこね続けたらどうなるか、という予想図を描いて差し上げます。そうすれば、嫌でも現在の状況が把握できることでしょう。

繰り返します。「そんな駅を残して何になるんですか。」「他にやることがあるのではないのですか。」これが最後通牒です。

今回のまとめ(?)

最後にまとめがてら、ちょっと違う視点からの話を。

実はボク、7月に下沼駅に行ったんです。

目的は、「下沼湧水」の獲得と、付近にある名山台の訪問です。ただし後者は悪天候読みで断念しました。

駅で見たものは、車で水を汲みに来て、駅前で車の方向を変えて(道路では転回しづらい)帰っていく地元民と、同じく車で来て駅の写真だけ撮って帰っていく鉄道ファンだけ。ボクが訪れた時間帯は、比較的すぐに幌延に戻る列車が来る時間帯だと言うのに、鉄道利用はボク一人でした。

明らかに、駅の存在が町の利益につながっていない様子が見て取れました。

駅には、湧水に名山台と(一応は)名所があるのに、何らの案内も書いてありません。徒歩移動者向けの荷物預かりなんかも、もちろんありません。貨車駅にそんなものがあったら驚きです。

正直な話、ボクも下沼駅は何とか残してやれないかなあと考えていた時期がありました。せっかくの湧水なんだから、列車で来れるならなんとか観光で生かしてやれないか、と。でも、町は湧水と観光による利益を結びつけようとしていませんし、そもそも列車が全然来ないのでほとんどの時間帯において使うのも難しい状況になっています。無理です、この駅残してやるのは。

……お願いです、これだけいろんなこと申し上げたんです、なんとかボクが言いたいことを汲み取ってやってください(湧水だけに)。説明が下手なのは自覚してはいますが、どうか、どうか――(泣)

で、次回ですが、最終回として過去4回の話をおさらいしつつ、先ほどチラッと申し上げたように、今後のJR特急列車網の「最悪の想定」の場合の未来予想をしてみたいと思います。覚悟して読んでください。

札幌を中心とした特急列車のネットワークは、今激動の時代を迎えています。

お金はない。車両も古くなっている。需要も少ない。そんな中で、地域にとって必要なサービスを維持することができるでしょうか。

この連載では、苦悩のJR北海道がどんな方法をとることができるのか、考えていきます。

参考文献……

  • JR北海道 プレスリリース 平成28年7月29日発表「『持続可能な交通体系のあり方』について」(http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160729-2.pdf
  • 北海道新聞 平成28年11月23日朝刊30面記事「幌延町 3駅の維持費負担」

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