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道南の旅~鬼に誘われし者の受難~(平成26年6月5~6日)
「鹿部はこっちだ!」
鬼に誘われるがまま、ボクは道南へと向かいました。しかし……、そこで待っていたのは、初夏の道南の、手荒い歓迎でした。
楽しいながらも、旅の途中で幾度となく「帰りたい」と思いました。そんな、ちょっとほろ苦い旅の様子を、今回はお届けします。
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1日目(平成26.6.5) 1/2ページ「鬼の導き」
本日の行程
移動手段 | 乗車(移動開始) | 出発時刻 | 下車(到着地点) | 到着時刻 | 車両 |
---|---|---|---|---|---|
快速エアポート62号 | 札幌 | 6:31 | 南千歳 | 7:05 | サハ721-3203 |
千歳線・室蘭本線普通2726D | 南千歳 | 7:19 | 登別 | 8:39 | キハ143-153 |
道南バス | 登別駅前 | 8:46 | 登別東インター入口 | 8:50頃 | - |
徒歩 | 登別東インター入口 | 8:50頃 | 登別駅前 | 9:30頃 | - |
特急北斗86号 | 登別 | 9:53 | 東室蘭 | 10:05 | キハ182-41(4号車) |
室蘭本線普通474D | 東室蘭 | 10:11 | 長万部 | 11:53 | キハ150-102 |
函館本線普通2844D | 長万部 | 13:28 | 石倉 | 14:27 | キハ40 840 |
函館バス | 石倉 | 15:50 | 森 | 16:10頃 | - |
函館本線普通4836D | 森 | 16:19 | 大沼 | 16:55 | キハ40 839 |
函館本線普通5886D | 大沼 | 17:01 | 函館 | 17:39 | キハ40 831 |
函館バス1系統 | 棒二森屋前 | 18:42 | 松川町 | 18:50頃 | - |
函館市電 | 堀川町 | 19:48 | 十字街 | 20:05頃 | 3001 |
函館市電2系統 | 十字街 | 20:28 | 谷地頭 | 20:35頃 | 8101 |
函館市電2系統 | 谷地頭 | 21:27 | 堀川町 | 21:50頃 | 812 |
はじめに…今回の旅について少々
今回は、6月の平日に旅行に行きます。いい身分だな、とお思いかもしれませんが、実はこの旅行中、諸事情により講義が全て休講なので、その隙に行こう、というわけなのです。
時期が時期なので、青春18きっぷは当然使えません。それでも函館に行こうと思ったのは、「はこだて旅するパスポート」というきっぷの存在があったからです。札幌からフリーエリアまでのきっぷは、普通の片道乗車券(ただし学割)。
学期中の平日に、普通のきっぷを持って旅行するという、今までにない形の旅行となりました(ほとんど普通列車での移動というのは、変わりませんが)。でも、それゆえに見えたことも、いろいろありました。
ところで、今回の旅のテーマは「景色」。噴火湾や駒ヶ岳、大沼など、道南の風景を楽しむというのが旅の主な目的でした。美しい景色で、日ごろのストレスを癒そう、という魂胆なわけです。
さて、説明はこの辺にしましょう。では本題に入ります。
出発
1日目は、海線経由(千歳線経由)で函館を目指します。
朝5時に起床。自宅で朝食をとった後、地下鉄の始発で札幌駅へ。
お馴染みの(?)快速エアポート62号で札幌を出ます。こいつ、前より2分早い発車になりやがったので、札幌で駅弁を買う余裕がほぼなかったんですよ……。だから家で朝食をとったわけです。
駅に着いた時点でuシートが空いていたので、乗ることにしました。やっぱり座り心地が素晴らしい。神座席ですね(乗ったのが721系3000番台なので若干劣りますが)。
見慣れた車窓を眺めているうちに、南千歳に到着。ここで、これまたお馴染み(??)のキハ143形の東室蘭行き普通に乗り換えです。
南千歳発車時点で、乗車率は90%といったところでしたが、次第に学生が増えてきて、沼ノ端からはかなりの混雑。平日に乗ったことはなかったので、休日以上の混雑ぶりを初めて目の当たりに。聞いてはいましたが、やっぱり2両編成だと平日の朝はかなり混むんですね。 でも、3両にする経済的余裕はないよなあ……。運行に支障の出るレベルの混雑でもなかったし……。
苫小牧で客がガラリと入れ替わりましたが、混雑は変わらず。青葉~白老で学生が下車すると、混雑は解消。
ところで、外は曇り(札幌出発時は晴れでしたが……)。樽前山は見えず。……景色を見る旅なのに、こんな天気で大丈夫か?
???「大丈夫だ、問題ない。」
登別の鬼の導き
目的地は函館なので、この列車に東室蘭まで乗るのがセオリー。しかし、何を考えたか、ボクは手前の登別で下車してしまいます。
そして、おもむろにバスに乗り、少し先の「登別東インター入口」というバス停で降りました。
そこから歩くこと数分。やってきたのは、高速道路のICの付近。そこには、棍棒を持った赤鬼が立っていました。鬼は、ボクから見て左を指さし、こう言いました。
「鹿部はこっちだ!」
……ハイ、要はコレを見に来ました。今回、2日目に鹿部に行く予定があるので、じゃあコレも見とこうか、ということで、わざわざ行ってみたわけです。(何のことかわからない方へ。「水曜どうでしょう」の企画「北海道212市町村カントリーサインの旅」のネタで、大泉さんがこの鬼を見て「鹿部はこっちだ!」と言った、というわけです。詳細はググってください)
で、歩いて登別駅まで戻ります。
途中に、「津波浸水予想地域 これより先」という標識がありました。柱が新しいので、どう考えても大震災の後に立てられたものです。ボクの家の近くにはないので、初めて見ました。こういうものが立つようになったあたり、かの津波がいかに凄惨だったか、改めて思い知らされました。
シリアスな話題の後は、グルメの話。駅付近の土産物屋で、「のぼりべつとろーりプリン」を購入。消費期限がこの日だったので、安くなっていました。この後に乗った列車の中で食べましたが、濃厚な味が口の中に広がって、おいしかったです。
室蘭本線を西へ
登別駅に戻り、再び函館に向けて出発します。
しかし、途中下車をしてしまったので、次の普通列車を待っていると、だいぶ時間をロスします。そこで、東室蘭まで特急に乗って、遅れをリカバリーします。
乗車するのは、例の臨時特急、北斗86号。実のところ、これに乗ろうと思ったのが、登別に寄り道した理由のひとつだったりします。せっかくレアものの列車が走っているのですから、乗り鉄としては乗っておきたいですからね。
列車は少々遅れて入線。ラッキーなことに自由席が空いていたので、座れました。しかし、編成を見ると、(知ってはいましたが)いかにも寄せ集めって感じで、痛々しさすら感じました。
約12分という短い乗車時間でしたが、先述のプリンを食べたり、走行音を聴いたりと、いろいろ楽しむことができました。
そういえばボク、特急に乗るの自体、去年の東北旅行以来だなあ……。
東室蘭で、長万部行きの普通に乗り換え。キハ150-102+キハ150-104の2両編成ですが、かなり空いていました。まあそりゃそうか。
前回、前々回と、「山線はいいなあ」としきりに書きましたが、海線もやっぱりいいですねえ。晴れていたこともあって、すんばらしい眺めでした。まず手始めに白鳥大橋が見え、その後も海岸の景色は素晴らしく、反対側を見ても美しい山の景色。おまけに、内浦湾越しに駒ヶ岳が見えちゃったもんですから、もう最高でしたよ。今回は函館方面の天気がよろしくないことが予想されたので、駒ヶ岳が見えるとは思っていませんでした。だから、見えたときは本当に嬉しかったです。
……それはそうと、なぜかまだ札幌を離れたという気がしないんですよ。洞爺まで来ても、まーだ札幌の近くにいるような気がしてならなかったんですよね……。
さておき、豊浦で後ろ1両を切り離しです。今回も作業を凝視してました。乗客も片手で数えるほどになっており、いよいよ山越え、といった様相。
豊浦を過ぎると、だんだん沿線風景が変わります。特に、礼文~小幌間では、耕作放棄地と思われる土地が散見され、ここに至って札幌から遠く離れたところに来たと実感するに至りました。
そして、列車はかの有名な超秘境駅、小幌に到着。降りませんよ。小幌は前年の東北旅行の最初に急行はまなすの車窓からチラッと見ただけでしたので、きちんと見るのはこれが初めて。乗り降りはありませんでした。
その後、トンネルの多い地帯を抜け、しばらくすると、列車は長万部に到着。
長万部にて
長万部では、1時間半ほどの待ち時間があるので、駅付近の散歩をば。しかし、長万部は曇天で、海からは冷たい風が。寒い!
海でも見に行こうと思っていたのですが、天気がよろしくないのと、観光案内MAPに興味をひかれる場所が載っていたので、海とは反対の方向に。
で、その興味をひかれた場所というのが、町民センター。鉄道関連の展示がいろいろあるというので、行ってみることにしたわけです。館内には、貴重な鉄道用品や、郷土にまつわる資料などがあり、短い時間ながらいろいろと楽しませていただきました。
その後、駅前に戻り、昼食を買います。そうです、かの有名な駅弁「かにめし」です。……ここで、間違えて隣の店に入るという……。事前調査が足らんかった。なにはともあれ、無事かにめしGET。
駅に戻り、列車を待ちます。ところで、駅の中、駅前ともに、本当に人がいません。平日の12~13時台なのに、です。長万部は乗り換え駅だし、町もそこそこ活気があるものと思っていましたが、むしろ寂れているんですね。そう思うと、少し悲しい気分になりました。
さらに南を目指す
長万部から、函館行きの普通列車に乗車。ここからはJR北海道函館支社の管轄です。車両も、この旅では初のキハ40系。乗客はまばらで、途中でボク一人にならなかったのが不思議なくらい。
発車後に、先ほどのかにめしをいただきました。おいしかったですが、できたてならもっとおいしかっただろうなあ……。でも、ローカル線(?)の静かな車内で駅弁を食べるというのは、風情がありますね。で、さらにおやつとして、長万部駅でかった飴せんべいを食べました。昔ながらの手作りせんべいなんだそうで、なかなか美味でした。……さあ、次第にグルメ旅の様相を呈してまいりました。
車窓は、寂れた小集落やら、工場やら、ソーラーパネルやら、いろいろなものが混じって、ある種面白かったです。
八雲→落部の利用客が10人ほどいましたので、この区間では車内はちょっと賑やかになりました。正直、それ以外の区間では、一人に慣れているボクが寂しさを感じるほどでしたが……。
八雲~山越間で列車がいきなり減速したので、何だ、と思って外を見ると、そこは例の脱線現場でした。工事中だから減速したんですね。ああ、ここか……と思いながら現場を見ていました。
車窓からはしばしば海が見えましたが、正直雲と霧でダメでした。この後、景色を見るのに、ある駅に降りるんですが、これでは景色には期待できないですね……。
どこかって? 石倉です。