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駅が産声を上げる! JR学園都市線、新駅計画が始動②

※令和2年(2020年)6月に制作した記事「駅が産声を上げる! JR学園都市線、新駅計画が始動」の続編です。

先日の記事でお伝えした通り、令和2年(2020年)3月に「JR北海道の学園都市線のあいの里公園~石狩太美間に新駅を造る計画」が始動しました。

※追記:駅名は「ロイズタウン駅」に決まりました。

その後、JR北海道は10月14日付のニュースリリースで、新駅設置を正式発表。ニュースリリースには計画の概要も載っていました。

同日には当別町内で説明会が開催されました。その際の資料が当別町のWebサイトに公開され、当別町が思い描いている新駅周辺のまちづくり構想の全体像が明らかとなりました。

今回の記事では、これらの情報を基に「新駅ってどんな感じになるんだべ?」ってのを改めてまとめてみます。

また、先日の記事では情報不足により、「新駅が生み出す可能性」にあまり触れることができていなかったので、今回はそこも深く掘り下げていきます。

※駅開業後に訪問レポを作りました。→ 「待望開業!『ロイズタウン駅』訪問・観察レポ」

新駅の「どこ?」「なぜ?」「どんな感じ?」改めて概観

それでは、新駅の大まかな全体像を、新情報も含めながら改めてまとめていきます。

場所は「あいの里公園~石狩太美」、ロイズ工場の南300mくらい

まずは「どこ?」から。

先ほども書きましたが、新駅は「あいの里公園~石狩太美間」に計画中です。

新駅が位置することになるのは、当別町の農業地帯。北海道が誇る菓子メーカー・ロイズの工場から、南に300m程度の場所です。繰り返しますがロイズの「南」です。他のサイトや報道などで予定地の場所間違ってる所も多々ありますので念のため。

新駅予定地のすぐ南には、札幌の外環道路である国道337号が走っています。国道沿いには「北欧の風 道の駅とうべつ」があり、新たな地域拠点になることが期待されています。

目的は「ロイズ工場への行楽客誘致」+「駅・国道・道の駅を有機結合したまちづくり」

続いて、「なぜ?」の話。

新駅予定地の周辺は「ザ・穀倉地帯」。太美の市街地から外れており、ロイズ工場以外は目立った建物がありません。

そのような場所になぜ、大量輸送機関である鉄道の駅を新しく造るのか。それは、ロイズの工場が規模拡大とともにアミューズメント施設化され、多くの人が集まる場所に生まれ変わるからです。

現状では、札幌から車以外でアクセスするのが難しい場所です。より多くの人を「遊べる工場」に呼び込むため、新駅が計画されたのです。

それだけではありません。当別町は新駅を「単なるアクセス手段」ではなく、「まちづくりの起爆剤」と考えています。近くの国道・道の駅とも連動させて新しい風を起こし、交流人口・定住人口を増やす構想を持っています。

駅の規模は「6両対応・1面1線」、駅前広場も整備

JRと当別町の資料のおかげで、「どんな感じ?」もある程度判明しました。

駅のホームですが、先日の記事で予想した通り「1面1線」となります。新たに列車交換設備を設けたりはせず、最小限の設備とするようです。

ホームはもちろん6両編成対応。当別町の資料に掲載のイメージ図によると長さは135m。列車の長さプラス6m程度となります。

※6両編成の普通列車の最大列車長:先頭車21.67m×4両+中間車21.3m×2両=129.28m

駅舎も設けるようです(当然か)。稲穂駅とか青葉駅みたいな簡素な駅舎を想像してましたが、それなりにしっかりした駅を造るようです。

駅舎内にはスロープが設けられます。1面1線ということで列車の乗り降りに跨線橋を使う必要もないので、スロープがあるだけですべからくバリアフリー仕様となります。

また、駅前広場もきっちり用意するとのこと。駅を置くだけかと思っていたので、これは意外。当別町、かなり気合入ってます。

駅員は置かれません。当たり前だ。

なお、現在公開されているのは「イメージ図」です。今後ちょいちょい変わるものかと思います。

新世界へ―― 5G技術が花開くスマートタウンの夜明け

ここからは、「新駅の可能性」を特集していきます。

最初に、「スマートタウン」の構想から。これは、最近話題の5G通信技術を活かした、これまでとは大きく違うまちづくりです。新駅設置を契機に、その周辺をスマートタウンへと変貌させるというのです。

新駅構想を報じる新聞記事などで前から5Gの話が出てはいたのですが、いかんせん具体的な内容がわからなかったので、先日の記事ではあえて触れませんでした。今回はその分、どんどんピックアップしていきますよぉ。

「スマートタウン」とは

スマートタウン(というか「スマートシティ」)とは一体なんなのか。ネットで簡単に調べてみました。

ざっくり言うと、「最新の通信技術を活かした、効率的で便利なまち」です。

5Gのようなテクノロジーが、革命的なスピードでの通信を可能にしました。それを都市の管理に活かし、最適な資源配分や交通需要マネジメントなどを実現し、環境にも気を配りつつ持続可能な発展を目指す。それがスマートシティです。

なかなかピンと来ないかもしれません。実際ボクもそうです。ただ、今はホントにどんどん世界が変わっていってます。たとえば自動車では「コネクティッド化」と言って、最近モデルチェンジ・マイナーチェンジした車ではT-Connect(トヨタ)やHonda CONNECT(ホンダ)など、通信技術を活かしたさまざまなサービスが受けられるのが当たり前になりつつあります。

北海道って、そういう新しいものを取り入れるのが遅い、守旧的なイメージがあるような気がしますが、当別町は素早く時代の波をつかもうとしています。

新駅~ロイズ工場間に無人バスを運行

では、5Gを使ってどんなことをするのか、当別町の資料で挙げられている活用例を具体的に見ていきます。

運輸関連での活用策から。新駅とロイズ工場の間に、無人バスを走らせるようです。

駅と工場は300m程度しか離れていませんが、それでもいろいろなメリットがあります。

駅~工場を歩かなくて済むので、小さな子どもや高齢者を連れての行楽もしやすくなると思います。元気な人でも体力を温存できるので、他の場所(駅予定地南東のいちご農園など)への回遊性が高まると思います。工場への通勤にも活用すれば、従業員も今よりラクに働けるでしょう。

また、外にいる時間を最小限にできるので、寒い時期でも集客しやすくなるでしょう。

バス自体がスマートタウンの目玉となって人を呼び込む集客装置になるかもしれません。「新しいものが見たい」「先進的でかっこいいから乗ってみたい」といった具合に人を惹き付けると思いますからね。

無人運行なので、現在ロイズ工場の従業員輸送を担う送迎バスと異なり、労働力の心配は不要です。

将来を考えても大きな一石です。おそらく将来的に町全体で無人バスの運行を目指すつもりで、その一歩目としての実証実験という位置付けで、ごく短い距離からスタート、といったところでしょう。今後の展開にも期待が持てます。

※追記(令和5.8.29):令和5年(2023年)6~7月に、駅~ロイズ工場間に自動運転バスを走らせる実証実験が行われたとのことです。今後、自動運転バスの常設化や町内バス交通への応用に繋がることに期待できます。

21世紀の北海道農業を占う「スマート農業」

農業にも5Gを活用するようです。

北海道(というか日本)の農業は高コスト体質であることが指摘されており、省力化によるコストダウンと価格競争力アップが重要な課題となっています。また担い手の高齢化が進んでいる上、そもそも産業構造が高度化し第一次産業に労働力を割けない時代ですので、人手がかからない農業を目指すのはその意味でも重要です。

その打開策として期待されるのが、「スマート農業」。テクノロジーの力でさまざまな作業を自動化し、食と農の未来を切り開く、いわば農業界のIT革命です。

たとえば、GPSを使った無人トラクターの、さらなる省力化。従来の無人トラクターは、異常時に備えて誰かがその場についている必要があったようです。5Gがあれば高速で通信ができるので、緊急停止の信号を素早く出せます。するとその場に人を置かず、遠隔で見てさえいればよくなるので、さらに省力化できる、という寸法です。

省力化だけでなく、ノウハウのデータ化や効率的な管理による、収量の安定・品質アップなどにも期待が持てます。

最初に「新駅周辺に5Gを整備」と聞いた時、なんでこんな人口の少ないところで5Gなんて、と思ったものです。でも考えたら、農家という大事な大事な存在が、それを必要としていました。今や農業もITの時代。5Gを早い段階で導入することで、当別町の農業が飛躍するかもしれません。

(そもそも、人口の少ないところだからこそ、いろいろ融通が利いて実証実験に適しているのかも?)

スマートファクトリーも実現可能に。さらなる工場誘致も?

5Gがあれば、工業にも新たな風が舞い込みます。

それが、「スマートファクトリー」なんでもスマートって付けるの好きなんすかねこの界隈。スマート農業と同様、通信を活用して省力化、効率アップ、品質向上などを実現させます。

自動化の拡大やデータ管理のみならず、ロボットやAIの導入など、可能性は多岐にわたります。

産業構造が高度化しているということは、第一次だけでなく第二次産業も、もはや旧来のままではいられません。まして昨今は労働力不足の時代。マンパワーに頼るばかりの工場は淘汰されてしまうでしょう。しかし逆に言うと、早くにIT化を進められれば、活路が開けます。

現在ロイズの工場は大拡張に向け工事のまっただ中。おそらく、拡張する部分はスマートファクトリー化することでしょう。

さらに言うと、まだ5Gが普及していない今、5Gがあるというのはそれだけで武器になりえます。資料に記載はありませんが、新たに工場を誘致することも視野に入っているのではないでしょうか。

もっとも、「新駅周辺を大規模な工業地帯にする」という方針でないのは資料から明らかです。新駅周辺の開発の目的は「交流人口増加」「定住人口増加」であり、「工業化」ではありません。

ネットのごく一部で、そういう大規模な工業化を期待するような声があったような気がしますが、資料のどこを読んでそんなことを言っているのか甚だ疑問です。

そんなわけで、工場誘致が実現するとしても、小規模かつ少数になるのかなと。というか、大規模に工業をやったらスマート農業はどこかに行っちゃいますし。

農業パワーを新駅の課題解決に―― 農業の六次産業化

5G以外の新駅周辺の構想として、「農業の六次産業化の推進」があります。

例として、「農家レストラン」が挙げられています。

広々とした農村で、景色を見ながら、新鮮な食材を使ったおしゃれな料理を……な~んていう小粋な農家レストランが、あちこちで人気になっています。当別町でも、自慢の農産物を活かしたレストランが流行るかもしれません。

農家レストランができれば、農作物の販路拡大だけでなく、新駅への良い影響も期待できます。

先日の記事で、「新駅周辺は観光できる場所が少ないので、回遊性を高めるために企業誘致などを進めた方がいい」みたいなことを書きました。現状だと「工場は面白そうだけどそれしか見どころないんじゃなぁ……」と言われかねないので、ついでに寄れる場所が何かほしいなと。レストランがあれば、それだけでも「行きたい」と思ってくれる人は増えるでしょう。

また、食事処があれば昼をまたいだ滞在ができます。行楽客の滞在時間が長くなれば、それだけいろいろな消費に期待できます。そうなれば、企業誘致など今後の展望も開けます。

ひまわりの季節になれば、レストランで食事しながらひまわり観賞、という楽しみもできそう。レストランができたら、是非入ってみたいと今から思っちゃいます。

新駅付近は宅地化するのか?

新駅周辺の宅地化についても取り沙汰されていましたが、当別町の資料によれば、少なくとも当面は新駅周辺でなく、太美の既存市街地への居住誘導を行うようです。

住民説明会でも、宅地化について質問または意見があり、それに回答する形で当別町の方針が示されています。それによると……。

新駅周辺は、まずは交流人口を増やす段階にあるので、今は宅地化はせず、定住に向けた居住誘導はひとまず太美の方になるようです。

したがって、新駅周辺の宅地化を考えるとしたら、太美の住宅がある程度埋まった後になるようです。

農地からの転用なので簡単にはいきませんが、将来的に開発の話が出てくれば柔軟に検討したい、とのことです。

某地方新聞では、すぐにでも宅地化を実施するようなことが書かれていたように思いますが、実際には「将来の検討課題」という感じです。いったい何を取材してるんでしょうね。

とはいえ、当別町は近年人口が減っています。実際としては、人口増加というよりは転出超過をどう食い止めるかの話になると思います。新駅宅地化を検討するほど太美の住宅が埋まるような状況は想定しづらいのでは、と。

先日の記事でもお話しした「コンパクトシティ」「災害リスク」「ひまわり畑を活かす」といった観点からも、宅地化はデメリットが大きいように思われます。前のめりにならず慎重に検討を進めてほしいところ。

※追記(令和3.6.15):令和3年(2021年)4月に当別町が「都市計画マスタープラン改訂版」を策定。無秩序な市街の拡大を抑えるコンパクトシティ的な方向性が改めて示されています。また、「適切な土地利用を進めるために、必要に応じて特定用途制限地域等を定めるなど、良好な景観や優良農地の保全を図ります。」とあり、新駅周辺の大規模開発にも慎重な構えです。


これに関連して、新駅に絡んだまちづくりについても方針が示されています。

新駅周辺と隣の太美地区は、別々に考えるのではなく、一体としてまちづくりを行っていくようです。新駅周辺ばかりに集中して太美を放置するということではなく、新駅周辺での新しい取り組みの成果を太美地区の発展にも活かす狙いがあるようです。

ひとまず、新駅周辺からの観光客を太美に誘導することを目指すようですが、具体的な方策には触れられていません。太美には温泉施設「ふとみ銘泉」があり、そちらへの送客は可能かと思います。しかし、それを除いては純然たる住宅街なので、温泉以外の展開は限られます。

このほか、道の駅にも観光客を誘導するようです。先日の記事でも触れた、道の駅との相乗効果が起これば、お互いが盛り上がることでしょう。

※追記(令和3.1.24):本記事初版では、この段落で「太美には何もないのにどうやって観光客を送るのか?」という趣旨の内容を記載していましたが、「ふとみ銘泉」の存在を忘れており、読者の方よりご指摘を受け修正しました。ご指摘いただきありがとうございます。

駅前の整備計画

最初の方でちらっと触れた駅前広場についても。

ロータリーのほか、パークアンドライド用の駐車場、そして駐輪場を整備する計画となっています。先日の記事でパークアンドライドの推進を提案しましたが、どシロートのボクがわざわざ言うまでもなく、既に計画に入っていたようです。

駐車場は51台分の広さとする計画。当面は無料とするようですが、利用状況によっては有料化も検討するとのこと。先日の記事でも言いましたが、少なくとも当面はパークアンドライド推進のため無料の方が良いと思います。

駐車場だけでなく駐輪場も設けられるということで、付近の農家やスウェーデンヒルズなどからの通勤・通学利用をけっこう見込んでいるのでしょう。

このほか、太美地区からのパークアンドライドについても、住民説明会で言及がありました。太美駅の駐車場は不足しているとのことですが、それは町としても認識しており、JRに駐車場の検討を求めるようです。それでも足りない場合、新駅利用も考えられる、とのこと。太美駅の機能の一部を新駅が担う、という言い方もできるかなと。

新駅の停車本数は?

ダイヤ面で気になるのが、「どれくらいの本数が新駅に停車するのか」という話。

そこまで多くの利用客が想定できない以上、所要時間増加のデメリットを最小限に抑えるべく、サッポロビール庭園駅のように一部列車は新駅を通過とするのも選択肢となります。

これについて、住民説明会において当別町より「すべての列車が新駅に停車するわけではない」とハッキリ言及がありました。もうダイヤ面まで話が進んでいるとは思っていませんでした。

資料から想像するに、工場の通勤時間帯と、行楽客が見込まれる日中を中心に停車することになるかと思います。早朝と夜間は通過する列車が多くなるでしょう。

具体的な本数は、さすがにまだ決まっていないでしょう。新たな情報が入り次第、追って報告します。

※追記(令和4.5.7):実際のダイヤは、「ロイズタウン駅には9割が停車」「日中はすべて停車」という形となりました。駅開業後に作成した記事で、ロイズタウン駅の利用者から見た列車ダイヤについて詳しく紹介しています。

残る疑問、新たな疑問

先日の記事で触れた点のうち、「災害対策」については今回の資料でも言及がありません。

当別町の資料で「新駅を核とし新たな土地利用を促進する区域」となっているエリアのほとんどは、2~5mの洪水が想定されています。

治水面も考慮した計画・構想になっているのかは、現状ではわかりません。せっかくの明るい話題ですので、安全・安心もしっかり考えたプランとしてほしいと考えます。

もっとも、言及がないだけでちゃんと計画しているのかもしれませんが。


また、今回の資料を読んで、疑問に思った点もいくつかあります。

一つは、「当別町は本当に『新駅がJR利用者の利益になる』という確証を持っているのか?」という点です。

住民説明会の回答を読む限り、新駅開業後の列車ダイヤについての意見・質問に、「(新駅停車による時間的な)影響を受ける人もいれば、一方便利になる人もでると思う」などと回答しているようです。あいまいな表現であり、具体的にどんな「便利」なことがあるのかわかりません。本気度を疑う表現といえます。

また、新駅の想定利用者数が具体的な数字として出ていません。(まだロイズの工場増築が終わっていない以上、想定を出すことができないのかもしれませんが。)

この2点から、イヤな連想をしてしまいます。つまり、「費用便益分析を一切やっていないんじゃないか」と。

新駅によって、どれだけの人がどれだけの利益を受けるのか、反対に何人に悪い影響があるのか、それはどれくらいなのか、建設費なども加味して差し引きいくらになるのか。そういう見積もりを、全くしていないのではないかと。まさかとは思いますが、定量的な資料・言及がない以上、不安があります。

もう一つは、「新駅をまちの利益に繋げるための『具体的な戦略』はあるのか?」という点。

仮に新駅が利用者損失を生むとしても、まちに大きな利益をもたらし、結果として社会全体の便益の総和がプラスになるなら、それはそれで問題ないと思います。

ただ、その前提となる「まちの利益」が、当別町の資料の中で具体的に語られている部分は一つとしてありません。

新駅の目的である「交流人口の増加」ですが、ロイズの工場に来る人は間違いなく増えるとして、それをロイズ以外に波及させるための新しいプランが先述の「農家レストラン」くらいしか書かれていません。

交流人口増加をさらに「定住人口の増加」に結び付けることが最終目的として語られますが、交流人口をどのように定住人口に繋げるのかも、皆目見当が付きません。

説明会でも追及があったようですが、町の答弁はまさに「痛いところを突かれて逃げの回答に徹する政治家」そのもの。質問された「交流人口増と定住増が結び付くのか」という点にまっすぐ回答せず、「交流人口を増やすことも重要」「中々人口は増えてこない」など意図のわからない発言でお茶を濁しています。

挙句、「交流人口の増加で定住人口の増加と同等の経済効果が生まれる」と、寝言のような発言をしています。この言い方だと、定住人口増加は本気で考えておらず、プロジェクトの見てくれを良くするためのお題目として言っているだけ、というようにも思われます。

こうもあやふやだと、新駅プロジェクトは打算のあるものではなく、人口減少が進み町がじり貧の状況にある中、聞こえのいい話に考えなしに飛びついただけ、あるいは政治的な実績ほしさに大見得を切っただけなのでは、という気さえしてきます。もし仮にそうだとしたら大変。そんな了見で成功したプロジェクトなんて見たことありませんもの。

交流人口だけ増えればいいのか、あくまで定住促進をやるのか、そのあたりの方針を明確に示すべきです。そして、それがどんな風にまちの将来に繋がるのかハッキリさせるべきです。それが行政の務めというものでしょう。

2回の記事で考察した通り、魅力的な側面が多く、民間活力次第で十分成功しうる構想だと思ってはいます。最低でも、JRの利益にはなると見込んでいます。ただ不安な点も多く、こんな調子で大丈夫なのかという思いを拭い去れません。

北海道は苦境に立たされる地域であり、世相もあり先行きは見通せません。そんな中の数少ない明るい話題ですので、成功を祈るばかりの毎日です。だから、こんなあやふやではダメだ、もっと熱くなれよ、と思わずにはいられないのです……。

もともと人口の少ない場所であり、町の構想も具体性を欠く、と不安要素も多々ありますが、5Gを核とした発展性のあるプロジェクトでもあり、単に駅が一つできる以上の価値を生んでくれるという"希望"があります。

今回の資料を読んで、不安以上に期待が増した、というのがボクの偽らざる気持ちです。厳しいことも書きましたが、それは期待の裏返しとご理解ください。

「きっとあなたは大丈夫」。そんな風に、新駅の背中を押してあげたい。きっと新駅のその先には、煌めきの色に満ち満ちた道が続いているはずだから。

※駅開業後に訪問レポを作りました。→ 「待望開業!『ロイズタウン駅』訪問・観察レポ」

参考文献
JR北海道 令和2年10月14日ニュースリリース「札沼線あいの里公園・石狩太美間新駅の設置について」(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20201014_KO_New%20station.pdf)
「JR札沼線新駅設置及び駅前広場整備に係る説明会の開催について」(https://www.town.tobetsu.hokkaido.jp/soshiki/machisaisei/28184.html)、当別町Webサイト ※令和2年12月29日閲覧
(令和3年6月15日追記)「『当別町都市計画マスタープラン改訂版』を策定しました」(https://www.town.tobetsu.hokkaido.jp/soshiki/machisaisei/30142.html)、当別町Webサイト ※令和3年6月15日閲覧
(令和3年12月24日追記)JR北海道 令和3年12月27日ニュースリリース「2022年3月ダイヤ改正について」(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20211217_KO_kaisei.pdf) ※令和3年12月24日閲覧

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