旅行記 日高路散歩 - ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか
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日高路散歩(平成23年8月7日)

※他の旅行記は旅行直後の感想などをつづっていますが、この旅行記のみ「平成27年の道東旅行後に、同じところに行った以前の旅を振り返る」というていで書いています。

あれは、高校2年の夏のことでした。

高校に入って少し自由になったことで、中学時代には下火になっていた鉄道趣味に再び火が付きました。以前からやりたいと思っていた、一人での鉄道旅を、実行に移そう、と。

普通列車旅行の経験はありましたが、一人旅は初めてだったので、今回は日帰りで。となると、使うのは一日散歩きっぷ。

行先は、一日散歩きっぷエリアで、まだ乗ったことない路線、ということで日高本線に決定。

まだ青かった高校時代。日帰りなのに、興奮して前夜はなかなか寝付けなかったのを覚えています。

そして迎えた当日。晴天に恵まれました。早起きは元々の特技。気持ちよく起き、意気揚々と家を出ました。

旅の記録

本日の行程

移動手段乗車(移動開始)出発時刻下車(到着地点)到着時刻
快速エアポート62号札幌6:48南千歳7:22
千歳線普通2726M南千歳7:30苫小牧7:52
日高本線普通2225D苫小牧8:03大狩部9:25
日高本線普通2228D大狩部9:55豊郷10:13
日高本線普通2227D豊郷11:17西様似13:32
徒歩西様似13:35頃本町?14:05頃
ジェイ・アール北海道バス本町?14:15頃様似14:20頃
日高本線普通2236D様似14:34苫小牧17:54
千歳線普通2829M苫小牧18:22千歳18:47
快速エアポート187号千歳18:56新札幌19:17

いざ、初めての一人旅へ

午前6時30分ころ、JR札幌駅。初めての一日散歩は、ここからスタート。

第一の走者は、快速エアポート62号。指定席uシートに着席。このころはuシートに乗りなれておらず、その快適さに恍惚としていました。

南千歳で東室蘭行きの普通列車に乗り換え。当時は711系で運転されていました。まだ室蘭本線で711系が走っていた時代。比較的乗りなれていた車両なので特段感慨もありませんでしたが、これが3年後にもなると、何をおいても乗りたい車両に変わる……のはまた別の話。

車端部のロングシートに座り、苫小牧へ。非冷房の編成に当たって、暑さにやられたのを覚えています。

苫小牧で乗り換えて、いよいよ日高本線へ。……の前に、駅の売店で駅弁を探すんですが、ない。苫小牧駅の駅弁は10時からの取り扱いとのこと。仕方がないので、朝食におにぎりを買って、ホームへ。

1番線停車中の様似行きに乗車。車両は、キハ40形350番台の単行。青を基調とした日高本線独自の塗装はこの時初めて乗るので、ボクには新鮮でした。座席は結構埋まっていて、進行方向と逆側の席に座ることに。

列車は定時に発車。大きなエンジンの音を聞きながら、いよいよ本格的に始まる日高路の旅に、気分が高まっていました。


約30分で鵡川に到着。数分の停車……のはずでした。ところが、発車する気配なし。すれ違いの列車の車内にハチが入って、駆除のために遅れていたのです。

あまり列車の遅れ・運休に出くわしたことがなかったので、ちょっと焦ります。でもできることはないので、車内でのんびり発車を待ちます。結局、18分の遅れが発生しました。

海岸沿いを元気に走るキハ40系。海が陽光にきらめき、波打つ様は、まだまだ感性の弱かった当時のボクでも、十分に美しく感ぜられました。

日高本線駅めぐり

さて、今回の一日散歩では、「駅めぐり」をします。最初は大狩部駅

「来ちゃったよお。来ちゃったよお大狩部wwww」 ……これが、ホームに降り立った時の第一声です。当時、「秘境駅」という鉄道趣味があることを知って、ちょうど日高本線に秘境駅と呼ばれる駅があるので行ってみよう、となったんです。一人旅初めてなのに。

線路の向こうに柵。その後ろはすぐ海。波の音がボク以外誰もいないホームにゴウゴウと響きます。

申し訳程度の駅舎。ほぼ全く感じない人の気配(ただし国道を車がどんどん通るし、付近に住宅もある)。凄いところに来ちゃったなあ、と改めて感じました。夕焼けはきっときれいでしょうが、都会人の、しかも気の弱いボクにとっては「怖い」場所でもありました。

……これが、ボクにとって初めての目的地、そして、初めての秘境駅での出来事でした。

さて、ここで一旦苫小牧行きの列車に乗って、他の駅へ。

……ところが、時間になっても列車は来ません。全区間単線の日高本線は、1本の列車の遅れが全体に波及します。

時間通りに列車が来ないことに、強い恐怖を感じます。……まあ、その恐怖と闘ってるうちに列車来ましたけれど。

遅れの影響か、大狩部での客扱いは5秒でした。ボクを挟む気か、と。


お次は豊郷駅。一部ガラス張りの駅舎はしゃれていました。ただ少し汚れていたり、虫が駅舎内に結構いたりで、居心地がいいとまでは言えません。

次の列車まで時間があるので、駅付近を散歩。他のサイト様の影響で、駅前散歩をするというのを心がけようと思っていたので、その実践です。

海とは反対方向へ向かうと、見えてくるのは牧場。広々とした牧場群に、遠くに見える日高山脈という、美しい景色に感動。暑かったですが、それもまた良し。心地よい散歩でした。

初めての駅前散歩を楽しむことができたことが、後々の旅行に生きることになります。駅前に何もなくても、少し歩いて、観光をしたり、景色を眺めるというスタイルが、ここで確立されたのです。

様似へ向かう

駅に戻って、今度は様似行きの列車に乗ります。列車の遅れもだいぶ解消し、今度の列車はせいぜい数分遅れ。この列車で一気に終点のひとつ手前まで行きます。

途中、静内での停車時間を利用し、昼食。時間がないので、手早くすすれる駅そばをチョイス。冷たいうどんを注文すると、すぐに出てきました。これを手早く立ち食い。味は取り立てた特徴もありませんが、初めての一人旅ということで、強く印象に残りました。そういやあ、このころは冷たいのも出してたんですね。今はここも新得も、夏だろうと温かいそば・うどんしか出してくれません。

食べ終わったら再び乗車。静内からしばらくは海が見えない区間です。

しばらくすると霧が立ち込めてきました。北海道の太平洋側は霧が出やすい地域で、思えば、この時から霧との因縁は始まっていたのかもしれません。

それからまたしばらくの後、運転士によるアナウンスが。「この区間はハチが出ますので、窓をお閉めください。」先ほど列車が遅れた原因となった事件の現場に差し掛かったのです。ハチが大嫌いなボクは、慌てて車内の窓を閉めてまわる始末。

浦河のあたりで、また海岸沿いに出ます。昆布漁の時期なので、砂浜には昆布がたくさん干してありました。札幌では見られないので、都会っ子のボクは物珍しそうに車窓を眺めていました。

景色を楽しむうちに、いよいよ終点が近づきます。先ほども言った通り、ボクは終点のひとつ前、西様似で下車。

様似散歩

西様似駅は、粗末な貨車駅。単式ホームで列車を見送り、振り返ると、そこにあるのはペイントされた小さな駅舎。

相変わらず、霧の中。列車を降りると、半袖を着ていたボクは思わず身震い。半袖で過ごせる気温ではなく、長袖にチェンジ。この4年後、ボクは様似再訪を果たすワケですが、その時は風が強く寒いえりも岬から来て、霧もなく暑いので逆に長袖を脱いだんです。ボクにとって、ふたつの真逆の思い出がある町、それが様似です。

さて、西様似からは、隣の様似駅まで、名所を巡りつつ散歩です。

まずは、海岸に向かって歩いていきます。海岸に出ると、海を挟んで少し向こうに「親子岩」という奇岩が見える……はずなんですが、霧が濃くて何も見えず……。濃霧の中、目の前で波が寄せては返すだけの寒々しい風景に出迎えられてしまいました。

一帯は海水浴場で、テントがたくさん張られて繁盛の様子でした。が、海は見渡せず、しかも気温が低い。彼らが不憫でなりません。

親子岩の代わり、というわけではありませんが、防波堤にたたずんでいた海鳥を後ろから撮影。霧の防波堤と海鳥のコントラストが妙に気に入った一枚です。

気を取り直し、次は「等樹院」(本当は「樹」はサンズイ)へ。しかし、下調べ不足もあり、実は辿りつけていませんでした。4年後に再訪した際、ちゃんと訪問しましたが、ね。

この頃はこんな質の低い散歩・観光でも精一杯でした。しかし経験を積んでいくうち、旅の質は向上していきました。あくなき向上心だけが、旅を変えていきます。その原点が、この日高本線の散歩です。

さて、のんびり歩いていたら時間がなくなったので、途中からバスで様似駅に向かいます。このエリアは札幌市内で通学にも使っていた、ジェイ・アール北海道バスのエリアです。自動放送は聞きなれた声です。

程なく様似駅到着。様似駅では、入場券を購入。当時からきっぷが好きでした。入場券は3種類あったのですが、節約がマイブームだったので1種類のみの購入にとどめました。後で「全部買えばよかった」と後悔……。まあ4年後に残りも買いましたけれど。

併設の観光案内所でクリアファイルなど買ってたら、帰りの列車の発車時間が来ました。

帰宅

帰りは寄り道をせず、ストレートに札幌に帰ります。苫小牧までは146.5km(営業キロ)、移動時間3時間20分の距離を一気に駆け抜けます。でも長距離の乗車はこのころからあまり好きではありませんでした。

静内までは車内放送で言われた通りに、ハチが入らないように窓を閉めていたので、暑い暑い。でも我慢我慢。

静内を過ぎるころには、日はだいぶ西に傾いていました。海沿い区間では、西日にきらめく太平洋をしばし眺めていました。先ほどの海鳥の写真、豊郷での散歩に並んで、この散歩で印象に残った風景ベスト3の一つです。意外にもベスト3に大狩部が入ってこないという。

だいぶ暗くなったころ、苫小牧に到着。

あとは千歳線で札幌へ向かうだけ。普通列車と快速エアポートを乗り継いで新札幌で降り、ラーメンを食べて、地下鉄で帰りました。

おわりに

これが、ボクの初めての一人旅でした。

今思い返すと、本当にクオリティが低いなあ、と思います。でも、これがあって、今のボクがある、という事実に変わりはありません。

時が流れるのは早いもので、あの頃からだいぶ旅の目的も、やり方も、こだわりも、大きく変わりました。またボク自身もいろいろと変わりました。単に成長したというだけではなく、考え方も一部ですが当時と真逆になってます。ホント、時が経つのは早いです。

この先の人生でも、いい旅ができるでしょうか。期待と、不安と。二つの相異なる感情を胸に抱きつつ、ボクはさらなる「旅」に出ていきます。今回の散歩は、ある意味そのスタート地点だったのかもしれません。

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