どうなる? 北の特急列車網① 生き残れるか? 苦境のJR北海道特急群 - ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか
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どうなる? 北の特急列車網① 生き残れるか? 苦境のJR北海道特急群(平成28年4月16日)

連載はもうやらないと言ったな。あれは嘘だ。

……だぁ~って、ちょ~~うど面白い話題が舞い込んできたんだもの。コレやんないで何をやれってんですか。

というわけで、またしても唐突に連載を始めてしまいます。

新幹線開通を機に激動の時代に入ったJR北海道の特急列車たち。しかし、経営基盤があまりにも脆いJR北海道が、現状のまま特急列車を運行することができるわけがありません

事実、新幹線接続のために増発(しかもキハ261系での運用は8両!)された北斗系統以外は、スーパーカムイがいつの間にか30分ヘッドじゃなくなり、スーパーおおぞらが炎上の影響で1往復減り、と暗雲どころか三途の川一歩手前の状態が続いています。事故ラッシュの平成25年以降、特急の所要時間は伸びる一方です。

そして今、安全対策のための投資や、旧型車の大量置き換えで、JRはまったく首が回らない状態になってしまいました。果たして今後、北海道の特急列車はどうなってしまうのでしょうか。今回の連載では、それを考えてみましょう。

各地の不採算特急淘汰の現実

まず導入めいたお話をば。

ちょうど今大変な目に遭っている九州・熊本。その熊本と大分・別府を結ぶ、「九州横断特急」という列車があります。この列車は、今年3月のダイヤ改正で、以前は人吉~別府だった運行区間が短縮され、本数も1往復減りました。

さらに、熊本~人吉を結ぶ特急「くまがわ」も廃止されました。

その理由は輸送実態に合わせるというもの以外に、公式発表こそありませんが、この列車に充当されるキハ185系の老朽化が間違いなく理由としてあるはずです。

熊本~大分間の輸送は、JRの他に高速バス「やまびこ号」があります。しかしその本数も6往復しかないことから、そもそも熊本~大分間の交通需要は小さいと言わざるを得ない状況です。

もうひとつ、秋田と青森を結ぶ特急「つがる」を取り上げます。

このつがるもまた、今回のダイヤ改正で本数が5往復から3往復に削減されました。これまた利用客減少による輸送の適正化が目的ですが、同時にE751系の代走で入ることのあった485系の老朽化も大きなファクターとなっていることが容易に推測されます。今まで485系の代走を計算に入れていたのが、代走を仰がずとも運行できる本数に減らしたわけですね。

また秋田~青森間の輸送需要もやはり細く、あえて本数を増やしたところで利用客が大きく増えることに期待はできません。

このように、全国各地で車両の老朽化を理由としたサービスの低下が起こっています。

「ゼロ成長時代」「失われた25年」の中、安泰と言える鉄道会社は一握り。ほとんどの鉄道は経営が苦しく、また鉄道というツールそのものが利用客の少ない輸送に全く向いていないという話もあり、多くの鉄道会社がサービスへの投資を今まで以上に乗客の多い路線・区間・列車に集中しています。

鉄道会社は当然、必要な鉄道を守り育てていく使命がありますが、その必要性の低い路線は、当然ながら軽視されます。しかも利用客の少ない路線・車両の維持ということ自体が鉄道というものの本質からも外れてしまうので、そうした「選択と集中」はごく当たり前です。

いわんや、JR北海道をや。酷寒の中人口密度の比較的低い大地を駆け抜ける北の特急列車は、特に状況が苦しいです。ましてJR北海道の経営は火の車。そんな中、北海道の特急だけが安泰、などということはありえません。

現状の確認~車両編~

では続いて、JR北海道が発表したプレスリリース(ページ下部の参考文献を参照のこと)で、現在JR北海道の特急列車が置かれた状況を確認してみましょう。

まずは車両面。現在JR北海道に所属する特急車両は次の通り。

電車は、785系・789系基本番台・789系1000番台が所属。

気動車は、キハ183系基本番台・N183系とNN183系(めんどいのでこの2つはまとめて「N183系」と呼びます)・キハ281系・キハ283系・キハ261系基本番台・キハ261系1000番台が所属。

電車特急についてはご存知の通りなので、今回は省略します。

問題は気動車。キハ183系、とりわけ基本番台は登場からすでに30年以上が経過しており、そろそろ置き換えなければなりません。

さらに、キハ281・283系も予備車が少ない中で振り子をガンガン使ってかなりの無理をしてきた車両なので、現在の至上命題である「安全第一」のためにも、早めに置き換えなければなりません。少なくとも、過酷なスーパー北斗・スーパーおおぞらの運用からは一刻も早く解放したいところです。

現状の確認~路線編~

次に路線面。

現在は札幌を中心にした特急列車のネットワークが組まれています。特急列車は、以下の7系統に大別できるでしょう。

  • 北斗系統:札幌~函館「スーパー北斗」「北斗」
  • すずらん系統:札幌~東室蘭・室蘭「すずらん」
  • おおぞら系統:札幌~釧路「スーパーおおぞら」
  • とかち系統:札幌~帯広「スーパーとかち」
  • カムイ系統:札幌~旭川「スーパーカムイ」
  • 宗谷系統:札幌~稚内「スーパー宗谷」「サロベツ」
  • オホーツク系統:札幌~網走「オホーツク」

JR北海道の使命は、札幌近郊の通勤通学・空港アクセス輸送と、道内の特急列車の二本柱を維持することです。極力、現状で特急列車が運行されている区間は、都市間輸送を持続的に行っていくのが目的となります。

しかし、その中でも、収益性がまあまあある北斗・カムイ・おおぞら系統と、収益性が低いそれ以外では、どうしても傾斜を付けざるを得ません。「選択と集中」は現代を生きる鉄道会社の至上命題です。

では、同じくプレスリリースから現状を確認です。

先日発表されたプレスリリースによれば、予算繰りはかなり厳しい状況が続いています。そんな中で、今後10年以内にキハ183・281・283系を一気に置き換えなければなりません。客運ぶってレベルではありません。

また新聞報道などによれば、とにかく資金がないうえに利用も落ち込んでいることから、宗谷系統やオホーツク系統の再編すら考えなければならない状況であるようです。

これは、自治体の支援を遠回しに要請する意味を含んでいます。しかし、支援があっても、収益性が極めて低い以上は現状のままで特急列車網が維持されることは考えづらい状態といえるでしょう。

さて現状確認はこのくらいでいいでしょう。

今回のまとめ

「とにかく資金がない」上に、「大量の気動車を廃車にする」という課題をクリアしながら、「自らの使命である特急列車網の維持を目指す」ことを考える。これが今回の連載のテーマとなります。

我々は、今この瞬間に自分が置かれている環境がいつまでも続いていくような錯覚を覚えることがしばしばあります。しかし、そんなはずはありません。少しずつではありますでしょうが、この世界は変わっていくものです。だから、それに合わせて、変えなければならないところを変えていくことが必要になります。

その中で、何を維持して、何を守っていくのかを考え、行動していくんです。今のJR北海道、そして北海道の各自治体は、その岐路に立たされたと言えるでしょう。

というわけで今回はここまで。今回は導入だけです。次回から、具体的に今後どうなるかの予想を行ってまいります。

札幌を中心とした特急列車のネットワークは、今激動の時代を迎えています。

お金はない。車両も古くなっている。需要も少ない。そんな中で、地域にとって必要なサービスを維持することができるでしょうか。

この連載では、苦悩のJR北海道がどんな方法をとることができるのか、考えていきます。

参考文献……

  • JR北海道 プレスリリース 平成28年3月28日発表「平成28年度事業運営の最重点事項」(http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160328-1.pdf
  • JR北海道 プレスリリース 平成27年3月20日発表「安全投資と修繕に関する5年間の計画について」(http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150508-1.pdf

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