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車両紹介 キハ281系 / 北の特急(+α)図鑑

キハ281系はすでに運用を終了しています。

以下では、長きにわたり活躍した車両を称えるため、また皆様に参考情報としてご活用いただきたく、定期運行終了直前時点での情報をそのまま掲載しております。

~車内でゆったり。心は'HEAT'。~

車いす対応トイレ:〇
コンセント:グリーン車座席のみ
荷物置場:普通車全車
Wi-Fi:×
  • 特急「北斗」 函館行き 2・14・16号、札幌行き 5・7・19号

車体傾斜式車両(振り子車両)です。乗り物酔いが心配な方はご注意ください。

特長

ゆとりの座席で、あの場所へひとっ飛び

ようこそ、"FURICO281" 特急「北斗」へ。「快適」と「ドキドキ」が詰まった車両が、あなたの旅を輝かせます。

車内にはゆったりした間隔で椅子が並び、体を伸ばして車内でのひとときを楽しめます。さらにグリーン車、および普通車指定席では、ヘッドレストも上下に動くから、首まわりも楽ちん。

あの街へ。あの観光地へ。あの温泉へ。あなたの行きたい場所まで、ゆとりのある移動時間をお楽しみください。

荷物が多くても、車いすでも大丈夫

新幹線や飛行機からの乗り継ぎで、荷物が多い! そんな時は、荷物置場(グリーン車を除く全車に設置)を使いましょう。

また3号車では、車いす対応の座席・トイレが利用可能。体が不自由な方にも、快適な旅を。

万一の体調不良の時などに使える「多目的室」もあります。

北の夢が詰まった"HEAT"な特急は、今日も駆ける

沿線の「噴火湾」の青をまとった、クールな外観。

一方、その体には「振り子」の技術でもっと鉄道を便利にしようという、車両設計に携わった北の技術者たちの、熱き思いが込められています。

そんな"HEAT"な車両で、心躍る鉄旅を楽しんでみませんか。

普通車の座席

普通車 グレードアップ座席 ※自由席の一部を除く

すべての指定席(および、自由席の一部)は「グレードアップ座席」。幅48cm、高さ115cmのゆったりサイズで、上下に動かせるヘッドレストと、ゆとりの足元空間がウリです。

テーブルやドリンクホルダーも搭載されており、飲食や作業などをしながら過ごすことができます。きっぷを入れておくチケットホルダーも付いています。

インテリアはシンプルで落ち着いた感じで、のんびり過ごすにも、作業をするにもいい雰囲気。

ヘッドレスト(上下可動式)

テーブル

各車両一番前の席のテーブルは写真と異なります。

チケットホルダー

きっぷを入れておくと、お休み中でも車掌にきっぷを見せるために起きる必要がありません。

ドリンクホルダー、小物掛け

カーテン

※各車両一番前の席は、チケットホルダー・ドリンクホルダー・小物掛けがありません。

※座席にコンセントは付いていません。


自由席は、グレードアップではない旧型の座席となる場合があります。

少しサイズが小さい座席で、フットレストがあります。一方、可動ヘッドレスト・チケットホルダー・ドリンクホルダー・小物掛けはありません。

フットレスト

グリーン車の座席

グリーン車……モケット(布地)シート

2号車はグリーン車です。モケットシートが2列+1列で並びます。普通車よりも大きいだけでなく、まわりの視線が気になりづらい、「個」を尊重する座席が、ひと時の癒しをもたらしてくれます。

機能性も抜群。上下可動、かつ左右の端を折って頭を預けられるヘッドレストは、お休みの時にとても便利。前後スライド式の大型テーブルや、コンセント・読書灯なども備えられているので、ノートパソコンにお弁当、お気に入りの本などを広げて、自分らしく過ごせます。

温かみと高級感のあるブラウン基調のデザインは、「ゆとり」「なごみ」の空間を演出。ちょっと贅沢な体験を、旅の楽しみにするのもいいでしょう。

ヘッドレスト(上下可動式・可動ウイング付)

フットレスト

絨毯生地と座席生地のリバーシブル。

大型テーブル(前後スライド式)

一番前の席と、函館行き列車の4番C席、札幌行き列車の6番B席のテーブルは、写真と異なります(スライド機構無し)。

コンセント(パソコン用、AC100V・50Hz)

ひじ掛けの前部にあります。

読書灯

ライトは座席に設置。スイッチはひじ掛けに付いています。

チケットホルダー

きっぷを入れておくと、お休み中でも車掌にきっぷを見せるために起きる必要がありません。

ドリンクホルダー、小物掛け

ドリンクホルダーは、ひじ掛けに付いているものを立てて使います。

カーテン

※一番前の席と、函館行き列車の4番C席、札幌行き列車の6番B席は、小物掛けがありません。また、一番前の席はチケットホルダーがありません。

設備(荷物置場・トイレなど)

荷物置場(客室内)

普通車全車に設置(一部車両は座席を荷物置場の替わりにしています)。キャリーバッグ・バックパック・折りたたみ自転車(輪行袋に入れた状態)などを置くことができます。

荷物置場(客室外の通路部)

1・2号車と「札幌に向かって先頭の車両」を除く車両に設置。

インフォメーションボード(電光掲示板)

「次の駅」「車内設備と、それが設置されている車両」などの情報が表示されます。客室出口ドアの上に設置。

フリースペース

2号車(グリーン車)のドア付近に設置。ちょっと気分を変えたい時などに休憩するのもいいでしょう。

多目的室

3号車(普通車指定席)に設置。気分が悪くなり横になりたい場合や、授乳する場合などに、車掌に申し出ると使用できます。一部の車いすで乗る場合は予約可能。

トイレ

3号車に、車いす対応洋式トイレを設置。(6両編成の時は4号車、7両編成の時は4・5号車、8両編成の時は4~6号車にも、このトイレがある場合があります。)

おむつ交換台が装備されています。


3号車以外にも、1・2号車および「札幌に向かって先頭の車両」に洋式トイレを設置。

おむつ交換台が装備されています。


1~3号車と「札幌に向かって先頭の車両」に、男子トイレを設置。

洗面台

洋式トイレといっしょに、洗面台が設置されています。

安全・安心・寒さ対策

列車の追突・スピードオーバーを防ぐ設備

この車両が使われる特急「北斗」は、自動列車停止装置「ATS-DN」を使用します。

先行列車との追突だけでなく、カーブでのスピードオーバーによる脱線を防ぐための、スピード制限機能が搭載。

ポリカーボネートで窓を強化し車内を守る

客室窓にはポリカーボネート板を追設済み。

北海道では冬の積雪期になると、車両に付いた雪の塊が落ち、衝撃でバラスト(線路敷の石)が跳ね上がって窓ガラスに当たり割れるという危険がありますが、ポリカーボネートが万一から身を守ってくれます。

換気もバッチリの空調・冷暖房装置

十分な出力を持った冷房・暖房を搭載し、外の暑さ・寒さに関係なく快適に過ごせます。

新鮮外気を取り込む空調も搭載。感染症の原因ウイルスもきちんと逃がせます。

バリアフリー

3号車(普通車指定席)の1番A席は車いす対応座席となっています。車いすを畳んで横に置ける、1人掛けの座席です。

また上記のように、車いす対応トイレが3号車にあります。

なお、ドアとホームの段差は、標準的な駅で約23cm。ドアにステップはありません。

環境仕様

軽量構造で省エネ

車体の材料は、軽量化に貢献するステンレス鋼。

振り子を駆使して走るための軽量構造で、省エネにも貢献しています。

エンジン交換で排ガス対策済

平成17年から全車のエンジン交換を実施。

排気ガス対策と燃費改善が図られ、従来のエンジンよりも環境にやさしい設計となっています。

オゾン層を傷付けない冷房

冷房の冷媒は「R-134a(HFC-134a)」。ノンフロンでオゾン破壊係数がゼロなので、オゾン層の破壊を防ぎます。温暖化係数も従来のR-12より大幅減。

テクノロジー

都市間をスピーディに結ぶための「振り子」の技術

急カーブ区間のある札幌~函館間の所要時間を大幅に短縮するため、JR四国で導入された「振り子気動車」を北海道に導入。車体をカーブの内側に傾け、急カーブのスピードアップを図る技術です。

北海道特有の細かい雪に負けない装置とするため、新たに「ベアリングガイド式」の振り子装置を採用。

それでもなお、北の大地の気候が牙を剥きます。装置の内部が寒さで結露し、振り子が動かなくなる事態に陥りました。

この問題を解決したのは、「装置内を潤滑剤でいっぱいに満たす」という、「非常識」のアイデアでした。潤滑剤の劣化を防ぐための常識を、「振り子程度の動きでは劣化は問題にならない」という理論で覆し、寒さに負けない北の振り子特急が完成しました。

北の技術者の熱い想いが、札幌と函館との距離を一気に近づけるという偉業を成し遂げました。

運転手を守る、高運転台構造

かつて、北海道内での踏切事故により、運転手が両足を切断する大けがを負うという出来事がありました。

事故から運転手を守るため、運転台を高い位置に置くという設計変更はしかし、振り子を導入するために「重心を下げる」という要求と相反するものでした。

それでも技術者たちは、安全を何より大事に考え、努力の末に「高運転台」と振り子を両立させました。以降の特急車両、および札幌エリアの普通・快速列車の車両は、高運転台構造が受け継がれ、実際に大事故から運転手を救いました。

11L 直噴エンジン(N-DMF11HZD)

355PSの高出力を誇る軽量エンジンを採用。各車に2基を搭載し、その向きを互い違いにすることで、エンジンの回転による傾斜トルクを相殺して振り子の動きを妨げない構造としています。

変速1段・直結3段の変速機(N-DW15A)と組み合わせ、広い速度域でスムーズな加速を実現しています。

※新製時のエンジンは、試作車はN-DMF11HZ(総排気量11L、定格出力350PS)、量産車はN-DMF11HZA(総排気量11L、定格出力355PS)。

編成・設備早見

特急「北斗」

基本(5両編成)

←函館 1号車2号車3号車4号車5号車 札幌→
指定:46席指定:26席指定:49席自由:56~58席自由:44~46席



凡例(別ウインドウで開きます)

4・5号車もグレードアップ座席の場合があります。

増結時(6~8両編成)

←函館 1号車2号車3号車4号車--5号車6号車 札幌→
←函館 1号車2号車3号車4号車5号車-6号車7号車 札幌→
←函館 1号車2号車3号車4号車5号車6号車7号車8号車 札幌→
指定:46席指定:26席指定:49席指定:49~58席指定:49~58席指定:49~58席自由:56~58席自由:44~46席



凡例(別ウインドウで開きます)

6両編成の4号車、7両編成の4・5号車、8両編成の4・5・6号車にも、車いす対応洋式トイレ・洗面台・多目的室がある場合があります。

自由席もグレードアップ座席の場合があります。

性能・諸元

性能
車体ステンレス鋼製(先頭部は普通鋼製)
営業最高速度120km/h
設計最高速度145km/h
車体傾斜制御(振り子等)制御付き自然振り子(ベアリングガイド式)
曲線通過速度
(振り子作動時)
本則+30km/h(曲線半径 600m≧R)
本則+25km/h(曲線半径 600m>R≧400m)
本則+20km/h(曲線半径 400m>R≧200m)
主要燃費改善対策軽量ステンレス鋼車体、直噴エンジン、電子制御式燃料噴射、過給器、インタークーラー
寸法・重量
先頭車中間車(車いす対応車)中間車(左記以外の普通車)中間車(グリーン)
全長(連結面間距離)/全幅/全高(mm)21,300 / 2,863 / 4,07721,300 / 2,863 / 3,770
床面高さ(mm)1,150
ドアステップ高さ(mm)ステップ無し
主要駅ホームとの段差 230mm
客室内 幅(mm)2,7202,670
車輪直径(mm)810
車両重量(試作車・新製時)(t)41.9-41.1-
車両重量(量産車・新製時)(t)43.241.740.643.0
エンジン
型式N-DMF11HZD
総排気量(L)11
種類直列6気筒
使用燃料軽油
定格出力(1基あたり)(PS/rpm)355 / 2,100
最大トルク(1基あたり)(kg・m)140
※量産車の換装前エンジンであるN-DMF11HZAの値
1両あたりの搭載基数2基
その他
ブレーキ電気指令式空気ブレーキ(機関・排気ブレーキ併用 応荷重装置あり)
直通予備ブレーキ 耐雪ブレーキ 排気ブレーキ
保安装備自動列車停止装置(ATS-DN・ATS-Sn)
トランスミッション変速1段・直結3段 液体式変速機(自動制御)

製造事業者:日本車輌製造株式会社 または 富士重工業株式会社

参考文献

  • 北海道旅客鉄道(株)運輸部運用車両課 岡崎正継「キハ281系900番台」、『鉄道ファン』1992年4月号、交友社
  • 交友社『鉄道ファン』1992年4月号・1994年3月号 付図
  • 北海道旅客鉄道(株)運輸部 佐藤巌「JR北海道281系量産車登場」、『Rail Magazine』1994年3月号、ネコ・パブリッシング
  • 北海道旅客鉄道(株)苗穂工場車両開発科 入舟正明「JR北海道キハ281系 重要部品取替工事」、『鉄道ピクトリアル』2005年10月臨時増刊号、電気車研究会
  • 『名列車列伝シリーズ⑯ 特急北斗&JR北海道の特急列車』(2002)イカロス出版
  • 『JR特急列車年鑑2020』(2020)イカロス出版
  • 柿沼博彦(2015)『イノベーションへの挑戦 ハンディを個性に変える思考法』中西出版
  • JR北海道 平成23年10月13日ニュースリリース「グリーン車の座席をリニューアル!」(https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2011/111013-2.pdf)、北海道旅客鉄道株式会社Webサイト、令和4年9月7日閲覧
  • JR北海道 平成21年4月8日ニュースリリース「帯広方面『スーパーとかち』の指定席が全てグレードアップ座席になります!」(https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2009/090408-2.pdf)、北海道旅客鉄道株式会社Webサイト、令和4年9月7日閲覧

以下の文献は、「性能・諸元」項の作成にあたっての資料としてのみ使用。

  • 北海道旅客鉄道(株)運輸部運用車両課 難波寿雄「キハ283系量産車」、『鉄道ファン』1997年5月号、交友社
  • 北海道旅客鉄道(株)運輸部運用車両課 佐藤巌・佐藤頼光「JR北海道261系特急気動車(量産車両)の概要」、『鉄道ジャーナル』2000年4月号、鉄道ジャーナル社

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