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DECMO続々登場! 道内ローカル気動車の今後は?

記事公開:令和3年(2021年)1月24日

令和3年(2021年)3月のダイヤ見直しで、JR北海道の普通列車向け車両「DECMO(H100形)」が旭川・苫小牧の近郊での運行を開始します。

DECMOは、JR北海道が非電化ローカル線で運用している老朽車・キハ40形を置き換えるための車両です。令和2年(2020年)ダイヤ見直しで15両がデビューし、最初は函館本線の(札幌~)小樽~長万部間に導入されました。今回はそれに続く第2弾として、30両が投入されます。

JR北海道はライフサイクルコストの考え方に基づく車両の置き換えを行ってこなかったため、多くの路線でいまだ大量のキハ40形が幅を利かせています。

しかも、JR北海道の経営は知っての通り火の車。需要の少ない列車で使う車両を新たに開発する余力は全然ありません。

運賃値上げなどによりどうにか資金を工面し、設計についてはJR東日本と共通の設計図を使うことでクリア。そうして生まれたのがDECMOです。

DECMOは令和3年度にも30両が導入される予定で、3年間で一気に75両の大所帯となるわけです。

今回の記事では、DECMOがもたらす変化……所要時間の短縮と、他のローカル線区向け気動車の動向について特集します。

令和3年ダイヤ見直しでの導入線区

まずは、今回増備されたDECMOがどんな辞令を受け取るのか、軽く説明します。ご存知のこととは思いますが一応。

旭川方面:宗谷本線の旭川~名寄に集中投入。石北本線にも

今回のダイヤ見直しでは、DECMOは旭川方面と苫小牧方面に導入されます。

旭川方面では宗谷本線の旭川~名寄間に集中的に投入。この区間のほとんどの普通・快速列車が、DECMOでの運転となります。

ただし、上下計3本だけDECMO以外の車両が残ります。うち2本は、キハ54形の名寄以北への送り込みを兼ねた運用でしょう。名寄から北は従来通りキハ54形を使うと予想されます。したがって、キハ54形を旭川運転所に入出庫させるのに旭川~名寄間でもキハ54形が走る、と考えられます。

残り1本は同じく送り込みか、あるいは旭川~永山間の区間列車と予想します。車両は同じくキハ54形と予想します。

旭川~名寄間の普通・快速列車はDECMOとキハ54形の2形式に統一ということになり、キハ40形は撤退が確実です。

このほか、石北本線の旭川~上川間でも2本だけDECMOが充てられます。

苫小牧方面:苫小牧以西にのみ導入。東室蘭~長万部は普通列車オールDECMO化

苫小牧方面では、室蘭本線の苫小牧~東室蘭~長万部間・東室蘭~室蘭間に投入。

東室蘭~長万部間はすべての普通列車がDECMOになります。

また、苫小牧~東室蘭~室蘭間でも普通列車の約2/3がDECMO化されます。後ほど説明しますが、DECMOは距離の短い東室蘭~室蘭間がメインとなり、苫小牧~東室蘭は引き続きキハ143形が中心となると予想しています。なので、数の上では2/3ですが、走る距離としては半分程度かなと思います。

逆に、苫小牧~岩見沢間や、石勝線・日高本線には、少なくとも今回は投入しないようです。

意外と速い! DECMO投入によるスピードアップ

それでは、今回のDECMO投入による変化を、所要時間面から見ていきます。

際立つのは、DECMOの「速さ」です。

DECMO疾走! 特に宗谷本線で最大31分短縮

今回DECMOが投入される列車の多くで、所要時間が短くなるようです。

特に大きく変わるのが、宗谷本線。DECMOの性能を活かしたダイヤとし、単線区間のダイヤ調整も合わせて行うことで、旭川~名寄間の所要時間を平均13分、最大31分短縮するとのこと。

ただし、駅がいくつか廃止され、停車駅が減ることによる所要時間短縮もここに含まれています。

DECMO効果が約11分、駅廃止効果が約12分(おそらくダイヤ組成の基本になる「基準運転時分」での比較)なので、だいたい半分がDECMOの性能による時短のようです。

この区間の普通列車はキハ40形、それも製造当初からの非力なエンジンを積んでいるタイプ(700番台)でも走れるダイヤにしてあるものと思います。事実、平成28年に乗車した快速なよろ1号はそうでした。

それをDECMO前提のダイヤに変えれば、当然スピードアップできます。DECMOはキハ40形よりも全ての速度域で加速に優れるからです。

さらに、車両の最高速度もキハ40形が95km/hのところ、DECMOは100km/h。宗谷本線の名寄以南の線内最高速度は120km/hなので、DECMOは当然100km/hで走れます。線形も良い部類なので、存分に高速運行できるでしょう。

(これらを逆に言えば、今までがそうとう遅かったということでもありますが。)

室蘭本線でも、同様に時短が図られます。苫小牧~室蘭間は平均4分、全列車がDECMO化される東室蘭~長万部間は平均8分短縮となります。

なお、利用者目線でどれくらいの恩恵があるかの分析は、ダイヤ見直しの特集記事で改めて論じる予定です。

数字以上に速い! DECMO実乗インプレッション

DECMOが具体的に従来車とどれくらい違うのか、参考までに小樽~余市間で実際に乗ってみての印象を記します。

加速ですが、当初持っていたイメージとはかなり違って、滑らかに加速します。

発進からしばらくは、電車並みにスムーズ。30km/hあたりからだんだん鈍りますが、それでもキハ40形なんぞとは比べ物にならず、キハ150形から見てもそれほど遜色ありません。

従来の液体式気動車だと50km/h(キハ40形700番台だと70km/h)あたりで一旦加速をやめて変速するわけですが、DECMOは電気式気動車なので必要ありません。ギアチェンジ無しでそのまま加速。

50km/h~70km/hは、従来車だとどの車種でも加速がもたつく速度域。DECMOも加速が弱くはなりますが、さすがは電気式、もたつき感はそれほどなく、着実に速度を上げていきます。

変速がないのと、中速域の加速が良いので、40→70km/hの加速で比較すればたぶん北海道のローカル気動車でトップです。キハ281系にも肉薄するのではないかと思います。

70km/hを超えると、さすがに余力が無くなってきます。高速域は液体式気動車の得意領域ということもあり、キハ54形やキハ143形あたりと比較すると高速域での加速は劣ると感じます。もちろんキハ40形よりは圧倒的に上です。

雑誌に掲載されていたスペック表によれば、0→60km/hの加速度は1.1km/h/sとのことですが、ウソだと思いました。実際には1.2~1.3km/h/sくらいはあると思います(実測ではなく体感ですが)。最初にこの「1.1」という数字を見た時はわりとガッカリしていたんですが、乗ってみて印象が変わりました。(利用の少ないローカル列車の置き換え用で、しかも経営難の中で国の支援を受けつつ導入する関係上、性能を低めに公称している?)

しかも、普通列車として使用するので、中速域の加速が良いというのがかなりの好材料。カタログの数字以上に、DECMOは「速い」と思います。

参考までに減速についても。JR東日本の車両がベースではありますが、ブレーキ性能は札幌圏の電車や785系以降の特急列車と同様にセッティングされているようです。

ブレーキはB1~B7の7ステップ(+非常1ステップ)ありますが、札幌圏などと同じく、基本的にB2までしか使っていませんでした。B1・B2での減速性能も、札幌圏電車と同じくらいだと感じました。

速度種別は、単行・2両編成とも、「停気D5」でした。キハ40形基準のダイヤで運行される列車は基本的に「F8」なので、それよりも上り勾配10‰での均衡速度が17km/h高いということです。

(キハ40形が入る列車でも例外があります。ボクが知る限り、日高本線は平成27年時点で「D3」でした。ただし現在は変わっている可能性あり。)

ただ、キハ54形・キハ143形が「A3」、キハ150形が「B3」または「C0」(2両編成以上でB3、単行でC0? 詳細不明)なので、それよりは劣ります。

DECMOは凡庸といえば凡庸ですが、キハ40形との比較で言えばかなりの俊足だということがわかったと思います。小樽~長万部間では従来とほぼ同じ所要時間で走っており余力を残している印象があります(かつてのキハ150形限定運用の列車でもダイヤにずいぶん余裕がありました。路線の特性による制約?)が、今回導入される区間ではいよいよ本領発揮といったところです。

維持困難路線へのDECMO投入は後回し?

ここからは、DECMO投入によって、道内のローカル気動車にどんな動きがあるかを予想していきます……が、その前に一つ。

今回DECMOが入る路線を見て、何か引っかかるものがありませんか?

DECMOは、当初「勾配に強い」という触れ込みで登場したはず。2軸駆動なので、アップダウンのある線区でも空転しづらく、空転が原因の遅れを減らせるわけです。

にもかかわらず、急勾配のある富良野線や石北本線上川以東を差し置き、平坦線区の室蘭本線と、峠があるものの平坦区間の多い宗谷本線に投入。最初に投入線区を見た時、「あれ?」と思わず呟いたのを覚えています。

石北本線での運用がわずか2本、しかも平坦な上川以西にしかないのも、妙に感じませんか?


この謎を解くヒントが、JR北海道の会社案内パンフレット(令和3年1月現在)にあります。(JRのWebサイトの、「企業・採用」→「会社・グループ情報」に掲載されています。)

11ページに、安全のための投資についてまとめた表がありますが、その中の「キハ40形気動車の老朽取替」に注目。

項目が、「黒・緑・紫線区」と「黄線区」で、別になっているのです。「黄線区」というのは「維持困難線区」のことです。同じ内容なのに、わざわざ維持困難線区の分の項目を分けているのです。

要は、JRは少なくとも今年度中に「DECMOを維持困難路線に入れる気は無い」のです。

石北本線の2本の運用も、積極的な意図ではないでしょう。あくまで運用の都合で(言い方は悪いですが)「やむなく」そうなっただけだと考えられます。

「維持困難」と言いながら優先して新車を入れるというのは、沿線や国交省に対して説明が付かないでしょう。そのため、維持困難路線への新車投入は後回し、という方針をはっきり示しているものと思います。


逆に、維持困難路線以外については来年度までにキハ40形の置き換えを終わらせる方針であることが、同じく表から読み取れます。

(さっき「旭川~名寄間からキハ40形の撤退は確実」と予想したのはこれが根拠です。)

あれほどたくさん走っていたキハ40形が、「黒・緑・紫線区」からは急速に姿を消していくことになります。

令和3年3月ダイヤ見直しでの、ローカル気動車の動向を予想する

さて、それでは今度こそ車両動向の予想に話を移します。まずは、今年3月のダイヤ見直し時点での動きから。

旭川方面:キハ54形の動きが焦点

旭川方面から行きましょう。先ほど言った通り、おそらく宗谷本線からキハ40形が退き、キハ54形も運用を減らします。

キハ40形はそのまま廃車かと思いますが、焦点になるのはキハ54形です。

キハ40形を差し置いて廃車になるはずはないとして、ではどこに行くか。一番ありそうなのは「玉突きでキハ40形を置き換え」ですが……。

そうではなく、「一旦ストックして後で使う」と推測しています。詳細は後ほど。

苫小牧方面:キハ143形の廃車・キハ150形の転属は?

続いて苫小牧方面。キハ150形キハ143形の動静が気になります。資料を丁寧に読んで、一つ一つ明らかにしていきましょう。


DECMOは東室蘭~長万部間の普通列車すべてと、苫小牧~室蘭間の66本中43本に投入されます。

……なんですが、ここで衝撃の事実が。令和2年度の時刻表を何回読んでも、現状(令和2年3月ダイヤ見直し現在)の苫小牧~室蘭間の気動車普通列車が、64本しか見当たらないのです。

いったい、2本はどこから?

――これは、おそらく特急列車の減便が絡んでいると思われます。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)による利用減を受け、札幌発・函館行きの特急北斗のうち一番時間が遅い24号が運行取り止めとなります。これによって最終列車が大幅に繰り上がってしまうのを少しでも抑えるため、北斗22号を札幌18:46発(現在のすずらん10号と同時刻帯)、すずらん10号を札幌19:14発にそれぞれ繰り下げる措置が取られます。

また、すずらん10号は東室蘭どまりになります。

北斗22号は、当然ながら東室蘭~室蘭の区間には乗り入れません。このため、現在のすずらん10号利用者のうち、輪西~室蘭間各駅へ向かう乗客に悪い影響が出てしまいます。

そこで、北斗22号に接続する東室蘭発・室蘭行きの普通列車を新たに設定するものと思います。

また、室蘭20:48発の東室蘭行き普通列車は現状、すずらん10号の折り返しなので特急型電車での運行ですが、すずらん10号が東室蘭~室蘭の運行を取り止めるので、今と同じ形で運行できなくなります。そこで、新たに設定した室蘭行き列車の車両を、折り返し室蘭20:48発の列車に充てるものと思います。

この予想が当たれば、気動車の普通列車は計66本となり、計算が合います。


で、そのうちの「43本」はどれなのでしょうか。反対に言えば、DECMO以外で運行される23本はどれなのでしょうか。

ここを紐解くには、先に苫小牧~岩見沢間(以下、「岩苫」)と石勝線の普通列車がどうなるのかを考察する必要があります。

ここで、先ほどの「維持困難路線のキハ40形置き換えは後回し」という話が出てきます。

岩苫は「維持困難線区」に入っています。一方、石勝線は単独維持可能。そして、岩苫と石勝線は、普通列車用の車両が共通運用されています。

したがって、この界隈の車両は「岩苫で運用するのでDECMO以外」かつ「石勝線でも運用するのでキハ40形以外」という条件が付きます。(実際、今回DECMOは苫小牧以西にしか投入されません。)

よって、キハ150形が適任です。元々苫小牧におり、ちょうどDECMOに運用を引き継いで手が空くので、「DECMO以外、かつキハ40形以外」で一番手っ取り早く投入できです。

苫小牧にいるキハ150形は10両。それだけあれば、岩苫・石勝線の運用、それと間合いで運用される函館本線の岩見沢~滝川間の1往復は、キハ150形に統一できるでしょう。

そうなると、逆に他に回す分はなくなります。なので、キハ150形は基本的に苫小牧以西に乗り入れなくなるでしょう。また、日高本線は引き続きキハ40形が担当するでしょう。


ここから、苫小牧~室蘭間でDECMO以外で運行される列車がどれなのか、だんだん見えてきます。

まず、岩見沢を早朝に出発する糸井行き1462Dと、糸井を3時台に出る追分行き1471D。苫小牧をまたいで直通運転するこの2本は、苫小牧で系統を分離しない限り、当然キハ150形ということになります。

糸井7:57発の苫小牧行きは1462Dの折り返し。苫小牧15:08発の糸井行きは折り返し1471Dになります。したがって、この2本もキハ150形と予想できます。

さて、それ以外の19本はどれでしょうか。

実は、19本という数は、キハ143形で運行される列車の数とピッタリ一致します。

車両の面で見ても、「キハ150形は手一杯」で、「単独維持可能路線なのでキハ40形を今さら使うとも考えられない」ので、消去法でキハ143形が残ります。これはビンゴでしょう。

したがって、キハ143形がこれまでと同じく運用され、苫小牧~東室蘭がキハ143形メイン、従来はキハ40・150形が多かった東室蘭~室蘭がDECMOメインになると予想できます。(先述の新規1往復もDECMOと予想します。)

最後にまとめると……

  • 苫小牧~室蘭:普通列車66本中43本がDECMO、19本がキハ143形、4本がキハ150形(糸井以東のみ)
  • 東室蘭~長万部:普通列車はすべてDECMO(確定情報)
  • 岩苫・石勝線:普通列車はすべてキハ150形
  • 日高本線:普通列車はすべてキハ40形

……という予想となります。

以上から、苫小牧方面のキハ150形・キハ143形は転属にならない、と予想できます。

その先1年間で、道内ローカル線は様変わり!?

ここまでは、今年(令和3年)3月の変化の予想でした。ここからは、その先およそ1年間の予想を立てていきます。

実は、この1年でかなり大きな動きがあるようなのです。

旭川のキハ150形、電撃移籍!?

富良野線と言えば、キハ150形。道内随一の急勾配区間を持ち前のパワーで駆け抜けます。

現在、旭川にはもともとの10両のほか、DECMOデビューに伴い昨年札幌から転属した6両が配置されています。長年この地域で運用されており、しかも最近他から転入したということで、当分旭川近郊で活躍しそうなものですが……。

このキハ150形、実は旭川以外に転属になりそうなのです。

今年6月、「旭川のキハ150形の行先表示器対照表に、函館界隈で使う用の行先表示が収録されている」との目撃情報が、他サイト様で画像付きで公開されました。(文末の「参考文献」をご参照ください。)

デビュー当初から旭川にいるキハ150-5と、札幌から移ったキハ150-13とで、同じ表示が確認されたとのことです。

他に「根室線」「花咲線」の表示も確認できますが、函館界隈については「函館~七飯」など具体的な区間が入った表示が、それも函館~長万部間の気動車普通列車の全パターン分揃っています。

使う気もない区間の表示を、全パターンきっちり準備するとは思えません。よって、キハ150形の函館転属は間違いないでしょう。


ここで、先ほどの「維持困難路線以外のキハ40形置き換えは令和4年度で終える予定」という話を思い出してください。

冒頭で述べた通り、来年度のDECMO投入数は30両。

一方、維持困難路線以外の線区に残るキハ40形は、函館本線の函館~長万部間で15両ほど、根室本線の新得~釧路間で26両ほど、そして函館本線の札幌~旭川間でも数両。

どう計算しても、30両ではすべて置き換えることができません。

「DECMOではなく、在来の車両でキハ40形を置き換える線区がある」。そうとしか考えられません。

キハ150形を函館で使うというのは、そうした理由によるものでしょう。

旭川のキハ150形は16両ですので、函館界隈のキハ40形をすべて置き換えできる計算です。よって、函館~長万部間の気動車普通列車はキハ150形に統一されるでしょう。

(それなら、なんで札幌にいたキハ150形をすぐ函館に行かせず、いったん旭川に寄越したのだろうか、という疑問は残ります。理由の推測は付きますが、長くなるので割愛。)


ただ、1両余分があります。この他、DECMO投入で(札幌~)小樽~長万部間の運用を追われたはずのキハ150形が、1両だけ札幌に残留しています。

この2両の余りは、札幌に置いておくのかな、と推測しています。

根拠となるのが、線路などの検測を行う事業用車・マヤ35形に関する目撃情報です。

マヤ35形は自走できないので、キハ40形2両の間にマヤ35形を挟んだ「DTD編成」を組むか、機関車に引っ張ってもらうかして走ります。ところが、実は車両落成直後、キハ40形ではなくキハ150形とのDTD編成で試運転を行ったという目撃情報が上がっています。

これは、キハ40形置き換え後はキハ150形を使って検測を行うということではないか、と思ったわけです。

ただ、まだバリバリ働ける旅客車両を検測専用にするのもアレな話ですので、他にもあれこれ活用するものと思います。例えば、苫小牧のキハ150形の検査代走や、富良野線の多客期対応(定期列車増結、または「ふらの・びえい号」)、恒例の団体臨時列車「ひまわり号」などが考えられます。

キハ54形の捻出は可能か

キハ150形を旭川から他に移すには、富良野線の運用をキハ54形に引き継ぐ必要があります。

キハ40形ではダメです。理由は、美瑛~上富良野間の勾配。日中は単行で運行しないと費用がかかりすぎるため、単行でも急勾配を上れる出力が必要なのです。(2~3両で運行される朝の列車はキハ40形が入ってもOK。というか実際運用されています。)

旭川のキハ150形は当初、富良野線用として10両が配置されていました。それと同程度の数のキハ54形を捻出しないと、富良野線の運用を引き継ぎできません。

キハ54形はあちこち忙しく走り回っています。富良野線に回すことは可能なのでしょうか?


可能です。一つ一つ見ていきましょう。まず先述の通り、旭川~名寄間のキハ54形の運用が減ります。これで、予備車含め3両程度はキハ54形を浮かせられます。

なお、宗谷本線のキハ54形の運用には、石北本線の旭川~上川間の列車と一続きのものもあるようです。石北本線に2本だけ「仕方なく」DECMOを入れるという話、その運用上の理由というのが、この宗谷・石北の一続き運用からキハ54形を外すことにあるのではないかと思われます。

次に、同じくDECMOが集中投入される苫小牧から、置き換え対象のキハ40形のうち、状態の良いものを旭川に移せるでしょう。この車両に、石北・宗谷一続き運用以外にも石北本線にまだ残るキハ54形の運用を引き継がせれば、さらに2両程度のキハ54形を捻出できると思います。

(というか、キハ40形に「戻す」といった方が正しいのかも。平成28年ダイヤ改正でローカル列車が減便されてキハ54形に余裕が出た分が石北本線に回っている形だと思いますので。)

キハ54形は廃線が前提となっている留萌本線でも運用が3行路あります(令和2年3月ダイヤ見直し時点)。路線の廃止により、予備車を含めて5両程度、キハ54形を他に回せるでしょう。

これらの措置により、10両くらいはキハ54形を確保できると見込みます。

これでも不足する場合、3両編成で運転される美瑛6:55発の旭川行きで、キハ40形の組み込み数を1両から2両に変えて、その他運用をちょっといじれば、キハ54形の必要車両数を1両減らせると思います。

こんな感じで車両をやり繰りして、キハ54形を富良野線に回すというのがJR北海道のアジェンダなのかな、と想像しています。

(言い換えれば、来年度中に留萌本線の廃止に漕ぎ着けられなければ、車両不足に陥るということでもあります。かといって、廃止を急ぐあまり沿線との条件面での交渉で安易に妥協したら、今度は資金が不足します。JR北海道の交渉力が試される場面です。)

令和4年春のDECMO投入路線は?

以上から、函館~長万部間についてはDECMOを入れず、キハ150形でキハ40形を置き換える、とわかりました。

そうなると、来年度(令和4年度)のDECMO投入路線も、自ずと定まります。

あと維持困難路線以外でキハ40形が残るのは、根室本線の新得~釧路間。それと、函館本線の札幌~旭川間の数本。DECMOは必然的に、これらの置き換えに使われるはずです。


来年度のDECMO集中投入区間は、もちろん新得~釧路間になるでしょう。釧路にはキハ40形が26両ほどいるので、それと同数のDECMOが入り、キハ40形を一気に置き換えるものと思います。

なお、音別~釧路間にはキハ54形の列車もあるようですが、こちらは従来通りとなることも考えられます。

DECMOはあと4両投入されます。この分は札幌~旭川間のキハ40形置き換え分でしょう。札幌か旭川のどちらかに4両、またはその両方に2両を投入というのもありえます。

札幌~旭川間のキハ40形の運用は次の通り。(時刻・列車番号は令和2年3月ダイヤ見直し現在。)

  • 札幌6:00発 旭川行き(923D)→旭川10:34発 滝川行き(922D)→滝川13:36発 岩見沢行き(926D)→岩見沢17:34発 滝川行き(929D)→滝川19:36発 岩見沢行き(930D)(岩見沢到着後、苗穂運転所へ回送)
  • 滝川6:33発 旭川行き(921D)
  • 旭川19:30発 深川行き(928D)→旭川へ回送→旭川22:04発 滝川行き(932D) (令和3年ダイヤ見直し後は、928Dと932Dが統合)

(このほか岩見沢~滝川間で1往復ありますが、先述の通りキハ150形になると予想。)

運用は3本で、921Dと928Dは一つにまとめられるので実質2本。前者は2両編成なので、必要な車両の数は3両。新車を4両入れれば、ギリギリ置き換え可能といえば可能です。

もっとも、他のDECMO運用の普通列車と共通運用とし、予備車を共通化できるので、ギリギリの数でも問題ないと思います。

なお、これらの運用はJR北海道の中期計画にあった「2両ワンマン電車」で置き換える可能性もあります。また前者の運用については、(先ほどの予想が当たれば)苗穂に留まるキハ150形を使う可能性もあると睨んでいます。

キハ40形の撤退は確実として、どの車両がその役目を買って出るのか。今回一番自信がないのがこの点です……。

(余談)ところでこの923Dですが、どうやら苫小牧や旭川と苗穂工場との間で車両をやり取りするのにも使われているようなのです。

苫小牧や旭川のキハ40・54・150形が検査などで苗穂工場に入る際、出場時に923Dと併結して、岩見沢または旭川まで回送しているようです。

こうすることで、苗穂工場から車両を回送するために別途運転手を手配する必要をなくしているものと思います。

仮にこの923DをDECMO化した場合、苫小牧に残るキハ40・150形、旭川に残るキハ40・54形を923Dに併結できなくなります。DECMOは在来のローカル気動車と併結できないからです。

逆に、さっき苗穂に残留と予想したキハ150形を充てるとしたら、今度はDECMOの回送に使えなくなります。というかキハ150形で運用する場合予備車がありません。

そこで、例えばDECMOとキハ150形をかわるがわる運用して、DECMOの回送は923DにDECMOが使われる日に、在来車の回送はキハ150形の登板日に行う、というのが考えられます。これなら回送の省力化を今後も実現できます。ただ、これはこれで運用を組むのが面倒。

もう一つ、回送の省力化をいっそキッパリあきらめるのも手。そうすればDECMOまたは2両ワンマン電車に完全に置き換えられます。別に毎日苗穂に出入りする車両があるわけではありませんし、複数車種が絡む運用組みや、車両の連結・切り離しがいらなくなるので、労力的にそこまで変わらないかもしれません。

また、921D・932Dも滝川~富良野~東鹿越間で使う車両の送り込み・返却に使われているという情報があります。ただ、こちらはDECMOや電車で置き換えても問題はないでしょう。車両は富良野線を使って送り込んでもいいわけですので。(余談おわり)

維持困難路線へのDECMO投入は実現するか?

その先、つまり維持困難路線へのDECMOの投入は、果たしてどうなるでしょうか。

JR北海道は一昨年の運賃値上げの際、その増収分をDECMOの導入費用に充てると説明していました。その中で、DECMOは最終的に合計127両を投入する予定であるとしています。

維持困難路線以外への投入数が75両ですので、維持困難路線向けに導入される予定のDECMOの数は52両ということになります。

では、この52両がいつ投入されるか、という話ですが……。


あえて悪い方の予想から申し上げます。そもそも「投入されない」可能性さえあるのではないでしょうか。

維持困難路線はDECMO投入が後回しになるというのはここまで説明した通りですが、本当に「後回し」で済むのでしょうか。

JRは維持困難路線について、上下分離方式への移行を含めて、持続可能な体系へと変えていくことを自治体に打診しています。

上下分離方式が採られる場合、車両は自治体の保有となることも考えられます。また、それ以外の形を採る場合でも、自治体による車両のリースなども考えられます。

そんな中で、JRが自治体に対して何もアクションをとることなく、自腹で新車を入れてしまったら?

それは、自治体に「やっぱりこの路線は当社単独でやっていきます」という誤ったメッセージを送るも同然です。自治体の協力が得られなくなれば、持続可能な交通体系など夢のまた夢です。

したがって、JRは来年春までに何らかのアクションを起こすのでは、と考えられます。具体的には、「支援なく新車を入れることはできない」という立場を表明するのではないかと思います。

自治体による上下分離・車両リースなどの方策が示されるか、あるいは国が動くか、いずれにせよ行政が何かしなければ、そのままDECMO増備計画を白紙に戻すことも考えられます。

キハ40形がそのまま維持困難路線で運用され続け、限界が来たものから順次廃車、それで車両が足りなければ路線そのものも順番に……。


あくまで、これは「最悪の想定」です。何かしらの策が示され、DECMO投入にゴーサインが出る、とボクは信じます。

早々に道が開ければ、JRの会社案内パンフレットの通り、来年度中に車両調達が始まるでしょう。

スムーズに行けば、来年度に車両発注、令和5年度までに52両が出そろう、という可能性も。今年・来年と同じペースで入れれば、52両なら単純計算2年で終わるわけです。

仮にそうなると、あと3年ほどで北海道からキハ40形が全廃となります。

また、52両という数字は来年度末時点で維持困難路線に残っているであろうキハ40形の数を明らかに上回ります。となると、キハ54形の置き換えも視野に入っているのではないかと思います。

キハ40形とキハ54形の両方をDECMOに置き換えれば、予備車を共通化でき、必要な車両数を削減できます。なので、キハ54形を全廃しても車両は足りると思います。もちろん、廃止対象線区の廃線完了が前提です。

つまり、先ほどと逆の「最高のシナリオ」を描いた場合、道内ローカル路線にはさらなる激変が待っているということです。

「いつまでも骨董品が走っている地域」。そんな北海道のローカル路線のイメージが、一気に変わるかもしれません。

DECMOには「着席定員が少ない」「座席が固い」などの指摘がある(同感)上、高速性能がやや劣るため、特にキハ54形と比べると必ずしも改善ばかりではないでしょう。

それにしても、経年30年を超えた車両ばかりが居座る現状が一気に変わることのインパクトは非常に大きいはず。イメージアップなど、北海道の交通網を少しでも維持可能なものに近づけるような効果を期待したいところです。

他にも快速エアポートの動向、キハ261系の増備、「2両ワンマン電車」が実現するかどうかなど、車両面で気になる点が多いこの頃。こんなご時世ですが、少しでも良いニュースが多くなることを祈って、本日はこれにて。サヨナラ!!(爆発四散)

参考文献
JR北海道 令和2年12月9日ニュースリリース「来春のダイヤ見直しについて」(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20201209_KO_kaisei.pdf)
JR北海道 令和元年9月11日ニュースリリース「H100形電気式気動車(DECMO)の投入線区について」(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190911_KO_DECMO.pdf)
JR北海道 平成28年7月29日ニュースリリース「『持続可能な交通体系のあり方』について」(https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2016/160729-2.pdf)
北海道旅客鉄道株式会社 車両部 計画課(車両設計) 水上幸治、清水敬太「H100形電気式気動車」、『鉄道ファン』2018年7月号、交友社
「会社案内パンフレット」(https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/company/com_04.html)、JR北海道Webサイト ※令和3年1月24日閲覧
「対照表 旭川運転所キハ150」(https://hokomaku.net/data/asahikawa_dc150.html)、「方向幕収集班」 ※令和3年1月24日閲覧
「マヤ35-1が本線試運転を実施」(https://railf.jp/news/2017/05/18/100000.html)、「鉄道ファン・railf.jp」 ※令和3年1月24日閲覧

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