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10年ぶり復活初日の特急ライラック1号に乗ってみた

記事公開:平成29年4月10日

平成29年3月4日。北海道新幹線が開業してから2度目のダイヤ改正で、札幌~旭川間の特急列車に10年ぶりの大改正が行われました。これにより復活した列車名が、特急「ライラック」です。

10年前の「ライラック」は781系で運行される脇役感のある列車でしたが、これからの「ライラック」は789系基本番台で運行される、「カムイ」と並ぶ旭川特急の二枚看板です。

この記念すべき瞬間をちらっとでも味わおうと考えたボクは、ダイヤ改正当日の朝、JRの始発列車で札幌駅に向かいました。

札幌駅では見慣れない、萌黄色の前面

特急ライラック1号(札幌6:35 → 岩見沢6:59) 車両:クハ789-201(6両編成・6号車)

朝6時すぎ、JR札幌駅7番線。ボクはカメラを構えた状態で、「特急ライラック 自由席 6号車」と書かれた号車札の下に立っていました。

7番線には、ボクのほかにカメラを持った人がおり、少しだけですが「珍しい列車が来る」時のムードが漂っていました。

しかし、大多数の乗客は、前日まで走っていた「スーパーカムイ1号」を待っているのと(おそらくは)同じ感じで列車を待っていました。早朝の札幌駅は、ダイヤ改正の日で、しかも新列車が誕生する瞬間だと言うのに、普段の休日の朝とそうそう変わらない雰囲気でした。

6時28分。手稲方面から、萌黄色の前面が特徴的な、789系基本番台が入ってきました。胸(?)に、今回の転用改造で取り付けられた、「ライラック」と表示された真新しいLEDヘッドマークを付けて。

札幌発の「ライラック」一番列車ということなのか、車両はHE-101+HE-201のトップナンバー6人衆で構成される6両編成でした。トップナンバーとは言っても、実は中間の3号車だけ製造年が違うのが面白いところです。

先頭車の部分には、少々の人だかりができていました。前面を撮ったり、ヘッドマークを撮ったり、ラッピングを撮ったり。でも、そんなに人数いないし、なにかセレモニーがあるでもないし、本当にこれが一番列車なのか疑問が湧いてきました。

ところでこのラッピング、おそらくは一時的な措置だと思うんですけど、どうなんでしょうね。列車名が決まってからエクステリアデザインを決める手はずでとりあえず「HEAT789」の文字とかを取り払ったけど、列車名決定が12月と遅く、それからデザイン考えてたらダイヤ改正日に間に合わないというので、萌黄色主体のデザインが人気なことだし、とりあえずラッピングしてみた、というのが実情でしょうかね。「ライラック」ですからパープル主体のデザインにせにゃあならんのですが、果たして……。

というか、どうせこうするなら、「HEAT789」のロゴ、なくさなければよかったと思うんですがねえ。

旭川特急新時代の幕開け

あちこち撮影をしているうちに発車時間が迫ってきました。自由席ならどこでもいいのですが、適当に6号車に着席しました。

車内はホントにスーパー白鳥時代と変わっていません。一般人にわかるレベルの内装の変化としては、自販機がなくなった程度ですからね。

6時35分、列車は軽やかに札幌駅を出発。電車特急らしくスイスイと加速していきます。

その後自動放送が流れますが、車掌からは何もアナウンスが流れません。「一番列車です」というような簡単な挨拶があるかと思っていましたが……。

こうなるといよいよもって一番列車の雰囲気がありません。車内もそこまで混み合っているわけでもなく、2席を余裕で独占できるというのもあり、結局は前日までの「スーパーカムイ1号」の延長でしかないのだな、と改めて認識しました。

その後も列車は「いつもの旭川特急」のムード満点でひた走りました。前日までのスーパーカムイ、そしてその前身の「スーパーホワイトアロー」とは、自由席に乗っているぶんにはなんにも変わりません(最高速度は10km/h落ちたけど)。

で、7時前に岩見沢駅で下車。旭川に用事はないので、最初の停車駅でさっさと降ります。

隣にはお馴染みの始発旭川行きのキハ40系2両が停まっています。また、先の滝川では富良野行き普通列車に、旭川では名寄行き普通列車に接続します。前年のダイヤ改正で(前身列車の)札幌出発が繰り上がったことで、これだけの接続が実現しました。しかしこの日はこれらにも用はありません。改札を出て、もう一回入場し、札幌方面行きの普通列車に乗って帰宅しました。

「ライラック」「カムイ」概説

ホントに「一番列車リポート」という感がまったくないルポになってしまいました。このまま終わるのもなんだかなあ、と思うのでちょいと「ライラック」と「カムイ」について解説を加えてみることにします。

今回乗った「ライラック1号」は自由席が3~6号車の4両でしたが、ライラックのうち旭川で「サロベツ」または「大雪」に接続する列車は3号車も指定席になります。

つまり、今回の改正から、10年間続いてきた「旭川行きの電車特急はすべて自由席4両」という法則は崩壊しました。

また、気動車特急が札幌~旭川間で計4往復削減されたため、電車特急の増発分を勘案しても数の上では3往復が削られました。


この変化によって、果たして札幌~旭川間の自由席利用者の利便性がどう変わったか。これをちょっとだけ検討してみたいと思います。

まず札幌から旭川行き。朝の時間から見てみましょう。まず従前は「スーパー宗谷1号」が自由席2両だったのが、新ダイヤの下り「宗谷」は同1両。朝の旭川行きは自由席1両減です。ただ旭山動物園などに行く乗客は「ライラック5号」が指定席2両以上なので座りやすいというのがあり、トントンというところでしょうか。

11・12時台は、11時・12札幌発の「ライラック13・15号」が自由席3両の設定、12時半発の旧サロベツが消滅、ということで11時台が自由席1両減、12時台が2両減です。この時間は「閑散時間帯」ですから影響が大きいとは思えませんが、明確なサービス削減であることは間違いありません。

午後から夕方にかけてはほぼ変化がありませんが、3時台はライラックが2本あるので大幅改善です。一方5時台は旧「スーパー宗谷3号」がなくなり、6時台は半のライラックが自由席3両なので、それぞれ自由席1両減車となります。この時間帯は自由席に乗るなら早めに並んだ方がいいかもしれません。

札幌行きの列車はどうか。朝ラッシュ時は全く変化なし。9時台が「オホーツク2号」の繰り上げで自由席1両増、10時台は気動車特急2本減および自由席3両のライラックの設定により、差し引きすると自由席1両増。いい感じです。

12時台はライラックの自由席が3両、13時台は旧「スーパー宗谷2号」消滅のため自由席各1両減。15時台は半の特急が削減され、16時台は半のライラックの自由席が3両。17時台は9時台と同様に差し引き1両増、あとは特に変わりません。午後の札幌行きも空いている列車が多いでしょうから、そこまで気になる輸送力削減だとは思えません。

全体としてみて、札幌発・旭川方面行きの夕方6時台が気になるだけで、あとは大きな問題はないかと思います。実質的には、「3往復減」と喧伝するほどのサービスカットは起こっていないと捉えるのが妥当かと思います。

※追記(令和3.7.1)

旭川特急の乗車経験が浅かった当時は以上のように考えていましたが、それから旭川特急に何度も乗るうち、当時は気付かなかった問題点が目につくようになりました。

ポイントは、「平日の需要」。ライラック・カムイは札幌~旭川の都市間需要だけでなく、札幌~空知地方の通勤需要や、空知地方相互間の地域利用もあり、それらは当然ながら平日に集中します。

まず下りですが、特急宗谷の自由席が平日に札幌→岩見沢間で混雑し、立ち客まで発生しています。

以前のダイヤでは、近い時間帯に走っていたのはキハ183系の特急オホーツク1号で、自由席は約100席。それがキハ261系基本番台の宗谷に替わり、しかも以前のスーパー宗谷1号よりも自由席が1両減ったことで、提供座席数は56席と半分近くまで減りました。

自由席を従前通り2両とすれば対応できますが、そうなると宗谷本線に直通する乗客がけっこうな不便を被ることになるでしょう。増結すると名寄以北で輸送力を持て余しますし、現状の輸送体系では車両繰りを考えると平日毎日増結は無理です。後続のライラック3号の時刻を繰り上げて宗谷に雁行させる手も無くはありませんが、そのさらに後続のライラック5号と間隔が開きすぎ、かえって不便になります。いっそ宗谷を旭川始発にしてライラック3号と接続させたらどうかとも思いましたが、ライラック3号も堅い需要があり、宗谷の乗客まで入ったら今の宗谷以上の大混雑になるため逆効果です。増発する場合、予備車以外全ての車両が出払っている朝なので新規に車両を導入する必要がありコストがえらいことに。

立ち客が毎日のように発生している状況は芳しくありませんが、打開は簡単ではなさそうです。一番現実的なのは、宗谷の直後に札幌発・岩見沢行きの特別快速を雁行させる方法でしょうか。

(逆に、ライラック3号は大きな改善といえるでしょう。以前のダイヤで同じ時間帯に走っていたのはスーパー宗谷1号で、それよりも自由席が2両増え、通勤などに使いやすくなったはずです。)

上りでは、特急大雪4号に接続するライラック34号が問題です。空知地方→札幌間の自由席需要がそこそこありますが、自由席は3両。通常は大丈夫かと思いますが、網走方面の観光シーズンは混雑が問題になっていることと思います。

上記の通り、上りの旭川16時台発は数字の上では「自由席1両減」でしかありませんが、事実は数字以上のサービス削減といえます。この自由席は「石北本線直通客と札幌~旭川間相互間利用者の混乗」なわけです。ライラックは増結をしないので、増結できるオホーツクとは違って指定席の提供数が限られ、観光シーズンは自由席にも石北直通客がたくさん乗ります。事実、流氷シーズン(コロナ前)に2回乗りましたが2回とも普通車はすべて満席でした。

したがって、「流氷シーズンかつ平日」は車内混雑による深刻な不効用が発生しているものと思います。

下りのライラック11・13号の混雑についてはお盆と正月に臨時カムイを運行することで対応していますが、ライラック34号には何の手当てもありません。キハ261系5000番台を活用して大雪4号を札幌まで臨時延長運転する、流氷特急オホーツクの風を運行するなど、積極的な対策を望みます。


ところで今回「ライラック」として再出発した789系基本番台ですが、スーパー白鳥時代はどうやらATC区間とATS区間で加速度を変えていたらしいのです。

というのは、青函トンネルでは全開走行でも問題ないのですが、江差線や津軽線は線路の状態の関係で、あんまりパワーを出すとよくないとのことで、あえて力をセーブしていたというのです。

でも、今後はATS区間のみを走行するようになります。なので、転用改造の際にそこらへんはいじられて、ATS区間で今までよりもパワーが出るように改造されているはずです。(そうじゃないと789系1000番台と同じスジで走れない)

気になるのがもっと突っ込んだ内容です。つまり、全力を出すようになったのか、2M3Tの789系1000番台と同程度にパワーをしぼっているのか、という点です。

ボクは前者と予測しています。789系基本番台は中間車が片側1ドアなので、乗降に手間取るおそれがあります。そうなれば、3M3Tなのにカムイよりも時間がかかってしまいかねません。789系基本番台のパワーをすべて出す走りができるならば、しかしそれを挽回する走りができるでしょう。

もっとも、全開を出していても若干力を抑えていても、起動加速度は0.1km/h/s程度の差しかないため、素人のボクには判別付きません。

※追記(令和4.9.28):上記は「789系基本番台3M3TのATC区間での起動加速度が2.5km/h/sである」という認識で書いていますが、実際は2.2km/h/s(0~70km/h)でした。誤った情報を掲載してしまい、誠に申し訳ございません。

向山さん、ちょいと一言

最後にちょっとこぼれ話でございます。新たな特急列車の誕生により、駅の放送も一新されました。(駅の放送とかヘッドマークとか変えなきゃならんものがたくさん出るから、列車名変更はしないと思ってたのになあ。予想外でした)

札幌駅では当然、新しく「ライラック」と「カムイ」の列車名がアナウンスされるようになりました。このうち「ライラック」は名称復活ですが、札幌駅の放送は確か「ライラック」の廃止があった平成19年のダイヤ改正と同時に一新されたと記憶しておりますので、今回おそらく「ライラック」「カムイ」ともに放送パーツが新規で収録されたものと思われます。

で、問題は「ライラック」じゃなくて「カムイ」の方で、なんか最初の「カ」が思いっくそ裏返ってるような感じなんですよね。以前の「スーパーカムイ」の発音と同じトーンでいいのに、何でかリキんじゃったんですかね。

別に放送はわかれば何でもいいような気もしますし、音鉄以外の鉄道ファンを含めた大多数の人がそう思っているんでしょうが、自動放送フェチのボクからするとミョーに気になるポイントです。

札幌駅の自動放送の声優(日本語)は首都圏・近畿圏でおなじみ向山佳比子さんですが、この方が放送を担当する他の駅で「スワローあかぎ」という列車名のアナウンスがミョーな合成音声じみた、しかも「ロー」が裏返った声のものだったことがあるそうで(某動画で紹介されてましたが)、この辺の状況証拠からして向山さんの調子が心配です。

というわけで、さっさと「乗る」という用事を済ませて、家に帰ったわけです。

ちなみに帰る途中で、北斗84号のスジで走るキハ183系6両を見ました。おそらく、というか間違いなく前日の北斗19号の返却回送でしょうね。普段なら次の日の北斗6号になるところ、この日から6号はスーパー北斗になるので、車両が変わりますから、返却回送の必要性が出たわけですな。ダイヤ改正当日ならではの光景でした。

……こっちのがよっぽどそれっぽい内容だなあ。北斗メインの記事にしとけばよかったか?(そんなバカな)

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