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JR室蘭本線脱線事故雑感(平成29年2月25日)

2月23日の朝、JR室蘭本線の北入江信号場(洞爺~有珠間)で貨物列車の機関車が脱線するというインシデントがあり、この影響で札幌~函館間の特急「スーパー北斗」「北斗」および室蘭本線を通過する多数の貨物列車が長時間の運休を余儀なくされました。

本来はこの出来事について記事を書くつもりはありませんでしたが、どうしても指摘しなければならないことがあると思ったので、「雑感」なんてあいまいなタイトル付けて、半ば鉄道と関係ない話題にも突っ込みつつ、いろいろ書いてみる次第です。

今回攻撃的な内容が多い(というか攻撃そのもの)ですので、甘いものでも食べながらお読みになることをおすすめします。

速い! JR北海道、猛スピードの対応

まず特筆したいのが、とにかくJR北海道が「速かった」こと。

いや、「昔のスーパー北斗は札幌~函館2時間59分、表定106.8km/hで速かったのにねえ」という意味の「速かった」ではありません。そういう話は「北の特急(+α)図鑑」でやってます。

そうではなく、ここで「速い」とは、①初動 ②臨時列車の運行 ③復旧 ――にきわめてスピード感があったということです。


図1:石勝線不通時の臨時特急。今回とは関係ありませんが臨時列車のイメージとして掲載します

まず、脱線が発生してから1時間足らずの午前8時の時点で、JR北海道のWebサイトの運行情報には「14時まで運転見合わせ」との表示があり、JRは今回の脱線から7時間程度での復旧を目指していたことがわかります。あの忌々しい4年前とは見違えるほどの初動の速さです。

その後(10時ころだったかな)、この日は全列車が運休となることが決まりました。復旧を急ごうとして、国交省や運輸安全委員会に「調査が先だろ常考」と止められた、といったあたりでしょうかね。

しかし、今のJR北海道は以前とは一味違います。8時の時点で、すでに札幌~東室蘭間の臨時特急1往復の運行を決めており、その後も列車が追加発表され、この日は3往復の運行が発表されました。

さらに、不通区間(伊達紋別~長万部間)を代行バスでつなぐ形で、札幌~函館間にも臨時特急が出されました。北斗系統は列車1本あたりの輸送力が大きいので、それに対応できるだけのバスの台数を迅速に確保するのは大変だったことでしょう。それでも、JRは一定の成果をあげました。

被害のない長和~伊達紋別間は当日中に運転を再開しました。交換設備があり両方向への発車が可能な長和までは、普通列車だけなら問題なく走らせられます。地域輸送を考えて影響のない区間を早期復旧させる心配りは見事でした。

翌日も一旦は終日運休が告知され、臨時特急が設定されました。内訳は、前日と同じ札幌~東室蘭間3往復のほか、列車・代行バス・列車と乗り継ぐ札幌~函館間の特急が3往復、そしてこれが驚きでした、小樽まわりの臨時特急が1往復

山線経由の臨時特急が出されたのは、ボクの記憶が正しければ(観光列車除き)平成12年の有珠山噴火のとき以来だと思います。山線も活用して、全力で代行輸送を行ったわけで、もう「あっぱれ」の一言です。

こうしたJR北海道の尽力により、運休に伴う混乱は最小限に抑えられたようです。

その後、お昼のTVニュースで「24日夜にも復旧」との報道がなされたかと思えば、その数時間後には夕方からの運行再開がJRのサイトからアナウンスされました。この報せを受け、ボクは出先で思わず「はえぇ~!」と叫んでしまいました。

この日は運転再開後、3往復の特急が運行されたようですが、これらは定期のスーパー北斗・北斗ではなく「臨時特急」扱いでした。車両繰りの都合で定員数が変わってしまう可能性があったからでしょうか。

この日は、札幌~函館間を結ぶ列車が合わせて7往復運行されたことになります。当初の予定より3往復も増えました。


脱線事故から1日半での復旧、その間10往復以上の臨時特急運行、ととにかくスピーディな対応が光ったJR北海道。

3年半前の事故連発でJR東日本の協力を仰いだ際に、「東のやり方はスピード感が違う」と抜かしていたのとは、本当に見違える速さです。

そういえば、JR北海道の社長である島田修氏も、就任して1年くらいのころは頭を抱えたくなるような有様でした(新函館駅1番線の計画修正の遅さ、小幌問題に関する言動……)が、それからものの1年でおっしゃることもだいぶ変わってきていて、こっちもスピード感にあふれています。

あの事故連発で、大の鉄道ファンであるボクをして「北海道の恥」と形容せしめたJR北海道は、今や我らが自慢の鉄道会社です。……って、ここまで言ったらホメすぎですかね。まだまだ課題が山積みなワケで……。

特急「ニセコ」の真意?

図2:平成27年秋の特急「ニセコ」

今回、実に約17年ぶりに山線まわりでの特急の迂回運転が実現したワケですが、これは観光用の臨時特急「ニセコ」のスジを利用した列車でした。

ニセコ用にスジが1往復ぶんあったので、ダイヤや車両繰りの調整は最小限で済み、スピーディに迂回運転の決定を下すことができた、と見ることも可能でしょう。

そこから考えると、ちょっと面白い仮説が浮かびます。すなわち、「ニセコ」の設定の真の目的は、有事に備えたスジの確保にあるのではないか、と。

表向きは「将来の新幹線延伸に備えた山線ルートの観光促進のための社会実験」などと謳ってはいます。もちろんそういう目論見がないワケではないでしょう。しかしそれにしてはここ2年ほど「ニセコ」の運行スタイルにやる気を感じません。漫然と走らせている印象さえあり、運行日も年々減っています。

その実、「ニセコ」のスジを確保しておくことで、海線に何かあった場合に最低1往復は臨時列車を速やかに設定でき、輸送力の足しにできる、というのが本来の狙いかもしれません。

たかが1往復くらいなんでい、と思うかもしれません。でも、考えてもみてください。代行バスをじゅうぶんな数だけ用意するのは時間がかかります。昨年の台風の際、代行バスの確保が思うようにいかず、帯広方面の特急がたった3往復しか出せなかった、ということがあったじゃないですか。

代行バスの都合で海線経由の臨時列車を3往復しか出せないという場面でも、すぐに山線経由の列車を1往復設定できるなら、(全列車の定員が同じとすると)輸送力はたちまち1.3倍に跳ね上がります。観光シーズンや冬季は特急の需要が高いわけですから、この1往復分を用意できるか否かは死活問題になりえます。

で、山線はあの噴火の時に最大10両編成の列車の運転ができる設備が整えられましたから、やろうと思えばキハ261系1000番台の10両編成を通すことができるでしょう。メインルート3往復でも10両編成を用意すれば、合計4往復で計40両、座席数にしてざっと2000少々の輸送力を確保できます。トラブル発生翌日でも普段の4割程度の輸送力を出せるなら、御の字ではありませんか。

……それだったら、なんで採算とれない観光列車をわざわざ運転継続しているか、という説明が付きませんね。この仮説だと、山線にはスジだけを確保しておけばいいことになり、実際に特急を運行する理由にはなってませんからね。

マスメディア報道の不合理

図3:DF200形ディーゼル機関車牽引の貨物列車。機関車はJR貨物が、その下の線路はJR北海道が所有している

こんなことを書きたくて記事書いたんじゃないやい。本題行きますよ。ここ最近当サイトでは大人しい記事ばかり書いてましたけどね、久々にビシバシ行きますよ今日は。

今回の脱線ですが、まず脱線した列車は貨物列車、すなわちJR貨物が運行している列車であるという点に留意していただきたいのです。

現在、JRは旅客列車についてはすべてインフラ管理と列車運行を同じ会社が行っていますが、貨物列車は基本的にJR6社(北・東・海・西・四・九)がインフラを保有し(第一種鉄道事業者)、JR貨物がその上で列車を運行する(第二種鉄道事業者)という方式が採られています。

次に、今回の脱線に関して、脱線したDF200形ディーゼル機関車(DF200-8)の車体と台車をつなぐ部品が損傷しています。詳しいことはまだ明らかではありませんが、少なくともJR貨物が保有する車両にトラブルがあったということは理解できましょう。

そして、現時点(2月25日夜時点)ではこの故障と脱線との因果関係が明らかになっていません

現在、JR北海道とJR貨物は共同で脱線の原因を調査中です。しかし、現時点では線路の問題なのか車両の問題なのか、すなわちJR北海道の責に帰するのかJR貨物の責に帰するのか、その両方なのか、はたまたどちらの責任でもない(人間あるいはカラスによる置き石など)のか、まだ結論は出ていません


以上に説明した状況にもかかわらず、(少なくとも一部の)報道機関はJR北海道を悪者と決めつけ、攻撃を仕掛けています。

当サイトが再三にわたって(新聞名を明示または黙示しての)批判を行ってきた地方新聞A(誌名のイニシャルではない)は、JR北海道の復旧のための懸命の努力をある程度認めつつも、今回のインシデントの責任がJR北海道にあるような書きぶりで、あまつさえその嘘八百をたった一人の利用者の「運休が多い」「安定運行してくれないと困る」との声(=主観)で虚飾しています。

Aは代行輸送にまで文句を付け、臨時列車が不案内だったと主張し、「サイト見ても臨時列車がわからない」という声(=主観)でもってそれを誇張します。

言うまでもなくこれらの批判は失当で、JR北海道はすぐにでも弁護士を雇うべきです。繰り返しますが(少なくとも現時点で)JR北海道のみに責任を押し付ける行為は卑劣で、利用者の安定運行を求める声にしても、貨物列車の運行はJR北海道によらないことを隠してインタビューしたことは間違いありません。「運休が多い」は、メディアがバスの運休を逐一報じないからそう感じるだけで、上っ面の報道だけで判断した直感的すぎる意見です。また「臨時列車がわからない」は寝言を言っているのと同じで、当時のWebサイトの運行情報をきちんと頭から読んでいけば、ものの1分で臨時列車の区間・本数が手に取るようにわかるはずです。

Aだけではありません。全国紙のBも、(ネット版しか見てないけど)同様に利用者(やはり一人だけ)の声(=主観)によってJR北海道をつるし上げ、JR北海道のここ数年のインシデントをいい加減に列挙して読者を扇動することで、さもその攻撃が正当であるかのように見せつけています。

おとといの記事で「ちょいと忙しいので、今回は新聞批判やら何やらはナシで」なんて書いたら、途端にこんなことに。当サイトの批判攻勢に屈してなりを潜めたかと思いきや(単にネタがなかっただけだろよ……)、ちょっと攻撃の手を緩めたらすぐコレです。侮辱!!

これは憶測でしかありませんが、Aはともかく、Bは今回の問題の責任がJR貨物に帰する可能性を認識していると思われます。それを理解していながら、あえてJR北海道を攻撃したのだと。

それは、これまでのBの、というか日本のマスメディア全体の報道姿勢から明確です。すなわち、いつもと同じように、事実よりも視聴者のわかりやすさや痛快さを優先した「報道ショー」を作るために、ヒーロー(報道者自身)と悪者をつくったわけです。

先述のような素人にはわかりづらいような運行形態をわざわざ説明しなくたって、あれだけやらかしているJR北海道を今回も悪者に仕立て上げてしまって、理性的な考えを持てない(一部の)視聴者・読者を煽ってしまえば、ハイ高視聴率番組・人気記事の完成です。

こうして日々、主観だけで構成された内容が、嘘っぱちの客観性で塗り固められ、理性によらず視聴者・読者の(たいていは負の)感情を逆立て、見た目わかりやすいシナリオを敷くだけで細かい分析を排除する、きわめて悪質な報道がはびこっていくわけですね。

脱線の原因がどこなのかはまだ明らかではなく、それがJR北海道の責に帰するのかも不明であるのに加えて、少なくとも発生以後の対応においてJR北海道に批判されるべき点は存在しません。にもかかわらず、かような記事が多くの読者の目に入るのみならず、インターネットでも出回り、検索結果の1ページ目に表示されるという事実には、腸が煮えくり返る思いです。

脱線のせいで村上春樹の本の入荷がどうだとか、そんなことを報道している余裕があるのなら、少しでも今回のインシデントに関する状況を説明する努力をしたらどうなんでしょう。たかがその程度の説明を加える気がないのならば、それは視聴者・読者をバカにしているか、あるいは単に自分たちに説明能力が皆無だということにしかならないでしょう。(他山の石ではありますが、ね。)

というか、そもそも村上春樹の話を持ち出すこと自体、村上ファンの感情を昂ぶらせる感情的な報道であると非難すべきでしょう。呆れた話です。


そして、もっと悪いことに、メディアというのは何か印象的なことが起こったら大騒ぎするクセに、その顛末は報道しようとしません。

顕著だったのが、ちょっと古いですが秋葉原通り魔事件。当初は大々的に報じて、憶測でああだこうだと騒いでいたメディアが、初公判の時に問題の根の深さを知るや一斉に手を引き、結局犯人の何が問題だったのか、その真実が触れられることはありませんでした。

鉄道関連だと、JR北海道問題ですね。先述の通りメディアはJR北海道をヒーローショーにおける悪者と同一視していますが、そうなると当然「JRは今安全のために血のにじむような努力をしている」なんて報道は出ません。すぐ列車を止める意識改革も、検査体制の強化も、予備車の共通化も、731系の更新も、261系1000番台の新しいシステムも、全く取り上げません。

ファストフードと同様で、彼らメディアは事件をゆっくりかみ砕くことをしないのです。喉詰まり待ったなし。

「ポスト真実」をつくるのは政治家のみならず

彼らマスメディアは、このような真実とはほど遠い「そびえ立つクソ」をひねり出しておきながら、別の記事・ニュースでは米国の「いわゆる」大統領の言動などの折に触れて、「ポスト真実」なる言葉を用いて「政治の世界は理屈よりも感情である」などと言い出すのですから、始末に負えません。

「でもマスメディアはそうした政治の腐敗に異を唱えているわけで、ボクたちの味方なんだ」……なんて考えてる人がもしいたら、ちょっと表上げろ。そのツラ引っぱたいてやる。

こうは考えられませんか。「政治家とメディアは結託している」と。

政治家というのは、マジメに理屈の世界の中で実績を上げようとしたら、様々な利害を調整しながら少しずつ物事を解決するような政策を通していくしかないわけです。その中で自分の利権を作るなんてのは、並大抵のことではありません。でも、世論が簡単に感情に左右され、熱狂するならば、熱狂の中で世論が盲信的にオーケーを出しさえすれば自分たちの好きな政策を好き放題通せるようになります。

メディアというのは、バカ正直に起こったことを起こった通りに伝えて、その綿密な分析をするだけでは、視聴率・記事の人気が出るような面白みを出すことは一筋縄ではありません。でも、世間がすぐ感情論に流されるようであれば、世論を煽動しさえすれば簡単に視聴率が取れてしまいます。

おわかりですか。政治家とメディア、利害が一致しているんです。

今起こっている現象と照らし合わせてみても、矛盾しませんよね。政治家は理論を語らず、社会問題を矮小化し、安直な解決策を出し、利権を生み、天下りをする。メディアは冷静な説明を怠り、善と悪とをでっち上げ、その「悪」への大衆の感情的な憎悪を煽り、紋切り型の報道で無理を通して道理を踏みつぶす。枝葉の部分では、いわゆる大統領による「fake news」との決めつけやら何やら、対立しているように見える両者ですが、よく見ると協調しているようにしか見えませんよね。

両者ともに、そのゴールは「世界中の人々が『理性的に物事を考えることのいかに無駄か』との認識を共有する」ところにあります。某動画サイトで「HENTAI退避のテーマ」として知られる平沢進の楽曲「parade」の一節を借りると、「ゆめゆめ顧みるな 手遅れ故」ということです。

ご存知でしょうか。アドルフ・ヒトラーをドイツ首相に選んだのは、マスメディアであったことを。ズル賢いヒトラーは、メディアが人々を煽動するのに大変便利であることに気づき、メディアの力を活用して国民の支持を得、そして当選を果たしたのです。それが過ちであることに多くの人が気づいた頃には、件の映画の「ちくしょーめ~!」の状況になっていたわけです。

覚えておいででしょうか。つい最近、米大統領選挙でクリントン優勢を伝え続けた人々がいたことを。ほぼ全てのメディアが予想を外したのは作為によるものにほかならず(その真意は知らず)、一部メディアについてはあまつさえ「隠れトランプ支持者がいるので予断は許さない」などと予防線を張る始末。

政治家と同様に、メディアもまた、正しいことを伝えていないのです。なぜなら、メディアは正しいことを追い求める世界を望んでいないからです。

マスメディアを盲信してはならない

このような「政治家とメディアによるダブル感情論攻勢」に屈してはなりません。草の根が、こうした流れに「NO」を突きつけねばなりません。

皆さん、考えてみてください。今回のJR北海道叩きが、何を生み出すのか。

第一に、正しい情報は伝わりません。何かを議論する時は、まず正しい情報をしっかり集めてからでないとできません。それができないということは、議論が成り立たず、結果脱線事故に対する合理的な批判を行ったり、建設的な再発防止策を講じたりすることはできなくなります。

第二に、誤った前提に基づく感情的な攻撃はJR北海道の萎縮を生みます。「どんなに頑張っても報われない」と思われたり、自己保身のために凝り固まるような事態が起これば、この3年半で積み重ねてきたものが元に戻ることになります。そうしたモチベーションの低下や自己保身の態度が事故につながったのですから。そうなれば、あのおぞましい重大インシデントの数々が再現されることになるでしょう。その復旧のための費用が出せず、そのまま全路線での営業不能に直結するおそれもあります。

どうでしょう。何かプラスのものは生まれていますか。生まれていませんよね。

このように害悪ばかりをまき散らして何一つ社会に役立つことのないような記事やニュースを出しまくるマスメディアの記事・ニュース(キュレーションサイト・まとめブログ等も含む)が、ちゃんと筋道立てて物事を考えている人(ボクがここに含まれるかは不明)の記事を差し置いて検索結果の上位に来ることが、本当に我慢ならないのです。地域に関する確実な情報源を得るために、このような低俗な記事で溢れる新聞を買わなければならないのが、本当に腹立たしいのです。

ボクは、理性の限界は理解しているつもりですが、それでも理性のある世界に住みたいのです。そっちの方が幸せに決まってます。「何も考えないでいいじゃない、何とかなるさ」なんて、そんな残酷なことを言わないでください

政治家もまた然り

念のため付け加えますが、ただマスメディアを憎むばかりでもいけません。この記事では「政治家と同じようにマスメディアも云々」という言い回しをしてきましたが、つまりは政治家も同じ穴の貉ということです。どういうことかは先述の通り。

地方新聞Aの報道を字面どおりにとれば、高橋はるみ・北海道知事もまた、今回のインシデントに際して、ひとりJR北海道のみに対し苦言を呈したようです。

道知事にしてこれです。我が国に理性を持った人間が果たして存在するのかと、ふと疑問に思ってしまいます。理性を持った人に実際に会ったことがあるとわかっているのに、です。

地方だけではありません。中央でもまた、議論の矮小化などによる理性の破壊が続いています。

そして、件の「いわゆる」大統領もまた然り。悪の中枢たるマスメディアと対立しているように見えても、その実感情論の応酬でしかなく、いずれも却下(≠棄却)されるべきなんです。威勢だけはカリスマチックなその男に、信頼を寄せてはなりません。このような独善的な指導者はいずれメディアと結託して、第二のヒトラーとなるでしょう。それに至らずとも、実力がないのを威勢だけでごまかすうち、政治をメチャクチャに破壊して退場していくでしょう。

メディアのみならず、政界までも、理性が介在する隙間なし。嗚呼、現実社会とはかくも残酷なりや。ボクの儚き思いは露と消えてしまうと言うのでしょうか。……いや、そんなこと断じて許せるものですか。皆さん、どうかお力添えを……。

まあものの見事に脱線しましたな。脱線の話題だけに。先述の通りもともと今回の件に関してはノーコメントのつもりだったんです。メディアのひどい記事を見て慌てて記事をひねり出した結果がこれです。

とにかく「メディアは盲信するな」「ちゃんと学び考え行動しろ」ということだけは強調させてください。

……なんとか軌道修正しなくちゃ。ともかく、今回全力を挙げて復旧作業を行ってくださったJR北海道の社員・関係者の皆様に厚く御礼申し上げる(来月にスーパー北斗に乗る予定あるからボクもいてもたってもいられなかったんよ)とともに、脱線の原因を一刻も早く究明できるようさらなる尽力をお願いする次第です。

追記……

この記事が世に出る前に、この記事と一部内容が被った記事を他サイト様が出しちゃいました。

屋上屋を連ねるカタチになってしまいましたが、それでもマスメディアに対して草の根が一斉に声を上げることが重要だと感じているうえ、重複しない内容もあったため、当サイトとしても記事を出しました。

本記事の内容はそのサイト様のパクリではなく、自分で感じ考えたことをもとに書いていることを、念のためここに付記しておきます。

さらに追記(平成30.2.26)……

約1年後の平成30年2月24日、今度は石勝線で貨物列車の脱線事故がありました。

なんですかね、この時期は呪われているんですかね。だってまた2月下旬ですよ。

あるいは、これは鬼峠の呪いかもしれませんね。石勝線や道東自動車道はいろいろトラブルが多いイメージです。

で、今回も昨年の一件のように、まだ原因が何なのか判明しておらず、JR北海道が悪いのかJR貨物が悪いのか、どっちもなのか、誰も悪くないのか、わかりません。

このインシデントに際して、当然新聞各社は記事を出したわけですが、今回は新聞A・Bいずれも、客観的な事実を述べるにとどめ、憶測で誰々が悪いというような断定をしていません。

昨年の時は、この記事をはじめ複数のサイトから叩かれていますので(さらにクレーム電話なんかも大量に入ったかもわかりませんね)、さすがに委縮したのでしょうか。

同じ過ちを繰り返さず、ちゃんと冷静な記事を出したことは、賞賛に値します。

ただ、「これで罪を償った」などとは考えてほしくはありません。記者ってのはちゃんとした記事を書いてナンボです。今後もボクが番犬(というか番猿?)として監視していますのでそこんとこ夜露死苦ゥ。

さらにさらに追記(平成30.7.26)……

平成30年7月26日に、運輸安全委員会が室蘭本線貨物脱線事故の事故調査報告書を公表しました(やっとだよ……)。それによると――

運転取扱い、軌道及び運転保安設備に脱線の要因となるような異常はなかったものと考えられる。(p.44)

本事故は、(中略)機関車において、後台車の中心ピンとけん引装置を締結する取付ボルト2本が走行中に脱落してけん引装置が垂下したため、(中略)後台車の全車軸(第5軸及び第6軸)が脱線したことによるものと考えられる。(p.45)

やっぱり、JR北海道が原因だと断定するような内容ではありませんでした

ただ注意が必要なのは、報告書の記述は上記引用部のように「……と考えられる」という表現にとどめ、事故の原因を断定していません。

いつぞやのレール幅改竄のように、JR北海道が軌道などの設備の異常を故意または過失で見落としていた可能性は消えていません(悪魔の証明)。JR貨物がクロ、JR北海道がシロ、とハッキリ決まったわけではありません。

もう一点注意すべきなのは、「JR北海道は悪くないっぽい、だから報道は批判されるべき」とか、あるいは仮に報告書の内容が逆だったとしたら「やっぱりJR北海道が悪かったんじゃないか、だから報道は正しかった」とか、そういうのは絶対ダメということです。

結果論で語ってはいけません。大事なのは、報道が結果として正しかったかどうかではなく、正しいのか正しくないのかわからないことを、虚飾でもって正しい報道に見せかけて喧伝するという姿勢そのものにあります。

ボクは、かような間違った姿勢でトンデモ報道を流した新聞A・Bを、許すことはありません。一生番猿します。

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