「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

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「電車」が好きだ。(平成29年7月5日)

日常の何気ない会話で、列車の乗り方や運行体系などの説明をしたり、鉄道旅行が好きだという話をしたりすると、決まってこう訊かれます。

「電車好きなの?」

こんな風に、非鉄の方に「電車好き」と言われたとき、ボクら鉄道ファンは思わず「『鉄道』好き」と訂正してしまいます。「電車」は鉄道という世界の一部分を指す言葉でしかなく、鉄道趣味というものは電車以外にも気動車や機関車など、様々なものを対象とするからです。

……でもボクに関して言えば、この「電車好き」という表現、あながち間違いじゃないんですよね。

「電車」とは

ここで「電車」とは、単に「内燃機関を動力として用いず、電気を使って走る列車」という意味だけではありません。

その意味での「電車」も好きですが、ここで言う電車好きとはもう一つの意義があります。

よく、かつての国鉄の鈍行のような低頻度運転のダイヤを「汽車型ダイヤ」または「列車型ダイヤ」、首都圏の通勤路線のような高密度運転のダイヤを「電車型ダイヤ」と表現します。

すなわち、「電車」のもう一つの意味とは、「大量」「高速」「高頻度」の旅客輸送を行う交通機関という意味です。

まとめると、ボクは「電気で走る鉄道車両」が好きで、かつ「高頻度ダイヤ」に心惹かれる男である、ということです。

※「電車」は路面電車を指す意味で使われる場合がありますが、今回は路面電車を除外したお話をします。路面電車ファンの皆さん、ごめんなさい。

「電気で走る列車」への興味

さて、それではこうしたボクの趣味について語っていきますよ。

まず「電気で走る列車」が好きということについていろいろと。

ボクが生まれた平成初期は、すでに定期運用に就く蒸気機関車はなく、札幌市内をたくさんの電車が走り回ってました。

物心ついた後のボクが一番最初に乗った鉄道車両は、札幌市営地下鉄東西線の6000形でした。巧みに塗り分けられたツートンカラーの車体や、前面にキラリと光る北海道のマークに、ボクは幼いころから惹かれていました。

その後、東西線に8000形が登場し、東西線は数年のあいだ6000形と8000形の2本体制になりました。どっちがより好みか、というのは時期により違いましたが、ふたつの形式のどちらが来るかを楽しみにできるというのが、幼いボクが鉄道を好きになった理由のひとつとなったのだと思います。

さらに、JR北海道の721系や731系にも乗車し、特に721系の質の高いアコモデーションが好きになりました。

他にも711・781・785系に乗る機会がたまにあったことから、電車がボクにとって最も馴染みのある車両となったのです。


近年のボクは、札幌周辺の電車の音が好きになってきました。

もともと地下鉄の走行音は好きだったのですが、近年はJRに乗る機会を意図的に増やしており、JRの電車の音もよく聞くようになったのです。

現在一番気に入っているのは、733系3000番台の磁励音です。ちょっと低めで、クリアーな感じの音色が好きなんです。

お気に入りの音ができたことによって、それと比較する形でいろいろな車両の磁励音を聞き分けるクセが付きまして、「音を楽しむ」という形で電車好きが現在進行形で爆発真っ最中というわけです。

面白いのは、同じ形式でも音が違う車両があること。721系の場合、サイリスタとVVVFで音が違うのは当然として、VVVF車でもGTOとIGBTの差がありますし、8次車と近年の更新車(3000番台6両編成など)ではまた違います。731系は平成18年製の5次車とそれ以外で大きく違います。733系も、基本番台と1000・3000番台で結構な違いがあります。この聞き分けが楽しくてしょうがないんですよねぇ。

さらに、このフェチが高じて、最近では電車の制御方式の車種ごとの違いにも興味が出てきました。当サイトを開いたばかりのボクは電車の仕組みなんてサッパリでしたが、今では少しわかるようになってきました。

また、当サイトの前身をオープンさせるきっかけの一つとなったゲーム「A列車で行こう3D」をプレイする過程で架空鉄道的な趣味が生まれ、架空の電車のスペックを決めるということをやっているうち、制御方式などに興味が出た、というのもあります。

「高頻度ダイヤ」への興味

続いて、フリークエンシーという意味での「電車」が好きだということについての話をします。

高頻度ダイヤへの興味が湧いたのは、これまた「A列車で行こう」が理由です。

ゲームをプレイする上で列車のダイヤを組む必要がありますが、その際に大手私鉄各社のパターンダイヤを参考にしていたところ、それらのダイヤに興味が出たのです。

とりわけ心惹かれたのが、京急のパターンダイヤです。

現在の京急本線は快特が最高120km/hで駆け抜ける高速ダイヤでありながら、10分間に3本以上の電車が走り(除く堀之内~浦賀間)、しかも京急蒲田~金沢八景間では快特・エアポート急行・普通が1サイクル1本ずつというきわめて整然としたパターンで、しかもそれらの種別が緩急接続によって有機的に結ばれている、という芸術的なダイヤ(※個人の感想です)となっています。ボクはこのダイヤを見て、一発で心を射抜かれてしまったのです。

ボクが「A列車で行こう」をプレイし始めた頃は、国電チックな単純なダイヤや、有料特急列車を含むダイヤを作ることが多かったのですが、近年は私鉄チックな無料特急・急行などをよく作るようになりました。


その後、先述の通り札幌近郊のJRの普通列車に興味が出たため、その流れでJRの都市圏(主に札幌・中京圏・広島・福岡)のパターンダイヤも好きになりました。

最近では、当サイトの記事のための情報集めも兼ねて、「シティ電車」などについても調べています。

国電型ダイヤが根付いた80年代、快速列車が整備された90~00年代はもちろん、それ以前の70年代中盤あたりも、結構面白いダイヤだったりします。いろいろ調べるとたまんないですよぉ。


で、パターンダイヤの中でも、ボクはどちらかと言うと速達列車のあるダイヤが好みです。

とりわけ、先述の京急本線や、阪急の京都本線・神戸本線のように、1サイクルごとに「速達1・準速達1・各停1」というパターンにギャンギャン惹かれます。

何かというと、種別が3つあるダイヤというのが、ゲームでダイヤを組む時に一番楽しいんですよね。特に、「速達1・準速達1・各停1」のダイヤが。

あと、函館本線の札幌~小樽間のような「速達1・区間速達1・各停2」のダイヤも、組んでいて楽しいです。

ブルトレ趣味への懐疑と、電車好きという気づき

そんなボクも、一時は「北斗星」などの寝台列車をやたらと追いかけていた時期があります。

小学生のころに一度「北斗星」に乗ったことがあり、ブルートレインには少しばかりの愛着があったのに加え、小さな頃は普通の電車より特別な列車に心を持っていかれる性分だったので、夕方になると現れる特別感を醸す客車は、見ているだけで楽しいと感じました。

ただそこからが問題で、その後大学生時代の前半くらいまで、ボクは寝台列車趣味を「惰性で」引きずっていたのです。

大学生あたりから架空鉄道趣味が出始めたことで、電車が好きになっていたというのに、ボクはそれに気付けずにいました。

おそらく、ボクは主体的に鉄道趣味を楽しんでおらず、「まわりが寝台列車を好きだから、自分もとりあえず追いかけておく」というような気持ちで、流されるがままに寝台列車趣味を続けていたんです。

この頃はちょうど「北斗星」などの廃止の話が出始めており、「今のうちにブルートレインを楽しんでおかないと後悔するのでは?」との思いがあったのも、ボクが惰性でブルトレを追い続けた原因の一つでした。

薄々ながら、違和感は感じていました。でも、当時のボクは、その違和感のワケを、自分の心の中に探すことができずにいました。

それで、北斗星などが消え、身近な列車としては通勤・近郊電車とお昼の特急しかなくなった一昨年ごろ、はたと気付いたわけです。「あ、ボクは電車が好きなんだな」と。

そして、ボクは今までよりも積極的に電車を追うようになっていきました。例えば、それまでは普通列車にカメラを向けないことさえあったのが、昨年には団臨「カシオペアクルーズ」を放っておいて普通列車を撮るというようなことがあったくらいです。

そこらへんから当サイトの方向性も徐々に変わっていって、昨年から今年にかけてのサイト再編を経て、今に至ります。


今になって思い返すと、「なんであの頃のボクはあんなに寝台列車にこだわっていたんだろう」とさえ思えてきます。

そして、寝台列車を愛好する多くの鉄道ファンに対しても、「なんであんなにこだわるんだろう、こっちにこんな面白い世界があるのに」とか考えちゃいます。

もちろん趣味は自由なので押し付けはしません。押し付けはしませんが、ほんらい鉄道は大量輸送機関なワケです。それなのに、鉄道ファンの多数派は寝台列車やローカル線、秘境駅などを追っていて、ボクの「電車」趣味がマイナー趣味のような感じになってしまっているのは、どうも解せないなあ、と。

ボクもローカル線は結構好きですし、秘境駅もあちこち行きましたが、都会の鉄道だって絶対面白いんですよ……。

……ふっふっふ。鉄道ファン諸君、これから当サイトで電車趣味をどしどし布教しちゃるけん、覚悟しときぃ。

「秘境駅」について

いま「秘境駅に今まで何度か行きました」と何気なく申し上げましたが、ちょいと補足。

秘境駅に行こうと思ったのは、小幌駅に興味を持ったのがきっかけです。

いきなり小幌駅に行っても気圧されるだけだろうと思って、他の秘境駅に何箇所か行って慣れておこう、というビミョーに不純な動機で、ボクの秘境駅めぐりが始まったのです。

ただ、小幌駅訪問はすでに達成しているので、ボクが秘境駅をめぐる理由は無くなってしまいました。

電車好きの帰結として、ボクは利用の少ない駅を愛好しているわけではありません。加えて、ボクはそこまで駅への興味があるわけではありません。

なので、例えば景色がいいなどの理由で興味が湧いた駅には行きますが、それ以外で秘境駅を訪れることはもうないかと思います。

大都市圏鉄道にもっと注目を!

繰り返しますが、鉄道ファンの間では「電車」の注目度は低いです。鉄道趣味の世界では、蒸気機関車や寝台列車、ローカル線や秘境駅がピックアップされがちです。

首都圏や京阪神は話題が多いので注目されますが、札幌・中京圏・広島・福岡といった大都市圏の近郊電車には、ほとんどスポットライトが当たりません。

一方、非鉄の人からしても、それらの近郊列車はアウトオブ眼中です。非鉄の方にとっても山手線をはじめとした首都圏の通勤路線や(盛岡以南の)新幹線はわりと身近な鉄道路線であるうえ、近年のメディア露出のせいか、本州以南で運行される、JR九州流の呼び方をすると「D&S列車」に分類される臨時列車は、たびたび話題にあがりますが、いかんせん札幌などの近郊電車には一般受けするきっかけがありません。


旅客鉄道は大量に人を運んでなんぼのものなのに。

首都圏や京阪神の通勤電車や都市間電車と同じように、彼らもまた地域に欠かせない交通機関として活躍しているのに。

そして何より、こんなにかわいいのに!!

確かに、新車が入るペースは首都圏に比べてはるかに遅いなどの理由で、話題がつくりづらいというのはありますが、ちょっと注目されなさすぎではないでしょうか。

皆さん、是非札幌や中京圏などの近郊電車に興味持ってみて下さい。騙されたと思って。

こんなにかわいい列車たちをもっと檜舞台に立たせてあげるために。そして、必要なインフラとして彼らがその力をもっと発揮できるように。注目度が増せば、彼らはきっと今以上に輝いてくれると思うんです。


ちょい余談気味の話ですが、同様の理由で、在来線の特急列車ももっと注目されてほしいなあ、と。

新幹線や「ひたち・ときわ」「あずさ・かいじ」なんかは、東京で見られて、注目度も高いからいいんです。地方で大量・高速輸送を担っている特急を、もっとクローズアップしてやってほしいんです。

北海道だと、「北斗」「ライラック・カムイ」あたり。道外で例を挙げると「しなの」「スーパーはくと・スーパーいなば」「しおかぜ・いしづち」「ソニック」などですかね。

1~2時間にだいたい1本かそれ以上の特急が、大勢のお客を乗せて、稲妻のように駆け抜ける。むちゃくちゃカッコイイじゃないですか。

それに、これから「労働力不足」の時勢の中で「観光立国」を進めるには、彼らが持つ大量・高速輸送の力が絶対に必要です。皆さん、彼らを応援してあげて、力になってあげてください……!

とまあ今回は、ボクの最近の鉄道趣味について熱く語ってみる、というビミョーにヒマネタな感のある記事を作ってみました。なんか半分くらい自分語りになっちゃいましたが。

とりあえずのつなぎ記事として出して、旅行記制作の遅れを誤魔化す目的もあったりするのですが(もちろん旅行記は全力執筆中!)、それ以上に「マイナー感のある電車趣味の仲間がもっと欲しい!」という純粋な趣味人としての思いがあり、思いのたけをぶちまけてPRを図ってみた次第です。

一つだけ皆さんに申し上げたいことは、「趣味は他の人に流されないで、自分の好きなものを追い求めよう」ということ。何を追い求めるかは人それぞれですが、「周りが好きだと言っているものを、自分も好きなふりをする」というのだけはやめた方がいいです。好きなものを好きと言った方が、絶対楽しいですし、得られるものも大きいはずです。

ずいぶん長いこと続いている寝台列車ムーブメント・SLムーブメントなどに流されて、実は「電車」が好きだということに気付けていない方、ボクの他にもいるんじゃないかな、と思っています。確かに多数派と違う趣味を持っていると、疎外感を感じて、自分を抑え込んでしまいがちになるかもしれません。ですが、そろそろ自分を解放してもいい頃です。

もし皆さんの中に、寝台列車やSL、ミトーカ流などに違和感を少しでも感じる人がいたら。一般型電車をかわいいorかっこいいと感じる人がいたら。パターンダイヤが好きな人がいたら。どうか自分に正直になって、「電車」という趣味を切り拓いていただきたいのです。趣味というのは流されてやるものではなく、「本気」で、すなわち本当の気持ちに従ってやるものなんですから――

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