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「道央 花の恵み」車両一般公開ルポ(平成30年8月7日)

JR北海道は今年(平成30年)、なぜかキハ40形4両を「北海道の恵み」シリーズに簡易改造しました。

道南(函ハコ)・道央(札トマ)・道北(旭アサ)・道東(釧クシ)に各1両が配置され、それぞれの地域をイメージした塗装が施されています。また、内装もちょっと手が入りました。ただし、接客設備の改善はありません。

さる7月22日、道央(札トマ)に配置される「道央 花の恵み」(キハ40 1780)が、岩見沢駅で一般公開されました。

ちょうど用事のない日で、かつ札幌から近いので、せっかくなので行ってみました。


11時45分頃、1番線に苫小牧方から車両が登場。「回送」幕での登場でした。

おそらくは苫小牧運転所から回送されてきて、そのまま一般公開という流れだったのでしょう。停車後にスタフを覗き込んだら、折り返しの苫小牧行き回送の時刻が入っていました。さすがに一般公開後そのまま営業運転に、なんてことはないようです。なお苫小牧の所属なのに岩見沢での公開となったのは、苫小牧駅の容量に余裕がないからでしょう。

しばらくは外観のみの公開。列車が入った1番線と、隣の3・4番線ホームでは、多くの人が車両を撮っていました。鉄道ファンだけでなく、地元の方の姿も目立ちました。

塗装は左右で異なります。イラストは温かみがあって、結構いいな、と思いました。イラストの方向性としては旭山動物園号に近いなあ、と。


11時50分頃からドアが開けられ、車内の公開が開始。家族連れなどが車内の様子を楽しんでいました。

前情報を見る限りだと、内装はホントにちょびっと手が入っただけで、見栄えもしないし居心地も良くなってなさそうだし、とあまりいいイメージがありませんでした。

実際に乗ってみて、手のひらを返しました。ええ、見事なまでに。

木目の床と木材を使った座席が、無機質なキハ40形の車内を温かく彩っていました。さらにピラーに風景写真が飾られ、「いつもとはちょっと違う車両」を演出。それ以外は大きく変わっておらず、デッキにいる分にはノーマルのヨンマルと変わりません。でも、お金をかけずにこれだけ演出できるものなのだなあ、と。

座席の詰め物もしっかり入れ替えられており、キハ40形350番台のような座り心地の良い(国鉄ご自慢の4人掛けボックスシートにしては、ですが……)座席になっていました。背もたれ部は木を使っているので、まったく体を包み込んでくれません。でも、もともと背もたれは固いので、あまり変わっていないとも言えます。

座席のカラーリングは、優先席がオレンジでそれ以外がグリーン系と、733系のような色合いに。733系の内装が大好きなので、これは気に入りました。

まあ、手のひらを返したと言っても「簡易改造にしては良いと思った」程度で、JR北海道の明るい未来を導くようなステキな車両では到底ない、というのが正直な感想ですけれどね。

で、けっこう木目が目立つ内装なのですが、同じく木目推しの南のD&S列車軍団とはまた雰囲気が違うと感じました。まあD&S列車は乗ったことないけど。高級感よりも、どちらかというと東北の三セクの観光列車のような素朴さと温かみが前面に出ています。

さてそんな車内ですが、さすがに公開開始から20分も経ってくるとみんな飽きてくるのか、車内見学の人数が減ってきました。しばらく車内で待っていると、カメラの画角に誰も人が入らない瞬間が訪れました。ここぞとばかりに内装撮影。内装フェチとしては至福のひとときでした(笑)。

じゅうぶん車内を見回り、写真もしっかり撮ったところで、12時半のイベント終了を待たずに改札を出ました。


ところで、この「北海道の恵み」シリーズって、一体なんなんでしょうかね。

役割の薄いローカル線普通列車用の車両、しかも車齢の高い車両を、観光列車を仕立てるわけでもなく、それまで通り定期列車に使うのに、改造。普通に考えたら不可解極まりないのですが、果たしてその狙いとは?

まず、単純に話題づくり。簡易改造ですから言うほどお金はかかっていないので、暗いニュースが多い中で少しでも明るい話題を提供し、イメージアップを図ることができると思います。

次に、今後の観光列車のあり方を探るための観測気球としての役割。この程度の簡易改造でどれだけ注目を集められるか、乗客の満足度を上げられるかを検証し、今後その結果を観光列車運行にフィードバックすることが考えられます。今回の一般公開では鉄道ファン以外にも家族連れなどが大勢訪れていたことから、注目が集まることはわかりました。この検証結果が将来の施策に何らかの形で生かされる可能性はじゅうぶんあると思います。この件に関連して思いついたネタがあり、記事「函ハコ撤退+観光列車化でハッピー? キハ183系二題」の後半にまとめました。良ければ読んでみてください。

あるいは、道庁や経済団体の機嫌取り。今年は「『北海道』命名150年」の年で、道内の経済界にはそれを祝おう的なムードというか同調圧力的な何かがあります。知事、あるいは経済団体の上層部に「お前のところも何かやれよ」とか言われている可能性もあります。とりあえずの簡易改造で「150周年祝います的なポーズ」をとっておくことで、今後の本格的な路線存廃問題の検討において少しでも有利に交渉(断罪?)を進めることを考えている、なんてセンもあるかも。

とまあこんな風に、ざっと考えただけでもいろいろ理由が考えられました。まあ、さすがに何の考えもなく改造したはずはないので、このうちのどれかなんじゃないかなあ、と思っている所存でありんす。

※追記(平成31.1.7)……「北海道の恵み」の狙いが、わかったかもしれません。でも、諸々の都合であえて説明しない方が得策だと思ったので、ボクから言及することは現時点では避けることとします。外していたら恥ずかしいですしね。


というわけで車両見学は終わりましたが、せっかくお昼時に来たので岩見沢でメシでも食って行こう。いや札幌からわざわざ出てきて列車乗って撮るだけで帰るなんて非生産的なことできませんし。

駅にあった「いわみざわグルメガイド」を見て、「旬菜ダイニング Gonji」さんにお邪魔。

前の週に旅行したばかりだったので予算的に厳しい状況だったので、とりあえずマルゲリータを選択。ピザは地元産の小麦を使っているとのことで、道産小麦らしいモチモチ食感と深い味わいを楽しむことができました。野菜も地元産のものを使っているとのことで、本当はサラダも付けたかったのですが、お金が無くて泣く泣く外しました……。

残ったわずかな予算でデザートも。洋梨のタルトを追加注文し、ほどよい甘さと上品なセンスを堪能しました。


余談ついでにもう一つ。「北海道の恵み」シリーズが揃ったのに合わせて、セイコーマートが自社ブランドとして製造・販売しているボックスティッシュ(5箱セット)の箱の柄を期間限定で北海道の恵み柄に変えました。

セコマのティッシュは自宅近くの店舗でたまに安売りするのですが、ちょうどこのタイアップが実施された直後に安売りしてくれたので、買いました。

ティッシュ箱のサイズに柄を無理矢理押し込んでいるのでちょっとヘンな感じ……。でも、たまにはこんな柄のティッシュ箱も悪くないですね。小物入れにでも転用しようかなあ。

まあ、仮に定価での販売だったら買ってませんけどね。別に鉄道の柄だから買ったわけじゃありません。安かったから買っただけです。238円だったから、買っただけ。まあだから何だって話ですが。


以上、雑雑アンド雑な車両一般公開ルポでした。

乗客の少ない路線での運用が多いはずではありますが、せっかく登場したので、少しでも多くの人の目を楽しませてほしいなあ。

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