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「質問箱」にいただいた質問の回答コーナー

令和元年(2019年)10月11~22日・11月1~4日、および令和2年(2020年)8月8~15日に、Peingの「質問箱」にて試験的に「北海道の鉄道に関する質問」を募集していました。

以下、令和2年8月8~15日に「試験募集第3弾 通勤編」と題し、札幌エリアの列車についての質問を中心に募集した際の回答を掲載します。

過去の試験募集時の回答は以下よりご覧ください。

なお、今後については同様の方式での質問募集は行わない予定です。


Twitterでも回答していますが、書ききれなかったことの補足もありますので、よろしければご覧ください。

「苫小牧や室蘭周辺って、無人駅の割に乗降客がそれなりに多い駅(沼ノ端、青葉、糸井、錦岡、萩野、鷲別等)が乱立していますが、普通列車が毎時1本あるかどうか程度の本数しかないです。人口規模の割に需要が細いなと思ってしまうのですが、このあたりの需要を強化するのは難しいのでしょうか? すずらんと役割が被る上に千歳線の線路容量の問題はありますが、札幌方面への快速の直通列車があればどうなのかとかたまに妄想してしまいます。」(令和2.8.8)

ご質問いただき、ありがとうございます。

苫小牧・室蘭界隈の普通列車は、典型的な地方ローカル線の様相で、利用を伸ばすのは簡単ではないと考えます。

また「札幌直通の快速列車の新設」については、デメリットもあり、仮に実現させるとしたら一筋縄ではいかないと思います。


苫小牧・室蘭界隈の普通列車について、苫小牧市が人口約17万、白老町1.6万、登別市4.7万、室蘭市8.2万と、ある程度の人口はありますが、2両(データイムは一部1両)の普通列車が1時間に1本で事足りる程度の需要です。

学生(青葉・鷲別は通学駅の側面が大きいですね)を除くと、中年以上の女性、および高齢者の利用がメイン。つまり、キャプティブな公共交通利用者がデータイム利用の大半を占めます。

まちを見ても、苫小牧は人口が薄く広がっていて、しかも札幌に近い沼ノ端・拓勇、およびロードサイド店舗周辺に重心が行っており中心部が空洞化しています。室蘭は人口減少が続いています。

おまけに、並行路線バスが比較的高頻度な運行、という状況。

「人口の割に……」というほどでもなく、むしろ典型的な地方ローカル列車という印象です。

地理環境が比較的近い本州の地域は山形県の鶴岡~酒田、鳥取県の鳥取~米子あたりかなと思いますが、こちらも普通列車の本数が少なく、やはりこの程度の人口規模で利用を伸ばすのは難しいのか、という思いがします。

こういった路線に大規模な投資(車両増備など)はなかなか難しいものがあります。高山本線やJR山田線のように、行政が乗り出して増発実験などをやるなら別ですが、JR単独だと厳しいでしょう。

利用促進の方策としては、ダイヤの修正(1時間間隔に統一する、逆に学校や会社などに合わせたダイヤにする、など)やマイレール運動など、地味なものしか思いつきません。

追記(令和3.6.27):後日資料を漁ってみると、苫小牧は平日の朝に交通渋滞が発生していると書いてある資料がありました。特に糸井方面から中心部にかけて発生しているようです。朝の下り列車を増発すれば、利用客を増やせるかもしれません。ただ、朝はもともと予備車以外すべての車両が出払う時間帯で、増発するなら車両が新たに必要となり投資額が大きくなるのが難点です。(なお逆方向の渋滞はそこまででもないようで、しかも現状でも(沼ノ端→)苫小牧→糸井間はそこそこの本数があるため増発のメリットはあまりないと思います。)


改善策として「札幌直通の快速列車の新設」が取り沙汰されることがしばしばあります。

料金不要・乗り換えなしで札幌から胆振の各市町に行ければたしかに便利ですが、千歳線内での遠近分離ができないという問題があるため、簡単にはいかないと思います。多数の近距離客で座席が空いてない……といった具合に、遠距離客の不効用になります。

実際はさておき頭の中で想像してみる、ってのはけっこう楽しいんですがね……。(というかボクもけっこうやります。他の問題を考える時にアイデアが生きたりするのでけっこう良いんですよ。実際はさておき、ね……。)

「新千歳空港のスルー化はJR北海道の収支改善の切り札になると思いますか?メリットは色々思いつきますが、やはり費用とルートがネックなのが…ぜひご意見をお伺いしたいです。」(令和2.8.11)

ご質問いただき、ありがとうございます。

新千歳空港駅のスルー化(札幌~道南・道東の本線に組み入れる経路変更)は、現在制作中の長編記事で詳しく論じる予定で、検討を進めています。

現時点では、「JR北海道の収支改善になりえない」とみています。特急の収益はむしろ減り、エアポートの輸送力増強にもならないと考えるからです。


スルー化により道南・道東方面から空港へは乗り換えが不要になりますが、代償として札幌~道南・道東は遠回りになります。千歳~苫小牧は数分程度、大回りを強いられる千歳~追分間は10分を超える所要時間増となると見込んでいます。

飛行機や高速バスに対して大きく不利をとることになります。特に道東方面はただでさえ利用者が減少しているところにトドメを刺す形になるはずです。

空港に行く乗客の増加よりも、札幌に行く乗客の減少が上回るのでは、と思います。


快速エアポートの輸送力増強についても検討します。

まず増結はスルー化とは直接関係ありません。増結をしたいだけなら、空港駅のスペースが足りない分を掘ればいいだけ。スルー化をしなければならない理由にはなりません。

そもそも、空港駅には前後合わせて車両1両ぶん程度のスペースがあるようにも思われ、現状でもスペースが足りるかもしれません。

JR北海道の中期計画に「7両化」と「スルー化」が別項目で書かれていることからも、スルー化と7両化は関係ないと考えていいでしょう。

続いて増発。本数を増やすには終点だけでなく、途中区間に対する設備投資、つまり信号や待避設備の増強、交差支障の解消も必要です。スルー化だけでは足りず、さらなる抜本的投資が必要になります。

今年のダイヤ見直しによってエアポートが軒並み減速し、普通列車が白石・サッポロビール庭園でエアポートを待避するケースが増えたことから、エアポート5本ダイヤでもすでにギリギリで、現状の設備ではさらなる増発ができないのは明白です。

以上より、「スルー化それ自体」については「快速エアポートの輸送力強化による収益増」を想定できません。


あくまで現時点での意見ですが、スルー化は行わず、エアポートの輸送力強化に絞ったプロジェクトを行い、空港と道南・道東方面の利便性アップについては別の手立てを講じるべきだと考えています。

「需要や線路容量、利用者の利便性など諸々を考慮して、千歳線の普通列車の本数はどれくらい必要ですか?」(令和2.8.12)

ご質問いただき、ありがとうございます。

ボクは専門家ではないので、客観的な意見は難しいことをご了承ください。

千歳線の普通列車の運行本数は、日中は1時間あたり2.5本(24分に1本程度)、夕方は3本程度、朝ラッシュ札幌行きは現状と同様またはプラス1本が妥当かなと思います。


千歳線の日中の普通列車は、3両編成でもかなり空いていることが多いです。快速エアポートを押しのけてまで高頻度で走らせる必要はありません。

ただ、平和や恵み野はそこそこ利用があります。これらの駅の利便性を考えると、30分以上間隔が空くのは避けた方がいいと思います。

また、札幌~新札幌間の乗客をエアポートに集中させないためにも、快速2本に対して普通列車1本くらいが欲しいと思っています。一応、普通列車があることで前後のエアポートから乗客を吸収できていると思いますので。

以上から、日中は約24分間隔とし、快速2:普通1の割合での運行とするのがよいかなと思います。現状のダイヤはそれに近いので、あとは運行間隔をできるだけ一定にしてほしいです。

また、現行ダイヤだと下り列車が白石で待避することが多く、「札幌~新札幌の乗客分散」が果たせていません。なるべく待避を減らしてほしいものです。


続いて帰宅時間帯。

午後3時台後半は、高校生の帰宅時刻となるので、各主要駅・上野幌・島松にそれぞれドンピシャのタイミングで列車が来るよう設定する必要があります。

それを考えると、上りは札幌15:40発の千歳行きの後36分も間隔が空いてしまうのは大問題だと思います。特急列車も多いので難しいのかもしれませんが、何とかこの間に1本追加してほしいところ。

その後、夕方5時台以降に通勤ラッシュ時間帯が到来します。

ラッシュ時は千歳線の列車もある程度乗車率が上がります。最混雑時間帯だと立ち客も多数出ます。よって、1時間あたり最低3本は運行する必要がありましょう。

ただ、快速エアポートの増発により通勤客が快速に流れた感があるので、4本設定する必要はあまりないかな、と思います。

もっとも、ダイヤ見直し以降の状況は6・7時台しか知らないので、5時台はわかりません。もしかしたら、4本必要かもしれません。


朝ラッシュは、ボクが見ている限りでは輸送力が足りていないという感じはしません。

本数が少なかった早朝も、エアポート61号ができたので混雑が緩和されていると思います。

本数は現状維持で差し当たり問題なく、仮に増やすにしてもプラス1本程度で十分だと思います。

「20年後に釧路発着の特急はあると思う?」(令和2.8.12)

ご質問いただき、ありがとうございます。

回答ですが……、

え~~~~…………

……「はい」と答えたいところですが……、正直、わかりません。


帯広~釧路の輸送密度は、2014年度の2,259から、2019年度4~12月では1,551と、5年間で大幅に減っています。

この状況で釧路方面の特急を維持するには、まず大前提としてJR北海道の経営再建を成功させること。それに加え、当該区間の地上設備を保有する「北海道高速鉄道開発」と協議のうえ、路線・サービス維持の仕組みづくりを行うことが必要です。

ここまで利用が落ち込んでいる現状、将来の車両取り替えや利用促進については、「維持困難路線」に指定されているかにかかわらず、沿線の協力も必要になる場合もあると思います。

ですが、いずれも動きが弱いという状況です。このままでは全廃という最悪のシナリオもありうる、と言わざるを得ません。取り組みを加速させる必要がありましょう。

「とかち廃車の歳にキロ9が残りハイキロが廃車された理由わかりますか? 自分で考えても検討がつきません。定員も同じですし。」(令和2.8.12)

ご質問いただき、ありがとうございます。

2009年に札幌~帯広間の特急「とかち」が全スーパー化され、とかちに使用していた札幌運転所所属(当時)のキハ183系に余剰が発生しました。この関係で、ハイデッカーのグリーン車であるキロ182形500番台3両が2010年に廃車となっています。

しかし、それよりも経年が深く、走行性能も接客設備も劣り、トイレも和式のキロ182-9が残存し、特急「オホーツク」の予備車として2018年まで現役でした。

これは、おそらく車両メンテナンスの都合によるものではないか、と推測します。


仮にハイデッカーのグリーン車をオホーツクの予備車として残す場合、1両だけ構造などが違う車両を札幌に置いておくことになります。

定期運用を持っている他のハイデッカーグリーン車(キロ182形500番台・2550番台)は、当時すべて函館運輸所に在籍していたからです。

1両だけ他と異なる車両があると、整備が面倒になったり、コストがかかったりします。

その点、キロ182-9はオホーツクで運用されていた半室グリーン車・キロハ182形の原型車両です。メンテナンスも、キロハ182形とだいぶ共通化できるでしょう。

メンテナンスを考慮して、スタメンの車両であるキロハ182形に近い車両を残そうと考えた結果、ハイデッカー車が廃車された、ということが考えられるのです。


それにしても、設備の劣るキロ182-9を差し置いて経年の浅い車両を廃車にするというのは解せないものがあります。ボクの考察も、わざわざ経年が深い方を残す理由としては弱いと思います。あくまで一個人の推論と受け止めていただきたく思います。

それに、メンテナンスのことが気になるなら、いっそのことハイデッカー車をオホーツクの一部列車に起用して、3両とも活用する、という手もありました。いよいよもって、「謎」です。(普通車の定員が減る分1両増結しなければならない、というデメリットはありますが……。)

また、手持ちの資料も一通り確認してみましたが、この件についての記載はありませんでした。

大変心苦しくはありますが、明快な結論を出すのは難しいと言わざるを得ません。

「部品販売で高額で売れる物を産廃業者に有償で回収してもらってるのははっきりいって異常だ。183の幕や283のグリーン、グレードアップ座席まで廃棄して金がないと言っているのは鉄道ファンとして財務事情を疑わざるを得ません。なぜもっと問題視する人がいないのですか?」(令和2.8.12)

ご質問いただき、ありがとうございます。

部品販売の実態について知っているわけではないので、何とも言い難いです。

実際問題として、どのくらいの費用がかかって、どのくらいの収益になりうるかによりけりかと思います。また人手の問題、その他各種法律との兼ね合いなど、さまざまな事情があろうかと思います。

話題にならないのは、収益全体に占める割合が小さく、また一般論として企業は基幹事業(鉄道会社なら、鉄道の維持向上など)を優先するからだと思います。

当方もJR北海道の経営努力はまだ不足していると睨んでおり、部品販売が費用・労力を考えてもプラスになるなら積極展開すべきと思います。

「新千歳空港~旭川は需要があまりないのでしょうか?もしスルー化できるなら追分・栗山・岩見沢経由で特急出せば現行ルートよりも金額は安くなり、千歳線の線路容量を圧迫せずしかも室蘭線の有効活用もできるなと思いました。スルー化前提ではありますが、岩見沢周辺も取り込んで需要は望めると思いますか?」(令和2.8.13)

ご質問いただき、ありがとうございます。

新千歳空港~旭川間は2016年の特急スーパーカムイ・快速エアポートの直通が廃止されて以来、直通列車がありません。ですが、新千歳空港駅がスルー化されれば、(スルー化の是非はさておき)千歳線の線路容量の問題、および快速エアポートに特急車両を使うことによる弊害を起こさずに、直通列車を復活させることが可能になります。

……ただ、需要や他の交通機関との競合などを踏まえて検討した結論としては、「実現の見込みは低い」というものになりました。


新千歳空港の利用者で、岩見沢・美唄・滝川・深川・旭川を出発地または目的地とする人の数は、「航空旅客動態調査」という統計から我流で超ザックリ計算してみたところ、1日片道1,500人くらいと出ました。

ある程度まとまった需要は確実にあり、だからこそ高速バス「たいせつライナー」が登場したのです。

直通の列車を設ければ、ある程度は乗客が付くと思います。


具体的に検討します。

まず所要時間ですが、ご質問いただいた(新空港駅スルー化前提の)空港~追分~岩見沢~旭川のルートで試算します。

まず空港~追分間は22分と仮定。現行ダイヤの南千歳~追分間がだいたい12分で、空港スルー化で大回りになるのでプラス10分を見込みます。

次に追分~岩見沢間は35分と仮定。国鉄時代にあった栗山・由仁のみ停車の快速列車で42分程度なので、車両性能がキハ261系1000代同等なら35分程度で走破可能と考えます。

岩見沢~旭川間は特急ライラック・カムイで1時間。これと同じ時間で到達できると仮定します。

追分と岩見沢の停車時間として30秒×2回=1分を加算し、所要時間はしめて1時間58分と想定します。

運賃・料金も見てみます。とりあえず現行ルートで算出すると、全区間幹線で営業キロ156.6km。よって運賃は3,190円、自由席特急料金は2,200円。足して5,390円となります。(加算運賃はひとまず無視。)

高速バス「たいせつライナー」との差で見ると、所要時間差が約45分、正規片道料金の差は片道どうしで比較して1,590円です。

高いぶん速いという構図になり、またSきっぷやえきねっとトクだ値で安売りすることも考えられるので、バスに対しては一定の競争力を持つでしょう。


ただ、自家用車を相手にすると状況は一変します。

ゆっくり走っても2時間半程度で旭川市街にたどり着けるでしょう。道央圏連絡道路がさらに延伸すれば、自動車交通の優位は決定的となるでしょう。

しかも、車なら「駅からの移動手段」を考慮する必要がありません。それを踏まえると、マイカーの選択性向が強い人をキャッチできる見込みはあまりないと思います。


初期費用も問題になります。空港~岩見沢間は非電化ですのでキハ261系の導入が必要かと思いますが、製造費はかなり高いと聞いています。

比較的短距離の列車となるのでグリーン車は不必要と考えられますが、モノクラスにする場合1号車を新規開発することになり、さらに高額になります。

それをペイするほどの乗客を確保できるかというと、なかなか厳しいようにも思います。

既存の特急列車ですら、車両製造費を確保できずに一部区間短縮を余儀なくされた、という話も忘れてはなりません。


「あったらいいな」とは思ったのですが、苦戦は必至で、実現は難しいのではないかと思います。

「沿線人口の少ない宗谷本線でも高速化工事が行われたのですから、沿線人口が多少存在する石北本線も高速化されないのですか? 確かに現状の需要では意味がないというのももっともですが、正直札幌北見が3時間半程度でないと、路線を維持する理由すら完全に消滅する気がします。北海道新幹線が開業して、万が一にも経営がある程度改善されれば可能性はありますか?」(令和2.8.13)

ご質問いただき、ありがとうございます。

石北本線は高速化に向けた動きがありません。JR・沿線がハッキリと言及しないので、理由は「まったく不明」です。

イカロスMOOKの「名列車列伝シリーズ16 特急北斗&JR北海道の特急列車」(2002年)の61ページで、当時のJR本社の職員が、石北本線の改良について「必要があれば検討していきたい」と話しています。当時のJRが、石北本線の高速化を「全く考えていなかった」ことはないと思います。

ですが、それ以上のことはわかりません。手がかりが全くありません。沿線の協力が得られなかったのか、それ以前に社内の検討段階で止まったのか、まったく不明です。

採算が見込めないため、釧路・名寄方面と同様に沿線の積極的協力が必要です。少なくともJR単独事業としては、財務状況にかかわらず不可能です。


……という趣旨の回答を先にTwitterに掲載したところ、「ミスターまつも」様より以下の2点につきご指摘をいただきました。

まず、石北本線はまったく高速化されていないわけではなく、旭川~上川間ではJR化後に一線スルー化が行われているとのことです。(最高速度のことしか知らなかったもので……。)

次に上川以東に動きがない事情として、2006年に廃止された第三セクターのふるさと銀河線の存廃論議と重なり、その後棚上げされた印象、とのことです。

ふるさと銀河線の存廃にかかわって、ふるさと銀河線を高速化して札幌~北見の所要時間短縮を図ってはどうか、という検討がされたといいます。そうなると、石北本線も高速化してしまっては二重投資になります。その関係もあって、ふるさと銀河線の処遇が決まるまで手が付けられなかったというところでしょうか。

で、ふるさと銀河線廃止後、諸々の事情があって、石北本線高速化の議論は宙に浮いてしまった、と……。

「721系の2017は3000番台apと同じ仕様ですか? だとしたら最後まで残る初期車になりそうですがそうでない場合真っ先にサイリスタ車と同時どころかより早く消えそうな気がするのは僕だけですかね。」(令和2.8.13)

ご質問いただき、ありがとうございます。

721系F-2017編成と、同3000番台エアポート編成は、同時期にVVVFインバータ制御化の改造を受けました。

鉄道ピクトリアル 2013年12号によると、両者は同様の仕様となっているようです。

廃車時期については、検査周期など様々な事情があると思いますので、まったく予想が付きません。(現に以前721系の処遇の予想を大ハズシしましたし……。)せっかくご質問いただいたのに、申し訳ありません。

「日高本線が災害に遭わず、胆振大震災もなんとか持ちこたえて今日も元気に列車が走っていたとして、いつまで存続したと思いますか。日高自動車道が全通するくらいまでは生き残れたでしょうか。」(令和2.8.14)

ご質問いただき、ありがとうございます。

仮に日高本線が災害により不通となることなく、今も通常運行していたとして、それでもなお状況は全く変わっていないと考えます。

日高本線の鵡川~様似は、災害前の2014年度でも輸送密度は186。列車別に見ても、断面輸送量は最大107人。鉄道の特性を活かしているとは言い難く、バスで十分代替可能な水準です。

JR北海道は現在、輸送密度200未満の路線は廃止を念頭に動いています。よって、災害のありなしにかかわらず、輸送密度が200を下回っている以上、どのみち廃止対象路線に指定されたはずです。その時点で、現在と同様の状況となっているでしょう。

なお、災害がなかった場合、日高本線の区切りの位置が変動していた可能性があり、たとえば中間の静内で輸送密度が区切られ、以東のみが廃線、ということも想定できなくはありません。ですが、断面輸送量は明らかに鵡川を境に大きく変わるので、いずれにせよ鵡川で区切られていた可能性が高いと思います。

「札幌圏にATS-P(あるいはデジタルATC、ATACS)などを導入すれば、多少の増発は可能になり千歳線などの線路容量に余裕が出そうな気もしますが、どうでしょうか? また、宗谷本線などで自動閉塞式からATS-DNなどに保安装置を更新するにはどのくらいお金がかかるのでしょうか?」(令和2.8.14)

ご質問いただき、ありがとうございます。

現在、JR北海道の在来線路線(海峡線を除く)では、保安装置としてATS-DNおよびATS-Snを使用しています。これらの装置よりも、他地域で採用されるATS-P、ATACSなどを導入すれば、列車間隔を詰めることができるようになり、列車本数の多い路線では運行上有利になります。

道内路線で最も線路容量に余裕がない千歳線において、保安装置を変更した場合、どのような効果があるか考えてみます。

まず普通列車ですが、待避をスムーズに行え、その回数も減らせるでしょう。またスジも確保しやすくなるはず。現状まちまちの運行間隔をなるべく等間隔にでき、夕方の増発も多少できると思います。

BP輸送にも大きなメリットになりえます。ただでさえ運行本数の多い夕方時間帯に、ダイヤを乱さずに増発できる余地が増えるのは大きいです。

快速エアポートも、12分間隔に近づける、運転時間を短縮する、などいろいろなメリットを受けることができます。

ただ、増発までは難しいかと。快速エアポートは将来的にさらなる増発が必要となることも想定されますが、札幌駅の容量、空港支線の容量、貨物ターミナルの平面交差、待避設備不足など支障が多く、これ以上の増発は保安装置変更のみでは難しいと思います。

このほか、特急列車の所要時間の若干の短縮などのメリットが考えられます。


JR北海道の中期計画における「技術開発・技術革新によるコスト削減」の項目で、他社技術の例としてATACSが挙げられており、JRも保安装置についての検討を行う意思はあるものと思います。

コストダウンが主目的のようですが、ただいま検討しました通り、過密状態の改善にも期待が持てます。

二つの意味で持続可能な交通体系をつくるため、積極的に検討してほしいものです。


ATS-DNなどの導入費用については、手持ち資料やネットから情報を得られなかったため、わかりませんでした。申し訳ありません……。

なお、宗谷本線のうち旭川~名寄間は線内最高速度100km/h以上なので、法令に則りATS-DNの整備が完了しています。

「キハ54の置き換えもDECMOで為されるんでしょうか。」(令和2.8.14)

ご質問いただき、ありがとうございます。

おそらくは、既にキハ54形を置き換えるつもりでDECMOの増備を計画しているのではないか、と考えています。公式からそのような言及はありませんが……。


JR北海道の運賃値上げについてのニュースリリースに、DECMO(H100形)の製造予定数は127両、とあります。

DECMOによって置き換えられることになるキハ40形ですが、まず300・330番台は定期運用を持っていないも同然で、置き換えの必要はありません。定期運用を持っているのは350・700・1700番台で、その数はDECMO投入前の2019年時点で120~130両程度です。

ただ、これと同じ数のDECMOが必要となるわけではありません。必要な車両の数は減っており、今後さらに減ることになるからです。

まず、廃止される区間の車両は不要です。すでに廃止となった石勝線夕張支線および札沼線非電化区間、そして今後廃止が検討されることになる日高本線の鵡川以東、根室本線の富良野~新得間、そして留萌本線。これら全てが廃止される前提で話すと、夕張支線廃止とセットで行われた石勝線普通列車の減便によるものと合わせ、16両程度車両数を削減できるはずです。

また、函館本線の札幌~旭川間のキハ40形運用の普通列車すべて、およびキハ40・150形運用の苫小牧~東室蘭~室蘭間のワンマン列車の一部は、JR北海道の中期計画にあった「2両ワンマン列車」での置き換えが想定されます。仮にそうだとすれば、DECMOの必要数はさらに8両程度減ります。

旭川・帯広・北見など地方都市の朝の通学列車は一部が3~4両で運行されていますが、今後少子化などによって編成短縮も想定できます。1両~数両の削減を見込みます。

さらに、DECMOがキハ40形とキハ54形の両方を置き換えると仮定した場合、これまでキハ40形とキハ54形それぞれの予備車を用意する必要があったところ、それが不要になります。旭川運転所・釧路運輸車両所でそれぞれ1両~数両を削減できると考えます。

以上を合計すると、30両弱は必要数が減ることとなります。

キハ54形は北海道に28両が在籍しており、置き換えが必要なキハ40形と合わせると150~160両くらいになります。そこから30両弱が減ると考えれば、127両に近い数字になります。

よって、「5路線5区間廃止」「2両ワンマン電車登場」を前提にする限り、DECMOが予定通り127両製造されれば、キハ40形のみならずキハ54形も置き換えることができると考えられます。127両という数字は、キハ54形の置き換えまで視野に入れた数ではないかと思うのです。

「北海道でおすすめの駅弁はなんですか?」(令和2.8.14)

ご質問いただき、ありがとうございます。

今まで食べた中からですが、ボクのオススメ駅弁を紹介させていただきます。

なお写真編集はかなり雑です。ご容赦ください。


まず函館駅。函館みかどさんの「みかどのかにめし」は、有名な長万部のかにめしに一歩も引けを取りません。

旬花さんの「はこだて大沼黒牛めし」もオススメ。ジューシーな牛肉の味わいが詰まっています。

有名どころ、森駅の「いかめし」、長万部の「かなやのかにめし」も一度は食べたい駅弁です。できたてホカホカなら絶対おいしいです。

苫小牧駅には「ほっきめし」があります。地場産のほっき貝が炊き込みご飯と絶妙にマッチします。

札幌駅は季節の駅弁が超オススメ。春は「春便り」、夏は「夏のお祭り弁当」、秋は「秋のご馳走御膳」、冬は「北海道三昧 冬御膳」。弁当屋さんの気合いの入りっぷりが尋常じゃありません。北海道の食材をふんだんに使っていて、調理も丁寧。食べるたびに感動してます。

続いては釧路駅。釧祥館さんの「釧路漁礁」はカニとサーモンをダブルで味わえる贅沢な弁当。味付けも見事。

引田屋さんの「いわしのほっかぶり寿司」も美味。いわし寿司の上に薄切りのダイコンを乗せたものですが、いわしの味とダイコンの食感が噛み合った、サッパリしてておいしい駅弁です。

厚岸駅の人気駅弁「かきめし」もやっぱりおいしいです。厚岸湖では一年中新鮮なカキが生産されています。プリップリの食感と深い味わいは忘れられません。

網走駅にも「かにめし」があります。噛むとワッと出てくる旨味。函館・長万部に勝るとも劣らない、実力派の弁当です。


※「いわしのほっかぶり寿司」の写真は、「一人旅の旅行記」様よりお借りしました。

「正直宗谷線と石北線と釧網線と花咲線なんかは廃止した方がいいんじゃないですか?こんな誰も使わないの残すくらいなら高速道路に金をまわしてバスにまとめた方が便利になるし赤字もましになると思うんですけどどうでしょう?」(令和2.8.15)

ご質問いただき、ありがとうございます。

せっかくご質問いただいたのに大変申し訳ありませんが、当方の実力不足により、この問題について十分な考察ができないため、回答することができません。

「鉄道の話ではないのでスルーしてくださっても構いませんが、一部の界隈で有名な沿岸バスのアレ(フリーきっぷ、バスラッピングなど)についていかがお考えでしょうか?」(令和2.8.15)

ご質問いただき、ありがとうございます。

「アレ」というのは、「萌えっ子キャラクター」および「萌えっ子フリーきっぷ」のことですね。

話題性はありますし、うまくやればグッズなど運輸外の収入のチャンスにもなりますので、アリじゃないかなと思っています。

そのテのコンテンツも、時代の流れの中でだいぶ受容されてきました。昔であれば悪評に繋がるおそれがありリスキーだったと思いますが、今(新規または継続で)実施するのは特に問題はないと思います。あんまり推しすぎても悪い印象になると思いますが、取り組み自体は悪いとは思っていません。

(その時代の流れの中で「萌え」が半ば死語になってる気はしますが。)

個人的にも、嫌なイメージは持っていません。むしろ、いわゆる「二次元」のコンテンツが好き……といいますか、若干「こじらせている」ような人間だったりするので、そんなボクにとってはどちらかといえば好印象です。

道内の交通関連で「二次元」のコンテンツを取り入れているのは、他に札幌市(雪ミク)、函館市(鉄道むすめ)くらいでしょうか。あと、ちょっと前は女満別空港。

そういう取り組み(既存キャラクターとのタイアップ含む)がもっとあってもいい、と個人的には思っています。

「抜海駅について、廃止してバスを走らせるより駅存続の方が費用が抑えられるとのことでした。とはいえ駅と抜海集落との距離を考えると廃止が妥当と思われます。しかし、スクールバスを1本増便するだけでは少ないような気がしますがどうでしょう。(実際に使われてるかは別として)列車は3.5往復ありますので。」(令和2.8.15)

ご質問いただき、ありがとうございます。

抜海駅は、ボクとしても廃止が妥当と考えています。また、代替交通手段の本数は鉄道と同等をキープするのは難しく、デマンド交通で補うより他に手段はないと考えます。


現在、JRが自治体に抜海駅の廃止を打診しており、代替としてスクールバスの混乗化、帰宅時間帯のスクールバスの増便、および乗り合いタクシーの整備というプランが住民に提示されているようです。

抜海駅は、高校生の通学と、高齢者の買い物・通院に使われているとのことです。

しかし、抜海の集落は駅から2kmほど離れています。徒歩距離を考えると、交通を再編することなく現状のまま放置した場合、JRは高齢者にとって利用することが難しくなっていきます。駅まで徒歩で移動することが体力的に難しくなっていくからです。

駅の存廃に関係なく、高齢者のためのドアツードアの輸送は遅かれ早かれ必要になると思います。

駅の存続の方が、「今の状況で計算した」費用は安いとのことです。しかし長い目で見た場合に、交通を再編し、その一環で駅を早々に諦めた方が、駅の存続にこだわった結果最終的に駅と自動車輸送の二重投資になるよりも、むしろ安く上がるのでは、と思います。

また、JRにはないメリットがあるので、それも加味すると投資効率は高まり、実質的にさらに安上がりとなると考えます。

JRの上り普通列車は、午後便は18時台までありません。このせいで、学生は部活などで学校に残る場合を除いて、帰宅したい時間に列車に乗れません。抜海駅の定期券購入枚数がゼロであることからして、JRを片道だけ利用し、帰りは親などに送迎してもらうこともあるのでしょう。

また、買い物や通院で街に出る場合、食事時をまたがない行程にするとしたら、朝の稚内行きで出て、午前10時台の列車で帰るほかありません。

スクールバスを増便することで、学生の帰宅手段が充実します。また、スクールバスを混乗とし、デマンド交通を整備することで、午後からでも買い物や通院に出かけることができるようになります。

費用については、デマンド交通は乗り合いタクシーではなく、夕張市のようなタクシー代金補助を行う方式にすれば、もしかしたら少し抑えることができないかなと思っています。どちらの方が安いのかは知りませんが、一応書いておきます……。


続いて代替交通の本数に関して。

スクールバスを混乗化しても、朝の稚内行きと帰宅時間帯の抜海行きしか設定されないわけですから、当然それ以外の時間帯はカバーできません。デマンド交通は本数に入れることはできないので、JRよりも実質的な本数が減ることになります。

ただ、本数云々以前の問題として、抜海地区は人口がかなり少なく、公共交通の維持がきわめて難しいと言わざるを得ません。

そうした地域の足をなんとか確保するには、費用を極小化できるデマンド交通が最適と考えられます。

スクールバスのない空白の時間帯は、デマンド交通で埋めるほかないでしょう。

「北海道新幹線札幌延伸後も、札幌-東室蘭-長万部の特急は残ると思うんですがその際東室蘭-長万部を電化する可能性はありますか? 室蘭本線に投入されると言う2両ワンマン電車を苫小牧-長万部で走らせるようになるのでしょうか?」(令和2.8.15)

ご質問いただき、ありがとうございます。

東室蘭~長万部間の電化の可能性は低いと見ています。

この区間の特急列車が存続する場合車両はキハ261系1000代となり、普通列車もDECMO(H100形)になると思います。


北海道新幹線が札幌まで延伸された後、札幌~函館間を直通する特急「北斗」は新幹線に役目の一部を譲る形で、運行形態を変える、または廃止されることになります。ボクは、廃止はせずに運行区間短縮・本数減にとどめ、札幌~洞爺・長万部間の特急として存続する、と予想しています。(列車愛称は変わる可能性があると見ています。)

長万部乗り換えで新幹線沿線と洞爺・室蘭・登別・白老などを結ぶのと、札幌~伊達・洞爺の直通列車を残すことを考えると、あった方がよいと考えるからです。

ただ、旅客輸送密度は現状でも5,000未満。新幹線延伸後は札幌~函館間の通過需要が新幹線に移行するため、減ることも考えられます。電化は交通量の多い路線でないと投資効率が低いため、電化すべき積極的理由はないと言えます。

周囲を電化区間に囲まれていれば、輸送量が少なくても電化がメリットになる場合があります。非電化区間1か所のためだけに気動車を準備するとなると、他と共通運用にできないので予備車が余計に必要、電車と気動車の両方が在籍するのでメンテナンスも面倒、とデメリットになるからです。

しかし、北海道は非電化区間が多いので、車両を他の区間とカンタンに共通運用化できます。特急車両は特急おおぞら・とかち・オホーツクなどと、普通列車の車両は室蘭本線の苫小牧~岩見沢間、および石勝線・日高本線と共通化できます。数の多いキハ261系1000番台やDECMOを投入するぶんには、メンテナンスの問題もありません。

車両製造費の観点でも、ある意味電化にメリットがあります。気動車の方が電車より高いと思われるからです。しかし、だからといって東室蘭以西を電化すべきとは言えないと思います。

使う車両の数は決して多くありません。また、DECMOは電化した場合に投入が想定される「2両ワンマン電車」と違い単行運転ができるため、必要車両数を抑えることができます(東室蘭以西は単行でも問題ない程度の需要しかない便も結構あります)。

以上を総合するに、電化のメリットは小さいと判断できます。

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