「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

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道東横断~グルメ時代を旅する~(平成27年8月23~27日)

3日目(平成27.8.25) 3/5ページ「納沙布岬」

本土最東端の地・納沙布岬

バスはほぼ予定時刻に納沙布岬の駐車場に停車。ここで、この旅のちょうど中間点といったところでしょうか。

バスを降り、ガイドさんの案内で岬の先端の方面に向かいます。

少し歩くと、海が見渡せる地点に。目の前に広がる海は、それなりに波がありますが、初日の大しけには程遠く、陽の光にきらめいて、それは美しい景色でした。

その先には、北方領土・歯舞群島の貝殻島灯台がごく小さく、しかしハッキリと見えます。さらにその後ろには、同じく歯舞群島の水晶島が、はっきりと視認できます。しかし、国後島は見えませんでした。晴天なら見えることもあるとのことでしたが、残念。

本土最東端。そして、今行ける範囲で日本最東端。以前から是非訪れたいと思っていた納沙布岬の訪問を達成したとあって、少しばかり感慨を覚えました。

しかし、あくまで「少しばかり」でしかなかったのも事実。北海道内とあって、正直なところあまり感慨はありませんでした。また、はっきりと見えているはずの北方領土を目の当たりにしても、「本当は日本領なはず」とか、「近いのに遠いんだなあ」とかは思わず、ただひたすら客観的に、「海の向こうに島がある」とだけ感じ、ただ美しい景色として堪能していました。この辺の冷静さ(というかドライさ)も、先述の違和感と同じ理由からでしょうか。

さて、納沙布岬では約40分の滞在時間があります。しばし景色を眺めた後、その付近に灯っている「祈りの火」を見に行きました。北方領土返還の祈りを込めて灯されているものですが、現在では節約のため日中しか灯っていないとか。口先だけでは領土問題は解決しない、ということを暗に示しているように感じられました。

お次は、少し歩いたところにある、オーロラタワーへ。これまた領土返還の想いをこめて建てられた塔です。塔の前には大量の海鳥が集合していました。

タワーには展望台があります。滞在時間は決して長くはないという中、展望台に行くと時間を結構消費するので若干焦りましたが、スタッフにエレベーターの所要時間を聞いたところ、なんと約30秒とのこと。これはさっぽろテレビ塔のおよそ倍の速さです。それなら無問題といったものです。

エレベーターで一気に塔を上り、展望台から外を眺めます。眼下には納沙布岬、その先にはやはりきれいにきらめく海、そしてその奥には、先ほどよりよく見える北方領土。

展望台には望遠鏡があります。展望台によくある、コイン入れると見えるヤツですが、ここの望遠鏡は無料で使えました。のぞいてみると、水晶島の地形がくっきりと見えます。「やっぱり近いんだなあ」とは思いますが、それ以上のことはやはり何も思いませんでした。まして、絶対に見えることのない色丹島や択捉島、それに国後島の東の方については、一切の感情が湧き起こらない。それが、偽らざるこの時の心境でした。

逆側を見れば、広々とした平野が広がる根室半島の景色。でも、それを見ても、その先にずっと続く本州、四国や九州なんてスケールの大きいことは考えられませんでした。やっぱり、道内ですからね。

ひとしきり景色を楽しんだところでタワーを出て、今度はお土産漁り。

東光さんというお店で、納沙布岬の到達証明書と、根室名物のオランダせんべいを購入。また、サービスでカニの鉄砲汁をいただきました。カニの風味が抜群に効いている逸品。太っ腹なものです。

これで納沙布岬観光は終了。バスに戻ります。他の乗客はすでに戻っており、ボクが戻ったところで、バスは予定の発車時刻を待たずに発車しました。こういうところが観光バスならではですね。

オホーツク海沿いに走る

納沙布岬からの帰路は、オホーツク海沿いのルートで走ります。このルートは路線バスのないルートで、路線バスで来ていたら見ることができなかったんです。観光バスを選択した理由のひとつです。

湖や平原、海などが織り成す根室の美しい景色を眺めながら、引き続きガイドさんの解説に耳を傾けます。植生の話や、かつてこのあたりにアイヌと和人の交易所があった話など、面白いお話が続きます。

その交易所はクナシリ場所と呼ばれ、和人の圧力に対しアイヌが蜂起(クナシリ・メナシの戦い)しましたが結局鎮圧されました。日本にもこういう歴史があることは知っておくべきだと感じるあたりです。

バスはほどなく、2か所目の観光地・北方原生花園に到着。根室半島の魅力のひとつである花をしばし撮影。

奥の方に遊歩道が続いていましたが、入口付近にポニーが居座っていて、先に進めませんでした。ポニーは2頭いて、1頭はその通せんぼしてるヤツ、もう1頭は――

その傍らで、力なく倒れていました。痛ましい姿を突然目の当たりにしてしまい、正気を失いかけました……が、次の瞬間には心の中でズッコケることになりました。よく見るとそいつ、ちゃんと呼吸してました。ただ寝てただけの模様。人騒がせなヤツです。

ボクを含めた乗客はしばし景色を思い思いに見物・撮影した後、早々にバスに戻りました。皆さん、あまり花に興味のないご様子(最低2人は鉄道ファンですしね)。

バスはやはり全員が乗ると発車。順調にまいています。

"こんぴらさん"の膝元にて

3か所目の観光地は、市街地にある金刀比羅(ことひら)神社。「ことひら」というと四国は香川県の琴平にある金刀比羅宮が知られるところですが(鉄道ファンには「ことでん」と言った方がピンときそうですが……)、根室は港町ということで、本家金刀比羅宮と同じ神様をお祀りする神社として高田屋嘉兵衛が建立したと伝えられています。

神社の駐車場でバスを降りると、根室港を見渡す景色が見えました。神様はきっとこの日も、そして今日も、漁船の安全をお守りしてくれているんでしょう。

ガイドさんの案内で境内へ。社殿は立派な造りで、金の光沢がまぶしかったのをよく覚えています。

次いで社務所へ。社務所は例大祭の資料館を兼ねた建物です。

例大祭は金色の華やかな山車を使って盛大に行われるそうで、祭り文化の薄い北海道の中ではかなり熱気のある祭りなんだろうな、と山車などの展示を見て感じていました。

どうでもいいですが、その展示室の壁に日本地図が張ってあって、その近くに小さくて丸いシールが置いてあって、地図には「お住まいの町に貼ってください」と書いてました。当たり前ですが札幌のあたりが山盛りになっていて、思わず面白いと思ってしまって、ボクもその山の上にシールを一枚重ねました。

で、社務所で「旅守」というステッカータイプのお守りが売っていたので、それを購入。加えてご朱印も(記念目的ですが)いただきました。

そしてバスに戻りました。神社での滞在時間は長めにとってありましたが、早々に全員がバスに戻ったので、バスは大幅に時間を早めて出発。

バスは根室の街を走り、根室駅に戻りました。結局10分以上の大早着。このあとJRに乗り換えですが、所定の乗り換え時間では駅付近でお土産を買ったうえで列車で着席できるか心配だったのですが、バスが早く着くなら話は違います。つーかどうせこうなるなら原生花園と神社はデフォルトで滞在時間もっと短く設定した方がいいと思うんですけどね。

ともあれ、これにて根室観光が終了。根室の風土は美しく、正直今回ではまったく足りませんでした。いずれまた来たい。そう思いながら、バスを降りました。でもその前に行ったことないとこが優先ですけどね。

バスターミナルでお土産を買って、根室駅へ。東根室の入場券はもうゲット済ですが、根室がまだなのでそちらを購入し、改札口に並んで改札が開くのを待ちます。

この日の宿泊地は帯広なので、ここからは移動が続きます。食事のために途中寄り道をしつつ、一気に来た道を戻ります。

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