「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

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道東横断~グルメ時代を旅する~(平成27年8月23~27日)

3日目(平成27.8.25) 2/5ページ「最東端の駅」

最東端の駅

列車はゆっくりと東根室のホームに進入。駅は1面1線の板張りホーム。線路はカーブしており、それに合わせてホームも湾曲しています。

東根室では乗客のほとんどが降車。賑やかな中での最東端駅踏破です。付近に高校があり、学生はそちらに向かったものと思われます。ちなみに、駅の利用者以外にも駅前を頻繁に学生が通っていました。一方、ここで降りずに根室駅まで行く学生もいました。

乗客を降ろし、ほとんどがらんどうになった列車は、滑らかにホームを離れていきました。

駅は住宅街の中にあるうえ、今言った通り、学生の往来が多いので、「最果て」という感じはまったくありません。でも、それは東根室駅がきちんと利用されているということでもあり、その意味では最東端の駅がここで良かったのかもしれません。

東根室は小さな駅。ホームは板張り、駅舎はありません。駅名標、「最東端の駅」の看板、ホーム、ホームへと続く階段。これらを撮ればだいたい撮影は完了。滞在時間をあまり長くとれない状況だったので、手早く撮影を終わらせます。

この後は根室駅まで徒歩で移動。根室駅前のバスターミナルからバスに乗るのですが、その発車が8:25。東根室の到着時刻が7:44なので、あまり時間がないのです。駅で列車を待っていては到底間に合いません(快速はなさきは通過)。

というわけで早速移動開始。タクシーで駅に来た乗り鉄の方と同行。ちなみにその方とはこのあと厚岸まで同行しました。(ある意味)昨晩の件といい、根室は出会いの街なのでしょうか。

さておき、まずは駅を出て右へ。すると線路をくぐる歩行者用の通路があるので、それをくぐります。くぐったら、適当なところで1本右隣の道にそれて、大きな道路(道道310号)に出たら右折。しばらく直進し、踏切を超えたら左折。もしかしたらその後私有地を通ってしまったかもしれません、通ってたらごめんなさい。

同行の方とは鉄道に関する雑談をしつつ移動していました。その方もボクと同じく2429Dの完乗を果たしたそうで、「混雑する富良野まで1両で、比較的空いている富良野以降が2両ってのはちぐはぐだよなあ」というような話もしました(確かにそのとーりだ)。

風の街を駆けるバス

根室駅には、バスの発車10分前くらいに無事到着。駅を出て左手にあるバスターミナルからバスに乗ります。

乗車するのは、根室交通の観光バス「のさっぷ号」です。ボクの旅行では非常に珍しく、観光バスを利用します(云うて弟子屈町で乗ったバスもガイドついてたりと観光バスみたいなものでしたが)

のさっぷ号は、根室駅を起点に、納沙布岬を反時計回りに一周する形で走り、納沙布岬・北方原生花園・金刀比羅神社に立ち寄ります(のさっぷ岬コース)。根室駅に戻った後、さらに花咲港や白鳥台の方に向かいます(車石・風蓮湖コース)が、ボクはのさっぷ岬コースのみの利用。本当はじっくり根室を堪能したいところですが、時間がそれを許してくれません。

窓口でバスのきっぷを購入。お値段、1,850円。実はこの金額、往復乗車券を使って路線バスで行くのと同額なんです。なら、ガイドの話を聴けて、観光ポイントを増やすことのできる観光バスをセレクトしようと、こういうわけなんです。

大手旅行会社のツアーバスは使いませんが、こういった現地のバス会社が主催する観光バスは使うことがあります。現地の方がやっているわけですから、目の付け所がシャープだったり、ガイドの話にも奥行きがあったりするものです。実際にこの後、のさっぷ号に乗車して、改めてそれを実感することになります。

きっぷを買い終えて窓口でいただいたもの(市のガイドブック、お土産割引付きのポケットティッシュなどいろいろいただきました)を整理していると、東根室から同行していた方が来て、ボクに東根室駅の入場券を手渡してくださいました。後で買おうと思っていましたが、道案内のお礼ということで買っていただいちゃいました。170円に見合うほどのことをしたつもりはないのですが、ありがたくいただきました。

そんなこんなで、発車時刻が近づいたのでバスに乗車。乗客はボクを含め4名。ボクが最少齢。まあ慣れっこです。

バスは時間通り発車。まずは根室市街を走ります。

ほどなく、明治公園の前を通ります。明治公園はかつて農場だったところで、長い歴史を持つレンガ造りのサイロが立っています。先ほど同行した方なんて「今や列車の車窓ではお目にかかれないから――」と言って魅入っていましたが、レンガの街・江別に住んでいた経験のあるボクからするとあまり……。

そこからまたしばらく走ると、太平洋が見えてきます。反時計回りなので海は右に見えるわけで、右側の座席に座りましたが、図ったかのごとく、明治公園に続き、次に見えるタンネ沼・温根沼も左側。まあそれでも景色を十分楽しめていましたが。

ガイドさんの話にも耳を傾けます。基本的には原稿を読んでいましたが、景色についての説明に加え、それに関する根室や北方領土の歴史、根室の自然などの解説もあり、深みのあるトークだと感じました。前日のノロッコのガイドなどとは間違いなく一線を画していました。これで「ネムタク」の話も入れたらもう文句のつけどころがないな、と思ったほど。

それに関連して、乗客の一人(東根室でお会いした方ではない)はしきりに北方領土関連の歴史について質問をしていたのが印象的でした。しかし、ボクはそれに強い違和感を感じました。

この違和感の理由は、このときはわかりませんでしたが、後日機会があって北海道大学・岩下明裕教授の著書『北方領土・竹島・尖閣、これが解決策』(朝日新書、2013年)を読んでその理由がわかりました。

おそらく、根室市民の方、たとえば宿のスタッフさんあたりにこの話を振っていれば、もっと早く気付くことになったのでしょう。せっかく根室に行ったのに、少々もったいないことをしました。まあ仕方ない。

閑話休題。しばらくすると見えてきたのは、風力発電所。花咲線の車窓でも何度も見た風力発電所。根室には、至るところに風車があります。その向かいには、変な形のものも。ガイドさんによると、それは東京の企業が建てた小型の発電所だそうです。

そういえば、宿を出てからここまでずっと風に吹かれっぱなし。根室は、風の街。バスは、風吹く根室を、ピューピューという音をたてながら文字通り風を切って走っていきました。

本土最東端まであと少し

バスは友知・歯舞と集落を走り抜けます。根室市街よりもさらに東に、しっかりと人が住んでいます。こうなると、「最果て」に向かっているという気はしません。天気も良く、海もきらめき、そういう点からも最果て感ゼロ。

しかし、本土最東端の地は近づいています。珸瑤瑁(ごようまい)の集落に入ると、見えてくるのは「日本最東端の郵便局」珸瑤瑁郵便局。この郵便局は、台風によって建物が壊れ、閉鎖を余儀なくされていましたが、復旧を果たしました。新しい建物の前を通り過ぎます。本当は風景印もらいに降りたかったところですが、たかが風景印のために停めてくれとも言えず、見るだけにとどめます。

さらに進むと、かつて日本最東端の小学校だった、旧・珸瑤瑁小学校が見えます。ネムタクの車両が埋まっているという噂は、本当なんでしょうか。

校舎の向こうには、すでに納沙布岬に立つ「オーロラタワー」が見えています。あと少しで、目指していた本土最東端の地に降り立つのです。

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