歴史④ / 札幌~新千歳空港 快速「エアポート」など - ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか
「ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか」

……ゲニウス(北)がお送りする、北海道を中心とした旅行・鉄道情報サイトです。

  1. トップページ >
  2. 北の特急(+α)図鑑 >
  3. 札幌~新千歳空港・歴史

札幌~新千歳空港間・歴史 第4章 空港客と通勤客のはざまで / 北の特急(+α)図鑑

進化を始めるエアポート

登場当初より高速・高頻度運転で鳴らしたエアポートですが、すぐにさらなる飛躍のために脱皮を始めます。


図1:721系F-1009編成。6~7次車で唯一、登場当初と同じ3両編成の1000番台として残っています。現在はエアポートには入りませんが、uシートが設置されています

まず登場翌年の平成5年から同6年にかけて、721系6~7次車が製造され、主にエアポートの運用に入りました。

最高速度を130km/hにアップし、高速運転が可能になりました。また、721系の5次車以前は主回路装置がサイリスタ位相制御でしたが、6~7次車では785系特急型電車と同様のVVVFインバータ制御とし、スイッチング素子も785系(初期)同様のGTO素子を使用しました。主電動機のパワーが上がり、MT比を5次車以前の2M1Tではなく1M2Tとすることが可能となりました。

内装は従来車と同様ですが、MT比が変わったことで3両あたり2か所あった雪切室のうち1つが不要となり、そのぶん客用スペースが広がりました。また、車いすスペースも確保しました。そのほか細かい仕様の変化があり、軽量化が図られています。

この車両を投入したことで、1時間に2本あった781系のエアポート運用のうち、札幌~新千歳空港間だけを走行する1本を721系に置き換えることができました。

なお、この時点ではまだエアポートの130km/h運転は行われていません。721系5次車以前と781系が130km/hに対応していないため、まだ最高120km/hで運行されていました。


平成8年からは、半室指定席を設定する車両が4号車に統一されました。同時に、新札幌から空港に行く乗客に対しても指定席が発売されるようになりました。

翌年の3月22日のダイヤ改正で、朝夕にエアポートが増発されました。同時に、後述の2往復以外はエアポート全列車に札幌~新千歳空港間で指定席が設定されるようになりました。

これによって721系だけで(旭川直通以外の)エアポート全列車を担当できなくなったため、711系が2往復だけエアポートに入りました。この2往復は全車自由席でした。

ただしこれは一時的な措置で、731系の増備が進んだことで721系の運用に余裕ができた翌年4月のダイヤ改正で、711系のエアポート運用は消滅し、エアポートは再び721・781系に統一されました。これにより、指定席のないエアポートは消滅しました。


平成12年3月11日のダイヤ改正では、それまで1時間に1本だったエアポートの小樽直通が30分に1本と倍増したうえ、琴似駅への停車を開始しました。これで、札幌以西から空港への利便性がさらにアップしました。

このとき、エアポートの時刻に若干の変更が生じました。この関係で、新千歳空港~小樽間の所要時間が1時間11分となりました。また、新千歳空港~旭川間の所要時間が、空港発2時間12分・空港行き2時間11分に変わりました。

続いて平成14年3月16日から、エアポートは新たに恵庭駅に停車するようになりました。これは、乗客が多かった恵み野ではなく、恵庭駅を恵庭市の中心駅として位置付けることでもありました。

同時に、エアポートの最高速度を130km/hに引き上げました。これによって、停車駅の増加にもかかわらず札幌~新千歳空港間の標準所要時間を36分のままとすることが可能となりました。

図2:785系のuシート。大きなヘッドレストが特徴

最高速度アップに伴って、130km/h運転ができない781系がエアポートから撤退し、代わって新造された中間電動車を1両連結した785系5両編成(3M2T)がエアポートに入りました。札幌からは「スーパーホワイトアロー」として旭川まで直通するところは、それまでの781系エアポートと同様です。旭川直通エアポートの札幌~旭川間が「ライラック」から「スーパーホワイトアロー」に変わったことで、新千歳空港~旭川間の所要時間は2時間1分となり、およそ10分の短縮となりました。

この改正では再びエアポートの時刻に変動があり、小樽に直通する列車の札幌停車時間が増大したことで、新千歳空港~小樽間の所要時間は1時間12分となりました。

なお、この改正に先立って、721系の一部に130km/h運転に対応する工事が行われました。ブレーキのプログラムのほか、ヘッドライトと側窓に手が加えられました。

対象となったのは、3両編成のうちF-15~21編成の7本と、6両編成4本すべてです。改造が終わった編成は、3000番台を名乗るようになりました。なお、6~7次車(F-1001~1009編成)は当初から130km/h運転対応仕様だったため、この時は特に改造は受けていません。


運行開始当初からハイレベルな運行を行っていたエアポートは、このようにさらなる進歩を続けていきました。それゆえ、「韋駄天」の二つ名をほしいままにし、利用者に愛される列車となることができたのです。

これ以降も、朝の時間帯の増発や、朝・夜の白石駅停車拡大による乗り換えの利便性アップなど、エアポートは変化を止めませんでした。

「uシート」と新たな車両(ただし全部中間車)

平成12年から翌年にかけて、「uシート」を設ける工事が721・781系に施されました。uシートは、エアポートに以前からあった指定席をグレードアップして、それに「余裕(よ『ゆう』)の旅をあなた(You)のために」という意味を込めて命名したものです。空港利用客の需要を見込んで、指定席利用増加のために快速列車としては異例の座席グレードアップを行ったのです。

新千歳空港は開業以来、2000年代の初頭にかけて着実に利用を伸ばしていました。それに伴って、新千歳空港駅からの快速エアポートの利用も増えており、空港アクセスを充実させるために指定席を大きく売り出すこととしたのです。

721系は6両編成4本すべてと3両編成5本の計8本が工事を受けました。781系は12本中6本が改造を受けました。

721系のuシートは、近郊型車両でありながら座席は平成12年登場のキハ261系基本番台の普通車と同様、シートピッチに至っては1030mmとかなり広いのが特徴的です。参考までに、721系の自由席のシートピッチが910mm、785系・キハ281系以降のJR北海道の特急列車の普通車が960mm、グリーン車は1145mmです。そのほか空港アクセスに便利な大型の荷物置場も設置されました。

721系uシートの座席の配色は新千歳空港駅と同様に、青や赤とされました。内装がカラフルなことで知られる721系の中でもひときわ特徴的な内装となりました。

781系のuシートのシートピッチは、さらに広く1050mm。721系のuシートともども、シートピッチだけ見ると、特急の普通車を超えた設備と言えます。

uシートはこうした豪華な設備で、大きな話題となりました。

なお、当時の普通列車指定席の料金は300円でした。


「uシート」は空港利用客を中心に人気となりました。それに応え、uシートを半室から1両全室に増やした車両が用意されました。

①まず先述の通り、785系に新しい中間電動車が組み込まれて5両編成となり、781系に代わってエアポートの運用に入りました。

この新車は全室uシートで、シートピッチは781系のuシートと同様に1050mm。座席も大型のものを採用しており、2+2列のシート配置ではありますがグリーン車に近い居住性を誇ります。

②翌平成15年には、主にエアポート用として721系8次車が登場しました。

快速エアポートの車両は、朝は空港行きエアポートとして走った後、折り返し札幌方面の普通列車となり、朝ラッシュど真ん中の千歳線を走ります。そこで、8次車は従来の721系とは異なり、空港アクセスと通勤ラッシュの両方を意識した車両となっています。

またこの車両は、平成8年にデビューした731系の製造をフィードバックした車両です。731系は札幌近郊の通勤ラッシュ緩和のために、デッキなしオールロングシートの採用、JRグループ初となるIGBT-VVVFインバータ制御の採用、地上への投資が最小限で済む「交流回生システム」など新しい技術を盛り込み、札幌近郊の鉄道に新たな時代を到来させた車両です。

自由席車両に731系の製造が生かされており、制御装置はIGBT-VVVFで、デッキなしの構造を採用し、ドアまわりにエアカーテンを装備しています。ほか、ドア付近の座席がロングシートとなっていることでラッシュ時の対策がなされている一方、あくまで空港アクセス用の車両ということでほとんどの座席がクロスシートとなっています。座席も従来車より進歩しており、青系の落ち着いた配色が洗練された印象を与えます。

4号車は全室uシートで、座席は789系基本番台の普通車の座席をベースにしています。シートピッチは従来車同様1030mmで、シートモケットは高い完成度を誇ります。座席以外も、落ち着いた内装やインフォメーションボードの設置など、特急列車と見紛うほどの設備となっています。

そのほか、JR北海道の一般型電車としては初めて洋式トイレを装備しています。

③さらに、従来の721系uシート車は、後述する運用の変化に伴い、次のように全車普通席化または全室uシート化されました。

  • 半室uシート車の普通席復元
    • 2~4次車3両×3本(F-3015・3017・3019)
    • 6・7次車3両×4本(F-1001・1003・1005・1007)
  • uシートを半室から全室へ(上7編成のuシート座席を活用)
    • 4・5次車6両×4本すべて
    • 7次車3両×1本(F-1009)

721系8次車は、全車両が中間車となっています。そのため、6・7次車3両8本と8次車の中間車、計45両を使って、6両編成7本(4000番台4本、5000番台3本)と3両編成1本(F-5001編成)が組まれました。

F-5001編成にはuシートがありません。また中間車は8次車ですが、他の8次車の普通席と異なりデッキ付きとなっています。

このF-5001編成は、6・7次車で唯一組み換えが行われず「uシート付きの3両編成」のまま残ったF-1009編成とともに、エアポートの予備車の役割を果たしつつ他の快速・普通列車にも入る、という「遊撃」のポジションを任されました。

車両MT比制御方式遅れ込め制御uシート編成数
4000番台6両編成(6・7次車4両+8次車2両)2M4TGTO-VVVFなし1両4
5000番台6両編成(6・7次車2両+8次車4両)2M4TIGBT-VVVFあり1両3
5000番台3両編成(6・7次車2両+8次車1両)1M2TIGBT-VVVFありなし1

ここで、「なぜ6両編成の電車を普通に製造せず、このような面倒な組み換えをやったのか」「なぜF-1009・5001編成というイレギュラーが発生したのか」という疑問が生まれます。

実は、8次車の導入は711系の置き換えを兼ねています。

711系の初期車が老朽化しており、これを731系で置き換えようとJR北海道は考えましたが、それだと先頭車を大量に造ることになり費用がかさんでしまいます。

そこでJR北海道が目を付けたのが、721系6・7次車だったのです。この車両は3両編成ですが、6両編成で運行されるエアポートに入ることが基本となっており、先頭車2両がほぼ常に中間車同然の状態になっていました。

この(実質)中間先頭車を活用すべく、721系の中間車だけを造って、先述の通り4000・5000番台6両×7本を汲みました。これで3000番台3両編成7本(F-3015~3021)は基本的にエアポート以外の列車の担当になりました。

エアポート用の6両編成はこれで合計11本となりましたが、予備車がもう1本欲しい。でも5000番台の6両編成をもう1編成作るとなると、新車が3両余分に必要となってしまいます。そのためか、F-1009・5001編成というイレギュラーが、エアポートの予備車とそれ以外の快速・普通列車を兼ねることとなりました。

これで普通列車用の3両編成を計9編成用意して、711系を置き換えたワケです。


uシート全室化が完了した平成16年3月13日の改正から、721系運用の快速エアポートで指定席となる車両が半室から1両に増えました。これ以降は、エアポートには基本的に6両固定編成11本(3000番台4本、4000番台4本、5000番台3本)もしくはF-1009編成とF-5001編成を連結した6両編成が使われるようになりました。

同時に、エアポートの4号車は全区間で指定席となり、札幌・新札幌・新千歳空港以外の各駅間でも利用可能となりました。ただし、朝夜の便には札幌以西で普通列車となって手稲・ほしみ・小樽に直通する便もあり、これらは札幌以西で全車自由席となります。

増え続ける乗客 ~旭川発着エアポートの蹉跌~

図3:千歳線を力走する789系1000番台の快速エアポート。かつては千歳線でも1時間に1往復は特急型電車を見られましたが、現在は1日6往復のすずらんしかありません

平成16年のuシート増強以降、日中のパターンダイヤは新千歳空港発「04分小樽行き・19分旭川行き・34分小樽行き・49分札幌行き」、札幌発新千歳空港行きは10・25・40・55分、という形になり、この形が10年以上続くことになります。

その後、平成19年に789系1000番台が入りました。781系の置き換えが目的で、785系と共通運用で特急スーパーカムイ(スーパーホワイトアローから改称)・快速エアポートに入る車両です。仕様は785系同様2ドア車両の5両編成。4号車はシートピッチ1050mmのuシート、ただし座席はさらに進歩し、後の特急列車のグレードアップ指定席と同等という、特急型とはいえ快速列車としても運用される車両としてはもはや異次元の設備です。

平成24年10月には、学園都市線(札沼線)の桑園~北海道医療大学間の電化に合わせ、学園都市線に直通するエアポートがの登場しました。早朝の石狩当別発・空港行きと、夜の空港発・石狩当別行きが各1本設定され、札幌~石狩当別間では全車自由席の普通列車となります。

同年から翌年にかけて721系3000番台の6両編成が機器更新を受け、制御装置がサイリスタ位相制御からIGBT-VVVFインバータ制御に換装され、MT比も4M2Tから721系4000・5000番台と同じ2M4Tに変わりました。

この他には特に大きな変化はなく、基本的には平成16年のダイヤが(若干の手直しこそあれ)維持されていました。10年以上の長きにわたって、エアポートはサービスレベルの高い、かつ非常に安定した列車として君臨していました。


千歳線の利用客は、快速エアポートの利便性アップとともに増加していきました。

特に、新たにエアポートの停車駅となった恵庭駅は、快速の停まらない恵み野の乗客減少を上回るペースで利用が増え、一躍千歳線の主要駅のひとつとなりました。

また、空港利用客も、2000年代中盤から伸び悩み、特に前年のリーマン・ショックに加えて鳩山不況という追い討ちがあった平成21年、東日本大震災があった平成23年は大きく落ち込みましたが、その後は外国人旅行客が急増し、伴ってJRの利用も伸びを見せました。

快速エアポートは長らく大きな変化なく走り続けていましたが、こうした乗客増加の中で、徐々に問題が顕在化してきます。

まずは、夕ラッシュ時のエアポートの混雑です。問題なのは785・789系の運用で、夕方の通勤ラッシュでも特急型が使用される(さすがに朝ラッシュには入らない)ため、通勤通学利用の乗客で車内が溢れかえるという問題がありました。片側2ドアの特急型で、721系のエアポートよりも1両短い5両編成という仕様では、無理もありません。

また、2010年代中盤になると、日中でもインバウンドの利用による混雑が発生するようになりました。外国人旅行客はJR線乗り放題の"Japan Rail Pass"もしくは"Hokkaido Rail Pass"を持っている方が相当数いらっしゃるためか、エアポート利用客のうち結構な割合を外国人(と思しき風体の方々)が占めるようになっており、これがエアポートの混雑に拍車をかけていると思われます。

特急型車両だけでなく、比較的輸送力のある721系でも、次第に立ち客が目立つようになっていました。また、いずれの車両にもデッキがある(721系8次車を除く)ため、乗降に時間がかかり、遅延を起こすこともしばしばとなっていました。


785・789系で運用されるエアポートはもはや地獄絵図の様相で、「特急車両に乗車券だけで乗れる乗り得列車」などというのはもはや単なる戯言に過ぎませんでした。

さらに、旭川空港の機能が拡張されて利用が増えたことが響いたか、新千歳空港~旭川間を乗り通す乗客が減っており、わざわざ特急車両を一部快速として運用したうえで札幌で方向を変えてまで旭川まで列車を直通させるメリットは薄れていました。

また、エアポート区間・スーパーカムイ区間のいずれかで発生した遅れがもう片方の区間に響くという問題もありました。そうなると遅れが札幌エリア・旭川エリアの全体に広がってしまうため、少数の直通利用のために2つの大都市圏に住む多数の利用客に不効用を与えてしまうという矛盾が発生していました。

「新千歳空港から全道へと乗客を運ぶ」というJR北海道の計画の一部であったであろう旭川直通エアポートですが、もはやこれを存続させるのは愚行でしかありませんでした。


JR北海道は、「785・789系をエアポートから外す」「エアポートの輸送力増強のために定員の多い車両を用意する」という2つの課題を背負うこととなりました。

安定した運行を続けていたエアポートですが、これ以上変わらないでいることを許されない状況となっていました。平成26年、ついにJR北海道が動き出します。

「エアポート」の列車データを見る

「北の特急(+α)図鑑」のトップに戻る

当サイトトップページに戻る