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釧網本線は「全線」維持すべきか?(平成30年2月1日)

ゲニっとな:D

当サイトではこれまで、JR北海道の「持続可能な交通体系」づくりに関連して、総論的な意見記事を何編か記してまいりました。

一方、路線ごとに「こうしたらいいんじゃないか」というような私見を述べる各論的な記事は、あえて出してきませんでした。ボクごときが路線ごとの具体的な活性化プランを練ったところで、「素人の思いつき」の域を出ないからです。

しかし今回は、ちょっと思ったことがあるので、釧網本線について触れてみようかな、と思います。

釧網本線の現状

まずは釧網本線がどんな路線か、簡単に見ていきましょう。

釧網本線は名前の通り、釧路と網走を結ぶ路線です。(厳密には、釧路~東釧路間は根室本線(花咲線)に属します。)かつては両都市を結ぶ急行「大雪」や急行「しれとこ」などが走っていました。

現在では都市間輸送を担うことができておらず、貨物列車の設定もありません。釧路~標茶・網走~知床斜里の2区間を中心とした、細々とした近郊客が利用のメインとなっています。

一方、釧路湿原・阿寒摩周国立公園・知床・オホーツク海の流氷といった観光資源に恵まれ、様々な観光列車が走っています。現状、こうした観光輸送が、釧網本線の最大の存在意義といえます。


具体的な数字も見てみましょう。JR北海道が公表している「線区別のデータ」をチェックチェック。

まず輸送密度ですが、平成28年度の数値で「463」です。平成12年度に500を割りましたが、その後は横ばいで推移しています。

この数字だけ見ると、実は宗谷本線よりも好成績です。でも、もう少し冷静に分析しないと本質を見失います。

では次に、駅間通過人員を見てまいりましょう。

釧網本線は、釧路と網走の近くは通過人員が比較的多いですが、真ん中の区間は少ないという特徴があります。つまり、「地域内」の利用がメインという性格を持っています。これは、地域をまたぐ利用が比較的多く、都市間連絡のウェイトが大きい宗谷本線・花咲線とは、大きく異なる路線性格です。

観光列車が走らない区間、すなわち知床斜里~標茶間は、定期外乗客が宗谷本線・花咲線をも下回るという惨憺たる状況となっています。特に峠越え・支庁境越えとなる札弦~川湯温泉間は、定期客ゼロという有り様です。

釧網本線は、峠を越える需要、すなわち釧路~網走の地域間をまたぐ需要がきわめて少ない路線です。か細いながらも都市間輸送を担っている宗谷本線や花咲線と比較しても、一回りも二回りも小さな需要しかない、と言わざるを得ません。

峠越え区間を廃止してはどうか?

もう何となく言いたいことはわかったんじゃないでしょうか。

そうです。ボクはこの峠越えを廃止することを提案したいのです。具体的には、清里町~川湯温泉間の廃止です。

単純な話、鉄道は大量輸送機関ですから、乗客の極端に少ない区間は廃止した方がよほど社会の利益にかないます。

また、峠越え区間というのはいろいろコストがかかるものです。勾配区間ですから列車の燃費も悪くなります。保守管理も大変ですし、冬は除雪にも苦労します。なら、無用な峠越えはしないに越したことはありませんよね。


なお、もっとドラスティックに「知床斜里~標茶間廃止」というのもありうると思います。

ただ、そうなると弟子屈町と清里町は鉄道を失うことになりますから、両町が廃止に反発し、沿線自治体の足並みが揃わなくなるおそれがあります。

一刻も早く峠越え区間を葬るためには、すべての沿線自治体が存続区間を抱える状態にしてあげるのがよいかと思います。

また、摩周・川湯温泉両駅は観光拠点としての役割もあります。

この2点を考え、今回は本当に峠越えの区間といえる「清里町~川湯温泉間」だけの廃止を主張することにしました。

広域観光ルートは峠越え区間がなくても整備可能!

峠越え区間の廃止には、こんな反対意見があるかと思います。「道東・オホーツク地方の広域観光ルートを維持し、団体列車などに活用するために、峠越え区間も必要である。」

皆さんは広域観光ルートを作るのに峠越え区間が必要だと思っているようですが……、別になくても作れます

皆さん、世の中には「バス」という交通機関があります。

鉄道とバスを有効に活用すれば、峠越え区間を廃止した場合でも、観光ルートを整備することは十分にできます。


弟子屈町と美幌町の間には、美幌峠という峠があります。屈斜路湖を中心に、屈斜路カルデラの大パノラマを見下ろす、道内でも名の知れた景勝地です。

で、路線バスを活用すれば、夏の観光シーズンであれば「摩周駅~摩周湖~川湯温泉駅~屈斜路湖畔~美幌峠~美幌駅」というルートをたどることができます。

このルートと、釧網本線の釧路~摩周(または川湯温泉)間、および石北本線の美幌~網走間を合わせれば、釧路~網走間を観光しながら移動する広域観光ルートになります。

しかも、美幌峠ルートの方が、釧網本線の峠越え区間よりも、はるかに景色が良いです。

現在は路線バス乗り継ぎという形になっていますが、釧網本線の部分廃止とバーターのような形で、かつて走っていた「阿寒パノラマコース」と同様に1本のバスで摩周~美幌間を結んで、このルートを観光ルートとして再整備する、というのがボクのプランです。


もう一つプランがあります。それは、単純に二つの観光列車をつなぐ観光バスの運行です。冬用に、SL冬の湿原号のターミナルである標茶駅と、流氷物語号のターミナル・知床斜里駅を単純に結ぶ観光バスを出せば、簡単に釧路と網走を繋げることができます。というか、以前そういうツインクルバスが運行された実績があります。

せっかくバスという小回りの利く交通機関を使うので、ついでに摩周湖と大鵬相撲記念館に寄るという小技もアリでしょう。

団体旅行でも、峠越え区間は不要

現在、JR北海道の路線とリゾート車両を活用した広域観光のモニターツアーが開催されており、そのルートには釧網本線も入っています。

峠越え区間を消すと、このツアーと同様の列車は走らせることができなくなります。

でも、大丈夫です。問題ありません。


じゃあどうするか。ちょっと思いついた方法があるので、読んでみてください。

まず、ツアーを二班募集します。片方を「A班」、もう片方を「B班」とします。説明の都合上、旅程は1泊2日とします。

A班はまずノースレインボーエクスプレスに乗って札幌から釧路に行きます。釧路で「くしろ湿原ノロッコ号」に乗り換えて、車窓を楽しみつつ塘路へ。塘路で貸切バスに乗って、湿原・摩周湖を楽しんで、川湯温泉に一泊。翌日は屈斜路湖・美幌峠を経由して網走へ。網走からクリスタルエクスプレスに乗って帰札。

B班は、A班と同日にクリスタルエクスプレスで札幌から網走へ。貸切バスに乗り換えて、美幌峠と屈斜路湖を眺めつつ川湯温泉に行き一泊。翌日は摩周湖を見てからノロッコに乗り、釧路からノースレインボーエクスプレスで札幌に帰ります。

このように、峠越え区間がなくても、2本の車両を活用し、貸切バスと組み合わせることで、鉄道を活用したツアーを実施することが可能になります。

また、美幌峠の代わりに知床を入れてみたり、冬なら先述の標茶~斜里の観光バスと同様のルートにしたり、と応用が利きます。A班とB班で違うコースというのも悪くありません。

……改めて問うてみましょう。峠越え区間、要ります?

車両繰りに問題あり?

峠越え区間廃止には、実はもう一つの懸念があります。それは、旭川支社と釧路支社の間で車両の融通ができなくなるということです。

旭アサと釧クシの間で車両を異動させる際は、石北本線・釧網本線経由でやっているようです。このルートが使えなくなれば、根室本線の被災区間もこのまま廃止でしょうから、追分を経由しないと融通ができなくなり、旭川・釧路両支社にとって車両繰りの大きな重石となるおそれがあります。

……ですが、これは峠越え区間を維持するコストよりも痛いことでしょうか。ボクにはそうは思えません。維持費を大幅に減らせるだけでなく、竣工から80年を超える釧北トンネルを放棄できるというメリットが、たかが車両1~2両レベルの車両繰り悪化というデメリットを上回ると評価するのは、10を100より大きな数字と言い張るのと同じです。

いかがでしょうか。釧網本線の将来を論じる記事は多数出ていますが、部分廃止論というのはほとんど無いように思います。多くの方にとって、この部分廃止プランというのは新たな発見だったんじゃないかな、と思います。

もっとも、この峠越え区間廃止という発想は他サイト様が別の路線について論じたとある記事に着想を得ています。

まあ半分くらい受け売りのような感じではありますが、「釧網本線の現代的意義」という視座(「遺産」扱いする視座とは全く異なる)から考えると、釧網本線の存廃問題に対する割と妥当な結論の一つと言えそうな気はしています。

現状、釧網本線は全線存続がかなり難しい状況にあると思います。今後、どのような方向性で協議が行われるか、そしてどんな結論が出るか、見守っていきましょう。

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