【平成31年3・4月】北!鉄!ニュースライナー 第6回
記事公開:平成31年4月30日
ゲニっとな(/A皿A)/
「北!鉄!ニュースライナー」、平成最後の回です。平成の話は平成のうちにしようということで、頑張って4月に出せるように書きましたよぉ。
云うて、内容はいつも通りです。北海道の鉄道のニュースをダーっと紹介して、ガーってコメントする感じです。不確定情報はキホン載せません。
ではまいりましょか。レッツビギン!
※6月1日に内容を追加・修正しました。
- 【全道 3/16】JR北海道・いさりび鉄道ダイヤ改正
- 【全道 4/9】JR北海道が中期計画・長期ビジョンを発表
- 【札幌エリア 3/22】野幌駅南口広場が完成
- 【札幌エリア 3/下旬?】札幌市電に新型ササラ電車「雪21号」が登場
- 【札幌エリア 4/上旬】札幌地下鉄南北線5000形 LED更新車両が再登場
- 【特急 4/1】スーパーおおぞらに「お先にトクだ値」が初設定
- 【特急 4/15】スーパーとかち×「なつぞら」!
- 【新幹線 3/15】はやぶさ・はやての北海道新幹線区間の車内販売が終了
- 【ローカル 3/31】石勝線・夕張支線が廃止
- 【ローカル 4/18】宗谷本線の「貨客混載」いよいよスタート
- 【貨物 3/30】釧路・太平洋石炭販売輸送臨港線が運行終了
- 【その他 4/22】JR北海道×ecbo cloak! 新たな荷物預かりサービスが札幌駅で実証実験開始
- 【番外編 3/30】さらば「西線ロール」 市電沿線の洋菓子店シャモニーが閉店
- 【番外編 3~4月?】さらばGLAD、おばんです大雪天然水 キヨスクのオリジナル商品ラインアップに変化
【全道 3/16】JR北海道・いさりび鉄道ダイヤ改正
まずは一番大きな出来事。先回でも触れましたが、JR北海道と道南いさりび鉄道が3月16日にダイヤ改正を実施しました。
改正内容については各鉄道会社の公式Webサイト、および当サイトの以下の記事をご覧ください。
【全道 4/9】JR北海道が中期計画・長期ビジョンを発表
JR北海道は、北海道新幹線の札幌延伸を契機にした令和13年度の経営自立を目指しています。
それに向けて、4月9日に、5ヶ年の「中期経営計画」と、さらに先を見据えた「長期経営ビジョン」が公開されました。
現在のJR北海道は深刻な赤字に苦しんでおり、今後もさらに赤字が拡大する見込みです。そこを、次のような施策を行って改善させる計画です。
- 自助努力によるコスト削減
- 業務効率化(ワンマン運転拡大など)
- 老朽車両の新車への置き換えなどによりメンテナンスコストを削減
- 鉄道としての使命を終えた路線の淘汰、不要な駅の整理など
- その他、事務などの費用削減
- 鉄道事業の強化(快速エアポート輸送力強化、BP輸送など主に札幌エリアでの増収)
- 運賃の値上げ
- 関連事業の増収(不動産、ホテル、小売など)
これらの施策を、「複合的に」行うことがミソです。どれか一つだけで十分な効果は得られませんが、足し合わせれば大きな数字になります。だから、「路線を廃止しても大した赤字削減にならないから意味がない」とか「自助努力によるコスト削減だけでなんとかしろ」とか「関連事業やめて鉄道に絞って改善しろ」とかそういうのは全部おかしいってことです。
ただ、JR北海道グループの力だけでは黒字化は無理です。自力でどうにもならないことは、他のセクターへの協力を求めています。例えば、北海道新幹線の高速化や、維持困難路線の維持のための枠組みづくりは、JR独力では解決できません。
そうした周囲の支援によって、さらに200億円程度の収益改善が必要です。おそらく、新幹線の増収を見込んだ数字だと思います。新幹線の「東京~札幌間 最速4時間台前半」が実現できれば、一定程度の増収になります。当サイトでは東京~札幌間4時間59分が限界と考えていましたが、状況は変わりました。新幹線が収益源になる可能性が出てきています。
また、鉄道・関連事業強化以外にも、次のような施策により、「住んでよし、訪れてよし、北海道」を実現する企業、「お客様と地域の皆様から信頼され、社員と家族が誇りに思える」企業を目指すようです。最近よく聞く、「単なる鉄道会社から『価値創造』企業へ」ってヤツです。
- 観光列車による沿線の価値創造
- 徹底的な安全の追求および省力化
- ハード・ソフト両面からのCS改善、「お客様満足」から「お客様感動」へ
- ES改善(福利厚生充実化など)
具体的な内容ですが……、車両関連の話題は、明日公開予定の記事で詳しく触れるので、ここでは割愛。
また、新幹線・新千歳空港関連と、維持困難路線をどうするかについては、やはり別に取り上げようと思うので、これも割愛です。
ここでは、それ以外……車両以外の鉄道改良、関連事業などについて、気になった部分を取り上げます。
中期経営計画の内容
- 特急「ニセコ」運行期間拡大の検討(13ページ)
- 1年に数日しか運行されなくなっている「ニセコ」。このまま消滅もあるかと思っていたのですが、ここにきて期間延長の話が出てきました。沿線の気概次第だとは思いますが、どうなりますことやら。
- ジェイ・アール生鮮市場の拡大(17ページ)
- スーパーマーケット事業も拡大するようです。なるべくJR生鮮市場で買ってあげたい気持ちはあります(JRを応援する方法は乗るだけじゃないんですよ!)し、応援を抜きにしても肉などは結構良いの仕入れてくれるので使いたいのですが、いかんせん店舗が少ない。収益性は十分あると思うので、白石・厚別エリアにも積極的な出店を考えてほしいです。
- 資材調達コストの削減(23ページ)
- 資材はなるたけインターネットで買うようにして、費用を抑えるようです。要はアスクルを使うってことでしょう。オフィスで使う文房具とかはアスクルでまとめ買いすると安く済みます。その程度のこともやってなかったのかJR北。これでは「自助努力不足」と言われても仕方ありません。赤字圧縮へ、コスト意識の徹底を求めます。
※追記(令和4.9.15):上記のほか「Kitaca等交通系ICカードによるキャッシュレス社会への対応」についても記載があり、新たなサービスの拡充について「費用対効果を見極めつつ検討」するとのことでしたが、令和6年(2024年)春から新たに函館本線の岩見沢~旭川間・函館~新函館北斗間がKitacaエリアに加わることが決まりました。
長期経営ビジョンの内容
- 札幌駅新幹線口の開発(4ページ)
- 札幌駅新幹線ホームを「大東」に建設するのを逆手にとり、駅の新幹線口を開発し、新しい商業施設を建てるなど、関連事業の増収に繋げる構想があるようです。ただ、新聞報道によれば土地の所有権まわりで解決すべき課題があるようなので、ステークホルダーの協力が不可欠です。
- メンテナンスの自動化・省力化(8ページ)
- 苗穂工場をリニューアルし、作業の自動化を進めることを検討しているようです。労働力不足・産業高度化の時代、工業にマンパワーを注ぐわけにはいかず、むしろサービス業に労働力を使うべきです。また省力化は経費削減にもなります。
- 在来線駅へのホームドア設置(10ページ)
- 在来線の駅に可動式ホーム柵を設けることも検討されるようです。でも、JR北海道の場合普通列車だけでなく特急列車もありますし、普通列車でも6両固定編成と3両+3両の編成でドア位置が変わりますし、733系と731系(除く5次車)でもドア位置が違います。そのため、導入できるとすれば、現在JR西日本の高槻駅などで使われる、ロープタイプのホーム柵でしょう。
【札幌エリア 3/22】野幌駅南口広場が完成
※この記事は6月1日に追加しました。
ここからは、地域ごとの話題です。まずは札幌エリア。
函館本線・野幌駅の南口広場が3月22日に完成しました。
この事業は、野幌駅の高架化を中心とする「江別の顔づくり事業」の一環です。もともと北口はちゃんとした駅前広場があったのですが、南口は高架化した後も「駅を出るとすぐ道路」というさみしい感じで、JRの列車とバス・タクシーを乗り換えるにはちょいと不便でした。しかも歩道が少々狭いので、バス待ちは窮屈で、安全性の点でもちょっとな~、という感じでした。
新しい駅前広場にはバスやタクシーが乗り入れます。安全・便利に乗り換えできますし、スペースにも余裕があるので窮屈な感じがせず、居心地がよくなったのも嬉しいところ。
さて、この野幌駅南口、かなり本気の事業です。
線路の南側を通っていた重要な道路である鉄東線をぶった切ってまで広場を造り、さらには隣に市民交流施設・宿泊施設を兼ねた複合施設がオープン予定となっています。江別市が南口を本気でまちの拠点にしようとしているのが窺えます。
(鉄東線が分断された代わりに、南口広場に面する野幌駅南通りが整備中。白樺通りとの交差点に信号が設置され、駅南通りから白樺通りに右折できるようになりました。さらに駅南通りを駅東側に延ばし、旧・鉄東線と接続する工事が予定されます。鉄東線が分断されても、以前よりちょっとだけ不便になる程度で済みます。)
このうち宿泊施設は今年の12月にオープンするようです。札幌市内のホテルは観光シーズンなどに埋まってしまうので、その予備としての役割が期待されます。当然、江別の「顔」である野幌地区でのビジネスにも重宝するでしょう。野幌に立地する企業の活動に使えるほか、併設の交流施設で会議が行われることも想定されますので、その際に遠方から来られる方が泊まるのに最適です。
某190万都市の某区役所のような「ただハコモノを立てて終わり」という感じではなく、本当に野幌駅をまちの中心に位置付け、交通や経済などの要衝として活かしていく、という強い意志が感じられます。人口減少・ゼロ成長の時代に、しっかりしたコンパクトシティ政策を実行できている江別は、これからもしっかり明るい展望を持ってやっていけるのではないでしょうか。楽しみです。
【札幌エリア 3/下旬?】札幌市電に新型ササラ電車「雪21号」が登場
札幌市交通局からも面白いニュースが届きました。
第3回の記事で、札幌市電の新型車両「シリウス」を紹介しました。ですが、平成30年度の新車はそれだけではなかったようです。
3月下旬ごろ、ネット上で新型ササラ電車「雪21号」を目撃したという情報が流れました。その後4月15日、札幌市交通局の公式Twitterアカウントから、以下の通りツイートがありました。
電車事業所に新しいササラ電車(軌道の除雪用車両)の「雪21号」が納入されていました!ササラ電車の新車が納入されるのは約20年ぶりとなります。現在、今冬のデビューに向けて様々な調整を行っているところです。お楽しみに! pic.twitter.com/VoQCSnA4Cq
— 札幌市交通局 (@sapporokotsu_PR) 2019年4月15日
ネット上の目撃情報によると、制御装置はVVVFインバータ制御とのことで、車体更新ではなく完全新製のようです。
追記(令和3.6.3):雑誌情報によると、制御装置は「抵抗制御」のようです。
どうやら、札幌市交通局は本気で車両の置き換えを始めるようだ。そう読み取れます。
現在策定中の10年計画の案には、今年度以降の10年間で低床車両をさらに14両投入することが盛り込まれています。そろそろ、旧式の車両の本格置き換えに乗り出すということです。
それだけでなく、ササラ電車も取り替え開始。古いとはいえ、旅客車両ではないので優先度が低いであろう事業用車両に、投資をするワケです。本気のほどが窺えます。
動きが鈍かった市電の新車投入が進み、釣り掛け駆動車の淘汰、機器などの仕様統一などが進み、体質改善が図られることに期待しましょう。
【札幌エリア 4/上旬】札幌地下鉄南北線5000形 LED更新車両が再登場
札幌市交通局の話題をもう一ケ。
地下鉄南北線の5000形の第4編成ですが、前面行先表示器と車内の次駅表示器がフルカラーLED化されているのを4月上旬に目撃しました。
前面LEDは日本語・英語の2か国語、車内LEDの次駅表示はそれに加え中国語(簡体字)と韓国語の計4か国語に対応(乗り換え案内は日・英のみ、マナー喚起などは日のみ)。背景のデザインは、新5000形のLCDと同様、星のマークを取り入れたものとなっています。
また、従来の車内LEDでは表示できなかった駅ナンバーも、新しい車内LEDでは表示可能。フルカラーを活かして、見やすい配色なのもポイントです。
南北線は観光客も多いので、新5000形以外でも多か国語表示ができるようになるのは大きいです。
さらに「カラーユニバーサルデザイン」になっているので、色覚特性があって色の区別が付きづらいという方にも見やすいようになっています。
実は今回のフルカラーLED化改造、「再登場」なんです。
……というのは、件の第4編成は昨年2月に一度フルカラーLEDへの更新を受けていたんです。ですが、1か月くらいで元のLEDに戻されました。
となると、新しいLED表示器に何らかの問題が起きて、一旦外さざるを得なくなった……んだべか。
再登場まで1年以上もかかったということは、よっぽど大きな問題があったんでしょうか。一度メーカーに戻すハメになったとか?
……憶測の域を出ないので、この辺でやめましょう。せっかくのフルカラーLEDが一度消えてしまって残念に思っていたのですが、戻ってきてくれてよかったです。今度こそ他の車両のLEDの更新に期待します。
【特急 4/1】スーパーおおぞらに「お先にトクだ値」が初設定
お次は特急のニュースにイクゾー!
苦戦が続いている道東特急の雄・スーパーおおぞらに、4~5月の期間限定で「お先にトクだ値」が初めて設定されました。
札幌・新札幌(市内)~釧路間と、南千歳~釧路間のみの設定で、値段は通常の約半額。「トクだ値40」をさらに上回る、スーパーおおぞら全盛期であれば絶対にありえないような価格設定です。
この他、今年もスーパーとかちにお先にトクだ値が設定。こちらは4~9月と長期間の設定です。通常の半額以下と、相変わらずの出血サービスです。
いずれも、春の超大型連休やお盆といった繁忙期にも、構わず設定されています。
繁忙期も含めての大安売りという、なりふり構わぬ価格勝負を仕掛けた道東特急。これでダメなら、本格的にマズイかもしれません……。
追記(令和5.7.27)
以上の内容に、勉強不足による説明の誤りがありました。
「お先にトクだ値」、および前日まで予約可能(席数限定)の「えきねっとトクだ値」のような取り組みは、「イールドマネジメント」と呼ばれる方式です。
列車の需要は日ごと・列車ごとで異なるため、便によってはやむを得ず空席がある状態で走ることになります。その空席は翌日に持ち越せません。
それよりかは、「安値でなら乗りたい」人に売ってしまった方が、その分利益になります。1人追加で運ぶコストはゼロに等しいため、タダに近い価格でも利益を増やせます。
特急おおぞら・とかちでは、「お先にトクだ値」によって主に閑散期(とかちは通年)に早め予約で「安いなら乗る」層(観光客など)を取り込みつつ――
一方で、割引を適用できる期間・席数を限定しておくことで、直前に予約する「高くても乗る」層(ビジネス・所用客など)には支払意思額に見合った値段を提示しています。
こうした方法で、空席をうまく売りさばきつつ、利益を確保する戦略を、イールドマネジメントと呼びます。
上記では「トクだ値」の設定をまるで「捨て身の戦法」であるかのように記述しておりましたが、むしろ列車の空席という資源を活かし、賢く利益を増やす戦術であると説明するべきでした。
誤った説明を長きにわたって掲載しておりましたことを深くお詫びするとともに、内容を訂正させていただきます。
【特急 4/15】スーパーとかち×「なつぞら」!
続いても道東特急。
帯広を舞台とするNHKの連続テレビ小説「なつぞら」が放送を開始し、帯広方面が注目されています。そこで、タイアップ企画として、帯広を発着するスーパーとかち全列車に「なつぞら」のステッカーが貼られました。
ステッカー車両は、札幌方先頭車(所定編成の場合、4号車)。4月15日から順次投入されました。
連続テレビ小説といえば、数年前に「マッサン」のお陰で余市町への観光客が激増し、現在でも余波が残っています。そんな風に、たとえ一時の効果であっても、十勝もステキな地域なので盛り上がってくれればな、と思っています。
ステッカー列車がその後押しをする……ことはないと思いますが、ちょっとでも話題づくりになってくれればいいなあ、と。
ステッカー列車は、9月末まで運行される予定です。もっとも、快速エアポートの大谷ラッピングのように延長される場合もあるかとは思います。
ちなみに、「スーパーとかちに使われるキハ261系1000番台はスーパー北斗にも使われるから、ラッピング車両がそちらにも充てられてしまうのでは?」と思った方もいるかと思います。
ところがどっこい、実はラッピング車両は基本的にスーパーとかちにしか入りません。
キハ261系1000番台は、札幌運転所(札サウ)函館運輸所(函ハコ)に所属していますが、札サウ車はスーパーとかちのみ、函ハコ車はスーパー北斗にのみ起用されています。
函ハコ車はスーパーとかちには使われないので、ステッカーは貼られません。だから、スーパー北斗にステッカー車両が入ることは原則ありません。
ただし、札サウ所属車がスーパー北斗の代走に使われる場合、臨時特急北斗に起用される場合(可能性はかなり低い)、および試運転される場合は、他線区でもステッカー車両が見られることになります。
なお、キハ261系1000番台は現在も増備が続いており、来年以降はそろそろオホーツク・大雪あたりに起用されそうです。そうなると、スーパーとかちと車両が共通運用化されます。もし「なつぞら」の放送が来年だったら、ステッカー列車を実施できなかったかもしれません。
【新幹線 3/15】はやぶさ・はやての北海道新幹線区間の車内販売が終了
北海道新幹線の話題も1ケだけ。3月15日を最後に、新幹線「はやぶさ」「はやて」の北海道新幹線区間での車内販売が終了しました。
東北新幹線区間では車内販売が続けられるものの、弁当・軽食の販売は同日に終了。
これによって、はやぶさ・はやての車内でちゃんとした「食事」を買うことはできなくなりました。
前回取り上げたスーパー北斗の車内販売終了と合わせて、不採算の車内販売を一気に廃止。これで、北海道内の定期列車から車内販売が消滅しました。(沿線自治体が実施するものを除く。)
【ローカル 3/31】石勝線・夕張支線が廃止
お次はですね、いよいよ北海道でも桜が盛りを迎えるシーズンとなりましたが、盛りを過ぎてあとは散るだけの列車群のおハナシをば。
JR北海道が廃止を念頭に沿線との議論を行うとしている「5路線5区間」のうち、石勝線・夕張支線が3月31日をもって廃止となりました。
翌4月1日からは、都市間バス・市内バス・スクールバス・デマンドバスが有機的に結合する新しい交通体系がスタートしました。後日取材し、個別に記事を作る予定です。
【ローカル 4/18】宗谷本線の「貨客混載」いよいよスタート
続いてもローカル路線の話題。
第3回で取り上げた宗谷本線の「貨客混載」ですが、4月18日からいよいよ開始されました。
以前の情報よりも詳細な内容がニュースリリースに出ていたので、ちょっと取り上げます。
まず、往路(稚内10:27 → 幌延11:34)。幌延行きの荷物が入った専用ボックスを列車で運び、幌延駅からは車で荷物を配達するわけですが、配達するのは佐川急便の社員ではなく、佐川急便から業務を委託されたハイヤー業者です。
貨客混載は全国に広がりを見せていますが、鉄道とハイヤーを組み合わせた事例は初なんだそうです。鉄道の手が届かないところにも荷物を運べますし、ハイヤーとしても乗客が少ない日中時間帯を有効活用できるメリットがあるようです。
で、復路(幌延10:56 → 稚内12:08)。今回の事業では、ハイヤーは荷物の配達だけで集荷はしないので、復路での荷物の運搬はしません。復路は、空の専用ボックスを列車で稚内に戻します。
貨客混載の先駆者・嵐電では往復ともに荷物を運びますが、今回の事業では片道方式です。幌延から稚内に向かう荷物は多くはないと思いますので、稚内から豊富・天塩町などに向かうトラックが帰りに拾えばそれで十分なんでしょう。
でも、貨客混載なのでトラックの片荷の問題はほぼ発生せず、トラックの稼働率が上がります。ここもポイントだと思います。
※片荷:積み荷が往路・復路のどちらかしかない場合のこと。なお、「積み荷が片寄って車のバランスが崩れる」という意味の「片荷」もあるので注意。
【貨物 3/30】釧路・太平洋石炭販売輸送臨港線が運行終了
次は珍しく貨物列車のニュースです。
今回お届けする「廃線」のニュースは、実はもう一つあります。釧路市内を走る貨物路線「太平洋石炭販売輸送臨港線」が、3月30日の運行をもって営業運転を終了しました。
臨港線は、現在では国内唯一となった坑内掘りの炭鉱である釧路コールマインの石炭を、選炭場から釧路港へと運ぶ鉄道路線。両端に機関車を連結したプッシュプル方式の貨物列車が4kmのごく短い区間を不定期運行していました。
知名度は鉄道ファンの間でもかなり低い路線ですが、「北海道唯一の私鉄」「日本最北の私鉄」「日本唯一の運炭鉄道(石炭を運ぶ鉄道)」という肩書きを持っていた、地味ながらも特徴的な路線でした。車両面でもユニークで、特に四国以外では珍しい「昭和製の電気式ディーゼル機関車」DE601号はボクも気になっていました。
かつてはもう少し大きな路線網を持っており、国鉄の東釧路駅に接続していた時期もありましたが、晩年は開業当初の区間だけが存続し、細々と石炭を運んでいました。
石炭の輸送量が減ったことで、3月30日が最後の営業運転となり、その後4月6日のさよなら運転をもって臨港線は歴史の彼方へと消えていくこととなりました。
現在、釧路の石炭は輸入炭に価格で太刀打ちできず、需要が減少しています。そのため、釧路コールマインの出炭量は、ピーク時に比べると見る影もないほどだといいます。
ですが、単に出炭の減少だけが臨港線廃止の要因だったわけではありません。
現在、釧路では「地産地消」のような形で石炭を活用する計画が進んでいます。具体的には、釧路で採掘された石炭を、釧路に建設中の小規模な火力発電所で活用するといいます。
地元で石炭を消費することで、輸送コストは最小限に抑えることができます。市内消費なら、輸入炭との価格差は抑えられるのです。
さらに、発電所の分散化により、電力の安定供給に繋がります。
また、石炭は単独で燃やすのではなく、木質バイオマスとの混焼とするようです。環境対策になるのはもちろん、「バイオマス産業都市」釧路の強みを活かした石炭と木材とのダブル地産地消で地域産業にも貢献することでしょう。
この事業との絡みで、釧路コールマインから出炭される石炭は基本的に市内で使うようになるので、道外に運ぶ石炭はさらに減ります。
市内で使う石炭は港に運ぶ必要がないので、臨港線は使いません。
まとめると、臨港線廃止の要因となった輸送量の減少は、「出炭の減少」と「石炭の地産地消化」によるものだ、ということです。
交通は「派生需要」、つまり「何か目的を達成するための手段としての需要」です。なので、その「目的」が変われば交通も変わります。臨港線はそういう「目的」の変化によっていらなくなったという、ちょっと不運な路線と言えるかもしれません。
でも、釧路火力発電所が地元の産業に力を与え、釧路石炭の新たな価値が見出されるならば、臨港線の廃止は決して暗い話題ではないと思います。
石炭は石油・LNGと比べて単位あたりのCO2排出量が大きいため、世界的に規制の流れができつつあります。しかし、エネルギーの原料をなるべく分散させ、供給量や価格を安定させるという観点から、一定の役割があるので、石炭が全く使われなくなることはないでしょう。今回の事業のようなバイオマスとの混焼など環境対策を施されながら、石炭発電は生き続けるでしょう。そうした「21世紀の石炭の道」を進む釧路の今後に注目です。
【その他 4/22】JR北海道×ecbo cloak! 新たな荷物預かりサービスが札幌駅で実証実験開始
今回もソフト面の話題が1つあります。
4月22日から、札幌駅北口外で、予約制(当日予約可)の荷物預かりサービス「ecbo cloak」の営業が始まりました。実証実験として、ひとまず6月30日まで実施されます。
ecbo cloakは、「荷物を預けたい人」と「荷物を預けられるような空きスペース」をつなぐサービスで、駅だけでなく郵便局や飲食店など、多種多様な場所で荷物預かりサービスを実現させています。
札幌市内でも、何か所かの飲食店でサービスが行われています。
具体的な使い方としては、まず予約(スマホでOK)をして、予約した時間にお店に行って荷物を預かってもらい、チェックアウトの時間までにまた店に行って、荷物を返してもらってクレジットカードで決済、という流れになります。
店舗形式なので、ロッカーに入らない荷物でも預けられます。予約制なので、駅ロッカーあるあるの「駅に着いたはいいけどロッカー埋まってる、どうしよう」みたいなことはありません。
料金は、1日・荷物1つあたり900円(税込)。一般的なecbo cloakの料金設定よりもかなり高い設定です。安くすると利用者が殺到するだろうから、値段を高めに設定して需要抑制、というところでしょうか。
今回は、JR北海道のグループ会社・北海道キヨスクの空きテナントを活用する形で実施。実証実験として実施し、ニーズを把握した上で今後の施策に活かすようです。
札幌駅は観光の拠点としてかなり重要な場所なので、荷物預けもたくさんの、しかも多様なニーズがあると思います。いろんなサービスをニーズに合わせて展開すれば、観光客の満足度、ひいてはJR北海道のイメージが良くなるでしょう。札幌駅の荷物預かりサービスの進化に期待です。
追記(令和元.7.6):6月30日をもってサービスが終了となりました。7月6日現在、テナントは閉鎖されています。今後については不明です。
追記(令和3.6.3):空いたテナントには、令和2年に北口通路から「QBHOUSE」が移ってきました。新幹線関連工事により元の場所が使えなくなったため移転したようです。
【番外編 3/30】さらば「西線ロール」 市電沿線の洋菓子店シャモニーが閉店
ここからは、鉄道と直接関わらない話題です。
3月は別れのシーズンとよく言われ、今年も先述の通り道内の鉄道路線2つが今生の別れとなりました。
一方、札幌市内でも鉄道に関する一つの「名物」が失われました。
札幌市電の沿線にあり、市民に親しまれていた洋菓子店「シャモニー」ですが、3月30日の営業をもって閉店となりました。
このお店では、一時は全廃すら検討されていた札幌市電を応援しようと開発したという、「西線ロール」というスイーツが沿線住民に親しまれていました。
ですが、店主さんがお年を召し、お菓子づくりが難しくなってきたため、惜しまれつつも閉店となりました。
以前西線ロールを食べたことがあるのですが、店に行ったのがタイミングが悪いことに品薄になっている時で、「まだ解凍前だから……」と言われ、食べるのが数時間後の予定だったのでむしろ好都合、ということで凍ったままの西線ロールを買って帰った、という思い出があります。
味はシンプルな方で、素朴さが心を打つひと品でした。
名物が消えてしまうのはちょっと寂しい気持ちもありますが、西線ロールが願った市電の存続はとりあえず今のところ大丈夫そうです。ループ化の甲斐もあって推定輸送密度は約7,000ほどありますし、先述の通り新車も入っていますのでね。
【番外編 3~4月?】さらばGLAD、おばんです大雪天然水 キヨスクのオリジナル商品ラインアップに変化
※この記事は6月1日に改題・内容追加を行いました。
最後も番外編。今度はJR北海道のグループ会社の話。
北海道キヨスクオリジナル商品の缶コーヒー「GLAD」ですが、近ごろとんと姿を見なくなりました。3月くらいまでは売っていたんですがね。おそらく、販売終了となったものと思われます。
JRの特急で車内販売をやっていた頃は、車内販売や簡易車内販売で買うことができた商品でしたが、車販終了後はキヨスク店頭のみでの販売となっていました。
その店頭販売も、札幌駅改札内の店舗では遅くとも去年の秋から1缶70円という投げ売り状態となっていました。今考えると、要は在庫処分をしていたんでしょう。
一方で、新しいオリジナル商品、ミネラルウォーター「大雪山の天然水」(110円)が登場。同じくキヨスクオリジナルの「ニセコWater」のうち500mlの方を置き換える形で、4月24日から販売を開始しています。(ニセコWaterの280mlのやつは、5月下旬時点で販売継続。)
ニセコWaterの500mlは120円だったので、今までより10円安く手に入ります。コンビニの天然水との価格差が小さくなるので、販路が広がるでしょう。
現在北海道キヨスクは、JR北海道グループの経営改善の一環として、様々な合理化施策を打っています。
最たるものが、不採算店舗の整理です。
札幌エリア以外の駅を中心に、近年はキヨスクの閉店が相次ぎ、駅によっては駅舎内から売店が消滅しました。
残念ではありますが、人口減で地方での売上が落ちていますし、経営難なのでそういう店舗を維持するのは難しいです。また、「コンビニ飽和時代」といってもいいほどにコンビニがあちこちにある時代、駅の売店がかつてほどの売り上げを出せないという事情もあるでしょうから、閉店は仕方がありません。
そして去年あたりから本格化したのが、キヨスクからセブンイレブンへの転換。札幌近郊を中心に、白石(JR)や岩見沢などで、キヨスクが閉店し、その場所をテナントとして貸す形でセブンイレブンがオープンしています。また、昨年11月にオープンした苗穂駅の新駅舎では、最初からセブンイレブンが入っています。
JRのニュースリリースによると、これが経営改善に結構貢献しているようです。
キヨスクよりもセブンイレブンの方が、大手コンビニの「規模の利益」や、プライベートブランドの人気などを活かせるため、同じところで営業しても利益が出やすいでしょう。使う側としても「おなじみのコンビニだからこその安心感」があるでしょうし、キヨスクとしてもテナント代で確実かつ直営店よりも高い利益が期待できます。
そういうタイプの店舗は、看板をよく見ると「by KIOSK」って書いてあります。札幌駅構内の弘栄堂書店とかも実はそうです。そんな風に、キヨスクという店舗ではないけれど、ある意味キヨスクなんです。
プライベート商品の整理・入れ替えは、おそらくそうした合理化の一環なのでしょう。(まあ、売れない商品を整理したり、価格を下げるために商品を入れ替えたりするのは、どこの会社でも一緒だとは思いますが、ね。)
ところで、最近キヨスクの店舗に登場した「森彦の珈琲」が結構人気のようです。ちょっとお高いですが、札幌の有名店「アトリエ・モリヒコ」監修というブランド価値があります。味も間違いなくGLADより格上です。
ある種、GLADが抜けたところに森彦が入ったような感じですが、これってなかなかいい作戦なんじゃないかなと思います。
GLADのような普通のが飲みたいなら、北海道ならほぼどこにでも店があるセイコーマートの安くておいしい「グランディア」や、スーパーなら下手したら1缶30円未満で買えるUCCの安いやつとかでいいですもんね。わざわざキヨスクで普通の缶コーヒーを買うこともありません。安売りでセコマ・UCCのスケールメリットに勝てるはずもなし、手を引いてしまうのが得策でしょう。
でも、付加価値のあるコーヒーだったら、まだ勝負になる可能性はあります。キヨスクのお客さんは旅行者も多いと思いますが、旅行者にしてみても、せっかくだったら札幌らしいコーヒーにしたいでしょうしね。
今回こそは話題少なめになるかな、と3月ころは思ってたんですけど、結局話題がかなり多くなりました。結果、当初想定の3倍くらいのボリュームになっちゃいました。
ともあれ、平成時代の「ニュースライナー」は今回でおしまい。本企画は、令和という新しい時代へとステージを移します。
令和は、北の鉄道網がさらなる試練に立たされる時代になるでしょう。そんな中でも、時代に適応して雄々しく活躍する姿をボクは期待していますし、次代に適応すべく頑張っている鉄道の様子は本企画などで取り上げて応援したいと思っています。
本企画自体も、次の時代に求められるものというのを意識して、質を高めていきたいと思っています。
新時代へと駆ける「北!鉄!ニュースライナー」、次回もチェキらないかんですよ!!
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