エアポート・カムイの直通、来年廃止 - ゲニウス(北)の北海鉄旅いいじゃないか
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エアポート・カムイの直通、来年廃止(平成27年4月7日)

※この記事は平成27年(2015年)時点の情報をもとに作成した記事です。最新の状況とは異なる場合がございますので、情報のご利用にはじゅうぶんお気を付け下さい。

北海道新幹線の開業という一大イベントを来年に控えたJR北海道。新幹線開業を契機に、在来線網にメスを入れるようです。

今月2日の北海道新聞朝刊2面の記事によると、新幹線開業と同時のダイヤ改正で、快速エアポートと特急スーパーカムイの直通運転を取り止めるとのことです。

新幹線と直接の関わりがない札幌エリアにおいて、結構大きな変更であります。

この件について、ボクからのコメントはたった一言。

「おせーよ。」

遅すぎた埋葬

……一言で済ましたらダメですな。ただでさえ内容の薄いサイトなのに。ちゃんとコメントしますよ。

札幌と新千歳空港を結ぶ快速エアポートは毎時4本、15分おきの運行ですが、このうち1本が札幌から旭川行きの特急スーパーカムイになります。

列車が途中で特急になるという、結構ユニークな運行形態をとっています。

道内だと、他に室蘭発の普通が東室蘭から特急すずらんになる、というのがありますね。

で、この旭川行き(以後「エアポートカムイ」と言います)ですが、車両は当然特急用の785系・789系で運転されます。まあ733系特急とか絶対有り得ないってくらいわかるかとは思いますが。

これらの車両は、もちろん2ドア・オールクロスシート・デッキ付きです。特急用ですからね。さらに、721系・733系のエアポート編成より1両短い、5両編成。

このエアポートカムイ、夕ラッシュ時間帯の新千歳空港行きにも設定があるんです。日中だけとか、そういう生温いもんではございません。

エアポートは空港輸送もさることながら、札幌近郊の通勤輸送においても大きな役割を持っています。

長々と説明してまいりましたが、要するに混むんですよ、エアポート。ラッシュ時は特に。なのに、日中だけならまだしもラッシュ時までエアポートカムイがあるんですもの。

札幌の通勤ラッシュにデッキ付き2ドアクロスシートというのは、無茶です。実際、夕方のエアポートカムイを札幌駅で見ると、それはもうひどいですよ。

と言いますか、日中でも結構混みます。 座れないこともしばしばです。そうなれば地獄です。特急車だから乗り得ということはありません。

そんなワケで、一体いつになったらこの愚策をやめるやら、と思っていたのですが、ようやく改善されるようです。

直通廃止の理由は他にもあるようで、「豪雪時に旭川から札幌への到着が遅れると、札幌から新千歳に向かう乗客に迷惑がかかる」(上掲記事)ということ、そして「北海道の鉄道情報局」というサイトで指摘されている(外部リンク)ように、旭川から新千歳空港まで乗り通す乗客が少ないこともあるようです。

車両はどうなる?

※以下、「普通列車」には区間快速いしかりライナーを含みますが、エアポートは含みません。

で、問題なのが車両。エアポートカムイがなくなるということは、そのぶんエアポートに札幌止まり(たぶん)の運用がひとつ増えて、それに充当する721系か733系のエアポート編成が必要になります

この車両はどう用意するのか。結論から申しあげますと、もうあります

昨年から733系3000番台が投入され始めたので、エアポート編成は余っています。余った分は、普通列車の運用に就いています。

現に、たまに大学から帰る時に乗る普通に、721系・733系のエアポート編成が充てられることがあります。

この編成をエアポートの運用に戻せば、車両は足ります。

次に特急車。スーパーカムイは全て札幌止まりになりますから、少しばかり車両が余ります。

札幌エリアの特急電車については、函館での仕事を失ったもえぎちゃん……もとい789系基本番台を札幌に持って来て、それで785系を置き換えるという計画になっています。現在785系が(バッタを除いて)35両、つまり5両編成×7本。函館の789系だけで5両編成を7本作れるので、全て置き換えできます。で、おそらく1本ばかり余剰が出るでしょうから、先日煙を吐いた奴を廃車にしても足りるでしょう。

ただ、前掲サイトで指摘されている(外部リンク)ように、以前事故廃車になった789系1000番台1編成の分札幌圏の特急電車が減っているので、予備車を用意するのが望ましいでしょうから、7編成すべて持ってきた方がいいのでしょうが。

豪快に予想を外した筆者

こうやって見てみると、きっちりと車両の更新計画が立てられているのがわかります。そりゃそうか。

昨今のトラブル続きによってこの計画が音を立てて崩れようとしているワケですが、それは置いといて。

にもかかわらず、ボクはエアポート編成の処遇を先読みできていませんでした。

ボクは、733系3000番台の配備で余るエアポート編成のうち、721系3000番台を普通列車仕様の3両編成に組み換えるものだと思っていました。それで、711系の置き換えをするか、函館にでも送るか、それとも玉突きで721系基本番台が引退か、とか考えていました。

でも、余ったエアポート編成は減車をするでもなく、そのまま普通列車に入りました。「普通で使うなら6両だと無駄も多いし、uシートにただで客を乗せるのも解せないなあ、なんで3両にしないんだろう」といぶかしんでいました。

エアポートカムイの直通をやめるというのが予想できていたら、こんな読み違えはしなかったのかもしれませんが……。

つまり、JR北海道の計画は、こうだったのです。

  1. 733系3000番台投入。エアポート編成が余る。
  2. 711系引退(先月13日)。車両が一時的に不足するので、余ったエアポート編成を普通列車に充当する。
  3. 普通列車用の733系基本番台を増備(今年度予定)して711系の穴を埋める。エアポート編成が再び余剰に。
  4. エアポートカムイの直通廃止(来年3月)。余っていたエアポート編成が本来の仕事に戻る。
  5. ピタゴラスイッチ。

ああ、なるほど! と、つい先ほどやっと合点がいったのです。さっきJR北海道に「おせーよ」とか言いましたが、本当に「遅い」のはどっちやら。


追記(h28.4.21)……この予測すら、微妙に間違っていました。

JR北海道が711系の置き換えとして製造したのは、733系は733系でも、基本番台ではなく3000番台でした。

製造された733系3000番台は、現時点で計7編成。現ダイヤで785・789系で運行されるエアポートが721・733系に置き換わっても、必要な編成数はせいぜい3編成ほどしか増えないことを考えると、必要以上にエアポート編成を作ったことになります。一方、基本番台3両編成は上述のボクの予想とは異なり、21本のまま増えていません。

ということは、エアポートに入らないエアポート編成は今後も普通列車として使うということです。で、それで711系のぶんを補いつつ、エアポート編成の予備とする、と。

これを2012年からの車両数の変遷から見ていくと、わかりやすいと思います。

まず学園都市線の電化に合わせて735系3両2編成と733系3両12編成が入りました。その後、さらに733系基本番台3両が9編成、同3000番台6両が7編成製造されたワケです。

ということは、733系のうち、エアポート編成用と711系置き換え用を足したものの数は、3×9+6×7=69両ということになります。

置き換え対象だった711系は3両×14編成の計42両。エアポート編成は3編成増やす必要があると想定すると、さらに18両が要ります。さらにこのたびのダイヤ改正で朝通帯に増発が1本、増結が2本あるので、さらに車両が12両必要と考えられます。ただし、721系F-1009編成が復帰したので現在の車両数が3両多くなります。以上の想定が当たっていれば、必要な新車の数は合計で42+18+12-3=69両。計算ピッタリですね。

普通列車のぶんも3両編成ではなくエアポート編成を作った理由は、以下の3つが考えられます。

まず一つ、公式のアナウンスの通り、エアポートの混雑改善です。日中でも立ち客が多数出るエアポートの混雑と遅れを、特急のスジを阻害せず、編成を伸ばさずに(新千歳空港駅がこれ以上拡張できない)減らすには、ロングシートの導入以外考えられませんでした。また早朝のエアポートの折り返しは朝ラッシュど真ん中の札幌方面行き普通列車なので、その意味でもクロスシートは好ましくありませんでした。実際白石駅ユーザーとして辛いんですよ、朝の千歳線普通列車の混雑は。

二つ、単純にエアポートの予備車確保。以前は785・789系が札幌止まりのエアポートの代走に入ることもあったようですから、今後はそういうことのないように十二分な数のエアポート編成を用意するという思想があるのでしょう。

そして最後に、エアポート編成の走行距離が著しく長くなるのを防ぐという目論見もあるでしょう。俊足のエアポート編成は普通列車用に比べて走行キロ数がかなり長くなっているでしょうが、今後は交代で普通列車も担当する(しかも6両固定なので、普通列車に回る時は大抵朝晩だけの運用)ので、それを緩和できます。資金がない中大量の車両を置き換えなければならない現状、少しでも長く721系エアポート編成を使って、短期間での車両置き換えの数を減らしたいという思いがあるものと推察されます。

このように、711系を取り替え、朝ラッシュの混雑を改善し、エアポートを常に正常な状態で運行でき、かつ貴重な車両を使い潰さないように、と考えて車両の計画が立てられていたワケです。やっぱりプロは違いますね。

直通廃止の真の目的?

この疑心暗鬼に陥りやすいご時世ですから、この直通廃止にも何か裏があるのではないか、と考えるのはごく自然なことです。

今回の直通廃止についてWebで検索しているときに、「直通廃止の真の目的は札幌~新千歳空港間の特急の新設による特急誘導ではないか」という意見が見られました。露骨な特急誘導の多いJR北海道ですから、まあそんなふうにいぶかしむのもわかります。

ですが、ボクが思うに、それはありません。

第一に、先ほども申し上げました通り、エアポートは空港連絡のエースであるとともに、通勤・通学輸送の要でもあります(JR西日本の関空快速と同じです)。ですから、エアポートを特急にするのは考えづらいです。特急を作るにしてもエアポートを残すでしょうが、毎時4本の快速に加えて特急となると新千歳空港駅に入りきりません。

第二に、エアポートを特急にしたら、料金でバスに大敗することになり、乗客が一気にバスに流れます。新千歳空港から札幌市内までは、バスは1,030円(h27.4.7現在)、大谷地までなら930円です。しかも着席保障です。JRの運賃が1,070円(同)ですから、これに特急料金を上乗せしたら一気にバスに客を取られます。

まあそんなワケで、新幹線開業をきっかけに札幌近郊にも変化が訪れます。これらは、古い車両(といっても785系はあまり古いって印象ないんだけどなあ)が置き換えられるための、そして車両たちが本来入るべき運用に入るための変化ですから、喜ばしいことです。新幹線自体はあんまり歓迎しませんが。

というわけで、来年度になったらいろいろ変わっちゃうので、記録などは今年のうちに。

ってな感じで今回はおしまい。最近は動画作成に注力している関係で更新ペースが鈍ってしまって申し訳ないのですが、まあボクの動画見つつ次回の更新をお待ちいただければと……。

参考文献……
上掲の道新記事および「北海道の鉄道情報局」の記事の他に、
Wikipedia「国鉄711系電車」「JR北海道733系電車」「JR北海道785系電車」「JR北海道789系電車」

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